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2024/11/16 加筆・修正しました。
2024/11/28 誤字修正しました。
掃討戦の2日後、ロキが早朝に動き出したことに気付いたフレイは、エントランスに先回りして弟を待つ。ロキはゼロを伴ってエントランスに現れた。
「ロキ、どこへ行くんだ」
「フレイ兄上」
ロキがローブ代わりのジャケットを身に着けている。普段のロキは冬でも基本的に薄着である。氷属性や火属性の高い耐性を持つ者は気温変化や気候変動に高い耐性を持つため、年中同じような服装でいることが多いのだ。
かくいうフレイも高い火属性耐性のために年中薄着だが、ロキほどではない。ロキは凍土を半袖で歩けるはずだとアンリエッタから聞いている。
そんなロキが装飾いっぱいの冬用ジャケットを着ているのは、基本的に防寒ではなく魔術の効果を高めることを狙ってのこと。シドではなくゼロを伴って行こうとしているあたり、交渉事ではなく雑務または戦闘である可能性が高く、着込んでいるということは魔術を使うつもりだろうことが予想された。
「気になっていることがあるのです。その調査に行こうかと」
「調査、か。本当にそれだけで終わるのか?」
「そこは分かりません。どうなるかわからないからこの服装なんです」
ロキは笑みを浮かべて答える。ロキはフレイに対して敬語で話したり砕けた口調になったりと忙しい。フレイとしてはもっと砕けてほしいと思うのだが。フレイは小さく息を吐いて、「俺も同行する」と口にした。
「危険ですよ?」
「お前たちだけ行かせるのも危険は同じことだろう?」
「……慢心しているつもりはありませんが、兄上がついてきたとしても同じことですね」
ロキは苦笑する。これから行くのはアンデッドの許だ。
探さねばならない。イベントの起点となるであろうドラゴンの屍を。イミットの遺骸を。
「俺たちがやろうとしているのは屍探しですよ」
「お前はこう……なんでそんな危険なことにばかり……」
ロキが目的をあっさり教えてくれたのでフレイは拍子抜けした。とはいえ内容は恐るべきことで、フレイは苦虫を噛み潰したような表情をする。
お前たちにしか止められないのかと問えば、ロキは一番被害は少なくできるでしょうね、と返した。
「俺がやりたいからやる。それだけなんです」
いくら母親の実家の領地とはいえ、ロキにはあまり関係がないと言えば関係がない事である。そのために動くというのだから、やりたい、それ以外の理由などないのだ。
♢
フレイはロキに、メルヴァーチ侯爵ゼオンに先に話を通すべきだといった。ロキは先に調査に向かいたがったが、ともに行く予定であったらしいソルとルナが合流後、フレイに賛同したことで話の流れが変わった。
「ロキ様、流石に領主様には話を通した方が良いでしょ」
「でも、まだ確定ではないんだよ。可能性だけの話をしても……」
「逆に、アンデッドが居るかもしれないなんて明るみに出る前に領主様が情報持ってる方が良いじゃないですか」
「うーん……」
ロキが確定した話をするべきだと言っている意味も分かるが、フレイもソルもルナも、可能性があるならば先に話を通すべきだと思っている。大事になるかどうかは、その後のことだ。
「そうだぞロキ。情報の取り扱いに関してはゼオン叔父上が判断されることだ。先に知っているのと知らないのでは初動が変わるだろう」
あくまでも仮の話であることを伝えたうえで、報告しておくだけでもよいのだとフレイはアーノルドから習った。そこに正確性が高ければもっといいが、と言われたが、ロキが目指しているのは既にそこだと悟る。正確性よりも、ここはその可能性を伝える方が先決だろう。
ロキとソル、ルナ、レイン、そしてフレイの5人で、ゼオンの許へ向かった。
ゼロ達にはエントランスで待機していてもらう。
「――父上、レインです」
「入りなさい」
