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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕と僕

作者: 政雪

なんてことない。

なんにもない。

平凡って、どこにありますか?


そんな、僕(女)の、人生の一部のお話。

最初の最初


僕は、とても平凡な漁師町で生まれた。


母がいて、父がいて、兄弟がいて、祖父がいて


一見、なんてことのない、平凡そうな。温かそうな。

なんてことない家族


そんな、僕の家庭内環境は、一人の悪魔に犯されていた。


前置きとして、現在のぼくについて、少し話そう。

僕には、小学六年生までの記憶が、ほとんど無いのだ。


ないと話すには、少し違う気もするのだが、僕は、ほとんど覚えていない。


医者が言うには、記憶障害。心因性記憶障害と言うのだそうだ。


なので、ここから話す事は、母や兄弟。ほんの少しの僕の記憶を寄せ集めた話である。

話を戻そう。

僕の、僕たち家族を犯していた、悪魔


悪魔なんて、まだ可愛いかもしれない


その、悪魔の名前は、父だった。


表向きは、優しく、子煩悩。愛妻家で、人思いの頼れる人。


だが、内側の父は、そんないい人では、なかった。


「なぜ産まれてきた?」

「なぜ生きている」

「お前はなんにもできないな。約立たず。」


父は、僕にそう言っていた事は、覚えている。


僕が笑わないと、母も、兄弟も殴られる。

僕が楽しそうな話をしないと、母も兄弟も罵声を浴びせられる。

僕が皆を守らないと、楽しい家庭ではいられない。


笑わないと。泣いちゃダメだ。

恐怖を見せてはいけない。感情を出してはいけない。

逆鱗に触れてはいけない。

何故なら、僕の行動一つで、家族が家族ではなくなるから。


一番覚えているのは、父の不敵な笑みだ。


小学中学年の頃だろうか


犬の散歩に父と出かけた時、父に階段から突き落とされた。


骨が軋む。痛い。息ができない。涙が止まらない、苦しい、辛い・・・痛い・・・痛いよ・・・


泣いてる僕を見て、父は言った。


「なんだ。生きてるのか。死んでないのか。じゃあ、大丈夫だな。」


父はそう言って、僕を取り残してどこかへ行ってしまった。


僕を助けてくれたのは、母でも、兄弟でもなく。

通りすがりの人だった。


そして、僕は悟った。僕は、家族の付属なのだと。

僕は、望まれて産まれてきたわけではないのだと。

僕は、兄弟と母を守るために産まれた、ただの付属品で、僕の役目は、家族を守る。ただそれだけなのだと。


階段から突き落とされた後、警察の調べで、父が述べたのは、

"気がついたら居なくなっていた。心配して探し回っても見つからなかったんです・・・多分、滑って階段から落ちたのでしょう・・・本当に、可哀想で・・・"


事実は小説よりも奇なり。


まさに、この事だろう。

皆は、幼い僕の話より、父の話を信じた。


そして、僕は、感情の一部を欠落してしまった。

友「この間ね!お母さんとお父さんとディズニーランドに行ったんだ!」

友「この間、お父さんに怒られたから、反抗したら怒られちゃったー。本当にうざいよね」


僕の素直な反応は、"羨ましい"これだけだった。

この子達は、親に殴られても平気なんだ。

それなのに、僕は、殴られた"くらいで"泣いている弱い、生きていても価値のない人間なんだ・・・。


この時の僕は、皆の家庭でも、僕と同じ事をされていると、思っていた。


それなのに僕は・・・。


「100点も取れねぇのかよ。お前本当に何も出来ないな。なんで、生まれてきたんだよ。」


父が言う。


「僕なりに、勉強したんですけど・・・ごめんなさい。次は、100点をとりますね。」


僕は、また、失敗をしてしまった。

100点を取れなかった。たった一点を間違えてしまった。怒られても、殴られても仕方ない。


「なんで飯が食えねぇんだよ!!!」


押し入れに引きずられる。

ああ、僕はまた、失敗した。お野菜を食べられなかった・・・。また、暗闇で過ごすのか。今回は3日で終わるといいなあ。


「おじいちゃんの世話もできねぇのかよ!!なんのためにお前は居んだよ!!」


また、勘に触ってしまった。また、僕のせいで、誰かが傷つくのか・・・いっそ、死んでしまいたい・・・。


怯える母と、

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