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2021/10/19 改稿しました。
2023/03/02 レイヴンの回想部分を改稿しました。
2026/02/07 大幅に改稿しました。
2026/02/26 加筆修正、誤字修正しました。
リガルディア王立学校初等部1年2組は、王子と公爵家の息女が所属する権力の塊みたいな場所になった。受け持たされたレイヴンの胃に穴が開かないのは、レイヴン本人の性格もさることながら、彼がリガルディア王国でも非常に珍しい召喚士という精霊を扱う能力を持っていたためだろう。
カル・ハード・リガルディア、第2王子ではあるが割と気さくな性格のようで、周りに公爵家の子供が居ない時は普通に階級に関係なく話しかけても対応してくれている。クラスの中ではそれでいいが、廊下や食堂ではそれではだめだとロッティ公爵家の令嬢とフォンブラウ公爵家の令息が世話を焼いていた。
これにはレイヴン他教師陣も納得している。立ち振る舞いを教える必要のある場所で、その規律が乱れるのはよろしくない。
ロゼ・ロッティはロッティ公爵ロギアの1人娘で、カル王子の従姉妹である。王妃の姪であり、カル王子との仲も良好で、何かとカル王子のストッパーを担ってくれていた。転生者であることは7年前には判明していたのでレイヴンも知っている。そしておそらく、フォンブラウ公爵の息子が抱える問題を解決するために最も動いてきた人物でもあるだろうと予想できた。土属性を扱うロッティ家の子でありながら、牡丹色の髪と朱の瞳を持って生まれた、哀れな娘――後継にはなれないことが確定したも同然の娘だ。
ロキ・フォンブラウはフォンブラウ公爵アーノルドの息子である。火属性を扱うフォンブラウらしく、ぱっと見は真紅に近いラズベリルの瞳の少年。銀髪というだけならばまだ魔力が多いだけということも出来るのだが、象牙色を通り越し白磁のその肌は、まごうことなき神子の証。レイヴンから見ても魔力量が異常に多く、既に上位者と契約を複数結んでいると聞いているにもかかわらず、異常なまでのその魔力生成量を持つ。レイヴンはロキだけフォンブラウ家と王家からレイヴンを指名してクラス編成があったことの理由を察した。
晶獄病を発症しているという事だったので、人刃族としては虚弱な個体だろう。人刃は基本魔力量が多い程度で病を患ったりしないし、瞳が宝石のように見えるのは強い魔力を持つ個体にありがちな特徴でもあるが、身体がついていっていないという事だろう。
浮草病も併発しているということは、転生者なのは間違いない。やたら考え方が大人びている理由はわかった。そして家庭教師が教えた以上の知識を持っていることも想定されたので、入学したての生徒たちに課しているテストで最後に作文を書かせた。この初等部で何を学びたいかを書けという簡単なものである。
「さて、今日は実技テストだよ。魔力操作関係のものだから、皆は思い思いに的に向かって魔術や魔力をぶつけてくれればいいよ」
リガルディア王立学園初等部は、クラス分けが終わってから、生徒たちの実力はどんなものなのか、というのを担任が見ることになっていた。座学試験とは日を改めて行われるこの実技試験は、これで点数が低かったからどう、というものではなく、実技をどう教えるかを教員側が判断するための指標となるものだ。
「では呼ばれた順に出てきてくださいね。カル・ハード・リガルディア」
はーい、と生徒の声が揃う。レイヴンは手元にある一覧表を見ながら生徒たちの名を呼んでいった。階級が上の方から順に呼ばれている。中には見栄を張って強い魔術を使おうとした生徒もおり、まあそうなるか、と微笑ましく思いながらレイヴンは生徒たちに評価を付けていく。
「次、ロキ・フォンブラウ。多分魔力使えないよね。状況報告だけお願いしていい?」
