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23:59になった。
ついにこの時が来たんだ。
目を瞑り残りの時間がただ過ぎるのを待つ。
意識が遠くなり身体が水の中に沈んでいくような感覚。
俺はここで意識を失った。
『ようこそ魔王様』
頭の中に直接声が響く。閉じていた目を静かに開けあたりを見渡す。
幅、奥行共に10mほどの部屋だ。
見た感じ石で出来たような壁だが、所々青く光っていてどこか神秘的に感じる。
そして何よりも目を引くのが部屋の中心部に浮かぶ大きなクリスタルだった。
俺は思わずそのクリスタルに歩み寄り手を触れる。
『きゃっ!いきなり触られると感じてし-----』「はぁ?」『-----まいます。』
思わず声が出てしまった。どうやら脳内に響くこの声はクリスタルの声らしい。
しかもかなり危ないやつな気がする。
『あ、ゴホン!少々取り乱してしまいました。お許しください魔王様。』
魔王様か。
夢のようにぼんやりした感覚はない。
ゲームと違って腕や足、目も自分の意思通りに動く。
ほんとに異世界に来たんだな。
『わぁ、随分と物分りがいいんですね!普通ならここはどこだぁ!!とか、なんなんだお前はぁ!!とか思ってもいいところですよ??』
前者はともかく、後者はしっかりと思ってるけどな?
『あ、ご紹介が遅れました私はこのダンジョンのコアでございます!なんなら名前をつけてくださってもいいのですよ?チラッ』
ダンジョンコア、心臓みたいなもんか。
それにしても、『チラッ』を声に出していう必要はないだろう。
そんなことよりさっきから俺の心を読んでるだろ?
『私と魔王様は一心同体ですから!魔王様の考えてる事は私に直接伝わりますよ。私の声も直接魔王様の脳内に聞こえていますよね?』
そうか、あまり変なことは考えられないな。
それで、俺は何をすればいい?
『それではさっそくですが、【管理】と念じてみて下さい』
よくわからない俺は言われるがままに心の中で【管理】と念じてみた
その瞬間俺の視界にゲーム画面で良く見るようなHUDが表示される。
ダンジョン、配下、トラップ、インベントリなどの言葉が見える。それとは別に1200DPという数値も見える。
『いま見えている物を順に説明しますと、ダンジョンはその言葉の通り今魔王様がいらっしゃるダンジョンの管理になります。今はこの小さな空間しかありませんが魔王様の待っているDPを消費する事で様々な形のダンジョンを形成する事が出来ます。次に配下ですが、こちらもDPを消費することにより魔王様の配下となる生物を生み出す事が出来ちゃうんです。現在の配下の一覧や状態を確認することもできますよ!
次にトラップですが、またまたDPを使用する事によってさまざまなトラップを作りだす事が出来ます。
インベントリは所有している物の一覧が見れます。
ちなみに生み出した配下やトラップをダンジョンに設置したい場合はダンジョンコマンドから設置できます
大雑把な説明でしたがここまででなにか質問はありますでしょうか?』
まるでゲームだな。俺はあたりを見回し、思い浮かんだ疑問をコアに問う。