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炎の断捨離5

サブタイトル考えるの苦手なので、今回はサブタイトルあえて、1からとします。

作品は筆者死ぬまでに完結しますので、生暖かい目で見守ってください。

反応だけを楽しみにしているので、気軽に色々反応していただければありがたいです。



        ※


 リンフィーナがハウデスと名付けた水の神の落とし子のような子供は、すくすくと成長して半月程も立たないのに、もうすぐ成人を迎えようとしていた。

 サナレスが引き取ったけれど、ラーディアの異変によりほとんど落ち着くことができないハウデスは、リンフィーナを慕ってくっついて回っている。


 正直、可愛い。

 めちゃくちゃ、可愛い。


 異形だとか、人と違う部分なんて、リンフィーナには何も気にならなかった。

 こんな可愛い子を、手放してしまうほどの恐怖は、リンフィーナにはわかるようでわからない。


 無論、水月の宮の館で一緒に眠ることは難しかった。

 ハウデスの肌は常に水分を必要としていたので、ラギアージャの湖を住まいにする他なく、リンフィーナは毎朝弟分の元に通った。

「この皮膚でなければ、一緒に寝泊まりできるのにね」

 残念そうにハウデスの頭から身体を撫でながら、リンフィーナは何時間でもそばに居たい。


「ハウデス、お前がお魚という食料の恵みを与えてくれなければ、私たち多分餓死していたわよ。すごいね、お前」

 可愛すぎていつもギュッとしてしまう。この子が眠る時は腕の中に入れて、その温もりを確かめてしまう。

 瞬く間に過ぎゆく成長を、リンフィーナはただ一人見守る立場になっていた。


 ある朝、日課の時間に

湖に向かうと、リンフィーナよりも前にハウデスが水面に顔を出して待っていてくれていた。

「お前、いつも早いね。ちゃんと食べて、ちゃんと寝てる?」

 10才というには大人びて、15歳の成人というにはまだ子供なハウデスは、リンフィーナがいる岸に泳いできて、唐突にその膝に顔を埋めた。


挿絵(By みてみん)


 最近は前よりもベタベタして来なくなったことが寂しかったリンフィーナではあったが、ハウデスが見せた久しぶりの幼い様子は、手放しで嬉しくなっていた。

 ぐりぐりぐりぐり。

 掌で頭を撫で回しながら、それでも愛情が収まらなくて頬擦りしてしまう。


 ハウデスは言語能力に乏しく、どれほど教えても言葉を喋らなかったのだけれど、この日、多分奇跡が起きた。


「イモ姫!」

 聞き間違いかと、最初思った。


 午前中、ハウデスの相手をして午後から近衛兵に狩場を案内することが日常になったリンフィーナは、午後の任務に向かおうと湖を立ち去ろうとした時だ。


 想定外にいやな呼び文句で制止して、振り返った。

 イモ姫ってーー。

 ちっと舌打ちして嫌な目つきになると、声の主は焦ったようにその次には、「猿姫!」とうわずった声で訂正した。


 更に毒づいた自分は、喧嘩を売られたのだろうかとヤブにらむ。

 けれどその場にいるのは、見渡しても自分とハウデスだけだ。


 彼の方を見ると、ハウデスは湖の淵から遠去かりながら、気不味そうにこっちを見ている。

 リンフィーナは首を傾げながら、ハウデスに手を差し伸べる。


「おいで」

 リンフィーナの呼びかけで、戸惑いながらハウデスが岸に近寄ってきた。

「泳ごう」

 リンフィーナも服を脱いで湖に入った。


 自分も一人だったことを思い出す。

 公務に忙しい兄の訪問を待ちこがれて、水月の宮で時間を持て余して、一人この湖に泳ぎに来ていたことを思い出す。


「私はリンフィーナっていうのよ」

 ハウデスに名前すら紹介せずにいたことを反省する。イモ姫とか猿姫とか言っているのを耳にした彼は、自分にどう呼びかけていいのかを迷っていたようだ。


「リルセフォ……ネ?」

「違う違う。リンフィーナ。お前は言葉が苦手だから、リンでいいよ」

 そう伝えて手を繋いで水中に潜ると、ハウデスは嬉しそうにしながら自分にくっついてきた。


 右も左もわからない幼児にとって、頼れる人は限られている。

 自分もそうだったことを思い出した。

 自分にとって、世界の全てはサナレスだったのだ。

 今のハウデスにとって自分が全てのように、サナレスは自分の全てだった。


 ひとしきり泳いだあと、リンフィーナはハウデスに伝える。

「少なくともお前には、母親は違うけれどお兄さんがいる。それに産んでくれたお母様もいるんだよ。私もサナレス兄様もいる。ーーだから一人じゃない」

 リンフィーナは強く伝えたかった。


 結婚もしていないのに、もう子供を得たほどの愛情が生まれていた。

 急速に成長する、異形の子供ではあったけれど、いけないとは思いつつ自分の空虚感を埋めるハウデスの存在に思わず依存してしまいそうだ。


 兄様も、自分に対してそんな気持ちだったのかな……?

「兄様……」


 不安定で孤独な時に、自分だけを見てくれるか弱くて純粋な視線を向けられたら、もうそれ以上に自身の存在意義を示してくれるものなんてないんだろうな、と思った。


 空虚になる魂を彩ってくれるのは、必要としてくれる関係性なのだと、ハウデスと関わることで確認することができた。

 

 なんだか人って、ーー人と言えるかどうかもわからない体神の自分にとって、生きるには意味を見つけなければならないサガがあるのだな、とため息が出た。

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

シリーズの7‘作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」

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