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2021/10/01 改稿しました。上手くつながってなかったらすみません。
2023/03/01 改稿しました。エン婆さんの服装が変わりました。
アーノルドはせっかく領地に帰ってきたからと執務を両親に取り上げられ、子供たちと過ごすことになった。
ロキが入学直前ということもあって、必要な品を一緒に買い物に行ったらどうかというスクルドの提案により、アーノルドはロキを連れて買い物に出かけた。どうせなら王都ではなく自領で賄えるもので最高の品を持たせたい。
もともとこれはプルトスやフレイにもやってきたことである。スカジには残念ながらできなかったので王都で買い物行脚したが。
初等部には制服も無いので、着飾った華やかな息女を見ることができる。中等部ではローブが指定され、高等部では魔術用に作られた戦闘服を兼ねた魔術礼装が学校指定で購入させられるのだ。カスタマイズが許されているので制服という感じはあまりしないが、守らねばならないルールもあるので比較的揃っている印象を受ける。
「初等部で必要なものは特に多くないからな……せいぜい服と実験道具か。欲しいものがあったら言いなさい」
「はい」
ロキ自身そこまで物をねだるタイプではないため、欲しいものがあったらと言われると少し困るのだが、まあ、それは致し方ないとロキは諦めた。必要な物の一覧は紙に書いてお知らせが来ているので、見ながら買い物していけばいいだろう。
アーノルドは記憶を頼りに何が必要かを大体考えつつ店の並ぶ大通りを歩く。
早朝というのもあって朝っぱらから働いているパン屋やパンを買いに来る町娘たちの姿が見える。
「おお? 戻って来てたのかい、坊ちゃん!」
「おはようございますアーノルド様!」
途中でアーノルドに声を掛けてくる者たちがいる。ああおはよう、とアーノルドは挨拶を返す。アーノルドは王都に居る割に領民と仲が良いらしかった。
「おはようございます」
ロキが会釈すると、声を掛けてきた者たちは人好きのする笑みを浮かべておはようございます坊ちゃま、と言った。
「礼儀正しい……」
「ああ、やっぱこういう人だといいよなあ」
挨拶を終えた領民たちの声が聞こえてくる。彼らの記憶の中に誰か気に入らないものでもいたのだろうかとロキは考えた。貴族の子供を見てほっこりしている彼らは普通ではないかもしれないが、そこは今は考えないことにする。
「何か来たのか?」
「先日なんか酷いやつが来てましてねえ、見覚えのねえ馬車が停まってらと思ってたら中に居たガキと目が合ったんでさ。そりゃぶしつけに見てたのは悪かったと思ってますけどねぇ、『下民が』って吐き捨てやがったんですよ。別に声かけたわけでもねえんですがね」
「いくら貴族でもあれはねえや。その後出たワーム相手にビビり散らしてたくせになぁ」
ロキは「そんな悪徳貴族っぽいやつも存在するのか」などと思ってしまったが、真面目な人しか傍に居ないから仕方がない。相手がどんな奴だったのかは、想像に任せるしかない。いや、基準が魔物と戦えるかどうかになっている気がするのは間違いではないような。アーノルドが口を開いた。
「髪の色は?」
「あれですよ、灰がかった茶色」
「……あいつら、一体何の用だ……」
アーノルドは頭を抱えた。ロキからすると髪の色と貴族であるというだけで何が絞れるのかという話なのだが、どうやら灰がかった髪の貴族というのはとある一族を除いて存在しないらしい。そして領民たちの話によると、まだその人物たちはこの領内にいるのだという。
「で、アーノルド様は今日は何の用ですかね?」
「ああ、この子が今度初等部に入るから、備品を揃えに」
「なるほど」
アーノルドはロキを抱き上げて笑う。
