Fair way of life, fair death
どうしてこうなってしまったんだろう。
今頃こうなっていなければ、私は太陽の陽の照らす所で眠っていたはずなのに。どうしてこうも、血で血を洗わないといけないのだろう。私は、私は死ぬまで問い続けるよ。
辺りを見れば一面の緑、まるで海のように大きく風に波打たれている。太陽が私を照らす。そんな何も無く何も起きない平穏が私は大好きなんだ。
「おーーい!」
平穏が一気に乱されたよ。なんだってんだ。
「おーーい!寝たフリするなー!」
「ゔっ…バレてたのかよ、なんだよもう人が気持ちよく寝てるってのに…」
「いやいや寝るなよ、しかもこれから大事な用があるって言うのに」
この長い髪に透き通るような青い眼、そしてスタイルの良い女性は私の友達の「アネモネ」。小さい頃から一緒にいるけど、なかなかの苦労人である。私のお世話さんみたいなところがあるけれど本人は何も思ってないらしい。
「大事な用って…なんだっけ」
「ほんと忘れっぽいね…これから手紙、届けに行くんでしょ?」
「…そうだったね。」
私達の仕事は手紙という名の祝福を届けに行く事である。
それが何年、何ヶ月、何百時間とかかったとしても、例え配達の途中で体が折れようと、心が折れようと、何があってもその手紙を手放さず届けなければ行けない。
例え何があってもそれを届けなければ行けない使命なのだ。
「もう、速く局に行くよ?時間来くるからさ」
「はいはい分かったよ。…所で初めて届けに行くけど大丈夫なのかな私達」
「まぁあっちで色々言われるから大丈夫だと思う、ほら行くよ!」
置いていく勢いで靡く緑の海を走るアネモネの背中を私はただただ、歩いて追いかけるだけだった。うるさい彼女が私の生活には欠かせないような、そんな存在になっていた。
〜配達局〜
「ここが配達局か…」
「そんな反応するのも無理ないよなぁ…手紙で【今日からあなたは配達員です】だなんてさ、職種の説明もねぇのひでぇよ」
「まあまあ…とりあえず中に入ってみるか」
そんな不平不満を貯めながら恐る恐る中へ入っていくと、受付の人間に一般の配達員と思われる人間が数人中におり、
その中には思い切り泣いて居る者がいた。
「おいあそこ…なんかおかしくねぇか?」
「ん?」
「どうして…なんでさ…!!
なんであの子が死ななきゃならなかったのさ!!!」
「え…?死ぬ…?」
私達は手紙を届ける、ただそれだけの仕事だとこの時までは思っていた。ただ何故だろう。今この光景を目にしてもそれが本当の仕事だと思えない。
そんな自問自答が自分の中で渦巻いているとき、泣き叫んでいる少女はこちらに向かって信じたくない言葉を吐き捨ててきた。
「そうよ!死んだの!!私の友達は!手紙を届けている最中に流れ弾に当たって死んだのよ!!なんで!?なんであの子なの!?」
「流れ…弾…?どういう事だよそれ…」
そう私が問いかけた時、階段から颯爽と降りてくる1人の女性が来た。
「あなた達、そこまでよ。」
「貴方は?」
アネモネが少し警戒気味になりそう問いかけると、女性は優しい表情でそこまで身構えるなと促してきた。
「あなた達は新しい配達員?」
「えぇ、今日から配達員になるアネモネ。こっちは…」
「あたしは蘭華。」
「貴方たちは私についてきて。ごめんなさい、泣いてる子をメンタルケア棟へ連れて行ってあげて。」
そういうと、受付の女性が泣いている女の子を別の棟へと連れて行ってしまった。そんなに偉いのか?この人…