私は。
初投稿を見てくださってありがとうございます!
これから不定期ではありますが、作品を投稿して参りますので、ぜひ最後までよろしくお願いします。
夕方の空。
真っ青だったキャンバスを汚していく朱色。負けまいとうっすらと残り続ける青色。
やがて完全に赤に染まり、青の見る影もなくなる。
ただその景色は、人間の心を静かに惹く。
私も、朱色のように、溶け込みながら目立てる、そんなひとならよかったのに。
きっといつまでも、青色でしかないんだ。ーーー
部活が長引いて、すっかり夜の7時になってしまった。下を向きながらアスファルトの小さな石の隙間を見ながらゆっくりと歩く。
今は夏だから日は長いが、私の家の周りには街灯が少なく、余計に暗く見えてしまう。
朝と全く違う雰囲気のこの街は、いつも通っているはずなのに初めて見るような光景で、恐怖を感じながらも、訳のわからない感情に幼稚な好奇心がくすぐられる。
「花、お帰りなさい。遅かったじゃない」
私の名前をよぶ声が遠く、後ろの方から聞こえる。振り向くと、どうやら私の母が夕飯の買い出しから帰ってきたようだ。
「さあ、ゆっくり歩いてないで早く帰るわよ。今日は暑いから冷やし中華にしようと思って」
今日はそんな気分じゃないけど。とつい言いそうになる口を片手で押さえて、母の早歩きに合わせて家の前に着いた。
薄田、と書かれた表札の家のこじんまりとした洋風なデザインの門を開けて、いつものように玄関のドアを開ける。
「おかえりー!」
リビングから出てきて笑顔で姉が言う。
母が買ってきた食材を見て目を輝かせながら袋を奪い、それを逃げるようにして台所へ持っていった。
「ちょっと、勝手に食べないでよー!?」母も姉に続いて小走りで追いかける。
私もその母を追いかけながらゆっくり歩いて行った。
姉とは1歳離れていて、彼女は高校2年生。
部活をしていないため、私よりも早く家に帰ってこれる。きっとすぐに仲のいい友達と通話をしているんだろうけど。
「てか、花って何部だっけ?」
袋からきゅうりを取り出しながら私にたずねる。
「え、弓道部」
「えーー!!弓道かあ!楽しい?!」
「まあ」
「へー、そーなんだ。よかったね!」
無愛想な私の返事を気にせず、明るく言葉を返す姉。なんだか本当に正反対だ。
表情ひとつ変わらない私と、表情豊かで元気な姉。
姉妹なのにここまで違うのか。少し羨ましい気持ちが心臓を締め付ける。
普段から口数が少ない私が悪いのだけれど。
次はどうなるんでしょうか、、、
お楽しみに!