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炎の断捨離48

こんばんは。


うちのわんちゃんの吐血、さすが獣医様のお力にて元気になってきました。

あ、昨日吐血した話をした前提で書く。


朝起きてすごかったです。

血だらけの子犬。

なんかに襲われたのかと、ほんといろんな可能性を考えましたが、原因不明の吐血。


①まさかの、うちの他のワンちゃんが!?

②私がコロナになって、もしくは旦那がコロナ無症状患者で愛犬に罹患!?

③夜中に誰かが忍び込んだ!?

④ストレス??


なんかどれも違ってそうです。

じゃあ何!?


とにかく昨夜は峠くらいやばくて、寝不足でしたが、本日は獣医の許可を得て元気に居間にいます。


あ、本日日記が長くなった。

ブクマや評価は歓迎してます。最近こっちの更新も不定期ですが、反応ないと悲しい。

よろしくお願いします。


           ※


 航海にハウデスが付いて来ていることを確認しながら、陸地に降り立ったの頃にはアルス大陸を出港してから4日もかかっていた。キシル大陸に渡ることは、本当に難しい。神風と言われる台風が四季折々に訪れるし、それを除いても海流がキシルに向かう人の足を遠ざけた。


「ハウデス、ほんとお疲れさまだったね」

「こんなの平気」

 アルス大陸を出た時よりも、ハウデスはまた逞しく育っている。


「僕はもう貴方を守れるよ、リンフィーナ」

 自分のことをイモ姫とか猿姫とか、間違った呼称で呼んでいたハウデスが、自分の名前をはっきりと口にする。


「成長、早いよね」

「それでないとリンフィーナ、貴方を守れないでしょう?」


 港に付いて、ハウデスの体力の消耗具合が気になりすぎて、リンフィーナはサナレスにお願いして、密かにラーディアの一行を離れた。

 守るとかほんと、なんて頼もしくなっているんだか。


「それでさ、僕もちょっと強くなったんで、陸に適応できるようになってきたよ」

 そう言いながら、ハウデスはリンフィーナが膝を折っている港の対岸に両手を付いて、ザバンと上半身を陸に持ち上げ、陸地に右膝を乗せてきた。


 リンフィーナは目を白黒させる。

「おっふ……」

 急に異性の股間が裸体のまま目の前に現れ、リンフィーナは視線を逸らせずに注目してしまった。


「あのさ、人の生活も知っている僕としてはちょっと恥ずかしいから、そんなマジマジ見ないでくれる?」

「はい、そうだね」

 背筋を正して、リンフィーナはそっぽを向いた。


「すごくはっきりと二本足になってるから、びっくりした。とりあえず、兄様に言って着る物を用意してもらうから」

「必要ないよ」

 ハウデスは即答した。


「僕はさ、僕の兄上と対立するために海にいる間、自分の臣下を増やして海の状態を探ってきた。まだポセイオン兄様には勝てないけれど、ほとんど同時に生まれた僕たちの力は同等で、人に姿を変えることなど雑作ないよ」

 うん、鱗部分は一部分になり、どこから見ても人に見える。

 承知しているよ。


「けれど問題は着るものがいるってことだよね。兄様に……」

 用意してもらおうと言おうとすると、言い終わる前に拒否された。

「要らないよ。いずれ敵対するかもしれない別の兄相手に、借りを作りたくはないから」

 借り?

 敵対?

 いや、別の兄っって?


「だって僕とリンフィーナ貴方が夫婦になったら、貴方の兄って僕の兄になるからさ」

 多くの疑問符が脳の周りを飛び交ったが、ハウデスは真剣に自分を見つめてくる。

 およそ恋愛対象とは思えないのに、彼は自信ありげに発言する。


「うん。僕本当に貴方が好きなんだ。だから独占したいけど、サナレスって人がいるとできないでしょ? だから彼の力は借りたくない。たった一枚の衣服を得ることだって、彼の力を借りるぐらいなら、裸で結構だ」

 え?

 裸、まずいから……。


 人社会では有り得ない主張をしてきたハウデスの裸体から視線を逸らせて右上を見ながら、リンフィーナは頭を抱えた。


 面白かった。

 それ以上に、サナレスから恋愛対象として見られていない自分が、サナレスの伴侶になろうとして、自分が彼の一番大切な存在なのだとほくそ笑んでいたことが恥ずかしい。

 ハウデスは自分の反面教師として、かつて犯してきた自分の過ちを露わにしてくる。


「んじゃさ、とりあえず私の外衣を纏って」

 男女の心を掴むのは、そんなものではないということが、今のリンフィーナにはわかっていて苦笑した。


 外衣は全身包み込むもので、前ボタンだからハウデスも羽織ることができた。それでも外衣の足元に脹脛から裸足の足が見えて、油断すれば前開きだから裸体の隠したい部分が見え隠れしてしまう。


 リンフィーナは先にキシル大陸の商業地域に向かったサナレスを頼ることを諦めた。

 ハウデスの自分に対する独占欲は、わかり過ぎている。

 恥ずかしくてサナレスには言えなかった。どうして恥ずかしかったのかーー、それは、自分も同じだった。サナレスに近寄る異性を全て排除したかったし、その異性に対して援護を願うなんてあってはならない恥辱である。


 ここでサナレスから真実を言い渡せられなかった、つまり引導を渡されなかったことは残酷にも自分に期待を持たせてきたわけだが、ーーずっとモヤモヤして、自分だったら先に知りたかったと思う。


 だから子供といえどリンフィーナはハウデスに本心を言った。


「んー。でもはっきり言っておくね。私の気持ちはハウデスお前と一緒の気持ちで、私はサナレスが……、恋しいよ」

 ハウデスにとっての自分は、自分にとってのサナレスである。それを理解して欲しかった。


「気持ちわかるからさ。キシル大陸、全然わからないんだけど、ハウデスの着るものは私が用意してあげるからね」

 ハウデスという存在と関わって、余計に自分とサナレスの微妙な関係を見つめることになった。


 自分がいつまでもハウデスを子供としてみているように、サナレスにとっても自分は幼いままの姿で目に写っているのだろうか?


