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Imitation/L∞P  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部2年前期編
192/368

7-23

祝ブックマーク140件!

ありがとうございます。


2025/01/10 加筆修正しました。

中間テストの結果、サロンが解放され、生徒たちは割り振られたサロンで勉強することが増えた。これは2年、3年は特に次年度まで続く割り振りなので、皆必死に頑張った。ロキは特段頑張ったわけではないけれども、カルと同じ割り振りとなった。致し方なし。



精霊学、という講義がある。これはロキ達の学年において必修科目であり、精霊について学ぶ講義となっている。


ロキはドゥーやヴェンのこともあって、精霊という存在が近かった。精霊学では精霊魔法についても学ぶので、精霊が視える生徒と視えない生徒の差が大きくなっている。


メビウスはどの生徒にも懇切丁寧に教えているのだが、精霊が視えている生徒と視えていない生徒では言われていることの理解度が段違いなのだ。メビウスはそうなることも織り込み済みで講義をやっているので、どうしても理解度が低くなる精霊が視えない生徒を主軸に置いた講義となっている。


成績の良し悪しは、視えているか視えていないかの問題の他に、精霊との相性の問題があるため、あまり気にしないようにとメビウスは生徒たちに語った。


精霊学前期の最後に行われる試験は、ペーパーテストではなく、精霊召喚試験である。精霊は普段生徒達の視界にちらちらと映っている光の粒なのだが、召喚で呼び出す精霊はそれよりもずっと上級の精霊である。


通常精霊は様々な動物の姿をしているものなのだが、最上級の精霊ともなってくると人型を取るようになる。この限りでないのが人工精霊と上位者で、人工精霊は生まれた時は光の粒だが、成長してくると人型を取るようになる。上位者に至っては、生まれた時からそもそも人型だったり、人型の者よりも強力な動物型の者が存在する。アヴリオスのルールで存在する者たちではないので当然だとメビウスは語った。


また、メビウス曰く、人型を取ることと人間に友好的であることはイコールではないので、十分注意して接するように、とのことである。


さて、現在ロキにはドゥー、ヴェン、シド、ナツナ、カルディア、リオことドルバロム、仮契約止まりとしているルビー、サファイア、エメラルド、トパーズ、ダイヤの11人の契約精霊がいる状態なのだが、これ以上契約精霊が増えるのもどうなのだろうという話だ。しかも今後契約する可能性が高い者としてまだデスカルとアツシも残っている。


ロキは何とか逃げ切れないかと教員に交渉してみたが、無理だった。いわゆる期末テストに該当するため、逃れる術はなかったのである。

これ以上精霊が増えるのは怖いんですけどと訴えてみたが皆およそ君を害する気はなさそうだしいいんじゃない? というその時丁度来ていたレイヴンによってバッサリ切られたのだった。


レイヴンもロキに対して全く遠慮がないが、それにはぁい、程度で流してしまうロキもロキである。


「で、もう期末テストに該当する召喚試験があってるわけですが」

「召喚系の授業2つあったよね」

「召喚獣は来年だろ」

「今回は精霊だぁ」


ソルたちは口々にどんな精霊が来るかなあと話し合っていた。世界回帰とかループとか呼ばれるモノの記憶があったとしても必ずしも同じ精霊が応えてくれるわけでもないのと、必ずしもこのテストの結果を覚えているわけではないことからこんな話題になったようだ。


精霊には種類がある。

“火”、“水”、“風”、“土”の基本四属性の他に、“光”と“闇”の双極属性がいる。基本的には魔術で扱う属性と同じく、この6種類のうちのどれかに分類される。分かりやすいので当然といえば当然かもしれない。


たとえばだが、ドゥーことドゥンケルハイトは基本的に“闇”と呼ばれる属性に分類され、基本の色は黒である。彼女は詳細に属性を見れば“腐敗”と“空間”と“精神”の3種類を持つ。“闇”属性は特によろしくないとされるものや分類しきれなかったものを包括した属性であるため、内訳詳細を見ると非常に種類が多い。ロキの“変化”属性も幻影とか名付けられて、人を惑わせるものとして闇に分類される。実際闇属性の最高峰であるドルバロムが使えるのだからそうされても仕方がないのだろうが。


