第14話 ツインズとノウラ
盗賊団の事件から数日が経過していたその日は、朝から騒がしかった。
プリムのために机を買って、画用紙を買って、色鉛筆を買って。
それから他に何を買ったのかよく覚えてない。
画用紙にガリガリと色鉛筆で絵を描くプリム。
プリム
「ほら、見て……ヒロトパパとアカネママ!」
アカネ
「あは、素敵な絵だね!」
ヒロト
「あぁ、良くかけてるな」
ナッシュ
「騒がしくなったものだ」
ヒロト
「ナッシュ、すまないが……」
ナッシュ
「わかっている。お前たちがいない間は、
おチビさんの面倒は私がみる」
ヒロト
「ありがとう」
ナッシュ
「あいつや私に娘でもいれば、こんな感じだったんだろうな」
飛び跳ねるプリムとそれを見てニコニコと笑うアカネ姉さん。
ヒロト
「それじゃあ、俺は仕事に行ってくるから
プリムちゃんは家で大人しく待っておくこと」
プリム
「もー、パパ! ちゃんはいらないよ!」
ヒロト
「あはは、ごめんごめん プリム。
行ってきます」
アカネ
「あ、待ってヒロト。私も行く」
俺とアカネ姉さんは家から手を振るナッシュとプリムに見送られて
カルコスの街へとやってきた。
相変わらず薄汚れていて、汚い街だ。
といっても、0番街も廃墟同然だが。
アカネ姉さんを連れて、スイーパーズの店に入る。
ラッセル
「いらっしゃいませ」
ヒロト
「仕事を探しに来た、できるだけ報酬の高いやつを頼む」
ラッセル
「それでしたら……これなんてどうでしょう?
内容すら他言無用のものです。他言したら失敗ですよ」
_競売にかけられているエルフの少女を救出したい
詳しくは競売所まで、ツインズより_
ヒロト
「ツインズ?」
ラッセル
「しーっ! 受けますか、受けませんか?」
アカネ
「……」
ヒロト
「いくらだ?」
ラッセル
「40万エスト」
ヒロト
「乗った」
ラッセル
「話が早い!」
手続きを終えた俺とアカネ姉さんは、さっそく競売所へ向かう。
競売所は、普段はコンサートやオペラのために使われている場所だろう。
かなりの人間が入れる広さだ。それに座席の数も。
紫の髪の男
「その雰囲気、あんたらか?」
何の気配もなしに背後をとられた、この俺が。
少し驚いた俺は振り向かずにつぶやいた。
ヒロト
「誰だ?」
茶髪の男
「俺たちはツインズ」
横にいたアカネ姉さんが、振り向こうとすると
「おっと、動かないでバレちゃうから」と言われ、振り向かず競売のステージを見続ける。
ガラガラ小さいタイヤの音を立てながら、幕のかかった箱が運ばれてきて
ステージの中央に置かれる。
競売主催者
「さぁ、今回の目玉商品!」
主催者が幕を引っ張ると、そこには海のように青い髪をした青緑の衣服をまとった少女が
腕を縛られ口を布でふさがれてしゃがみ込んでいた。その耳は普通の人間と違いトガっている。
客席から歓声が上がる。
競売主催者
「ハイランディアで手に入れた貴重なエルフ! 本物だよー!」
アカネ姉さんから出る、主催者に向けられた強い殺気。
アカネ
「……人間のやることじゃない」
紫の髪の男
「いや、これこそが人間の本性だよ」
ヒロト
「同感だ」
アカネ
「……」
視線を感じる。青い髪をした少女はこちらをじっと見ている。
アカネ姉さんの発した殺気に気付いた? まさか、な。
その後、競売会場を後にした俺たちは
外の喫茶店で打ち合わせをすることになった。
もちろん、ツインズの二人のおごりだ。
紫の髪の男はカインといい、茶髪の帽子をかぶった男はゲイルというらしい。
二人はコーヒーを飲みながら話し始める。
カイン
「単刀直入に言う、あの少女を盗み出したい」
ヒロト
「そのあとは、どうする?」
ゲイル
「詳しいことは話せないね、企業秘密ってやつでね」