レインの声掛けで入室した応接間で、ロキはゼオンにイミットの遺骸がメルヴァーチ領内に存在する可能性について話した。
ロキが伝えたことは、まずイミットの遺骸がメルヴァーチ領内にある可能性が高い事、次に転生者からの知識の供与があったこと、そして転生者の情報とゼロの証言が合致したことの3つである。
「――分かった。イミットの屍があるというのなら、こちらも調査を拒む理由はないよ」
ゼオンはロキの話を聞いて、領主としてそう返してきた。調査は必要だ。ただ、今回は万が一の場合は戦闘行為まで視野に入る。だからこそ、ゼオンは言わねばならないことがあった。
「話は分かった。けれども、戦闘になる可能性もあるだろう? こちらも兵を出したいのだが」
「……ありがとうございます。ですが……」
「……邪魔になる、か」
「……御心遣い痛み入ります、ゼオン叔父上」
ゼオンは小さく息を吐く。
ロキは進化個体だ。たったそれだけのことだが、ロキはゼオンから見てもかなり強力な個体だといえる。ジークフリート・ヴーイ・リガルディア、リガルディア王国最強の王である彼と、比較するのは烏滸がましいが、勝率は4割から5割といったところではないだろうか。個体の強さとしての話でしかないので実際はどうかわからないが。
進化個体である以上、ここで責任を持つのはロキだろう。進化個体について行けるだけの能力を持った兵士をすぐ用意できるかといわれるとそこはゼオンも明確な回答はできない。ロキの負担が大きくなるだけならば兵士を付けるのは見送るべきだろう。実際ロキからは拒否されてしまったし。しかしゼオンはロキに全てを背負わせる気も毛頭なかった。
「こちらでできることはさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
ゼオンにできることといえば物資の提供くらいだろうか。
「必要な物はあるかい?」
「……では、お言葉に甘えて。光属性の魔術の効果を上げるような効果のものがあればお借りしていきたいのですが、そう言ったものはありますか?」
「ふむ」
アンデッドモンスターの可能性を考えると、確かにロキの言っていることも分かる。そういった効果のアイテムは存在するし、貸与くらいならばいいだろう、とゼオンは判断した。
「エントランスに持って行かせるから受け取っていってね」
「はい」
ありがとうございます、と言ってロキたちが退室していく。そんな中レインだけ残った。
「レイン」
「……父上、ロキはなんであんなに先頭に立って行動できるんでしょう」
レインの言葉は、答えを求めているようには聞こえない。ただ純粋に、不思議だと、思っているだけの声色だった。
ゼオンは脳裏を掠める今より少し大きくなった甥の悲壮な姿をかき消す。あんな姿になるまで放置するのがいけないのだ。ロキは本来、人前に立ってあれこれするより、皆でワイワイやっている方が好きなタイプだったろう。それを、才能があるからとお任せ状態にしたからいけないのだ。お任せにしなくても頑張ってしまうところがあるのに、とゼオンは思う。
「……ロキ君は、あれだね。考慮することが可能な危機察知能力に秀でている。こうなるかもしれない、という予測、予想が恐ろしく正確なんだろう。それと同時に、予定外のことを受け入れるだけの度量もある。まあ、言ってしまえば本来は楽観的な性格なんだろう」
「……予想が付くのに、楽観的、ですか」
「不測の事態が少ないのはある種楽観的にも見えるものさ」
だが今回は転生者からの情報提供があったとロキは言っていた。そうすると、フレイに言われて報告に来たのが正確な所だろうと予想が付く。転生者を無意識的にだろうが守ろうとする傾向があるロキは、そんな重要な情報を持っているのが誰なのかということを隠そうとする。危険な情報を知っているかもしれない転生者は国が囲ったり、最悪殺される可能性があるからだ。