ではそのドルバロムは如何かというと、これは本来ただの規格外であり、全ての属性を持つものである。これは“空間”を基本としている闇竜の特徴であり、その空間からマナが消えることでその属性を扱えなくなっていく。ドルバロムの唯一の同世代の闇竜が扱える属性の中にないのが“創造”と“破壊”であるという。ロキはこの話をドルバロムから聞いただけだが、デスカルからの補足を入れるならば、”創造”と”破壊”は概念であって、『主観』というものを持ち合わせている人類や神族を含む種族にしか扱えないものだとのこと。闇竜は間違いなくこの世界で最強の種族であり、神を越えた範疇にいる。


神ですらも空間は先にそこにあったとされているのだから。


闇竜が如何にして生まれたかについては諸説あると言われ、ドルバロムの話から行くと意識を持った瞬間に存在が結ばれたのではないかという話になって、宇宙はいかにして生まれたかという地球での話を思い出してロキは考えることをやめた。

そんなのは科学者に任せておけばいい。


ただし、この世界の世界樹より先に闇竜が生まれたのは間違いないとのことだったので、要するにスケールでかすぎてよくわからんが闇竜が全部最初にいるってことでいいじゃないかとバッサリ切ったのだった。


ヴェンは“風”の精霊だが“熱”も持ち合わせている。熱風、冷風の調節ができるということだった。


シドことアウルムは“土”属性精霊に入るが、メタリカ自体は“金属”精霊である。アウルム個人で言うならば“日”も持ち合わせる。命を生み育む属性とされ、魔物の卵割り機表現はここに該当する。


カルディアはこれといった属性は持っていないのだが、一応“影”という闇属性の一種を持っている。


ルビーは“火”を、サファイアは“水”を、トパーズは“土”を、エメラルドは“風”を、ダイヤモンドは“強化”を併せ持っている。


精霊というのも個体によってさまざまなのだ。


デスカルは神格の件もあるが、基本は“風”で、彼女は“病”“死”“破壊”の3つも併せ持つ。彼女の属性から見ればわかるが、基本彼女は精霊として温度調節はしない。兄妹に氷と炎がいるのだから彼女がする理由も特にない。


そしてナツナ。彼はほとんどロキの傍に居ないが、原因は極端に気温が下がるためである。

彼の属性は“氷”がメインで、“熱”“水”“酸”“海”である。特によくわからない4つ目の属性についても問い質したいことが沢山あるのだが、はぐらかされて逃げられたロキである。


属性は多すぎて覚えなくていいと言われているが、大体系統で6つのうちどの属性に入るかくらいは理解しておけと言われて覚えたのも記憶に新しい。人間の分類では分けきれないものもあるため、厳密には分からないのだが、特に分かっておかねばならないのは精神干渉系の魔術なので、闇についてよく学ばねばならないのだとされる。


ロキはソルたちの名が呼ばれていくのを眺めていた。


「ロキ様、逃げられなかったですね」

「ああ……これ以上増えられても困るんだけど」

「まあ、今の時点で結構いらっしゃるものね」


ロキと同じく名前順のため後に回っているロゼが笑う。


ロキ以外にも既に精霊を連れている者はいたが、それでも力の弱い精霊だった。


精霊は最上位、上位、最上級、上級、中級、下級の6種類に分けられる。上が多いなあと思っていた生徒もいるようだが、ロキからすればまあ、ドゥーやヴェンとドルバロムやナツナを一緒に扱えと言われているようなものなのでそりゃ分かれる、と思っている。


