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Imitation/L∞P  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
セネルティエ王国留学編 1学期
272/377

11-4

2025/04/25 編集しました。

「これから1週間くらいかけて、クラス内で戦って個人の戦闘技量を見る。形式は模擬戦、魔法の使用は不可、魔術の使用は可。リガルディアが全体的に有利そうだから、ハンデを設けてもいいか?」

「構いませんよ」

「むしろロキ様進化個体なんでがっつりハンデ掛けちゃってください」


ネメシスの言葉にロキが返し、すかさずナタリアが言う。進化個体とは、これ如何に。カミーリャは突然降って湧いた概念に驚いたが、そういえば魔物は進化するのだった。人間もかつては進化の概念が存在していたことを思い出し、ロキは先祖返りなのかな、と思った。



模擬戦の会場は訓練場で、このクラスは一番人が少ないので一番小さい訓練場を割り当てられているとのことだった。中央付近で乱戦気味に戦うとのことで、なるべく技量が近いであろう者と組ませてある、とネメシスが言う。


ロキはアレス、ランスロット、ガウェイン、モードレッド、そしてカミーリャと。プラムと同じグループに居るのはゼロとタウアで、あのチームはゼロかタウアのどちらかが一番になるだろうなとロキとカミーリャは思ったものである。


「では改めて、武器は1本、魔法は無し、魔術は有りだ! はじめっ!」


ロキはハルバード、アレスはグラディウス、ガウェインとモードレッド、カミーリャはシンプルなロングソードを構える。ロキが虚空からハルバードを取り出したのを見て、周りの生徒たちが感嘆の声を上げた。アイテムボックス持ち自体はそこまで珍しくないだろうに、とはロキの言である。


「珍しい型のハルバードですね、ロキ」

「腕のいい鍛冶師に作ってもらったんだ」


その鍛冶師が誰だったのかなんて覚えちゃいないのだけれども。ランスロットの言葉にロキが答える。現在ランスロットはギャラハッドをベディヴィエールに任せているらしい。


バトルロワイヤル状態にしては色々とロキに不利だ。ロキはここにいる全員の実力を知らない。カミーリャと目が合った。


「ネメシス先生、誰かと手を組むのもアリですよね?」

「ん? 勿論。単独じゃ戦えない奴だっているだろ?」


ネメシスの返答に満足したロキは、真っ直ぐカミーリャの方へ向かう。カミーリャも察して近付いてくる。ランスロットとガウェインが走り込んできた。


アレスとモードレッド側でそれぞれ魔力が膨大に膨れ上がる。ランスロットがロキと、ガウェインがカミーリャと剣を合わせた。


「ぐぅ……!」

「ランスロット殿はまだ粗削りだな」

「なんの!」


ランスロットが力で押そうとするとロキが上手く力を抜いてくる。カミーリャがロキのすぐ後ろにいるので、下手をするとカミーリャの向こう、ガウェインの方に投げられる気がする。


カミーリャはガウェインと鍔迫り合いの後、大きく踏み込んでガウェインに力押しを仕掛ける。ガウェインがカミーリャの押し込みを流すと同時に、足元に見たことのない魔法陣(コード)が浮かんだ。


「!?」


普通に考えてトラップだと判断したガウェインは決して悪くない。が、その位置は今のガウェインが一番しっかりと踏み止まれる場所であって、そこを外すとカミーリャの次の一撃を受け止めきれない。ガウェインは大きく飛び退いた。カミーリャは魔法陣(コード)を踏んでも何ともなかった。


カミーリャがちらっと振り返ると、ランスロットも大きく飛び退いている。カミーリャの目の前で起きたことを恐らくランスロットもされたのだろう。ということは、今の魔法陣(コード)を描いたのはロキだろう。