ロキの名を呼んだレイヴンは、ロキに早々に渡された手紙を思い返した。入学式の後のホームルームを解散した後、ロキから手紙を手渡されて、ロキの前でそれを読んだレイヴンは、ロキの置かれている状況が思ったよりも悪いらしいということに気が付いたのである。ロキは自己紹介でも置かれている状況の説明は簡単にしてくれたが、ロキが持ってきた手紙はアーノルドからの手紙であった。その中で、つらつらとレイヴンをロキの担任に指名した旨が書かれていた。選んでもらえるのはありがたいが、自分の前にこんな珍しい子を置いたら、研究したくなるに決まってるのになあと内心ぼやいたのは内緒である。
「はい、ありがとうございます。えっと、現在魔力回路の異常発達によるコントロール不能状態、とのことです。上位者の方に手伝っていただいて、魔力の放出と魔力操作のみやっています」
「わかりました。うーん、僕にもっと魔力があれば、循環法でお手伝いするんですが……ロキ君の魔力、僕の倍どころじゃ済まなさそうだからねえ。何か注意事項はあるかな?」
「えっと、基本的にはお渡しした父上からのお手紙に記されているかと思います」
「あー、うん、一通り読んだけれど、親に言えないこととか、あったりするでしょう? そういうことが何かあったら、遠慮なく言ってね」
「お気遣いありがとうございます。今は特に無いので大丈夫ですよ」
レイヴンの気遣いにロキは少し申し訳なさそうだったので、君が申し訳なく思う必要はないよ、と朗らかに笑ってレイヴンはロキの状態を確かめた。
ロキは幼いながらも凄まじいまでの魔力を保有している。これでまだ発展途上なのだから末恐ろしいところだが、大成するだろうな、と彼の魔術師としての未来が俄然楽しみになってくるというものだ。
「どこか苦しいとかもない?」
「あ、え、では、ちょっと今、魔力が堰き止められてる感じがして苦しいんですが、これ何ですか?」
「ちょっと待ってね」
レイヴンはロキが自分の症状をちゃんと自覚ができているから、十中八九魔力操作が得意な個体だろう、と考えた。訓練場には魔力放出を抑えて周囲にいる生徒たちに危害が加えられないようにするための結界が複数張られている。
「魔法も使えない?」
「ここでは使えなさそうです」
「わかった。ここには魔術の暴発を止めるための術式が重ねられているんだ。何かあったらすぐ言ってね」
「はい」
レイヴン先生良い人だった、とロキの報告がアーノルドの許へ届くことになるのだが、今は脇に置いておく。
レイヴンは、ロキ1人の事よりも、周りの子供たちの魔術の暴発を止める方を選んだ。
「次、ロゼ・ロッティ」
「はい」
ロキを下がらせて次の生徒を呼ぶ。レイヴンは手早く生徒たちの評価を付けていき、ロキ以外は特に難しい問題も抱えていなさそうなので、ロキに合わせて魔力結晶の生成であるとか、とにかくある程度の実践を交えて魔術の基礎的な部分の講義を進めて行こう、と考える。アーノルドからの手紙には、ロキには授業中でも関係なく魔力結晶の生成の許可を出すように願う内容が綴られており、実物を目の前にして、レイヴンはロキの抱える晶獄病が、重症化しやすいタイプであることを悟った。
下手に高名な教員を指定してやり方とかいうものに拘ってロキを怪我をさせるより、そのあたりにあまり拘りのないレイヴンを指定してくるはずだ。概ねの事に納得がいった。
「――次、ヴァルノス・カイゼル」
「はい」
レイヴンはこの時、ロキについては一旦目を離していた。ロキは別にいいと思っていたであろう。だが、レイヴンも、ロキも、少しばかり、人の悪意というものに鈍感であった。
「!?」
「――!」
レイヴンはざっと子爵家の生徒まで見終わったところでその異変に気が付いた。ちらちらと聞こえる声は小さくて何を言っているかわからない。評価をしているこの場から少し離れているらしい。レイヴンが生徒の名を呼ぶのを止めて一旦ロキの方を見やった。