カルは先に召喚の儀を終えて、光属性の金色の瞳の猫を連れていた。

リインと呼んでいるので愛称だと思われる。


「この子はケットシー型かな?」

「ああ」

『おおー。ネロ様ですにゃ?』

「ん?」


ネロキスクから取られたネロだということに気付いたロキははたと気付く。


「……」

「どしたのロキ」

「……ネロ。黒。まじかー……」

「あー、今更気付いたんだ。アンタならすぐ気付くと思ってたわ」

「くっ……」


ロキの反応を一通り眺めていたリインは口を開いた。


『ドゥーの後見を任されていたこともありましたにゃあ。ネロ様の許で育っていた彼女はとても良い子でしたにゃあ』

「……それは、なんだか嬉しいね」


リインはその辺りにいる精霊と違い、呼びかけを受けて初めて出現した精霊であるため、この世界が回帰していることにも気付いていた。


「ループの事情を知っているのか。これは心強いな」

「他の精霊たちもですか?」

『にゃー、かにゃり回帰に巻き込まれているからにゃー。あの子も頑張ってるにゃあ。あの子だけが悪いんじゃにゃいよん。上級精霊はみんにゃ覚えてるはずだにゃあ』


上級精霊、と言われてドゥーとヴェンを見上げたロキは、2人は最上級だったことを思い出す。

ちなみにリインは最上級光精霊(リヒト)だった。


セトがソルたちと共に戻ってきて、セトの傍には鳥人のような青年がいた。

ソルの肩にはトカゲが乗っかっている。


「ただいまー」

「おかえりー」


セトは上級風精霊(エアリアル)のフゥ、ソルは上級火精霊(サラマンダー)のサリィと紹介した。どいつもこいつもロキをネロキスクだのネロだの呼ぶのでロキは途中でぐったりしてきた。お願いだからロキって呼んでくれ。俺は何者なのさ。


「ロキ・フォンブラウ!」

「あ、はい」


ぐったりしていたところで名を呼ばれたので慌てて召喚陣の方へ向かう。メビウスが何か同情的な目でロキを見ているのが気になったが、ロキは何も言わずあらかじめ一律で用意されていた呪文を口にする。


「我が魔力を見初めし者よ。我が声に応え、姿を現せ――【召喚(サモン)】」


さっさと終わらせたくなったのは仕方がないと思う。ルナの下級光精霊(ウィルオザウィスプ)のライトは良いとして、ハンジの最上級光精霊(リヒト)セティやナタリアの最上級闇精霊(ロスクリタ)エドゥリア、また転生者の精霊のみならずマルグリッドの最上級水精霊(ウンディーネ)やバルドルの最上級光精霊(リヒト)もロキの所へ挨拶に来る始末だったのだ。疲れたに決まっている。何せ自分は覚えていないのだから。


そして、少しばかり粗暴になったためだろう。

召喚には必ず召喚陣が必要になるが、その召喚陣を崩壊させる勢いで光が溢れた。


「!?」

「まあ、ましな方か」


メビウスの言葉にロキが驚く番である。今までの召喚はここまで強烈な光を放ったことはなかったではないかとロキは思う。サポートの教員を見れば、教員の方は驚いて陣を凝視していた。


直後、炎に包まれた青年が2人、現れる。人型というのは総じてランクが高いことが多い。上級以上は確定だろうなとロキは思う。まあ、上位精霊が来ても驚きやしないが。


もう来るなら来やがれ、である。


炎が晴れて、2人の青年はあっさりと陣から踏み出した。上位精霊だ、と教員が声を上げた。本来は契約を結ぶまで精霊は陣から出ないのだ。姿が見えなくなってしまうから。


「初めまして! 俺はクシャルダス。見りゃわかるけど火属性な!」

「某、ヴルマギアと銘打たれたものにございます。是非とも、貴方に使っていただきたい」


熱烈だねえ、とドルバロムがどこか他人事のように呟いた。


「えと、ああ、よろしくな、クシャルダス、ヴルマギア」


半分混乱状態のロキが名を呼べば、あっさりと契約が結ばれた。突如ルビーたちが姿を現す。


『ズルいですっ』

『僕たちまだ本契約結んでもらえてないのに!』

『いいなぁ~』

「でも今までの順番で言ったら次は俺とこいつの番だったんだぜ? 恨みっこなしだろ! それにナツナの野郎とのバランスもあるしな!」

『『『『『でもズルい!!』』』』』

「はっはっは。皆様も追々本契約に移ればよろしいではありませぬか。我らは刃。故に盾は金人にお譲りします故」


ロキは「疲れた」といってさっさとソルたちの方へ戻ってしまった。暑苦しいのと侍口調のが増えた。


「ロキ様、すいません彼ら上位精霊じゃなくて最上位精霊でした」

「もう知りません勝手にしやがれください」


ちなみにロゼが召喚したのは上級混交精霊(ハイブリッド)のマグマだった。

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