炎の断捨離26
無事、我が家に4匹の子犬が生まれました。
祝!誕生。
んでも4匹目がめちゃくちゃ小さい。
スティックのり程度で未だ未だ心配です。
※
肩入れしてるのかなとは思っていたけれど、ワキ君、君はラーディオヌ一族の総帥の命を奪いたくはないんだね。
念押しで確認した。
「モリ、確実に仮死状態をキープできるようにしてくれ」
頼む。
そして、そう言われた時に彼の真剣さを知った。
「ラーディオヌ一族には仮死にする毒薬が多々あるってさ。そいつを体に摂取して、今にも仮死状態になろうとする総帥の策は不確かすぎる。ーー同じことをしても、彼の生命線をもっと太くして、確実に命をつなげ。殺すな」
会うなり呼び出されたその部屋に置かれているのは、毒草、ーー致死量に達する服薬、怪しげなものばかりだ。
「ーーこんな突然……」
「だから緊急だって使者に言っただろが!」
ワキと自分が言葉を交わす間に被せるように、第三者の吐息が聞こえた。
その者は静観することを我慢できない様子で、その部屋の中心から言葉を発する。
先程まで気配は置物のようだった。
それなのに存在感を示した後の、相手の大きさにリトウはゾクっとした。
「だから面倒だと言ったんです」
自分たちが言い合う間に割って入ってきて言葉を口にする男は、紛れもない水晶の君といわれるラーディオヌの総帥だ。
そこで言葉を発するまで、人形のように無機質だった存在に、リトウはびくっと振り返った。
「別に、私は生きることへの確定要素を求めてはいない。そう、ちゃんと伝えたはずです、ワキ・ヨースケ」
「それ、こっちが取引相手として死なれちゃ困るんですよ、ラーディオヌの総帥」
二人は睨み合っているようで、それでいて笑っている。
うわ。
命を取引する緊迫感の中で、ヨースケが自分を頼ってきたことを瞬時に悟った。
自分の到着を待とうともしていない人がそこにいる。そしてそれはラーディオヌ一族を背負う立場の王族だ。
「総帥アセス様、ーー貴方様はどのくらいの時間の仮死状態をお望みか?」
ワキの焦燥感を肌で感じ取って、咄嗟に空気を読んだリトウは、自然と腕を広げた。
ヨースケとラーディオヌ一族の緊迫する二人の間に入り、先を急ごうとする総帥の時間を止めるために頭を働かせる。言葉の選び方が大切なのだと悟った自分は、兎にも角にも総帥の独断的で性急すぎる強行を阻止することに頭を使った。
「貴方様の望みは、黄泉に行くことではなく、仮死状態を長く続かせ、黄泉の国から何かを持ち帰るということですよね?」
ーーいくら黄泉に行っても、帰って来れなければ意味がないのでは?
額に汗滲ませながら、必死で死なせないために代替案を持ち掛けてみる。
「死ぬってどういうこと?」
それなのに、自分の願いに対し、総帥は頓珍漢な質問をしてきた。
「自らの生命をどうでもいいと思うなら、そもそもこの口論事態、どうでもいいものですよね?」
意識が滲む取引の場で、リトウは俯いて地面に拳を叩きつけた。
この総帥は手強い。
この人はそもそも、サナレスと同じで地位に執着がないと見えた。それどころか、エヴァの二号機に乗りこみそうな、そこに絶対的な自信を備えた人だ。
ほんと手強い。
現世でいう並みの中二病ではなく、ーー過去に何があったのかは知らないが、本当に自ら命の重みを軽視していた。
自分が項垂れる横で、おそらくはこの総帥に翻弄されているのだろうワキが、ちゃめっけたっぷりに言ってきた。
「ーーよぉ。最近オリンピックよりも頻繁に会うことになってすまないなぁ」
ワキがお手上げのポーズをして、苦笑する。
完全に他人任せにする意思を決め込んだ様子で、リトウは面倒なことを押し付けられたことを悟った。
「ほら、お前の夢って心理学者とか言ってなかった? そういうの俺は全然ダメだから、メンタルケアと身の保証を、頼むわ。学者せんせー」
荒ぶる呼吸を整える。
とにかく若き総帥の方を見つめた。
綺麗だな。
こんな綺麗な、整った顔見たことがない。
でも魂は、ルフランだよな。
死ぬことを怖がってさえいないんだ。
「どれくらい仮死状態にいたいのか仰ってください。その時間管理、私に任せていただきましょう」
リトウは約束した。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
シリーズの7‘作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」




