最終話 新天地へ
七月下旬のある日。
八階建てのマンションにある401号室のドアを、青い髪の少年――有原祐が内側から開けた。
「それじゃあ行ってくるね、母さん」
「行ってらっしゃい祐。道に迷わないようにね」
玄関に立てかけられていた、引越し業者のキャラクターがでかでかとプリントされたダンボールを紐でまとめたものを持って、有原は一階に下りる。
そのダンボールをマンション専用のゴミ捨て場に置いたあと、背負っていたリュックの肩紐を直しつつ、彼は道を歩く。
そうして有原は最寄りの駅に着き、五駅電車に乗り、この県の中で最も都会的に発展している街に来た。
有原は駅から出て、すぐその先ある広場を一通り眺めて、
「おーい! こっちだぞ祐!」
「ま、護さん、ちょっと目立ち過ぎてかもしれないです!」
両手を振って自分の所在をアピールする飯尾と、それを少々たしなめる内梨を発見する。
「ごめん、護、美来さん。今の僕待ちだったよね?」
内梨は駅の壁に備え付いている大きな時計を指差して、
「大丈夫ですよ祐さん。約束の時間はあと十分後ですし、私が来たのはつい三分前ですから」
「そっそ、逆だよ逆。俺たちが早く来過ぎただけだぜ」
と、どんぶり勘定的なスケジュール管理によって、かれこれここで三十分待っていた飯尾は笑って言った。
「そっか、ならいいかな。さて、他の皆は『別ルートで行く』って言ってたから……じゃあ三人でもう行こうか」
「だな」
「ですね」
有原は飯尾と内梨と一緒に街中を歩く。
最中、彼らはそこに並ぶ建物の高さに感嘆したり、雑談を交わしたりした。
「祐、お前は昨日何してた?」
「午前はずっと車で移動してて、午後はずっと引っ越し作業してた。あと、移動中に『あの山』に行って来た」
「そうか『あの山』か……偉いな、有原」
「『あの山』ですか、私も引っ越す前に見に行きたいってお父さんお母さんに頼んだんですけど、二人とも『もう二度とあのことは思い出したくないから』って言ってましたので……」
「それはそうだよね。あんなこと、普通は思い出したくないもんね……」
校外学習の山登りの最中、有原たち一年二組の三十七人が裏世界に転移したことは、ここ、表世界では『原因不明の大規模な土砂災害』という事実に置き換わっていた。
なので必然的に、裏世界で戦って死んでしまったクラスメートたちは、全員、山崩れに巻き込まれた。ということに置き換わった。
当然、その死体は発見できないため書類上は『行方不明』と扱われた。しかし、その土砂災害の規模からもはや生存の可能性はなく、結果、整備されたその山には慰霊碑が置かれることになった。
なので有原たち八人がほぼ無傷で生存していたことは各方面にとって衝撃的であった。
連日メディアで某市の土砂災害の解説を行っていた専門家が、彼らの生存を生放送中に知った途端、気を失いかけたという逸話もあったという。
勿論それは八人の親近者にとっても衝撃的であり、『ほとんど』の家庭では帰ってきた子供の姿を見て大号泣し、この奇跡をひたすら喜んだ。
余談だが、内梨の家では彼女の生還を祝って、三日連続で晩御飯が回転寿司になったという。
「どちらかという私は焼き肉の方が良かったんですけどね……さらに欲をいうと、普通の豚丼がよかったです……」
「まぁ、三日連続は飽きるかもな、寿司はな」
「そ、それは災難だったかもしれませんね……」
歩くこと約十五分、三人は駅から少々離れたオフィス街にあるまあまあ綺麗めなテナントビルについた。
有原たちはその中にあるエレベーターに乗って三階へ行き、扉が開いてすぐに見える、『海野法律事務所』の看板がついたドアを開ける。
「「いらっしゃい、有原さん、内梨さん、飯尾さん」」
直後、整然としたデスクに向き合って仕事をしている男性と、奥の給湯スペースからオレンジジュースを二つ持ってきた女性が、声を揃えて三人に挨拶し、
「よっ、先来てたぜ! 飯尾、内梨さん、祐!」
「……いらっしゃい、みんな」
と、応対用の大きいテーブルに向き合って座っている石野谷と海野も挨拶した。
二人はそこに夏休みの課題を広げており、
「海野! ここどうやって解くんだ?」
「はいは、ここはこうしてね……」
石野谷は海野の助力を受けてそれを解いていた。