        ※


 少し前から、サナレスの雰囲気が変わったことは手にとるようにわかっていた。

 それはアセスの体神が焼失してからになるのだが、リンフィーナにとってはイドゥス大陸のキコアイン氏族と関わってからだと誤認されている。


 常に余裕綽々とした態度でいたサナレスが、稀に見せる繊細さが気がかりだった。


 兄は元々かなり神経質だと言うことは知っていた。

 それはサナレスの執務室を見れば一目瞭然で、従者を部屋に入れる事を嫌っていたにもかかわらず、塵ひとつなく整然と整理整頓されているのだ。


 サナレスが身につけるもの、そして側に置くもの全てにこだわりを持って大切にしていることが伝わるので、繊細である一面があっても不思議ではないのだけれど。

 リンフィーナは何か釈然としない。


「兄様ってほんと、……今まで私に対して、一面しか見せてこなかったんだな」

 甲板に出て口についた言葉は、心の中のモヤモヤだ。


 紳士ーー、いや徹底した過保護振りが前面に出ていて、自分はサナレスの本性すら今更になって考えるっことになった。

 ソフィアという嬉しくはない別人格と同居し始めたことをきっかけとして。


『この男は完璧主義だから、色々と無理してでも役立ってくれる』

 ソフィアが鼻歌まじりに口にする一言一句が、胸に刺さってくるのだ。

 自分が一番サナレスという人を誰よりも知っているはずなのに、今まで自分は兄としてのサナレスしか見ていなくて、今になって違和感を感じているのだ。


 勝手にサナレスに付いてくることを強要しながら、リンフィーナは憮然としていた。


         ※


 キシル大陸の最初についた街並みは、今まで見たこともないほど近代的だった。

 サナレスは直接王族に謁見を申し入れずに、1日目は商業的に栄えている都市の一般的な宿屋に拠点を構えており、下調べをしてから向かうのだという。そのやり方はサナレスの性格上彼の全ての臣下が納得していた。


 リンフィーナはサナレスの一行から遅れて、ハウデスの衣装を単身で用意して、合流を図った。

 こんな時ぼったくられないかという逞しさは、サナれすとアセスの加護がなくなったとき、今はいない養育係のラディに教わっていたが、どこの店に行っても衣服一枚でもかなり高額だったのが印象的だ。


 懐かしいよ。

 タキとラディという教育係に甘えていた頃の自分は、自分に関わる全ての人が味方だと思っていた。

 ハウデスよりも警戒心が薄くて、ただサナレスとアセスに対して、対等でいたいなどと大いなる野望を抱いていた。


 今になってわかる。

 サナレスもアセスも、一族を背負う神と言われる人達で、およそ自分とは判断基準が違うのだ。


「兄様、無事合流したよ。ハウデスも一緒に」

 やはり兄には余すことなく報告しておかなけれなならないという気持ちは生まれていた。

 その気持ちが自然に生まれた背景には、勝手をして兄に尻拭いをしまくってもらった経験則がある。


 サナレスは他の近衛隊の参謀達と打ち合わせをしながら、自分たちを一瞥して、穏やかに微笑んだ。

「ハウデスも地上に馴染んだのだな」

 慈悲という言葉はサナレスから生まれたのではないかと思うほど振り向きざまに寛容な表情で、サナレスは自分とハウデスを迎え入れる。


 気持ちはわかるけれど、サナレスをやぶ睨むハウデスは斜め下を向いていた。

 ハウデスとサナレスの間に立ってリンフィーナは苦笑いする。

 その様子を見透かしてくるサナレスは、『明日王族に謁見するまでは自由にしているといい』、ただし護衛はつけてな、と言われてしまった。


 兄サナレスのことを、兄以外で求めた時にどうしてこうもそっけないのかと、幼少期からの目に見えない壁がある。

 いくら憧れて、手を伸ばしても、届かない人ーー。


 それは一緒に寝ていても、どれだけ一緒に時を過ごしても、動かせていないサナレスの核の部分が立ちはだかっている。


 接近することは諦めて、ただキシル大陸に渡ってきた根本の目的を聞いてみた。

「兄様は、この大陸の五番目の貴族とどういう関係を望んでいるの?」

「何も」

 サナレスは微笑んだ。


「これまでも大陸の氏族について、分かり得ることだけを脳内に蓄積した。キシルに知らない情報があるのであれば、訪れようよ思ったに過ぎない」

 そう言いながらサナレスは自分と、自分のそばに緊張しながら立っているハウデス相手に、若干顎を上げながら気さくに接してくる。


「宿屋もここは一番最上級だから、とりあえずお前達は楽しんだら?」

 ああ。いつもの軽口ではぐらかされる。


 一族を追い出される形で人の国の宿屋を知ったのは記憶に新しいが、それに比べればこちらの宿は確かにかなり高級だった。宿泊する民の気持ちになって用意されておりオモテナシの姿勢がキシル大陸の宿屋の株を上げたが、そればかりとも言えない。


 設備には目を見張るものがあった。完全に電気と水道、そしてガスというものが配備されている。

 キシル大陸ーー他国と交わらない神の氏族がいるとはいえ、文化の発展は目を見るよりも明らかだった。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

シリーズの7‘作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」

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