現在のロキは、白いシャツをタンザナイトのループタイで止め、サスペンダー付きの黒いハーフパンツを履き、白い靴下に焦げ茶のローファーといういで立ちだ。
「可愛いですね。ちっちぇえ頃のアーノルド様そっくりだ」
「皆スクルドに似てるっていうんだぞ……」
「目元なんかアーノルド様そっくりじゃないですか!」
ロキは間違いなくアーノルドに似ているのだが、まだ子供だからか眼が大きいのでスクルドに似ているように見えるのだろう。
ではまた、とアーノルドはロキを抱えたまま再び歩き出した。
♢
ロキが連れて行かれた場所は、所謂商店街だった。1つの店で大まかにすべてが揃うのではなく、幾つかの専門店を巡っていく。
ロキが思い返した某魔法学校の入学準備のようだ。とはいえ、杖も教科書も置いていない。しかし大鍋や薬草、魔物のものと思しき巨大な爪や鱗、毛皮などの素材。食器、ガラス、アクセサリー。ロキの興味を引くものが沢山あった。
ロキにしては珍しくそわそわして視界に入るものを片っ端から目で追っている。こんな子供っぽい面もあったのだなとアーノルドは思った。
「まずはここだな」
アーノルドが立ち止まった店の外観はかなり古かった。しかしマメに補修したり掃除したりしているのだろう、古いものがしっかりと残っている印象を受ける。掲げられた看板には『赤毛の魔女堂』と書いてあった。中に入るとほんのりとハーブの香りが漂っている。
「おや、アニー坊や」
「エン婆さん、うちの子がもうすぐ入学だから寄ったよ」
「前の子の時は来てくれなかったからねえ、亀になってしまうところだったわ」
アーノルドをアニーと呼ぶあたり、この店主はアーノルドとかなり親しいようだ。
ロキは店内を見渡す。どうやら薬屋と道具屋を兼ねた店舗らしい。珍しい色ガラスを使った小瓶に液体が入っている棚もあれば、金属製の大鍋や木製の大きなスプーン、乾燥させた薬草や生のままのハーブも置いてある。
ロキの目を引いた薬品入りの色付きの小瓶は、窓から差し込む柔らかな日光に照らされていた。
「キラキラしたものが好きみたいねえ」
「ええ……」
店内に気を取られてこちらを見ないロキの様子を見た店主が笑う。
灰紫のローブに身を包んだ店主は小さな蒼い小瓶を取り出す。アーノルドに小瓶を見せ、口を開いた。
「これは?」
「今回は、お代はいいからこれの材料を集めてきておくれ」
「ああ、わかった」
アーノルドはその瓶を見ただけで何が入っているのかを察したようだ。この店主は種類で瓶の色や形を変える。
ここで購入する予定になっているのは薬草関連の本と、小瓶をいくつか。
初等部ではほとんど実験をすることはないが、中等部に上がれば必要なものだ。ロキは特に興味を持ちそうなので、早めに用意して悪いことはないだろう。
ロキのために無色透明な小瓶を購入する。透明度の高いガラスはリガルディアではまだ高級品で、輸入頼りだ。外交を担当しているアーノルドがその事情をよく分かっているのは当然として、ロキもまたガラスが珍しいからこうして目を見張っているのだろう。
もっと高級なものにはクリスタル製のものがあるが、水晶はロキが扱うには魔力との相性が良すぎる。子供が扱うにはちょっと不安が残る代物でもあるため、アーノルドはガラスを選んだ。
「父上、その小瓶は?」
「ああ、エン婆の依頼だ」
ロキがアーノルドの手に渡った購入品以外の小瓶を見つめる。少し変わった雰囲気を纏った蒼い小瓶。装飾性が高いわけでもなんでもないのになぜこんなに目を引かれるのかはわからない。ロキは視線を店主に向けた。
「まさか、エングライア?」
「おや、……知っているのかい?」
「これ、ポーションベースですよね」
「おうとも」
カウンターからロキを見下ろしている店主は、朗らかな笑みを浮かべていた。