有原たち三人もそのテーブルに集まり、各自夏休みの課題を広げた。
海野はそんな三人の様子を、白い目でじっと見つめていた。
飯尾はこの異様な目線にいち早く気付いて、
「何だ海野、俺が宿題してるのがそんなに珍しいか……?」
「まぁ、ある意味珍しいよな。人の親の仕事場で勉強会するなんてなぁ!?」
ここは看板の通り『海野法律事務所』。そしてさっきの男性はここの弁護士である海野の父親であり、
「はい、これは隆景と石野谷さんの分です。待っててね有原さん、飯尾さん、内梨さん。三人の分もすぐ持って来ますから」
今、五人にオレンジジュース入りのコップを渡した女性が、ここで夫の補佐をしている海野の母親である。
「「「ありがとうございます。海野のお母さん」」」
「いやちょっと待てや! 父さん、母さん! 昨日、一応確認取ったときからずっと思ってたけどさぁ! 真面目な仕事場で息子の友達呼んで勉強させていいのかよ!?」
「いいんだよ隆景。今日は対面での面談は入ってないし、オンラインの面談は別室のスペースでやるからね」
「むしろ嬉しいよ私たちは。隆景が二人以上の友達と一緒に集まるなんて本当に珍しいことだから。ねー、あなた」
「だよねー」
と、両親がにこやかに向き合った途端、海野は頭を抱えてぼやく。
「そこは多少なりと矜持を持てよお前ら……」
そこへ飯尾はニタニタしながら、海野の右耳に顔を寄せ、小声で尋ねる。
「仲直りしたんだな、お前の両親」
「……まあな、あの一件で色々見直して、また一から頑張ろうってなったんだよ」
さらに石野谷もニタニタして、海野の左耳からこっそり尋ねる。
「ところでよ、さっきお前の母さん『二人以上の友達』が遊びに来ること無いって言ってたけど、逆に言うと『一人』は来てたんだよな。それってもしや……」
「……イニシャルはK・S、後はご想像におまかせします。あと二人とも近いっての」
有原たちが勉強会に参加してから三十分後、
「ごめんね、みんなー! 都会の電車っていっぱいあるからゴチャゴチャになっちゃった!」
「すみません遅くなりました! ちな理由は行く寸前になってお店がやや忙しくなったからです!」
武藤と三好がやって来た。
「遅れたもクソもないよ。むしろ来ない方が賢明だよ。俺は恥ずかしいよ。両親に見られながら知り合いとキャッキャ言いながら宿題するの嫌だよ」
と、海野はお経のようにブツブツと現状への文句を口にした。
そして有原は、テーブルを囲む他の六人の顔を一通り見て、言った。
「これで、七人全員揃いましたね」
五月上旬に起こったあの某市の未曾有の土砂災害と、そこから奇跡の生還を果たした(ということになっている)八人のことは、各大手メディアが大きく取り上げた。
しかしこうしたメディアの悪い部分である、『どこよりも早く、より興味深い情報を提供する』という熱が起こり、メディアは生還者の詳細情報を報じようと、強引な取材をするようになった。
八人の家庭は昨今におけるコンプライアンスとプライバシー遵守の風潮を用い、加熱した報道をやり過ごした。
しかしこの頃のような日々を二度と味わいたくないという気持ちと、直後に関連して起こった某市の騒動の火を避けたい気持ちと、それと純粋に『トラウマがある町』から離れたい気持ちから、それらの家庭は心機一転、新天地で暮らし始めることを決意した。
今、有原たち生存者七人が、都会にある海野の事務所に集まっているのはそのため――奇しくも七人は同じ街に引っ越したからである。
さらに言うと、夏休みが終わった後に七人が新たに通い始める高校も一緒。だからこうして集まって勉強会ができているのだ。
石野谷はこの偶然の凄さをしみじみ思いながら、
「そうだな祐。ここに来れる七人は、全員集まったな……」
*
ここに来れなかった八人の生存者の一人、松永充は、この表世界に帰還後、自分を養ってくれている家――真壁グループに帰った。
そして彼女は真壁社長を含む、グループの社員たち全員から罵詈雑言を受けた。
こうなることは松永もわかっていた。
期待の次期社長である真壁理津子を始めとする、重役の子供たちが全員死んだのに、単なる市長の息子にあてがうための許嫁だけがのこのこ帰ってきたとなれば、そうなるのは至極当然だ。
しかし、既に両親を失った松永は他に行き着く場所がないため、罵詈雑言に耐えることにした。ただし、数日間だけ。
