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魔女集会で逢いましょう  作者: 通りすがりのMOT
♯0 少し長めのプロローグ
6/15

第5話 魔物に出会った少年

遂に、戦闘シーン!


この世界の【魔法】についても触れていきます。

「「―――――キュイッ!!」」


薬草採取を行っていると近くの草むらから、2匹の全身銅色のウサギが飛び出して来た。


(銅色兎(カッパーラビット)か、あの程度なら慌てるまでも……)


「おや? やはり森には魔物(モンスター)が現れると聞いていたが、どうやら本当のようだ」


そう言葉にしたのは、瑠璃色(ラピスラズリ)の長髪を側方結び(サイドテール)にした女子生徒――リゼットである。

リゼットは自身の長髪に着けていた 髪留め を外すと、落ち着いて()()を始めた。


「【ルーインの名を持つ者が、汝の姿を思い出す。真の姿を表し、願いに応えよ瑠璃の槍(ラピスランス)!】」


何処となくて槍の形をしていたリゼットの髪留めは、詠唱により 真の姿 に変化する。

それはリゼットの髪色と同じ瑠璃色(ラピスラズリ)の刃色を持つ、2m近くの大槍。


「【ルーインの名を持つ者は、獣より速く地を翔ける】」


その言葉通り、リゼットは風のように加速する。

これは【身体強化魔法】の1つである、【速度強化の魔法】だろう。

そのまま、銅色兎(カッパーラビット)に大槍を振るった。


「―――キュイ!」


リゼットの大槍が、1匹の銅色兎(カッパーラビット)を斬り裂く。

だが、もう1匹は大槍を避けてリゼットに迫る。それをリゼットは、間一髪で回避する。


「【大地よ、ボクの声が聞こえるなら壁を造れ!】」


その間に今度は、黒茶色(コーヒーブラウン)の瞳を持つ女子生徒――エッダが詠唱を行う。恐らく、【防御系の魔法】か?

すると、リゼットと銅色兎(カッパーラビット)の間の大地が盛り上がり、見上げる程の高さの壁を造った。


「【……私は見た。一面に広がる氷の世界を】」


授業が始まってから一言も喋っていなかった女子生徒――ティアが、その鈴音のような声で【魔法】の詠唱を行う。


刹那、視界が氷で覆われた。


先程まで銅色兎(カッパーラビット)が居た箇所を含め、辺り一面に氷の山が出現する。


「………なんて、()()()だよ」



―――【魔法】とは、その者が 想像したモノの具現化 である。


魔力を持つ者が頭の中で想像し描いた……想描(そうく)したモノが、詠唱によって具現化するのだ。


つまり詠唱によって、想描したモノに魔力が流れ【魔法】が発動する。

そのため【魔法】には詠唱が必要不可欠であり、無詠唱なんて存在しない。……例外はあるが、


そして想描したモノがより鮮明であったり、使用者の魔力が多かったりすれば、詠唱は短くていい。

それと、詠唱に 決まり文句 などはない。その者が想描しやすい言葉であれば何でもいいのだ。


まぁ簡単に言えば、【魔法】とは()()()()()()()()()()()()()なんかを必要とするモノ。

―――詠唱は オマケ である。



(………午前中の授業で、言ってたことだけどな)


