プロローグ
今作は大学三年目に書いたものになります。一年の頃と比べると書き方が若干変わっているのかな……?
上手くなったのか下手になったのかはまだ判断できません。
こちらもいずれ、完全版にしたいところですが、ものぐさなため何時になるかは返答できません。
自分の紡ぐ大切な物語、一つ一つを大事にしたいですね。
「ねぇ、君、ヒーローになりたくはない?」
目の前にいる少女は退屈そうな欠伸をして、それから僕にそんな言葉をかけた。彼女の容姿は十四、五歳といったところで、上から真っ黒な布を一枚被っただけというような、実にシンプルな姿だった。胸元にはアクセントとして真紅のリボンがあり、その瞳は深い緑色だった。片手には彼女の細腕でちゃんと扱えるのか、思わず疑問を持ちたくなるような大鎌を携えていた。それは話に聞く死神が持つ鎌そのもののように見える。
ヒーロー……。それは、困った時に呼べば必ず助けに来てくれる、あのヒーローのことだろうか。
「フフッ、そうだよ。代償は簡単、君の魂を差し出すこと、ようするに命を貰うということだね、どうだい?」
そんな大して重要でもない物を対象にしているように、あくまであっさりとした口調で少女は続ける。その際、もしかしたら心の中を読んでいるのではないか、そう思わせるような奇妙な感覚があった。
「それを渡せば、本当にヒーローにしてくれるんだね?」
「うん、でも力を使うのは君自身だから。君は本当にヒーローになるつもりなの?」
興味もなさそうに、そんな含みのある声色で、少女は尋ねた。どういう訳だか、彼女に試されている、そんな気がした。
「こんな僕の魂と引き換えに、ヒーローになれるなら、幾らでも」
それが本心なのかは分からない。けれど、僕の口からすんなりと出た言葉はそれだった。