松永は、自分と同じく家庭で酷い目に合っている石野谷と一緒に、信頼できる家庭問題の相談所へ行った。
そこで松永と石野谷はそれぞれ家で味わった理不尽を赤裸々に語り、解決へと動き出した。
さらに松永は、この機会を利用し、真壁グループへの報復としてもう一つ手を打った。
当時、某市内でニュースのネタを集めようとしていたメディアに、自分の存在をぼかして貰えるように頼んでから、自分への仕打ちと、真壁グループと市の影の関係などの内情を暴露したのだ。
暴露記事は、ちまたで話題になっていた土砂災害の波に乗っかり瞬く間に世間へ拡散。
その予熱で、あの山の山道を整備したのが真壁グループの関連会社であったことも判明し、真壁グループは、世間から盛大に非難されることとなった。
真壁グループは非常に短い間隔で何度も会見を行い、悪い噂を否定しつつ、誠意を見せ続けた。
だが真壁グループは面従腹背に、裏では騒動の原因である松永の『制止』を試みた。
しかしその時既に、松永は例の相談所に匿われていたため、その目論見は届かなかった。
真壁グループの世間一般からの評判は溶けるようにして落ちていった。
それに歯止めがかかったのは、真壁グループの拠点から遠く離れた大都会、東京にてある事件が起こった時だった。
真壁グループの重役、都築定義が、大手メディア提供会社の最寄り駅で、ホームから身を投げて自殺したのである。
その際、定義がホームに置いた遺書と思わしき手紙には、簡潔に言うと『真壁グループの非道徳的行為は、会社の利益のため、私が全て独断で指示していた』という内容が書かれていた。
この遺書の内容と、報道の最中に死者が出てしまったことから、メディア各社は真壁グループに関する報道を自粛した。
かろうじてではあるが、真壁グループは世間の非難から逃れ、地方ゼネコンとしての地位を防衛し切ったのだ。
ただし、この騒動で現れた悪評がしっかりと各取引先に伝わったことと、あの土砂災害で子供を失った重役たちが精神的に深い傷を負ったことから、真壁グループの業績は年月を重ねるごとに目に見えて落ちていったという。
ちなみにこれと同時期に、一企業と蜜月な関係を築いていた佐藤市長も、数年前の十束貴史の事件の際の悪対応を蒸し返されつつ、痛烈な批判を受けた。
しかし佐藤市長は、自身が属する党の意向に従い、批判を浴びながら市長としての務めを死ぬまで続けた。
そして、この騒動の黒幕である松永は、一連の報道を知って彼女のことを哀れんだ、慈善家として知られるとある社長の養子になり、ついに真壁グループの呪縛から開放されたのだった。
これと同じ頃、同じ施設を頼っていた石野谷は、そこでの指示の下、一時的に親から距離を置くため、生存者八人の家族と似たような理由でこの街に越してきた、大親友である梶の家に居候することになった。
*
というような松永と、元いた某市での後日談を、石野谷は語った。
「まぁ、しょうがないよな。何せ今はその社長の拠点である街に住んでるんだからな……」
そして石野谷は話の最中、突然意味不明な間を開けてから、
「……アイツはな」
と、話を閉じた。
三好はすかさずツッコむ。
「何だったの今の変な間は?」
「ああ、あれはだな……アイツ、養子になるに当たって名前変えたらしいから、なんかそのまま松永呼びするのも良くないかなーって思って」
そうなんですね。と、有原は相槌を打ってから、石野谷へ聞く。
「それって具体的に聞いていないかな、陽星?」
「悪い、最後に施設で会った時にチラッときいたくらいだからはっきり覚えてない。まず、下の名前は『トツカ』に変えたのはほぼ確実で、確か名字が……なんだっけ?」
「それくらいはっきり聞いてきっちり覚えてよ。あれだけ一緒にいた仲間なのにさ」
と、三好は至極当然なツッコミを入れ、
「辛口だなぁ……三好さん」
と、石野谷はぼやいてから、オレンジジュースを口に含んだ。
ここで海野の父親は時計――十二時をちょっと過ぎている――をチラッと見てから七人に、
「そうだ、せっかくだから、僕がお昼ごはんも奢ってあげますよ」
直後、海野は父親へ向かって怒鳴る。
「こらこら父さん! もうこれ以上俺の友達を甘やかさないでくれ!」