アカネ
「その、エルフの仲間のところに帰してあげるんですか?」
ゲイル
「んー、ちょっと近いけどそれも秘密」
カイン
「ゲイル!」
ヒロト
「……」
ゲイル
「悪い! ちょっと口がすべった」
アカネ
「どのみち、このままにしてはおけないよ」
ヒロト
「アカネ姉さん、俺たちは仕事で話を聞きに来てるんだ。
余計な私情はダメだよ。
……だが、俺たちも命を賭ける仕事だ。
最低限の情報は出してもらいたい」
ゲイルは困った顔をしながら、カインが説明をはじめた。
カイン
「あの競売所には、競売だけでなく何かがあるというのが
こちらの見解だ。もしそれが危険なものだった場合、調べることと
できれば破壊することだ」
ゲイル
「一応、地下施設からの地下水路への脱出ルートはこの魔石にインプットしてる。
ほら、受け取って」
そういうと、ゲイルは魔石をヒロトに手渡した
魔石には地下水路の出口と、地下施設のルートが映し出されている。
アカネ
「地下施設?」
ゲイル
「俺たち、一度その施設にいってるんだ。
ただ、警備が厳重でね。
マッピングされてない部分も多い」
ヒロト
「競売所の下に地下施設か、おおかた商品の倉庫でもあるんだろ?」
カイン
「さぁな」
ゲイル
「それじゃ、お二人さん。
今日の夜9時になったら、競売所の裏に来てほしい
待ってるからな」
ヒロト
「あぁ」
そして、それから時間が過ぎ
夜の9時になった。
@@@
競売所の裏口で、銃を持った男が二人立っている。
警備兵A
「異常はないか?」
警備兵B
「こちらはとくに……」
何気ない会話をしている警備兵二人の間に着地する
カイン。「誰だ!」と声を上げた警備兵二人に
投げナイフを投げ首筋に刺さる。
二人の警備兵は絶命した。
カイン
「さて……」
ゲイル
「あの二人、来るかな?」
俺はその姿をちょうど目撃した。
高圧電流が流れている柵の向こう側だ。
ヒロト
「待たせたな」
俺たちが到着すると、ゲイルは笑いながら
柵の解除スイッチを押して、高圧電流の柵は開いた。
俺とアカネ姉さんは周囲を気にしながら中に入る。
アカネ姉さんは警備兵の死体を見ながら、目を細める。
ゲイル
「さーて、作戦開始だ」
そういうと、ゲイルは何かの缶のピンを抜くと
軽く転がした。
転がした缶が爆発し、周囲に粒子が飛ぶ。
ゲイル
「いわゆる電波障害ってやつ?」
俺はうなずくと、アカネ姉さんを連れて、
自動で開いた扉に入る。
扉を入った先は、階段があり
そこで足音に気を付けながらコソコソと進む。
奥へ進むと、倉庫を見つけた
そこではいろいろな美術品や小道具、競売にかけられる品物が沢山置かれていた。
その中央付近にあるオリの中に、青い髪の少女が縛られて座り込んでいる。
青い髪の少女
「……!」
口には布が巻き付いていて、言葉が出せないようだ。
オリには特殊な加工はされておらず、南京錠がかけられている。
カイン
「さて、……」
紫色の髪の男、カインは懐から針金を出すと、南京錠をガチャガチャと音を立てて
開ける。
青い髪の少女は立ち上がり、アカネ姉さんと視線があう。
手錠を針金ではずすと、青い髪の少女は口をふさいでいた布を自分の手で取り払った。
青い髪の少女
「競売所であったときから、助けに来てくれると思ってました。
私、あなたのこと……好きです!」
大声を出す少女、動揺するゲイル。
ゲイル
「あまり大声出すとだめだよ」
この少女は俺に話しかけてきたのかと思ったので、俺は即座に返答する。
ヒロト
「悪いが俺はアカネ姉さん以外に興味はない」
そういうと、その青い髪のエルフの少女は
アカネの手を握りしめて元気よく話し始めた。
ノウラ
「アカネさんっていうのね! 私、ノウラ・シャーマン・アイスランド!