カイトが改めて思い出していると、草むらから新しい魔物(モンスター)が現れた。

今度も全身銅色であり犬の見た目を持つ、銅色犬(カッパードッグ)だ。――数は、3匹。


「【私は信じる! この拳は岩をも砕く拳だとッ!」


1番最初に動いたのは、一房結び(ポニーテール)にしてある桃花色(ピーチブロッサム)の髪を揺す女子生徒――マーシャ。

大きく拳を振りかぶると、1匹の銅色犬(カッパードッグ)を殴り飛ばす。


「【双剣よ! 敵を切り裂けッ!】」


続く2匹目を、既に背中に下げていた双剣を抜いていた男子生徒――ソウヘイが二刀両断した。

しかし最後の銅色犬(カッパードッグ)は反撃に転じ、その爪や牙でソウヘイに襲い掛かる。


「おっととと!」


ソウヘイは双剣で銅色犬(カッパードッグ)の牙を弾いたり、身体を動かすことで爪を避ける。


「【炎よ、焼き尽くせ】」


片手を銅色犬(カッパードッグ)に向けながら口を開いたのは、こんな状況でもほとんど無表情な男子生徒――コウキだ。


「―――――っ!!!」


突如現れた炎に飲み込まれ、銅色犬(カッパードッグ)は激しく吠える。しかし、炎は消える事なく銅色犬(カッパードッグ)を焼き尽くした。


「大丈夫か、ソウヘイ?」

「俺は何ともねぇーけど、凄い【火炎系魔法】だな。けっこう驚いたぜ」


肩で息をするソウヘイにカイトが声を掛けると、ソウヘイはコウキに目を向け口にする。


「……炎は、よく知ってる」


コウキはそれだけ言うと、挙げていた片手を降ろす。


「ソウヘイさん、ちょっと動かないで下さいね」


その明緑色(ライム)の瞳で、ソウヘイを見る女子生徒――アシスが、両手をソウヘイに向ける。


「【私は願います。この者の疲れが癒えることを】」


するとソウヘイの体が一瞬、アシスの髪色と同じ翡翠色(ジェードグリーン)に包まれた。


「あれ、何か疲れが無くなったような……」

「私は【回復魔法】が得意なので、お役に立てましたか?」

「なるほど、通りで身体が楽になった訳だ。ありがとな、ロステワードさん!」

「ふふ、それは良かったです」


ソウヘイが肩を回しながら、嬉しそうにお礼を言う。それを聞いて、アシスも表情に笑みを浮かべた。


「あぁ、和んでるとこ悪いが……そろそろ移動した方がいい。――此処は 危険 だ」


それぞれ先程の戦闘の感想を述べ合っているクラスメイト達に、カイトが声を掛ける。

これだけ【魔法】を連発したんだ。次は恐らく、銅種(カッパー)ではない―――


「ねぇ、何か近付いて来てるよ? たぶん、さっきのより大きいのが」


これまた授業が始まってから、一度も口を開いていなかった獣人種(アニマルティ)の女子生徒――ユレメが、自身の犬耳を動かしながら発言する。


「大丈夫っしょ! みんな戦い慣れてるみたいだし、さっきみたいにパパッと倒せるって!」


そうお気楽そうに口にするのは、カイトと同じ先程の戦闘で何もしていない男子生徒――チロルである。


「うーん……でもこの 足音 は、さっきのと比べて何か違うんだよなぁ〜」


だが、その発言に異を唱えたのは目を瞑ったまま、犬耳をピクピクと動かすユレメ。


「ユレメの言う通りだ、次のは俺たちには荷が重過ぎる。速く逃げた方がいい」


カイトは ユレメの動物的直感? を信じている訳ではないが、クラスメイトに避難を促す。


「平気ですよ、またボクたちで返り討ちにしてあげますから!」

「そうだな、これだけの戦力が居れば心配はないだろう」


カイトの発言が 弱音 に聞こえたのか、エッダとリゼットが強気な発言で答えた。

ちなみに、リゼットも迷いの森に入るのは今回が初めてらしい。さっき、マーシャと2人でしていた会話で知った。


(だからこそ、このままじゃ危険なんだ)


「さっきのは魔物(モンスター)が弱かっただけだ。次のはもっと……」


カイトがクラスメイトに忠告していると、


「――そんな事を言いながら、貴方は先程の戦闘で何もしていないじゃないですか」

「確かに私は若輩者だが、そこまで弱くはないと自負している。カイトと言ったな、少々弱気が過ぎるのではないか?」


カイトの忠告を無視するように、エッダとリゼットが反論する。


「ちょ、ちょっと! カイトはそんなつもりで言ったんじゃないのよ!」

「そ、そうだって! カイトの奴は、何も出来なかったんじゃなくて!」


その言葉を聞いてカイトの顔馴染みであるマーシャとソウヘイが、急いでフォローを入れた―――しかし、当のカイト本人は、


(マズイな、ホントに何も知らないのか? このままだと怪我じゃ済まない、下手を打てば……)


クラスメイト達の言葉なんか聞いておらず、この先起こるかもしれない最悪の状況に頭を悩ませていた。


「 ――っ!? 嘘!? 急に速くなったよ!」


目を閉じていたユレメが、驚きの声と共に目を開ける。そして、その言葉に続いたのは鈴音のような声。


「………銀色狼(シルバーウルフ)?」


疑問形で呟いたティアの目の前には、全身の体毛が銀色に覆われた――


体長3mを超える、巨大な()()が姿を現していた。






 Next Story Coming Soon!!!


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