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7 試合終了

 ミレイアからは水、男子生徒からは電撃が放たれる。


 ミレイアが使った魔法は《アクアスプラッシュ》。かなり威力が強いが、ただ相手を吹き飛ばすだけの魔法だ。それが男子生徒の放った電撃を巻き込んで飛び出していく。


 実はミレイアは男子生徒よりもわずかに遅く魔法を発動していた。この距離ならすこし遅くても間に合うと思っていたし、相手の魔法を見ておかないと対処のしようがない。


 その結果が水と雷の融合魔法(フュージョンマジック)、《クオッド・エレクトリック・インパルサ》。実際に使った魔法は《アクアスプラッシュ》だが、傍から見ればそう見えただろう。


 渦巻いた水が龍のように電撃を巻き込んで男子生徒を襲う。それに対して男子生徒の対応は迅速だった。


「《ウォール》ッ!」


 地面から銀色にコーティングされた鉄の盾が現れる。その鉄の盾に《クオッド・エレクトリック・インパルサ》が衝突した。


 この男子生徒を守った壁は鉄でできているので電気は流れるが男子生徒の目的はあくまで自分の身体を守ること。そしてその目的は達成された。


 それから男子生徒が次の行動に移ろうとした次の瞬間。


「なっ!?」


 バーンッという巨大な音とともになにかの破片が男子生徒を襲った。男子生徒の生み出した鉄の壁が木端微塵に破壊されたのだ。


 男子生徒はそれを間一髪空中に飛び上がって避ける。


 しかしそれはすべてミレイアに読まれていた。


「《ハイドロアッパー》ッ!」


 空中に浮かんでいる男子生徒の真下から水が噴き出す。そして男子生徒はさらに上へと飛ばされていった。そして空中でなんとか体勢を立て直すと呪文を唱え始める。


「《トルネード》ッ!」


 遥か上空から強風がミレイアに襲い掛かる。


「《メイルシュトロム》ッ!」


 それに対してミレイアは水と風の融合魔法(フュージョンマジック)である、《メイルシュトロム》を放った。この《メイルシュトロム》は大きな水の竜巻を生み出して攻撃する魔法だ。これは威力でいうと《トルネード》よりも強力で余裕で凌駕するほどの強さを持っている。


 ドンッと巨大な音とともに二つの竜巻が激突した。しばらくすると水の竜巻がもう片方の竜巻を飲み込み始める。そしてついには水の竜巻は男子生徒をも飲み込んでしまった。


 男子生徒が竜巻に巻き込まれてぐるぐると目を回しているのが見える。それを見てミレイアは愉快そうに笑っていた。


 やがて水の竜巻が消えてなくなると男子生徒は風属性の空中を浮遊する魔法、《フロート》で地面に着地した。


 この《フロート》という魔法は有効時間がわずか10秒しかなく、その上コントロールが難しい。そのためあまりこの魔法を使う者は少ない。しかしこの男子生徒は空中だけではやられるだけだと速やかに地面に着地することを優先した。


 だが少年は気づいていなかった。例え空中だろうと、地上だろうと、この少女には敵わないと。


「《エスケープ》ッ!」


 男子生徒が地面に着地した瞬間、彼の真下から白い煙幕が現れた。


 男子生徒はこの白い煙から逃れようと少女に向かって走り出した。


 しかし煙は瞬く間に男子生徒を囲って亡霊のようにどこまでもついてくる。


「どこだッ! どこにいるッ!」


 男子生徒は視界が煙で見えなくなって足を止める。そして見えない敵へと吠えていた。


 その様子を楽しそうにミレイアは見ている。


 彼女が放った魔法、《エスケープ》は特定の人物のまわりに白い煙幕を発生させて視界を奪う魔法だ。有効時間が長く彼女としては大助かりな魔法である。


「《スリップ》ッ!」


 ミレイアがそう言うと地面が凍結した。ミレイアはその上をスケートリンクを滑るように滑っていく。それから煙の中心にいるであろう敵に向かって様々な方向から攻撃を加えた。


「クソッ! どこだ!」


 なかから怒鳴る声が聞こえる。それを聞いてか、ミレイアはもっと機嫌が良くなっていった。


「あー! チクショウ! 《トルネード》ッ!」


 男子生徒がキレながら風属性の魔法を放ったことでミレイアの《エスケープ》の効果がすこし薄れてしまう。それに気づいたのか、男子生徒はもう一回、《トルネード》を放って煙を消し去ってしまった。


「さぁ、次は俺の(ターン)だぜ」

「うるさい」


 ミレイアがそう言うと男子生徒はにやりと笑ってその呪文を唱えた。


「《チャリス》ッ!」


 ミレイアの真下から尖った氷が針のように出てくる。それをぎりぎりでかわすと次はミレイアを電撃が襲った。それも華麗に避けるとミレイアは男子生徒にむけて魔法を放つ。


「《フリーズ》ッ!」


 その魔法は、その対象の動きを止める魔法。その対象は生き物だとしても例外ではない。


 ミレイアは動きを封じられた男子生徒に駆け出していく。そして止めを刺そうとしたその時。


「やめ! 勝負あり!」


 審判である校長が声を上げる。これが二人の試合の終わりの合図であった。

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