年齢は18歳! ねぇ、どこに住んでるの? 好きなタイプは!?」
……は?
俺に言い寄ってきたのかと思いきや、このノウラという少女は
アカネ姉さんを口説いている。
アカネ
「えぇ!? え、えと……」
カイン
「……大声だすな」
警備兵C
「このあたりで声がしたような気がする」
警備兵がゆっくりとこちらへ歩いてくる
ノウラという少女は保護した、俺たちの仕事は終わりだ。
後は脱出するのみ。
地下施設への開いた扉にカインが機械を取り付けて
パスワードを解析し、扉が自動で開く。
どうやらこの先らしい。
階段を再び降りて、先に進む。
俺は地図を確認する、T字路を真っ直ぐいって左に曲がるようだ。
「……けて……たす」
どこからか声が聞こえる。T字路の右側だ。
アカネ姉さんは反射的に、その方向へ向かう。
ヒロト
「アカネ姉さん! 勝手な行動は……」
アカネ
「でも、声が聞こえるよ。誰か苦しんでる」
カインとゲイルに視線を向ける俺。
カインは無言だったが、ゲイルはその方向に行くことを許可してくれた。
ゲイル
「ここを調べるのも仕事のうちなんでね、寄り道すっか」
T字路を左に曲がらず、右に曲がる。
そこの扉も、カインが機械を取り付けて開いた。
@@@
俺たちはその場所に入ったとき絶句した。
沢山の培養カプセルの中に白骨化した人間が入っていて、
そのカプセルから管がのびている。
その管は紫色に光り輝く魔水晶の大きな塊に集められていた。
アカネ
「なに、これ!?」
カイン
「こいつぁ、おそらく競売で売れ残ったエルフたちと
カルコスの人間だな」
ゲイル
「魔石はユグドラシルから作り出されるのは聞いたことがあるけど、
魔水晶の正体ってまさか……」
ヒロト
「生き物の、生命エネルギーか」
アカネ姉さんが今にも吐きそうな顔で、口元を抑えている。
先ほどの声の主も、どこにいるのかわからないが
ここにある培養カプセルの中身はすべて白骨化している。
ノウラ
「ふーん、これが長老の言ってたカルコスの裏ってやつね」
俺は青い髪の少女、ノウラに疑問を投げかける。
ヒロト
「どういう意味だ?」
ノウラ
「私ね、長老からここのこと調べるためにわざと捕まったんだ。
救援がくるからそれまで我慢しろって」
このノウラという女と、カインたちは初めからグルだったってわけか。
アカネ
「……人間の、やることじゃない」
ヒロト
「……アカネ姉さん、ファントムさんの言っていたことを思い出して。
この世界はアカネ姉さんが思ってるほどキレイじゃないんだよ」
アカネ
「でも、いくら何でもこんなのって!」
カイン
「さて、どうするか……」
培養カプセルだろうが何だろうが、ノウラを救出した時点で俺の仕事は終わっている。
あとは送り届けるだけ。
_ここの人間がどうなろうと知ったことではない_
ヒロト
「アカネ姉さんはどうしたい?」
アカネ
「……ここ、壊したい」
ゲイル
「そんなことしたら見つかっちゃうよ」
カイン
「……」
だが、同時にアカネ姉さんを守るのも俺の役目だ。
拳を握りしめて視線を落としているアカネ姉さん。
ヒロト
「なら自分でどうぞ。今のアカネ姉さんにはそれができるはずだ。
カイン、ゲイル。先に脱出してくれ」
ゲイル
「お前さんたち、お人よしだな。
でもそのお人よしさは、長生きできねーよ?」
ノウラ
「私もアカネさんに同意かな、うちの里の子たちをこんな目に遭わせてきた
なんて、許せないし」
壁をつたっているパイプを引きちぎるノウラは、
その鉄パイプを握りしめる。
カイン
「わかった、好きにしな。
ただし、捕まるんじゃねぇぞ」