イミットの遺骸と考えると、ゼロからの情報提供だけではゼオンが動けないことも分かった上で、今回は転生者の情報を出してきたのだろう。あの場にセーリス男爵家のソルとルナが居た時点でどちらかが情報提供者なのは間違いない。何故かと言われれば、ロキが情報を持っていたならば、もっと早くゼオンにあれこれ報告が上がってくるはずだからだ。レイン経由なり、姉であるスクルド経由なりで。
今までにも、ドラゴンゾンビ騒動はあった。ゼオンはその記憶をなるべく思い出さないようにしている。これは今ではない、まだ先の話だと分かっているが、それでも頭がこんがらがっていく。だからこそ、ロキがこの話を持ってきたときに、今年だったか、と慌てて記憶群の呼び起こしを行う羽目になった。
世界回帰の事を知っている、知らない、というのは生きていくのに随分と大きな差異を生んでしまうものだから、ゼオンはまだ中途半端にしか思い出せていない、もしくは思い出さないであろう子供たちのことを思って、口には出していない。
貴族の金は領民の税金だ。予想がどう、未来がこうだからどう、だけでは、当主は動けない。
「……ロキ君は本当は、もっと楽観的な子だったはずなんだ」
ゼオンは、自分の中にある最も古い甥の記憶を呼び起こす。悪戯が好きで、ちょっと意地悪で、家族を愛していて、けれど、誕生日に母親を喪ったばかりに歪んだ甥。なんだかんだと好きに生きて、好き勝手やって、大切な人を見つけて、大事な人のために命を賭すほどに入れ込んだその子は、間違いなく、自分自身のことには楽観的で、無頓着だった。
歪んでしまった――否、歪めてしまったばかりに、自分自身に関することから感情が抜け落ちたようになってしまったのを覚えている。あの時のゼオンは、姉を喪った悲しみで、父と祖父を止めることができなかった。ロキがまだ言葉を理解できない状態だったなら、ちゃんと父と祖父を止められていたら、と悔やんでも悔やみきれない。
スクルドが生きている今、古い記憶の中のこと、歪めたことを謝ることなどできないし、ロキ自身覚えていないような挙動が多い。なのに歪みだけが健在だ。ロキ神の加護に対する拒否の態度は異常の一言に尽きる。ロキ神の加護持ちという性質そのものが、その人格から慎重さや思慮深さを奪う傾向にあるのだが、ロキはそれでもかなり思考しているのを確認することができた。
ロキ神は楽観的で刹那的で快楽主義的だ。特に刹那的なのが問題点になりやすい。ロキはその刹那的な部分は少なく見える。本人の思考でその性質を止めているだけな気がしなくもない。そうなってくると、ロキはそもそもかなり精神的な負荷を負っている状態ということになる。
考えれば考えるほど深みにはまる。ゼオンはいつの間にか浅くなりかけていた呼吸を整えた。
「……レイン、これだけは覚えておいて。ロキ君は、我々が思っている以上に自分自身に負荷を掛けながら生きている子だ。自分が気に入らないことをそのまま放置できる人格が育っていることを異常だと思うべきなんだ」
「ロキ神は報復をするから、ですか?」
「そうだよ。ロキ神は報復の悪戯が発生する可能性が高い。加護のレベルが5なら、加護持ち本人の人格は加護の影響下にあると考えるべきだ。ロキ君は、どういう状況か詳細は分からないけれど、加護に逆らっている部分が大きいと思う」
「……!」
ゼオンの記憶の中では、一番ロキとの距離が近くなるのはレインで、一番距離が離れるのもレインだ。レインがロキの傍に居るだけで、ロキは周りを頼りやすくなる。ロキは、自分を好ましく思う人か、嫌っている人かのどちらかを頼るからだ。
「……やっぱり、ロキは……」
「ん?」
「……いえ」
レインは何か呟いたがゼオンには聞き取れなかった。
「……父上、僕は、ロキの傍に、居たいと思います」
「……ああ。レインの思うようにやりなさい」
「ありがとうございます」
「それと、これを」
ゼオンは懐中時計を机から取り出してレインに渡す。レインはそれを見ただけで魔力が込められていると分かった。