「いいからいいから。ちょっと皆に今お気に入りの出前を食べてもらいたいし……つい最近、この辺りにオープンした欧風カレーのお店でね」
つい最近オープンした欧風カレーのお店――そのワードを聞いた瞬間、三好は一気に顔を赤くして、突然あたふたし始めた。
「あ! そこは止めてください! ちょっとあそこは、えっとその……恥ずかしいんで止めてください!」
そんな彼女へ海野はドヤ顔をして言い放つ。
「どうだわかったか! その感情が、友達の集まりの中に親が介入して生まれる恥ずかしさなんだよ!」
「だからどうしたってんだよ海野」
と、飯尾は冷ややかな目をして海野へツッコんだ。
「あはは……じゃあ僕は後で、お忍びで食べに行きます。三好さんのお店のカレー……」
*
夕方。
七人はわちゃわちゃしながら勉強会に取り組み、なんやかんだで、平均して課題の半分を終わらせた。
その辺でキリが良いということで、海野以外の六人は、今日色々とお世話になった海野の両親にキチンとお礼してから、法律事務所から退出した。
「またなー、海野!」
「こっちこそまたな、飯尾……だが二度と事務所には来るなよ!」
さらに外に出てから、
「ボク、多分こっちの地下鉄の駅から帰れると思うから……この辺でさよならするね!」
「曖昧だな武藤。地図アプリとかちゃんと見ろよ……さような、武藤さん!」
「うん、またね、飯尾さん!」
武藤は地下鉄駅の階段を下りて、
「じゃあ俺はここのバスで帰るから。あ、そうだ。次の勉強会は俺……っていうより梶の家でどうだ? もちろんちゃーんと『ファイターズ』もあるぜ、祐」
「『ファイターズ』! いいね! 勉強会の合間にみんなでやろう!」
「祐と石野谷しか楽しめないだろそれ!」
石野谷は次回の予定をもっさり提案した後、バス停に留まり、
「あ、アタシこの路地の先にあるお店に用があるから……」
「あれですね、三好さんのお家のカレー屋さんって」
「さ、さぁ? どうかなあ、内梨さん? あははははは……」
三好は自分の両親の店の手伝いに行くため、皆とお別れした。
有原は内梨と飯尾、幼馴染三人は、今朝来たあの大きな駅へと歩いていく。
「今日は久々に皆と集まれて楽しかったな。な、祐?」
「うん、楽しかったね。けっこうしっかりめに勉強会する気だったけど、ちょっと緩みすぎちゃったかな」
「けど、それなりに課題が終わったので、いいと思いますよ? 祐さん?」
「それもそうかもね」
大陸での戦いの中、助けられなかったものは少なくなかった。
しかし、何もかも助けられなかったわけではない。共にこの世界に帰れた仲間たちが最もたる例だ。
だから有原は心のなかで誓う。
この生き残った仲間たち七人を大切にして生き続けること。大陸で眠った仲間たち二十九人の分も生き抜くこと。
それが、自分の可能性を広げ、やがてさらに大きなもの救えることに繋がると、父親の約束を本当に果たせるようになるためだと信じて。
【終わり】
裏世界、ミクセス王国。
そこの王都の中心にある、大広間にて。
設けられた舞台の上で、ミクセス王は全身全霊の演説を行っていた。
「……改めて言う。邪神からの恐怖に怯える日々はとうに過去となった。ならばこれより我々がすべきことは一つ、この大陸に再び繁栄を齎すことだ!」
この一言の直後、大広間に集った者と、傍に佇む王国の騎士団長四人は、ミクセス王へ万雷の拍手を送った。
「故に、お互いを支え合い、国境の区別なく、同じ大陸の民としてこの大地を復興させることを、誓う! ミクセス王国からは、この国王である私が!」
「ファムニカ王国からは、エストルーク・ファムニカが!」
と、ファムニカ王国新国王、エストルークは、妹のエスティナとルチザに見守られながら、ミクセス王の隣に並び立って叫ぶ。
そしてこの後、暫しの間、演説会場に静寂が訪れた。
その静寂を破ったのは、舞台上に何故かいる村娘だった。
「おいコラ! 次はアンタが出る番でしょうが!」
「え、あ、ここ僕のターンですか!?」
「それ以外何があるのよ! ほら、すべこべ言わず、さっさと決めてきなさい!」
「ヒィィィ! わ、わかりましたネーナさぁん!」
そして三番目の王は大至急舞台の前に立って国民にその姿を見せて、慌てながら叫ぶ。
「ど、どうも! ヒデンソル王国改め、ハタナカ王国の初代国王、畠中新です!