「今回も覚えているわけではないようだね。でも、そうよ、これはポーションベースさ。材料の薬草が少なくなってきて困っているの」
「……もう、ですか」
ロキが少し項垂れる。アーノルドはロキの頭をそっと撫でる。そもそもロキがどうしてポーションベースを知っているのかは問うまい。アーノルドはロキがこんな反応をするときは既にロキがそれについての情報を持っている時だと理解しつつある。
「ロキ、後で知っていることを教えてくれるか」
「父上のせっかくの休暇が……」
「それは構わん。陛下たちに何かあった時の方がリカバリーが利かんからな」
死徒列強第18席『呪い師』エングライア――呼ばれた名を否定しなかった彼女は、そっと茶を出してくる。
「エン婆さん、いったい何が起こっているんだ。ロキの事を貴女も知っているなんて初耳だ」
「おや。その様子だと、今回の紅狼は何も覚えていないんだね。銀狼が覚えていないのはいつものことだけれど」
エングライアとは、薬師でありながら列強入りを果たした人物である。種族は人間だが、寿命を捨てた長命個体だ。戦闘はそこまで強くないのだが、薬草の生産から行う薬師特有の特殊性と、扱える術式の影響範囲の広大さによる脅威認定であった。
ローブのフードをそっと払ったエングライアは、鮮やかな夕焼け色の瞳と、銀色と淡い桃色の髪の妙齢の女性であった。とても優しいおばあちゃんといった雰囲気の女性である。どうやら若干の認識阻害がかかっているらしい。
「“黒”がちょっかいを出しているのかねぇ?」
「“黒”がなんであるかを存じませんのでお答えできかねます。“黒”とは何者ですか?」
「おやまぁ。“黒”の正体を明かすのは私の仕事ではないねえ」
エングライアの口調から知っている人物なのは確かなのだろう。デスカルにでも聞いた方が早いかとロキは肩の力を抜いた。
「エングライア」
アーノルドが少し張り詰めた声音で呼びかけた。
「おや、どうしたんだい、イライラしてしまって」
「……エングライア。うちの子は浮草病を発症している。あまりアヴリオスから引き離すのは止めてくれないか」
「!」
エングライアはそれは大変だ、と言って席を立つ。少し待ってなさい、と言い置いて奥へ入っていった。
呪い師とは、呪いを扱う者ではなく、魔力を使った薬品生成技術を持った者のことを言う。エングライアはおよそ1000年ほど前から生きていると言われており、その頃からの知識の蓄積により、現在エングライアを超える呪い師はいないとされている。どうしても治らない病に、薬を提供してくれるという比較的人類への敵対心が低い列強だ。
「父上、そもそも浮草病って治るものなんですか?」
ロキはアーノルドを見上げて問いかける。アーノルドは小さく息を吐いて、首を左右に振った。
「時間が解決するとしか言いようがないらしい。発症した本人が、どれだけアヴリオスに定着できるかにかかっている」
アーノルドの答えはロキが知っている以上の解決策にはなり得なかった。分かっているのだ、時間をかけるしかないことくらい。
「お前なら大丈夫だとは思うが、な。あまり前世の話を持ち出すのは止めてくれ。いつ発作を起こすかと気が気ではないんだ」
「発作があるんですか」
「大体昏倒する。身体から魂が離れかかっている状態だからな」
つまり瀕死である。お前が熱を出して倒れる度に肝が冷える、とアーノルドに言われて申し訳なく思ったものの俺の所為じゃねえと反抗心を抱いたのは仕方がないだろう。ロキが反抗を口にすると、アーノルドは笑ってロキの頭を撫でた。
「よしよし、2人ともまだいるね」
土の香りがいっとう強くなり、エングライアが籠を持って戻ってきた。籠の中身は薬草類とハーブ、擂鉢と擂粉木だ。カウンターにそれらを置くと、試験管立てのような木製の枠と、太い試験管のようなガラスの入れ物を持ってきて、そちらに水を注ぎ始める。