「……ロキ君、帝国語も分かるんですか?」

「ええ、周辺国の言語は一通り」


流石リガルディアの公爵令息と言ったところか。術式を帝国語で書いてカミーリャには見えるようにしていたのだろう。カミーリャは踏み込んだから魔法陣の術式に使われた文字が読めただけだが、あの一瞬の間にセネルティエ語で書かれていなかった術式を、ガウェインとランスロットは読み解けなかったのだろう。カミーリャが踏み込むと同時に術式が変わったのも見えたので、ロキは状況に応じて術式を逐一変更できる人物であるとカミーリャは理解する。生憎とカミーリャの周りに魔術が使える者と言えば母しかおらず、その母も身体があまり強くなかったこともあり、カミーリャに魔術を見せたことはほとんどなかったので、ロキがどれほどのスペックの持ち主なのかの判別は付かないのだが。


「……まじか」


ネメシスの小さな呟きと、それを聞いて冷や汗が浮かんだガウェインとランスロットは悪くない。そして、魔力をしっかりと練り上げたアレスとモードレッドがロキとカミーリャめがけて突撃してくる。


「アレス側、避けて」

「はいっ」


ロキがすぐに指示を出したためカミーリャはそれに従って回避行動に出る。アレスが目が悪そうなのは何となくカミーリャも分かっていたので、モードレッドよりもアレスの方に回避行動をとる。モードレッドもそんなことは分かっていたようで、カミーリャを追う。


「逃がすかァ!!!」

「くっ、」


流石加護持ちと言ったところか、モードレッドの方が動きが早い。カミーリャの回避先に魔術を()()()()()


「【位置変更(スイッチ)】」


ロキが何か言った。カミーリャの回避行動は読まれていた、魔力を迸らせた剣がカミーリャに迫る。が、その剣はカミーリャに届かない。


「あ?」

「モーさん、邪魔だっ!」


アレスが叫んだ。アレスの前に居たはずのロキがいない、ロキとモードレッドの位置が入れ替わったことにアレスは気が付いた。


「うわーっ!?」

「ッ!!」


アレスは残念ながら距離感がつかめないのが実情らしい。モードレッドが慌ててアレスの剣を受ける。加護持ち同士が魔力を大放出状態で切り合ったも同然の状態で、魔力の衝撃波が発生し、すさまじい衝撃波が起きる。


「ぐぁっ……!」


モードレッドが吹き飛んだ。その先に白い粉が降り積もり、モードレッドはその中に突っ込んだ。


「冷てえ!」

「感謝は要りませんよ、思った以上にダメージ入っちゃいましたね」

「てめー、正々堂々戦えよ!」


ロキが答えたことでモードレッドは一連の元凶がロキであることを悟ったようだ。本来地面に何度も打ち付けられるはずだったモードレッドの身体を包んだ白い粉は雪だったようで、モードレッドもさほど怪我はしていなかった。


「モードレッド、脱落」

「ああ!? まだ俺はやれるぞ!?」

「今のは流石に致命傷になっただろうな。お前よりアレスの方が攻撃力は上だしな。アレスも加減したけど、今のはロキがお前にバフを、アレスにデバフを掛けた結果だ。流石にあれ死んでるってお前」

「はあああ!?」


ロキの仕事が多すぎないかなと一緒に戦っていた全員が思ったようで、ロキを見る。ロキの視線は明後日の方を向いていた、白々しい。いろいろやったとみて間違いない。


「……魔術師舐めてたわ」

「頭使うやつとの戦いは苦手なんですけど……」

「迂闊に攻められなくなっちゃいました」

「しかし攻める以外にないぞ」

「……君を敵に回したくないです」

「全員から嫌われつつある……やりすぎた……」


順にモードレッド、アレス、ガウェイン、ランスロット、カミーリャ、ロキの台詞である。恐らく今回はやっていないだけで、最初のランスロットとガウェインの位置の入れ替えも出来たはずである。


「あー、やるっきゃねー」


怠そうに呟いたアレスがカミーリャを狙って踏み込む。


「あー、アレスには気付かれましたか」

「どうしたんですか?」

「軍神の加護持ちって、術式を形成する魔力を切断できるんです。加護持ち本人が意識しないと使えないですから、さっきは彼が魔力を放出しているときにやりました。もうあの手は使えなさそうです」