ロキの傍にソル、ロゼ、そしてカル王子がおり、ヴァルノスが何か言ってソルがレイヴンの方へ踵を返したのが見える。次の瞬間に、訓練場の壁際までロキがふらふらと歩きだし、それを追うようにヴァルノスとロゼがついていく。ロキに惹かれたであろう精霊が近くを舞っている。
レイヴンは晶獄病の生徒に当たったこと自体は初めてだった。そもそも晶獄病という病自体が、発症した子供の8割9割が夭逝してしまう疾病であるため、10歳まで生きているロキ自身が相当稀な存在であることもこれに拍車をかけていただろう。
ロキが蹲ったので、これはまずい、とレイヴンはロキの方へ走り出した。他の生徒たちの評価は後だ。割と安定していたはずの魔力が動くほどの事があったか、それだけ感情が揺さぶられてしまったかのどちらかだろう。
「……ロキ君!」
「……ッ」
レイヴンはよく目を凝らす。右半身から何かブレードが突き立ったように見えた。よく見て、それが武器の穂先であることを理解したレイヴンは、教員権限でこの訓練場に張られていた魔力の抑圧術式を2つほど停止させた。
「ロキ君、転身を抑え込んではいけないよ」
「ッ、でもせんせっ、これ、皆がケガするッ……」
「今君を抑えていた結界を2つ切ったから、魔力結晶の生成ができるようになってたりしないかな」
「……あ、いけ、そう……」
魔力の結晶化は、ロキのような、魔力回路が所謂“内向き”の者が魔力操作を覚えるときによくやる方法の1つで、自分の身体から魔力を結晶化して切り取るというものだ。竜人魔法は魔力操作ではなく魔力として完全に編む前のものを使った魔法であるため、異常なまでに魔力の消費量は多いが、威力が尋常ではない。ロキはこれまで真っ当に魔術の訓練をしたことが無く、代わりにやっていたのは竜人魔法での魔力消費だったのだ。
いけそう、というロキの言葉を聞いて安心したのか、レイヴンは小さく息を吐いた。
魔術用に訓練場として整備されている場所は、万が一の暴発を防ぐために、ある程度魔力を抑え込む術式が施されている。ロキはとても繊細なのだろう。術式に乱されて上手く結晶化ができなくなっていのである。
「先生、ロキは」
「転身しかけてたから、抑え込んでた魔法陣を2つほど止めたよ。もう暴発はないから、安心して」
もう大丈夫だ、と判断したレイヴンはその場から少し離れ、ロキが魔力結晶を生やし始めたのを見守る。レイヴンの傍まで来たソルたちの不安げな表情に答えれば、ヴァルノス、ロゼ、カルが同時にほっと息を吐いた。入学早々に仲良く喋っているのが見えていたが、やはりロキの事情を知っているのはこの辺りなのだろう。
レイヴンは思った。これは確かに持て余してしまう。特殊な加護を持たないアーノルドでは完全には抑え込めない。だから上位者を頼ったのか。
『――契約者?』
レイヴンが少し思考を回していたところに、ぬっと音もなく表れたのが、上位竜人――リオだった。藍色の髪、黒い角、金色の瞳。白磁の肌をロングコートで覆った上位者。
呼吸を整えようとしていたロキは、突然リオが来たことに驚いたらしい。
「……リオ、何でこんなところに?」
『んー、悪意? みたいなものを、感じたから、かな?』
「……リオ、報復より、俺の体調どうにかできない?」
『んー、いいよぉ』
ロキは冷静だった。リオを名乗った上位者に協力を頼んでロキ自身の体調の安定を図り、どうやらロキにちょっかいを出した生徒を庇ったらしいことが伺えた。上位者に手を出されたら誰だって死んでしまう。レイヴンは、これはちょっと調べる必要がありそうだな、と頭の片隅にメモしつつ、リオにロキを任せる旨の宣言をしてから他の生徒の評価に戻った。
♢
実技テストが終われば、レイヴンたちには座学試験のテストの採点が待っている。ハプニングが起きたのは間違いないので若干憂鬱なのは、報告書を書かなければならないからだった。