まだ経験少ないんでなんとも言えないですけど! この大陸が、より一層栄えるように頑張ります! はい!」
【終わり】
話末解説
■登場人物
【畠中 新】
レベル:16
ジョブ:【祈祷師】
神寵:【ツクヨミ】
スキル:【夜食国の願】
元・一年二組の男子。救済者パーティーの最低限の心の支え役。
邪神の完全消滅に尽力したことと、元の世界に帰れなくなったことから、色々あってヒデンソル王国をハタナカ王国と改名して、そこの初代国王に君臨した。
最低限の勇気は出るが、根はとにかく臆病。だがそれが逆に功を成して、都合のいいことばかり言う家臣や、身をわきまえず脅しをかける家臣を政の中心から遠ざけ、ヒデンソル王国時代とは比べ物にならないほどのクリーンな統治を行った。
また、神寵【ツクヨミ】由来のスキル【夜食国の願】で美味しい作物をドンドン作り上げて、国を潤わせまくった。
ツクヨミ(月読命)とは、日本神話に登場する月の神。アマテラスの弟でありスサノオの兄。日本神話の主な出典元である『日本書紀』と『古事記』のどちらにおいても異様に伝承が少ない。
話末解説ではない
■あとがき
【カンナギイヤサカを書き終えて】
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者です。
この作品はいわゆる『クラス転移もの』をやってみたいという気持ちで書き始めたものです。
ただし、ジャンルにありがちなお約束、あるいは受けやすい展開は、意図的にほぼ外していました。
例えば、多分この手の作品だったら槙島か畠中あたりが主人公になるだろうな。
と、思いつつもそういうことは一切実行しようとはしませんでした。
そうすることで、私個人としては面白いストーリーが作れたつもりではあります。私個人は。
ただし、文章力については私としても決して良いものではないと断言したいと思います。
当作は本来、毎日二話ずつ更新する予定したが、各話の更新日時を見て分かる通り、最終的には平均して二日に一話更新と、更新速度が四分の一にまで下ってしまいました。
この更新速度の減退の理由は、プライベートでなかなか面白くないことが起こった。コーヒーを飲み過ぎた。などのイレギュラーな理由もございますが、私が良い文章を書けず四苦八苦した結果が大半の理由でした。
ストーリーが人を選んでしまうということもありますが、そのストーリーを上手く読者の皆様に表現できず、結果的に私としては想定よりあまり伸びなかった。というのが完結させた後の私なりの総括にして反省です。
このままこうした文章力の悪さを改善しない限りは、最大のゴールである書籍化に届かないのは勿論のこと、あわよくばそうなって欲しいなと思いつつやる『趣味』と考えても楽しくなりません。
今の私は、他にも書きたい話はありますし、当作と精神的前作の『ロジスティクス・サーガ』の推敲をしたいという気持ちもありますし、そして『あの作品のシーズン4』を始めたいという欲もございます。
ですが、ざっと一年くらいはこのサイトに顔を出さず、『文章力』や『万人受けするストーリー構成の仕方』や『意地でも毎日更新する鋼の精神』などを勉強して、それらを本当に納得の行く形で仕上げたい思います。
長々とこちらの内情を語ってしまい申し訳ありません(一応これでも削った方です。完全版はまた別の機会にどこかでお送りします)。
改めまして、当作『カンナギイヤサカ』をご愛読いただきまして、ありがとうございました。
もしよろしければ、評価・感想・そして『規約や道徳的に問題のない程度の指摘』をいただけますと幸です。
――都Pより
P.S.
結局一年未満でサイトに顔出してしまい、申し訳ございませんでした。
なお、引き続き作家の卵としてのお勉強は続けています。
上で語っていた『やりたいこと2つ』もひょっとしたら半年以内に着手してしまうかもしれません。