「これは」
「アミュレットだよ。身に着けて行っておいで」
「ありがとうございます」
レインが懐中時計をポケットにしまって退室していくのを見届け、ゼオンは手元のベルを鳴らした。
♢
レインがエントランスに向かうと、既に出発の準備を整えたロキたちが待機している。近くにアインスとツヴァイが居り、ルナの腕にレインもほとんど入れない宝物庫に保管されていたブレスレットがつけられていた。
「お待たせ」
「ん。ゼオン叔父上は何て?」
「んー……ロキを大事にしなさい、だって」
「おぉ……?」
ロキが怪訝な顔をする。大事にされる所以が分からないからこその怪訝な表情に、レインは、ロキが楽観的なのは確かかもしれない、と思う。転生者だから余裕があるのかもしれないし、本当に単に楽観的なのかもしれないし、多くのことに予想が付いているから気楽に構えていられるだけなのかもしれないとも思う。
「……あと、やっぱり父上回帰のこと覚えてるみたいだよ」
「……そういやそんな素振りあったな、ゼオン叔父上」
「うわ、大変ね」
「だからこんなにあっさりこんなレアアイテムを貸してくださったんでしょうね」
ルナは自分の腕につけたブレスレットを眺めながら言った。
「レアアイテム、かぁ」
「はい。というかこれメルヴァーチ家に在ったんだ、って感じです。光属性の魔術効果を高めるものなので、ゲームで出て来た時には既に光属性の方が装備して出てきてたんですよね」
「へー」
「あ、でも光属性ヒロインでレイン様を攻略する途中で手に入るな……」
「それじゃね?」
「それですね」
水でも氷でもないから気にしてなかったけど、とルナがぼやく。レインは目を見張った。レインですらほとんど見たことがない宝物庫の中身を完全に部外者のルナが知っている、ということが末恐ろしい。
ロキがあっさりそれじゃね、と言って流したことに驚愕する。転生者にとってはこんな大切な事すら、ただの情報でしかないのだと見せつけられている気がした。ロキといるとこんなことで驚いてばかりだ。
「レインは何かゼオン叔父上から貰ったものないの?」
「アミュレットを頂いたよ」
「おぉ」
そこはイベント通りだったみたいね、と今度はソルが言う。そうだった、ソルの方も転生者だった。本来まだこの世界では作ることが難しい懐中時計型のアミュレットは、つまり懐中時計を知っている人物――転生者たちが関わっていたもの、時代に作られたものと推測できる。つまり、こちらも超の付くレアアイテムだ。
レインがアミュレットを見せると、ロキは目を見張った。
「……懐中時計?」
「……これそういう名前なの?」
「……これ、結晶時計のめっちゃ小さいものみたいなやつ」
「……これ、時計なの?」
「うん」
「……ドワーフが作ったのかな?」
「いや、どうだろ……」
まあ、アミュレットとしてしか使えないはずだし、と呟いたロキはさらに驚愕に目を見張る。
「動いてる」
「え」
反応したのはソルだった。
「ちょっと見てみてもいいですか?」
「うん」
「ちょっと失礼します……」
ソルは懐中時計を眺める。動いてる、とソルは呟いた。
「本当に動いてる」
「地球のやつ?」
「たぶんそうね、文字盤は12だし、電子時計も文字はっきりしてるし。まだ動いてるなんてすごいわね。魔力稼働になってるのかもしれないけれど」
ソル嬢はこれが読めるのか、とレインは驚く。レインにはわからなかった。IとかIIとかVとかXとか、よくわからないのである。
「……ロキ、なんで12だとかいう話になるんだ?」
「んー、どちらかというと電子時計の方がメインかな。午前と午後を12ずつで表すのが前世の表し方で、こっちだと24で表すことになるだろう、って感じの話になってくる」
「……いちにちよんじゅうはちじかん問題?」
「ああ、うん、覚えてたんだね。それそれ」
色んな知識が混じって、記憶も下手をしたらぐちゃぐちゃになって。
そんな転生者たち、回帰の記憶を抱える者たち。