テストの採点は各担任がする、のではなく学年担当の教師全員で行う。初等部が2学年しかないとはいえ、1年4クラス、2年4クラスで1クラスが20人いるかいないかくらいなので、初等部に通うのは160人くらいだ。80人分の採点を、中等部や高等部に教えに行っている教師が掛け持ちせねばならないことを考えると、全員でやった方が楽なのだった。
「見てくださいレイヴン先生、2組の子たちしっかり学んできてますね」
「本当だ。でも珍回答が見られますね」
今年度の初等部1年はかなり成績にばらつきがある。中等部に上がるまでにある程度均しておかないと、中等部に彼らが上がってから苦労するのもここにいる教師たちなのだから質が悪い。リガルディア王立学園初等部は、中等部や高等部に在籍する教員が顔を出して教員を務める。初等部以外で授業を受け持っていないのは今現在、レイヴン以外に居ないくらいであった。
「転生者だとは聞いていたけれど、フォンブラウ君とロッティさん、あとカイゼルさんとお姉ちゃんの方のセーリスさん、点数高いですね」
「あら、それならイルディさんも高いですよ。庶民上がりと思えないくらい」
「そっちも転生者かな?」
リガルディア王国は比較的転生者が多い国だ。教師たちもそれほど驚くことが無いのは、慣れているから――だろうか。
職員室を風の精霊が舞う。書類が飛ぶからやめてねぇ、とレイヴンが呼びかけると風精霊はつまらなさそうに窓から出て行った。
「最近精霊がよく舞ってますね」
「ロキ君精霊に随分好かれてるみたいなんですよ。その割には精霊を視認できてないみたいなんですけど」
「そんなことってある??」
自分たちの認識に沿わない少年の存在を認識した教師たちは、面倒だな、と小さく呟く教員がいるくらいにはルーズな職場である。
「そういえば、フォンブラウ君どうですか」
「彼は、そうですね。あの魔力回路をどうにかしないと先に進めないでしょう」
え、と他の教員たちが驚いてレイヴンを見る。レイヴンは首を傾げて見せた。
「晶獄病と浮草病なんですよね? 魔力操作は? 魔力を消費しなければいけないでしょう??」
晶獄病は特にそうだが、魔力を体内に留め続けることが一番の原因であるため、魔力を使って外に魔力を吐き出さなければならない。なのに先に魔力回路をどうにかというのはどういうことか。
「アーノルド公が送ってきた手紙にですね、魔力操作は魔法で行っていた旨が書かれていまして。恐らく上位者絡みですから、魔力を扱う授業の時は上位者の協力を得ないといけません。あの魔力回路は、異常な焼け付きと迂廻路の形成が見られるので、何らかの形で竜王や上位者が絡んでいると思いますよ」
レイヴンの言葉に教師たちはしばらく固まり、ゆっくりと思考を始める。竜王、と呼ばれるのは、この世界そのものを作ったという世界樹アヴリオスにその力を供与した“竜帝”の系譜に連なる強大な竜族の事である。竜族の長が竜帝であり、その候補が竜王だと言われている。
「竜王が絡んでいるって、陛下に報告は?」
「まだ予測段階なので奏上するほどまとめられてはいません。でも近々奏上しないと。誰かスパルタクス先生を呼んできていただけますか? 彼のスキルと合わせれば何があったのか分かるかもしれませんし」
レイヴンの言葉に、呼んでくると走っていったせっかちな教員が、まだ授業中なり、の一言で振られて帰ってくる未来を想像しながら、他の教員たちは丸付けを再開する。
「そういえば、フォンブラウ君くらいの魔力量なら精霊が見えるのは当たり前だと思っていましたけれど、何かはっきりした原因でもあるんですかね?」
新任の教師の言葉に、ああそれは思った、と他の教師たちが同意を示す。レイヴンは自分の手元にあるテスト用紙を消費し終わり、集計を始めた。