ゲイル
「はー、乗り掛かった舟だな」
アカネ姉さんと俺とノウラは、三人でそこに残り、
カインたちはT字路へ戻るため、小走りに扉から出た。
この機械を動かしている動力パネルが目の前にある。
アカネはそれを、刀で斬り壊した。
同様に、ノウラもそのパネルを鉄パイプで殴り壊した。
すると、培養カプセルから供給されていたエネルギーが止まり
紫色の魔水晶の結晶は不気味な色を放ちながら、輝いていた。
「侵入者を探知、侵入者を探知!」
警報が鳴る、当然のことだろう。
すると、あの競売会場にいた主が顔を見せる。
競売主催者
「おやおや、泥棒ですか? 関心しませんねぇ」
頭上のほうから声が聞こえる。
ガラスの壁の向こうに競売主催者が葉巻をくわえながら
余裕そうな顔でこちらを見下ろしていた。
アカネ
「あなたは人間じゃない!」
競売主催者
「ククク、ここを知られたからには生きて帰れませんよ?」
その競売主催者が何かしらのスイッチを押すと、
T字路への扉が閉まった。
逃げ道をふさがれたようだ。
培養カプセルの向こうから、2mほどの両腕に警棒をもったロボットが
こちらに向かって一体、歩いてくる。
ヒロト
「これはアカネ姉さんが決めたことだ、あの機械の相手は……」
アカネ
「うん、わかってる。私が戦う!」
なんだ、よくわかってるじゃないか。
ノウラ
「私も、アカネさんの手伝いするよ
助けてもらったお礼はきっちりしないとね」
競売主催者
「その子を倒しても無駄ですよ、出入り口は閉鎖しました
このマスターキーがなければ逃げられません」
ヒロト
「ほう、そうか」
2mの警備ロボがアカネに警棒で殴りかかるが、
その一撃を回避して、斬りかかる。
アカネの一撃はもう片方の手に持っている警棒で防がれた。
その隙に、ノウラが鉄パイプを槍のように構え、脇腹に突き刺す。
この女、強い……。
おそらくあの身のこなしは槍使いだろう。
ただのエルフじゃなさそうだ。
向こうは二人に任せておこう。これはアカネ姉さんが引き起こしたことだ。
俺には関係ない、が、万が一のために見守るのも俺の役目だ。
警備ロボの警棒の一撃を、刀の側面で受け止めるアカネ。
その隙をついて、ノウラが鉄パイプで関節部分を狙い、攻撃する。
良い動きだ。
警備ロボはやがて、ビリビリと電撃放出しながら動かなくなった。
アカネ姉さんが脇腹から出ている魔石を刀で叩き切る。
すると警備ロボは動かなくなった。
競売主催者
「やりますねぇ、あなたたち。
ですがここからは出られませんよ。
じきにその場所は警備ロボで埋め尽くされます。
袋叩きになってむごたらしい死に方をしてください」
ヒロト
「それはどうかな?」
俺は競売主催者から見て真下の壁にむかって剣を構える。
下段から上段、上段から下段に剣を向け、最後に回転切りを
壁に向かって放つ。
ヒロト
「スラッシュブレイカー!」
壁には衝撃が走り、くぼみができる。
それと同時に競売主催者のいる場所のガラスが割れて、地面が揺れ
競売主催者がその振動で落下してくる。
俺は競売主催者に剣を向けた。
ヒロト
「さて、この後お前はどうなるでしょう?」
競売主催者
「ひ、ひえ……い、命だけは助けてくれ!」
ヒロト
「扉を開けろ」
俺は競売主催者の胸倉をつかんで、T字路の自動ドアの前まで連れて行った。
すると競売主催者はマスターキーで閉じた扉を開ける。
ヒロト
「アカネ姉さん、さぁ先にいって」
俺はアカネ姉さんにゲイルからもらった魔石の地図を手渡すと
ノウラの手を引いて走っていった。
ノウラ
「あ、アカネさんの手やわらかい! なんか私誘拐されてる気分……」
