表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女集会で逢いましょう  作者: 通りすがりのMOT
♯0 少し長めのプロローグ
3/15

第2話 学園に通う少年

ジャンルにある「学園」、ようやくです。

「そう言えば、貴方に渡して置きたい物があるの」

「え、何だよそれ?」


朝食を食べ終え洗った食器を片付けていたカイトに、未だ本を読み続ける女性がそれを手渡してくる。


「これは手紙? 宛先は親愛なる蒼玉色(サファイア)の魔女…… サーリン へって、これあんた宛じゃねぇーか」

「手紙は私宛だけど、中身は貴方の為に送られて来た物よ」


女性―――サーリンは、本を片手に食後のコーヒーを手に持ちながら答える。コーヒーを一口飲むと、さらに言葉を続ける。


「それはとある場所への招待状。今後の貴方の将来を決める、大切な場所へのね」

「将来を決める、大切な場所?」


何故だろう、さっぱり話が見えて来ない。


()()()()()()―――、魔女に拾われた子ども達が通う学び舎よ」

「魔女に拾われた子どもが通う、学び舎?」

「そう、貴方も今年で15歳。魔女集会学園は15歳になった子ども達を一時的に預かり、一般的な教養や専門的な技術……必要であれば、戦い方も教えてくれる場所よ」

「話くらいは聞いたことがあるけど、何で俺が?」

「あら、魔女に拾われた子どもはみんなが通る道よ。魔女ってのは、自分の価値観でしか物事を考えない。そんな場所でずっと過ごしていたら、常識が欠落してまともに生きてはいけないでしょ?」


つまり……独特な価値観や生き方をしてる魔女の下で暮らすと、非常識人になりやすい。そのため、造られたのが、拾われ子たちの教育機関って事か。


「期間は3年―――魔女集会の援助で造られた学園だから、安心安全な所よ。しっかりと常識を学んで来てね」

「俺はそこまで非常識じゃないと思うんだけどな」

「ふふ、まぁ常識以外にも学ぶことは多いと思うわよ」

「そんな事より、その学び舎とやらを卒業したらどうなるんだ? まさか国を出て行けなんて言うんじゃないだろうな?」

「それもその学園で決めるのよ。国に残るか、外に出るか……国の為に働く守護者になるか」

「なんか1つ物騒な単語が聞こえたが気にしたら負けだな。まぁ、俺の将来は決まってるよ」

「あら、夢があるのは良いことよ」


サーリンはその顔に笑みを浮かべながらコーヒーをもう一度口にする。


「俺はあんたに返し切れない 恩 がある。だから、俺の将来はあんたの為に使わせて貰うぜ。誰が何と言おうとな」

「……貴方も変わらないわね」


「俺の進路希望は――― 魔女の下僕 だよ」


カイトは、当たり前の事を再確認するように自分の将来を声に出すのだった。





 ()()()()()―――通称、()()()()


大陸の4分の1を占める迷いの森の中にあるこの国は、規模が大きくなり過ぎた魔女たちの隠れ里である。この国に住む全員が 魔法使い なのだ。

女性の魔法使いは魔女と、男性の魔法使いは魔士(まし)と呼ばれ……唯一神〈ゼルス〉より生まれし、彼らの始祖〈ドニバルス〉から名付けた国。


そんな国の中心地と呼ばれる都市が、此処……ドニバである。国の中心という事で、国名の真ん中3文字を取ったと言う安直な名前なのだが―――実際に栄えている。賑わいを見せる商店街や建ち並ぶ住宅地、そしてこの国唯一の学園である 魔女集会学園 が在るのも此処である。

そもそも、この国の国民はそんなに多くない。そして国民の殆どがこのドニバに住んでいるのだ。公共施設なんかは、全部この都市に集まっている。


カイト自身も、買い出しや生活費稼ぎなんかでよく訪れている。しかし、カイトが住むサーリンの家は迷いの森でも深部にある為、中心地のドニバは結構距離がある。【転移の魔法】が使えると言っても、これから3年も通うとなると少し考え物だ。


そんな事を考えながら、カイトは木造でありながらも豪華さが見て取れる門の前に立つ。その脇には『魔女集会学園』と書かれた文字。魔女集会の援助の下に建てられたと言うだけあり、校舎はそれなりに大きな造りとなっている。木造と石造りを併せた、この国の住宅と同じ一般的な造り方だ。校舎の隣にあるやけに大きな広場に違和感を覚えながら、カイトは門を通り過ぎ校舎の中に入る。


「全校生徒は 100人 。3学年制で1学年3クラス、1クラスは10〜11、2人か。けっこう多いな」


―――この大陸にはもちろん、その他の国もある。中でも大きな国は2つあり、帝国と連邦国と呼ばれている。そして、それら国にも 学園 は存在するのだ。


何が言いたいかと言うと、それらの学園に比べ魔女集会学園の生徒数は、圧倒的に少ない。何故カイトが、「けっこう多いな」と呟いたかは、単純な理由。


この学園の生徒は、全員が魔女や魔士に拾われた子ども達なのだ。そして、この学園にはそれなりの歴史があり、卒業生も数多く存在する。また、まだ学園に通っていない15歳以下の拾われ子達も合わせると、それなりの数になるだろう。


この国には、それだけ身寄りの無かった子ども達が住んでいるという事だ。


「俺が選んだクラスは、ネズミ? 魔法使いの使い魔から取ったっていう、組名か」


魔女集会学園は1学年、3クラス。その中には、魔法使いの使い魔から名付けた〈ネズミ〉、〈ネコ〉、〈ヘビ〉の組名が存在する。そして、それぞれのクラスには 将来の進路 がある程度決められているのだ。


〈ネズミ〉……国に残り、その繁栄に尽くす。

〈ネコ〉……国を出て、旅をしながら見聞を深める

〈ヘビ〉……国の為に、戦力を身に付け守護者となる


「俺は別に国から出るつもりも無いし―――国の為に戦うつもりも無い。まぁあの人(サーリン)の下で働ける力は身に付けないとな」


そう言ってカイトは、指定された教室へと向かう。

教室に着くと、そこには机と椅子がそれぞれ10組。つまり、これからクラス替えが無ければ、共に3年間を過ごす仲間は、カイト自身を合わせて10人という事になる。

すでに何人かは席に着いて居るが、まだ来てない生徒も居るのだろう。空いている席もあった。学園生活が始まるまで、まだ少し時間があるようなので……カイトは自席で腕組みし、その上に頭を伏せて仮眠を取る事にした。




担任の先生と思われる男性の声が聞こえ、カイトが目を覚ますのはもう少し後の話―――





   Next Story Coming Soon!!


感想や評価等、頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