炎の断捨離18
おはようございます。
昨日職場でコロナの患者が出てしまいました。
ついに……。
早くマスクせずにいられる日常を取り戻したいなぁ。
※
大きな地震というものが起こってから、頻繁に大地は震えていた。
地層変動という知識は、リンフィーナも書物で読んだことがあり、敵襲ではないことに安堵はしたものの、地震自体も恐ろしい。
このところサナレスは以前にも増して忙しくなっているようで、二、三日帰らない日が続いた。
結局自分は、子供の頃と同じように兄の顔を見ることだけを待ち焦がれて、こうして水月の宮でただ待っているだけだ。
何もできずに、ただ待っているだけのちっぽけな存在ーー。
前と違っているのは、なぜだかこのところ、サナレスの憔悴が激しい。
物音がして、リンフィーナは寝台から飛び起きた。
兄様が帰ってきた!
浅い眠りにつくことが日常になったリンフィーナは、僅かな物音でも兄の気配を感じることができた。
飛び起きて玄関に走っていくと、サナレスは扉を開けた手を滑りおろして、床に片膝をついていた。
「兄様!」
薄灯にもサナレスは負傷しているようで、リンフィーナは走り寄って倒れそうになる兄を支える。
「兄様、大丈夫? ーー何があったの!?」
心配しすぎて鼓動が早くなり、泣きそうになる。
「大したことはない、少し喉が渇いただけだ……」
そんなわけない。
リンフィーナは手直に横になれるところまでサナレスを運んで、水を汲んできた。
サナレスは枯渇していたのか、一気に水を喉に流し込む。
電気をつけてサナレスの怪我の具合を確認すると、無数の傷跡があった。衣服が破れ、燃えている部分もあり、損傷が激しい。
「兄様、何があったの?」
慌てて衣服を剥ぎ取って手当てをしようとするリンフィーナの手を、サナレスは軽く笑って静止する。
「ちょっと遠征にな……。狩場は近くより遠い方が気が楽で」
訳がわからず、リンフィーナは止血剤と抗生物質を用意する。
「このところ兄様はおかしい。私に秘密を作って、たった一人何をしてるの?」
もう寝台に縛り付けてでも、兄を外に出すわけにはいかないと思った。
それくらい怪我の具合が悪くて、リンフィーナは顔をしかめた。
手当てが終わらないうちに、自分の質問に答えることもなくサナレスは意識を手放してしまう。
こんな兄を初めて見た。
今はただ、戻ってきてくれたことだけに感謝するが、心配で魂が引きちぎれそうだ。
その時、リンフィーナは自分の中に他人の気配を察知した。
『なんだその原始的な手当は? 癒しの呪術も使えないのか?」
役立たずめ。
苛立ったような口調で叱咤され、リンフィーナは辺りを見渡すが、不意に自分の意思とは別に自分の右腕が持ち上がって、サナレスの肩上にかざされた。
『私が出てきたことはサナに言うな。想像以上のスピードでよく働いてくれる……』
「ソフィア!」
魔女ソフィア、自分を乗っ取る別人格、あなたなのだろうか?
リンフィーナは思わず、彼女の名を口にした。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
シリーズの7‘作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」