どうもあの女、男に興味がないらしい。
競売主催者
「も、もういいだろう? 手を放してくれ」
ヒロト
「俺は扉を開けろとはいったが、命の保証はしてないぞ」
そして剣を競売主催者の首に当てて、斬り落とした。
叫び声とともに、その男の首が飛ぶ。
競売主催者の死体を放置した俺は、そのままT字路にむかう。
@@@
地図の内容は覚えている。
T字路を進み、下水道に出て
その下水道を東に進み、奥にあるハシゴから外に出る……
そう考えていると、アカネ姉さんとカインたちがハシゴの前でまっていた。
カイン
「案外、早かったな」
アカネ
「ヒロト!」
合流した俺たちは、ハシゴを上り、頭上のマンホールのふたを開けると
外に出ることに成功した。
@@@
ヒロト
「さて、これからどうするんだ?」
ゲイル
「とある人に、その子を会わせたくてね
ノウラさん、ついてきてもらうよ」
アカネ
「私もついていっていいですか?」
カイン
「好きにしろ」
ヒロト
「なら俺もいく」
ここは、どうやらカルコスの街から離れた場所のようだ。
白い霧が濃い。カインたちに案内されるままに
ついていくと、そこには一軒の家があった。
その家のさらに向こうには森がある。
カインが扉をノックすると、その扉から黒い髪の白衣を着た男性が現れた。
白衣の男
「あぁ、仕事の方は上手く行ったみたいだね」
カイン
「あぁ、約束通り連れてきた」
ノウラ
「誰?」
白衣の男が胸に付けている名札を指さす。
ダール
「ボクの名はダール、魔石とエルフに関して研究している科学者さ
カイン君たちに依頼を頼んだのはボクでね。
その子、渡してもらえるかな?」
ノウラ
「え……なにそれ怖い」
アカネ
「この子も実験に使うつもりですか!?」
ゲイル
「俺らも詳しいことは知らないけど、仕事なんでね」
ここまで来てカインたちと戦うことになるのか?
そんな疑問をかき消すように、ダールは話を続ける。
ダール
「私も、ハイランディアからの長老さんから依頼を受けてるんでね」
ノウラ
「長老様から?」
ダール
「ほら、よく見て?」
そういうと、ダールという男は自分の耳をアピールした。
トガっている、この男、エルフだ。
話を詳しく聞いてみると、どうやらこのダールという男は
ノウラを救出してほしいと長老に頼まれて、その金を使って
カインたちを雇ったようだ。
そして、カインたちは俺たちを雇った。
ややこしいやつらだな。
ダール
「約束するよ、ノウラさんにひどいことはしないって。
っても、そんなことしたら長老様に殺されかねないからね」
ヒロト
「つまり、競売の時から全員グルだったってわけか?」
ゲイル
「まー、そんなところかな」
ダール
「ちょうど今、ノウラさん専用の次世代のアーマーギアを
作ってる途中でね」
付き合いきれない、俺とアカネ姉さんはいいように使われたわけだ。
ヒロト
「アカネ姉さん、帰るぞ。これじゃ出来レースだ」
ノウラ
「えー、アカネさん帰るの!? 私と一緒にいようよー!」
アカネ
「え、ええ……」
アカネ姉さんはノウラに腕をつかまれたまま動きを封じられている。
うっとうしい女だなノウラというやつは。
ヒロト
「おい、その手を離せ」
ノウラ
「えー」
ヒロト
「いいから離せ……」
ノウラ
「おー怖っ」
そっとノウラがアカネ姉さんから手をはなすと
「また遊びに来てね」といって手を振る。
俺とアカネ姉さんは、その場を後にした。
カルコスの街に戻り、スイーパーズで報酬を受け取ると
俺たちは家に戻った、あのプリムとナッシュの待つ家に。
第14話 ツインズとノウラ 終