かたん、と音がして、青年が顔を出す。その手には背の高い椅子が握られていて、どうやらロキに座ってほしいらしいことが分かった。
「よ、よかっ、たら……」
「わぁ、おにーさんありがとー」
ロキが子供っぽく振舞ってみせる。青年は安心したように顔をほころばせ、椅子を置きロキを撫でて去っていった。ロキが椅子に座り、アーノルドも差し出された椅子に座った。
「弟子か?」
「ええ、もの覚えがとってもいいんですよ」
「有望だな」
エングライアが擂鉢と擂粉木で薬草を潰し始めた。
「ああそうだ、紅狼。この子は魔力はもう扱えるの?」
「魔術にはならんが、何かを出すくらいならできるな」
「じゃあ火を用意してくださいな。後で水に魔力を流してもらうわ。この子の魔力だったら、火と大地の私では相性があまりよくないから」
魔力を込めながら薬草を潰していくエングライアの手元に、柔らかな光が灯っている。ロキはその光が魔力を表すものであることは知っているが、魔力として認識できているわけではないため、ただ幻想的な光景としか見ることができない。
ロキの前にグラスが置かれる。この中に水を出して、とエングライアが言う。ロキはグラスを手に取って、コップ1杯分の水を出現させた。
「あらまあ、練度が高いわねえ」
「ロキ、それまだ教えてないぞ」
「え、デスカルがよくやるのでつい」
どうやらロキが思っている以上に熟達した魔術師がやることだったらしい。慣れるまでは魔力の消費が大きくなりやすいのでこの方法でいろいろ試すと良いとデスカルに言われていたのだが、いきなり応用を教えられていたと考えれば魔力の消費が大きくなりやすいのは当然のことだと理解できる。
ロキが出した水をエングライアが擂り潰した薬草に混ぜて、別の容器へ。ビーカーのような容器に漏斗と濾過用の紙を置いて、薬草を濾過していく。出て来た濾過液は黄緑がかった色をしていて、火を、とエングライアに言われてロキが差し出された蝋燭に火を灯すと、プレートの下に蝋燭を仕込んで、上でビーカーのようなものを温め始める。同じように他の薬草もエングライアが擂り潰していき、弟子が温めている汁を時折かき混ぜていく。
料理みたい、と思いながらロキが作業を見つめること30分。温めた薬草の汁はすっかり色が変わっていた。魔女の〇急便をロキが思い出したのは偶然ではないだろう。
「製薬をそんな風に見つめられると、照れくさいねえ」
「料理みたいです。見ていて楽しい」
「おやおや」
淡い桃色、淡いブルー、シャンパンゴールドの3つの大きな試験管の中身。エングライアは、ここまで質の高い製薬ができたのは初めてだと笑った。
エングライアが3つの試験管の中身を混ぜ始める。またエングライアの両手に光が集まっていた。
ぽん、と可愛らしい音がして、3つの薬を混ぜた液体の色が淡い緑色に変化する。エングライアはロキに試験管を差し出した。
「飲んでごらん」
「……」
ロキは薬を受け取る。アーノルドを見上げると、毒ではないだろう、とアーノルドが呟いた。飲んでいいという事らしい。解析魔術でも掛けたのだろうか。ロキは薬を飲み干した。
「……甘い」
「自分の魔力は馴染むからねえ。味は付いていないんだよ?」
「そうなんですか」
魔女〇宅急便を思い出したのは、様子がよく似ていたからだろうか。アーノルドに頭を撫でられて、ロキは笑った。特に体がきついとか苦しいとかいう事も無かったので、様子を見ている間にアーノルドが、ロキのための小瓶や鍋を購入し、エングライアはロキと交流を深める。一緒にあやとりをしていたら仲良くなれた。
「思い出したら、教えておくれよ?」
「思い出したら?」
「ええ、ええ、きっといつか貴方は思い出すからねぇ」