レインにとっては、身近にあって、けれど本人たちが見せないように気を遣ってくれているからあまり触れずに済んでいた世界の話だ。
「さて、行こうか」
「「はーい」」
「ああ」
「うん」
ここまで静かに話を聞いていたフレイを見やったレインは、フレイと目が合った。どうやら彼は結構レインを見ていたようだ。
「……フレイ兄さん、どうしたんですか」
「……いや、レインがロキの傍に居てくれそうで安心しただけだよ」
ゼロが物資の最終確認を済ませて、ぞろぞろと冒険者ギルドへ向かう。レインとフレイの前ではロキとソル、ルナが状況の確認を再度行っているのが見える。
早朝は過ぎたので、街には多くの人が繰り出してきていた。朝のパンの焼ける匂い、新鮮な野菜や肉を売る屋台、飛び交う声。
近くの軽食屋の屋台でサンドイッチを人数分購入して、ロキたちはギルドに入った。
古戦場に行く前にギルドに何か情報が入っていないのかの確認をしておくのである。ロキが手早く確認を済ませて、情報が入っていないことを確かめ、古戦場へと向かう。
レインは移動しながらロキに今回気を付けることを聞いておく。
「ねえロキ、気を付けておくことってある?」
「守ってほしいことは3つかな。一、対象のドラゴンの遺体に触れないこと。二、対象がイミットであることを忘れないこと。三、魔物からはちゃんと身を守ること。以上」
「分かった」
今回のメンバーは6人だ。ロキ、フレイ、レイン、ゼロ、ソル、ルナ。アッシュやヴォルフガングもいた方が良いにはいいのだが、パーティというものは基本的には6人が最大人数である。
「因みに、ルナ嬢は何故?」
「ルナ嬢はヒーラーだし、ターンアンデッド系の魔術が使えるからね。ゾンビ戦には大いに役立ってもらうさ」
「わーロキ様悪い顔」
「もとからこんな顔だ」
♢
走ること約20分。古戦場近くにやってきたロキたちは眉根を寄せた。
ふらふらと歩く腐乱した魔物の遺骸。先日かなり魔物は狩ったはずだが、あれだけ魔物狩りをしてもすぐにアンデッドがわくあたり、このあたりに何かあるのは間違いないようである。
「近くに巨大なアンデッドの反応は?」
「わかりづらいな」
魔力で周辺を探索しているのだが、なかなかドラゴンの遺体が見つからない。50年は前の遺骸である以上、埋もれているはずである。なんせここはメルヴァーチ領なのだ。魔物による地殻変動もあるだろうし、アンデッド系は近辺に生き物が居ない場合は地中深くに潜っていってしまう。
「……ロキ、あれは」
「はい?」
フレイは遠くに人影を見つけていた。ロキは目を細めてそちらを見ると、小さく頷く。
今回ロキたちが探していたのは、イミットの遺骸または、その遺骸を探しに来たイミットの子供、である。
「彼に声を掛けてみなくちゃ。彼がドラゴンゾンビに触れる前に浄化したいね。ゼロ、先行って」
「わかった」
ゼロに指示を出し、ロキたちは歩いて近づいていく。ゼロだけは走って同族の少年の元へと急いだ。
現状ロキに魔術を使わせるのは極力避けなければならない。おそらく一番理由をわかっているのはロキ自身である。先日の戦闘の後に教会の者たちの目の前で何をしたのか、忘れたわけではない。
少年とゼロが話し始める。少年はどうやらパーティで来ているらしく、少年が別の方角を指し、どうやらそちらに他のメンバーがいるものと思われた。
ロキはようやくゼロに追いついたところで、ゼロに事情の説明をさせる。ロキにとってはこの少年は初対面であるし、ルナが居なければこのイベントの詳細を知っているわけでもない。
黒い髪に青と緑のオッドアイの少年が自己紹介をしてくれた。
「コウキ・ルディナといいます」
「ロキだ」
「レインです」
「こちらがフレイ、こちらがソル、そしてルナです」
「よろしくお願いします」
全員簡単に自己紹介をして、少年――コウキとそのパーティメンバーと合流し、ロキたちはドラゴンゾンビの捜索を再開した。