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炎の断捨離35

オタクシリーズも少しづつ始動し始めました。

長編ですがお付き合いよろしくお願いいたします。


ブクマや感想も是非ともよろしくお願いいたします。

見てくれているだけでも励みになります。

        ※


 はっきりとわかっているのは、この世には差別があるということ。

 王族貴族による差別、能力別格差、そして疫病による差別だ。


 腹を切ってハウデスを取り出した女は、いっとき訪れた平穏に胸を撫で下ろしたが、唯一自分に味方してくれていた、王妃が病死したことを知って絶望の床に伏せた。


 プルセイオン王が死去した後、気が触れたと宮廷を出て静養していた王妃は、気丈でいようと務めていた。

 それなのにーー。


 命を落とされた理由について、自害だという噂が上がったが、自分はそうではないことを知っていた。

 王妃は王を殺害したとはいえ、とても愛しておられ、そしてその子供を愛しそうとさえ努力され、それが出来ずにーー心を壊した。


「あれは異形の子。けれど望んでそんな命になったわけではない」

 ラーディア一族の貴族が自分の腹からその子を取り上げて抱き上げた時、王妃はそのように慈悲をかけられていた。


 その王妃が自害したと噂されたのは、王妃が狂われて王を殺したことをまことしやかに捏ち上げるためだ。後を継ぐ王族のために、よほど国王殺しに正当な理由が欲しかったと見える。


 王妃は冷静で、王を殺したこと、我が子を手放したことを悔いていたというのに、平民上がりの彼女は気の毒なことに、彼女の死は都合の良いように報じられた。


「そのうち、あなたも同じように処分されよう」

 女の耳元に囁きかけてきたのは、漆黒の髪とその瞳の長身で手足の長い男だった。肩の上で切り揃えれた髪は、貴族のものとは言いにくかった。けれど身につける衣装は、庶民のそれとは違って上質だ。


「あなたは……?」

「私は、一般市民の味方です。ーー勝手する王族を罰して、貴族制度を変えていこうとしている。ーーあなたのことも、可哀想な王妃のように殺害されないよう護衛しましょう」


 王妃の死を知って中庭で震える自分の背後に突然現れた男を、にわかには信用できずに、恐ろしさも相まって、女は後じさって背中を壁につけて表情を固くした。


「助けて頂いても、私は何もできません」

 ただの王妃つきの女官で、王妃が死去した今、職すら失っている。


 ラーディアの慈悲深い女神、リンフィーナが言っていた。

『貴方が自身のお子に会いたいと思われるまで、お預かりいたします』

 全く愛情が湧かなかったかといえばそうではない。手放した瞬間、同じことをした王妃のように、心の奥は少し傷んだ。


 けれど王妃のように、自分は強くはない。

 気高い王妃のようにはなれない。殺されるのは恐ろしかった。


「あなたのことも信用できない」

 震えながら、自分に迫る大きな影を遠ざけようと必死になった。


 男は女官の恐怖を払拭するように、綺麗な顔で優雅に笑った。

 そして一輪の美しい花を手渡す。


「こうして手折られてしまった花の寿命は短いのです。貴方は王族の女官になったその時から、花として地に咲くことを許されなくなってしまった」

 怖がることはない。恐ることはないと、男は言った。

「あなたの子はハウデスと名付けられたらしい。私が、母であるあなたの生活を保障しましょう」


 硬直したままの女官は男の方をじっと見つめた。

「あなたの、ーーあなた様のお名前を教えていただけますか?」

 頼る先はもう目の前の彼の他いない女は、不安げに問いかける。


「私の名はワキ・ヨースケ」

 変わった名前だと女官は思った。

 偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

シリーズの7作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」

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