炎の断捨離25
無事4匹の子犬が本日生まれました。
でも4匹目の子犬のサイズは他の兄弟に比べて半分。
大丈夫かな? 育つかな?
不安な夜です。
※
いつ訪れても、この氏族は恐ろしい。
それがリトウの見解だった。
確かに多種多様な薬草が手に入るし、鉱物資源に関しての備蓄も目を見張るものがある。
それなのになんだってこう、物々しいのかーー!?
リトウは馬車の窓から一族の夜市の様子を眺めている。
漆黒の髪、そしてその瞳なんて、現世の日本人は皆そうだった。
逆に染めてない日本髪が珍しかったくらいか、とため息をつく。
だから夜の民と恐れられるラーディオヌ一族の民を、自分が怖いと思う要素はない。違うのは一般的にゆう呪術、自分にしてみれば宗教的格差というものだ。
ここの民はいっちゃってるから、やっぱ怖いわ……。
総帥自身、自殺志望をし命を蔑ろにしかねないし。人体というものを解っていない。
リトウは街頭ではない夜の松明を見ながら、深いため息をついた。
ラーディアの民は比較的自分たちが暮らしてきた現代社会を目指すような歴史を歩んでいるが、こちらのラーディオヌの民は未だ呪術などという不可思議なものを拠り所にしている、外国伝道のために熱狂的になる異教徒の民にしか目に映らなかった。
「漢方やら、使える薬は多いんだけどなぁ。ーーやっぱ苦手……」
香辛料が盛んな一族であるから、その地に一歩足を踏み入れても異国の匂いが漂っていた。
「僕がここに来るの苦手と知っているはずなのに、呼び出すなんてなぁ……」
頭をかきながら、友人の顔を思い出した。
ラーディア一族が炎上する前、彼は珍しくラーディア神殿に出入りしていた。
その時、ラーディオヌの王族と縁があるのだと聞かされてはいたが、ヨースケの立ち位置が不明瞭だった。
「最近よく会うなぁ」
自分がこの一族に来ることを苦手と知っていながら、呼び出した友人ヨースケ・ワキは悪びれもせず、しれっと言った。
「せめて四年に一度は会おうと言っていたんだけど、ワキくんがめんどくさがって、最近じゃ十年以上は会えないよね」
それなのに気まぐれな彼は先日ラーディオヌ一族の総帥の訪問に合わせて、同行するためにラーディア一族を訪問した。
そして今日自分を呼び出したのも、ラーディオヌ一族のために他ならない。
ヨースケ・ワキは相変わらず愛想のない顔で自分を見て、うなづいた。
「よく来た」
来いと言ったのは君だろう。
リトウはため息をつく。
僕は一瞬旧友を前に気が緩んだが、口元を引き締めて彼を睨んだ。
「自殺教唆とか、それって極道の仁義に外れない!?」
総帥が住まうというラーディオヌ邸に初めて足を踏み入れて緊張していた。けれど自分はヨースケの暴挙を止めるためにここに居るのだ。
それなのにワキは、自分の言葉にきょとんとした顔で、邪気もなく誤解だなと苦笑する。
「おまえほんと、ひどいよな。ーー未だに俺の人格、なんだと思ってるの?」
自殺教唆ってなに?
薄い笑みの下に恨み深い気持ちを込められ、リトウは何歩か後ずさった。
誤解?
彼の下手な表情を見て、僕は更に後ずさる。
こんなこと過去にも遇った。
多分許せないことをヨースケ・ワキの行動に疑って、自分は彼を疑った。ーーでも結局彼自分の期待を裏切るようなことはしていなくてーー。
誤解?
「じゃあ自殺教唆じゃなくて、僕に何をして欲しいの?」
語気を荒立てて聞くと、ヨースケは少し間をおいて答えを返した。
「自殺教唆……、でも絶対に死なない仮死の状態を一定時刻だけ与えられる状況」
そう言いながらヨースケは自分の肩に手を置いた。
彼の手が、腕がわずかに震えている。
「ラーディオヌ一族の総帥を死なせるな」
その一言で、彼の意図を悟った。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
シリーズの7‘作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」