優しいおばあちゃんといったら丁度こんな人を言うのだろうなとロキは思う。ふと、ロキは今でも時折アンリエッタが調合してくれる薬の事を思い出した。
「エングライア、俺たまに薬飲んでるんですけど」
「おや? 人刃に薬がいるって判断できる子は少ないからねえ。どの子だい?」
「アンリエッタ・ブラスティという方なんですが」
「ああ、アンリエッタ。どのレシピかはわかる?」
「そこまでは……」
やはり飲み合わせがあるらしい。どうしよう、とロキが口を噤むと、アーノルドが口を開いた。
「赤毛の女性が店主をしているらしい。材料はこれだ」
「ああ、これで赤毛なら王都に行った子だね。今回の飲み合わせで問題ないよ」
ロキはほっと息を吐く。アーノルドも小さく息を吐き出し、エングライアはそう緊張しなくても大丈夫さと笑った。
♢
アーノルドがロキを抱えて商店街を歩き回る。必要な物を揃えながら、アーノルドは情報収集がてら店主たちと喋っていた。ロキはエングライアが言っていた、アーノルドに頼んだという薬草の収集について考える。
(エングライアのこれは、クフィ草の回収イベントだな)
クフィ草という、強力なポーションを作るために必要な薬草が存在する。この薬草は使い方によって効果が変わってしまう。ロキの記憶が正しければ、クフィ草の回収イベントは本来『イミドラ』の主人公であるハンジが16歳の頃に起きる大規模な環境変化として現れる。クフィ草は直接体内にクフィ草を取り込むことのできる種族にとっては悪いものではないのだが、人間にとってはちょっと強すぎるようで、クフィ草が必要なくらい強力なポーションが必要であるのに、その原因が群生したクフィ草による魔力酔いだ、なんてことが起きるのである。
なお、人刃は直接クフィ草を食べられる種族であるらしく、エングライアの薬を常備はできないので、サラダに入れてもらいなさいなと助言を受けた。生の方が魔力を多分に含んでいるため、生の野菜を食べられるサラダに混ぜると、ロキくらいの齢の人刃の子供にとっては良い魔力の摂取源となるようだ。
なお、『イミドラ』の中では、このクフィ草イベントをこなすかどうかで、とある人物の裏切りの可能性が変動する。アーノルドにはあまり思い出してほしくないと言われてしまった前世の記憶は、それでもロキの中にしっかり影を落としている。別にロキの人生が始まって途中で前世を思い出して人格が混じったとかではない。ロキは前世の名をはっきりと覚えていたし、自分自身が何者かと問われればロキ・フォンブラウであり、高村涼である。高村涼の記憶をはっきりと持っている限り、浮草病の発作の危険から逃れられないというのなら、ロキはずっと逃れられないのかもしれない。
ロキが浮草病で死んでしまったら、アーノルドもスクルドも悲しむだろう。アーノルドはロキを生かそうと必死だし、それはエングライアに噛みついたところからも窺える。ちゃんと、アヴリオスに馴染めるだろうか。ロキは少し不安になった。
とんとん、とアーノルドがロキの肩をつつく。ロキが振り返ると、アーノルドに頬をぷにと押された。
「……!?」
「ロキ、あまり難しいことを考えなくていい」
顔に出ていたらしい。アーノルドがロキを抱え上げ、ロキに護身用の武器を買ってやろう、と言う。ロキが少し目を煌めかせたのは、血筋としか言いようがない気がする。
「護身用ならやっぱりナイフ……?」
「どうせなら2本くらいあると楽だぞ」
親子2人でそう言葉を交わしながら。
今日だけは父親と2人きりで。
――ゆるり、水面に浮く草から伸びた根を絡め取らんと、葉を伸ばすはカキツバタの如く。
そこに浮いていたら枯れてしまうよ。
だからほら早く、降りておいで、世界の剣、若き狼。
エングライアは呪った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