ロキの言葉を一通り聞いて、カミーリャはアレスの剣を受け止めた。重たい、と思った。この重さをカミーリャは知っている。


「鬼にも勝る、か……!」

「鬼と比べんなよ……」


格が違うから、とアレスが呟く。訓練場の地面が一部めり込む。どんな踏み込み方だ、と思うより先にカミーリャは避けた。カミーリャの技術で受け流せる段階を越えている。ロキの方はランスロットとガウェインの攻撃をハルバードで受け流していた。


「ッ!」

「せっ」


アレスが地面をグラディウスで削って、振りかぶる。カミーリャに砂がかかって、目に砂が入った。幸い片目で済んだが、受け身を取り切れなかったカミーリャにアレスがそのまま蹴りを入れる。一瞬青白い光がカミーリャの前に現れて、アレスにそのまま蹴られて割れたものの、カミーリャの身体に走った衝撃はあまり強くなかった。


「ぐっ……」

「まだ立てそう?」

「……ッ、はい」


カミーリャは立ち上がってロングソードを構える。左目がゴロゴロする。涙が止まらない。アレスが構える。


直後、アレスの脳天にバルディッシュの如き大斧のハルバードの一撃が振ってきた。アレスが振り返ってハルバードを受け止める。ハルバードはそのまま地面に落ちて、がらんと音を立てた。


「……降参だ」


アレスが言う。


「アレス、降参」


ネメシスの声に皆が驚きの声を上げる。アレスはそれだけ強いという事だろう。

カミーリャの目には、ロキが走り込んできたのが見えた。ハルバードはブラフ。ロキはアレスがハルバードを打ち払うのと同時にアレスの脇腹に肘を入れた。だが、それだけでどうこうなるほどアレスは弱くはないはずで、カミーリャはおろか周囲で見学中のプラムたちでさえぽかんとしていた。


「アレス、何故だ!?」


女生徒の1人が声を上げる。アレスはグラディウスを下ろして、ロキはアレスから離れた。


「馬鹿言うな、今こいつ俺に肘入れたろ」

「お前がそれくらいでやられるわけがない!」

「こいつは人刃だろ? しかも進化個体って、ナタリア嬢? が言ってたじゃんか……。それ、こいつは伝説に出て来るような人刃と同じ性能ってことじゃねえの? あのまま肘から刃でも出てみろ、俺死んじまうよ」


アレスの言葉に女生徒が黙った。カミーリャがガウェインとランスロットの方を見やると、2人とも倒れていた。いや、地面に縛り付けられているようだ。薄らと茨のようなものが2人の首に巻き付いているのが見える。


「ランスロット、ガウェイン、それ抜けられそうか?」

「む、無理です……」

「私だけ氷の()()()も使われたのですが! 魔法の行使が許可していただけるならば、すぐにでも抜け出して見せましょう!」


ガウェインは流石と言うべきか、まだまだ元気そうだ。ランスロットの方は剣が手から落ちている。ランスロットの手にも小さな茨が巻き付いており、ランスロットはこれに握力を奪われたのだと分かった。2人の身体に巻き付く茨の中央に【スリサズ】のルーン文字が見える。ガウェインにはついでに【イサ】のルーンもあった。


「魔法はだめだ、ガウェイン。で、どうだ?」

「無理です。自分の力だけではこの拘束を抜けられません」

「流石にロキ神の加護持ちとじゃ相性が悪かったか」


ネメシスが苦笑を浮かべる。


「ランスロット、ガウェイン、脱落。さて、カミーリャ、ロキ、どうする?」

「すみません、降参します」

「おし、カミーリャ降参。目に砂入ってたよな、しっかり流水で砂粒洗い流すんだぞ」

「はい」


ロキがルーンを消すとランスロットとガウェインが起き上がる。タウアがカミーリャに駆け寄る。手にはタオルがあるが、流水を使うなら一度訓練場を出る必要があり、次の組に入っているタウアでは時間が足りない。