「そうですね。精霊が見えないのは精神的なものだと思います。あの年齢で公爵の中で最も魔力量が多いグラート公に引けを取らない魔力量ということは、精霊を見る条件はクリアしているはずです」
「ああ、そういえばロキ君のことずっと見てる人工精霊がいるな」
「え、あれ本当に人工精霊ですか!? 大精霊くらいの魔力量あるじゃないですか!」
王立学校の教師になる最低条件が、精霊を認識できることだ。ここに居る者たちは、出身階級こそバラバラだが一様に皆精霊を見ることができている。
他の教師たちも丸付けが終わったらしく集計を始めた。並べられた机の上のテスト用紙は100枚あるかないかくらいなので1日でちゃんと終わるだろう。
「オリヴァーは何か言うことないの?」
「……別に、無いですよ」
レイヴンは自分の後輩であるオリヴァーに話を振った。何かとレイヴンはオリヴァーに話を振るのだが、自分とは違う視点の意見が得られるから、一考の余地がある、とのことである。
「……アーノルド公の髪って、赤かったよね」
「そうっすね」
「……ロキ君の髪って、白くなる基準満たしてるの?」
「……さあ。そこは人刃に聞いてくださいよ。俺吸血鬼だからわからんです」
魔力の細かい差異を察知できるのは魔力量が少ない人間だ。レイヴンはあまり魔力量自体は多くないので、ロキの魔力量について疑問を抱いたらしい。
「まあ、ロキ君はすごいよ。魔力で物を動かせるんだ。ロキ君の思考と連動してペンを動かしてるみたいで、筆記速度が尋常じゃなかった。テストの時は手でペンを持ってたよ。手書きの字がとても綺麗だね」
「とりあえず先輩の興味がフォンブラウに向かってんのはわかりました」
オリヴァーは黒髪を掻く。この男が精霊以外にも興味を持ったのは珍しいし、子供がそれで助かるならばいいけれども、研究に熱中すると戻ってこないのでどうにか見ておく必要があるかもしれない。
「だって、上位竜人がわざわざ顔を見せるほどなんだよ? 興味を惹かれるに決まっているじゃないか!」
「上位竜人より先にロキ君をちゃんと見ててくださいね!!」
上位者である竜人の少年は、ロキの事を契約者と呼び、それなりに大切にしている素振りが見られた。ロキの話によると、最悪の場合はリオと呼ぶその竜人がロキの魔力の消費を手伝ってくれるという。ならば、レイヴンたちの仕事はロキが普通に学校生活を送れるように環境を整えるだけだ。
レイヴンは思い出す。
ロキはほとんど自分で動かず、すべき行動のほとんどのことを魔力でやっている。しかしそれは同時に、多大な集中力や体力を必要とすることで、子供がその集中力を備えること自体が末恐ろしい。
「さて、と」
テストの集計が終わった。この結果を見て、クラスに対してどう講義を進めるかを決めるのだが、少し考えて実行しなければ、魔術関係の講義は確実にロキが遅れる。ロキを無視するか、どうするか、そんなことを考え始めたレイヴンの横で、隣のクラスの担任になった教員が頭を抱えた。
「理論から先にやらないとこの子たち怖いなぁ」
「そんなにですか?」
「威力が高い子たちがちらほらいる感じなんです。なのに理論も倫理も教育が足りてない感じで」
あるある、と他の教員から返されて、その教員は項垂れた。この教員は前々年が初めて担任を持った教員だったはずだ、とレイヴンは思い起こし、隣のクラスなので何かあればお手伝いしますよ、と声を掛けておく。レイヴン先生のクラスも大変そうだけど、と言われて、それはたぶんそうですね、と返すしかなかったが。
「……さて。とりあえずゆっくりやっていきますかぁ」
……たまに混じっていた珍回答を思い出して顔をほころばせつつ、レイヴンは授業の準備に取り掛かった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
思ったより要らない情報多かったですねこの話……。




