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炎の断捨離3

サブタイトルに迷いますね。

てことで今回主タイトル一つ、サブタイトル一つで進めます。

感想、ブクマ、励みになるのでお願いします、


後書きは過去に書いた作品紹介で。

        ※


 リンフィーナが幼少の頃から暮らすラギアージャの森は、その実住まうものでなければ樹海のように広く入り組んでいる。


 元恋人であるラーディオヌ一族の現総帥、アセス・アルス・ラーディオヌに過去に聞いた記憶では、ありとあらゆるところに魔術結界が張ってあり、外からの侵入者を排除するように考えられて作られた場所なのだ。


 ということで、ジウスの采配でラーディア一族がジウスの絶大なる結界で鎖国する前に、ダイナグラムを出された近衛兵、ーー通称ならず組の(自分の認識)の副長以下の人たちは、目を離すとしょっちゅう樹海に迷い込んで、水月の宮に戻って来ることができなかった。


「兄様……、今日も迷子の兵士が数名出てしまって……」

 このところ朝夕の食事時にしか姿を見せないサナレスに、リンフィーナが状況を伝えるとサナレスは仕方がないなと言ったふうに考えて、兵士一人ひとりに白煙灯を持たせることを提案した。


「本当は目立つから、這ってでも帰ってきてほしいところだが、こう遭難者ばかりが出て捜索隊が必要で、戻れない者が続出するのであれば、手間でしかないな……」

 サナレスはこの日深夜遅くに帰ってきて、皆の食事時はとっくに過ぎてしまっており、最近そんな毎日が続いていた。


「兄様ごめん。ーーお疲れなのに、些細なことで相談して」

「いや。お前はよくやってくれているよ。近衛兵の間でもお前の評判は耳にしている」


 それ。

 良い方の評判なのだろうか!?

 イモ姫とか猿姫とか……。

 そんなのが伝わっていたら屈辱的だ。


「奴らが遭難したら必ず探しに行ってくれているようだし、狩の仕方、馬の乗り方まで教えてくれているらいじゃないか。ギロダイやリュウセイも感謝しているようだった」


 兄の言葉を聞いて、リンフィーナはホッと胸を撫で下ろした。優秀な副長と参謀の二人なら、くだらないことを兄の耳には入れないのだろう。

「リュウセイは兵士の住居の確保に物資を集めてくれているし、ギロダイは見事に兵を束ねてくれている」

 心配ない、とリンフィーナは言った。


「あと兄様の帰りを待ってた人がもう一人いるのだけれど、お呼びしてもいい?」

 ほとんどの者が眠りについている時間帯で、サナレスも早く休みたいだろうと考えると遠慮がちになったが、リンフィーナはなるべく手短に要件だけを伝えるようにした。

「リトウ先生なのだけど」


「会おう」

 その名前を聞いて、サナレスは即答した。


 リトウ・モリ。

 その人に初めて会ったのは、ダイナグラムが炎上してジウスが結界を張った数日後のことだった。

 長身で、少し背筋を丸めた眼鏡の男が、水月の宮を訪ねてきた。


『ワキ君から貴方の無事の帰還の連絡をもらってね。サナレス! 生きてると知ってどうしても会いたくなって』

 そういうと彼はサナレスに不器用に近寄ってしがみついた。

『君のことだからまた無理をして、本当に死んじゃったのかと心配してたんだよ』


『今回もまた死に損なっていますよ』

『ほら、そういうこと言っちゃうから、私ほんとに心配していたんですよ』

 珍しくサナレスはリトウという男に気を許しているようだった。


『でもいったい……? 今ラーディア一族の王都ダイナグラムは、ジウスの結界の中で外に出られないはずなのに、どうして先生は?』

『え? そうなんですか? 普通に徒歩でここまで来られましたけど。馬も苦手だし、貴方に頼まれている車や自転車も、まだ未完成でここまで来るのは不向きだったので、到着遅れましたね』

 すみません、と言って笑っている。


『兄様! この人が科学の先生?』

 リトウ・モリという名前に期待値が上がっていた分、思っていた人物よりもずいぶん穏やかで平和そうで、悪く言えば天然ボケの人格者だったため、リンフィーナはたまらずに事実確認をした。

『ああ、リンフィーナ。紹介するよ。この人が唯一私が尊敬できる真の先生だ』


 リンフィーナは改めてリトウ・モリという男について情報を記憶に留めていた。

 兄様が尊敬に足る人だと言っても、カケラすら見出せず、リンフィーナは小首を傾げてしまう。


 でも兄様が認める人。

 兄を盲目的に信頼して、リンフィーナはリトウを神格化した。


 その日から、リトウはサナレスの相談相手になり、また半人半漁の奇病について研究し、兵士たちの住まう場所の建築設計を担当してくれるようになっていた。

 よほどの信頼関係があるのか、兄とリトウは再会した日から、さほど会話している様子ではなく、サナレスが状況を伝えて必要なことを再開した当日に伝えてから、リトウがサナレスに話したいことがあるというまで、かなりの時間が経過していた。

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」

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