「タウア、お前次だぞ」

「っ」

「タウア、いってきて。水場は訓練場を出ないといけないから」

「……すぐ戻ります」

「だめ」

「……」


タウアが少し膨れたのは見間違いではないだろう。戻る途中のロキが言った。


「俺が連れていきますよ。君がうちのゼロと仲良くなったのに俺が彼と仲良くなっちゃいけないなんて道理はないでしょ」


いつもカミーリャとロキが2人になる時間を短くしようと奮闘するタウアを知っているロキとしては、たまには意趣返しをしてもいいだろうと思うわけで。ゼロが宥めてタウアを連れて行った。


「タウア面白いことになってますね」

「あはは……」


カミーリャが苦笑する。ロキはネメシスとギーラの許可を取って、カミーリャを水場へと連れて行った。



「ありがとうございます」

「いえいえ、俺も反応が遅れてしまったので」


カミーリャが無事に目のゴロゴロがなくなったと宣言するまで流水で目を洗った後、少しロキとカミーリャは言葉を交わした。


「あれが、ロキ君の戦い方なんですか」

「……そうですね、最終的にはあの形になると思っています」

「最終的?」

「今は結構力のゴリ押しもやってるんです。周りに加護持ちがあまりいないせいもあるんですが」


ロキの周りには案外加護持ちが少ない。きょうだいであるフレイやスカジ、トールと訓練をしていた頃は、全員そこまで大きくなかったことや、加護を上手く使いこなせなかったこともあって、今回のような激しい戦闘をしたことは無かったのだという。


「加護持ちは、すさまじい力を持っていると聞いています」

「ええ。今回ネメシス先生が魔法を禁じたのは加護持ちの所為です」

「そうなんですか?」

「加護持ちは加護を与える神霊や英霊の魔力を一部借りることができますから、最低でも2人分の魔力を相対した者は受け止めなければならない。子供にそれをさせるのは酷だという事なんでしょう。それに、単純に人間の加護持ちならばいいですが、俺は進化個体で人刃で加護持ちです。あの中なら耐えられるのはアレスとランスロットくらいじゃないですかね」


カミーリャの知らない世界が広がっている。ロキは加護持ちについて持っている知識を披露してくれた。加護持ちが引き出せる神霊や英霊の魔力はその加護持ちの神霊や英霊との親和性に起因すること、親和性の高い加護持ちはそれだけ弱点も強化されやすいこと。この場合、ランスロットなら裏切り行為又は女性関係で破滅する可能性が高いと言われて、カミーリャはランスロットの安泰を願ってしまった。


アレスは巨人族と戦ったら負けるかもしれないが、分からないね、とのこと。

ロキは、義兄弟を裏切りでもしたら死ぬんじゃないかな、と笑う。


「ロキ君、それ笑い事じゃないですよね」

「……やっぱり、帝国内では確実ってことですか?」

「……」


カミーリャははっきりと答えられない。けれどその沈黙が何よりも肯定しているとロキは微笑んだ。


「ええ、このままなら確実に俺は義兄弟と戦争することになるでしょう」

「死ぬって言ってるようなものではないですか」

「しょうがないですね、スカジ姉上と、ガントルヴァ帝国第2皇子オーディンの婚約は、確実なところまで来ていますから」


オーディンの名を持つ者をロキの名を持つ者が裏切る行為は、ロキにとってはそのまま命取りになりかねない。帝国の中央貴族が、帝国の意志にそぐわない行動ばかり取るリガルディア王国を潰したがっていることを知っているカミーリャは、戦争の火種にロキが利用されるのではないかというところまで思考が飛んだ。


「まあ、どうにかなるでしょう、というか、多分父上と陛下がどうにかしてくれますよ」


あっけらかんと言い放つロキのその姿が、なんだか変にはっきりと目に焼き付いた。



カミーリャとロキが訓練場に戻ってきたとき、戦っていたのはタウアとゼロだった。タウアは拳で、ゼロも拳で戦っており、ロキが言うには、ゼロが珍しく本気を出しているそうである。2人とも上着とシャツを脱いでいたので、本気モードだ。


とはいえ両者かなり削られているようで、荒い息をひとつ吐いて、互いに殴り掛かる。ほぼステゴロの喧嘩状態になっていた。


「あ」

「ありゃ」


カミーリャとロキの声がほぼ同時に上がる。タウアとゼロの魔力が一気に膨れ上がった。ビキ、バキ、と互いの腕からしてはいけないような音がする。タウアの両腕が赤黒く変色し、ゼロの腕に鱗が表出した。


「ブルァア!!」

「ガアアアアッ!!」


拳を打ちつけ合い、ゼロの鱗が逆立って、タウアの表皮に食い込む。摩り下ろすように肉を削られ、タウアの腕から血が流れた。そのままタウアがゼロの顎に一撃。ゼロは歯を食いしばって、タウアの顔面すれすれに頭上から拳を振り下ろす。地面にいくつもクレーターができているのは、どちらかが拳を振り下ろしてできたものなのだろう。


「た、タウア!」

「ゼロ、殺すなよ」


周りの生徒たちが蒼褪めている。ロキ達の戦いは派手なのと戦局がめまぐるしく変化してついていけなかったが、こちらは殴り合っているだけであることもあってついていける者が多いのだろう。それで余計に血みどろになっているのが理解できる、といったところか。


タウアの腕は、鬼の腕なのだろう。どくどくと脈打って見えるので、カミーリャが言う戦わせたくない理由がこれだとロキには察せられた。

ネメシスが結晶時計を見ている。恐らく区切った時間ぎりぎりまで粘らせるだろうが、もうそこまで猶予はないようだ。


タウアとゼロが互いに蹴りを放つ。膝で受け止め合う形になって、身体が小さいタウアの方がすぐに体勢を立て直した。そのままゼロの鳩尾にタウアが拳を叩き込む――。


「そこまで!」


ネメシスの声に、タウアの動きが止まる。ゼロの動きも止まった。


「勝者、ゼロ。いやー、白熱したな!」

「君のエルフらしさはどこに行ったのかネ」

「ダークエルフ寄りなんで」


ギーラのツッコミにネメシスはそう返して、タウアとゼロに回復魔術を掛ける。


「タウア!」

「ヴゥ……」


へたり込んだタウアは回復魔術で出血が止まり、ロキがいつの間にか用意していた濡れタオルで乾いた血を拭った。ゼロを放置しているあたり、ロキは流石人刃といったところか。魔力で水を生成したロキが、血と砂で汚れてしまったタオルを洗って、もう一度タウアの身体を拭いてくれる。傷は塞がっているのだが、カミーリャはタウアをぎゅっと抱きかかえて壁際に蹲った。


「?」


ゼロがはてなマークを浮かべているので、とりあえずロキは新しいタオルをゼロに投げる。ブランケットを出してカミーリャに掛けてやると、礼を言ってタウアと一緒にくるまった。


「おーおー、そっか、合成物なら怪我したら命とりだったかね」


ネメシスの言葉にギーラが返す。


「主従で意見が分かれているといったところではないかな」

「あー、なるほどなあ」


あれ大丈夫なんですか、と生徒が問う。ネメシスとギーラは、平気だ、と返した。


「帝国の人間はああいうのには慣れていないのだよ。さあ、次のグループ、中央へ」


そのまま時間いっぱいそのグループが戦った。授業時間の終了までにはタウアも平常に戻っており、カミーリャの横にぴたっとくっついていて、ロキとゼロが横に来た時には、うげ、と言いたそうな顔をしていた。案外平気らしい。


「さて、もう時間だから今日は終わりだ。シャワーがあるから浴びたら教室に戻って来い。次の時間は休憩だ」


ネメシスの言葉に、教室にわざわざ戻らなくてもいいじゃん、というツッコミは起きなかった。


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