表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Imitation/L∞P  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
1/364

1-1

とうとうこちらを投稿させていただくことになりました。

三人称視点はなかなか書き慣れず会話だけで足早に進む箇所もあるかと思います。読みやすい文章を目指します。よろしくお願いします。


――ロキ。


「ふぇええ、ふぁあああ!」


リガルディア王国の、王都。とある、公爵邸にて。

1人の、銀髪の子供が生まれた。


「……奥様、元気な女の子ですよ」


産婆が赤子を取り上げ、ぬるま湯で清めて柔らかなおくるみに包み、母親に渡す。

母親の髪は群青で、瞳は瑠璃色。

母親は赤子を抱きしめて微笑んだ。


「スクルド!」

「スクルドちゃん!」

「いけません旦那様、メティス様!」


扉を開けて勢いよく入って来た、燃えるような赤毛と炎のように揺らめく紅い瞳の男と、くすんだ水色の髪とエメラルドグリーンの瞳の女。

2人はメイドの制止も聞かずに母親――スクルドに駆け寄る。


元気な女の子、と3人は顔を見合わせて笑う。

赤子はスクルドから男――アーノルドへと手渡された。


「ふぇええ……」

「おお、よしよし。ああ、元気な子だ……」


その目は少しばかり悲しげに細められていた。

銀の髪。特別な色。

その色を宿した彼女を、彼は手放しでは喜べなかったのだ。


「名前は、どうする」


アーノルドが小さく呟くと、スクルドは少しばかり悲し気に目を伏せ、告げる。


「この子の名は――ロキ」


悪神、嘘を吐く、国の転覆をはかる、など。

良い噂を聞かぬ名だ。

それでもこの名に決まるのだ。

なぜならそれは、神霊の名。


神々に許された、名であるから。


「ロキ――ロキ、うん、ロキ。スクルド、アーノルド、落ち込んじゃ駄目よ。だって、どうせ国に何もなければロキの名前は役目を果たさないのだから」


女――メティス、と現在名乗る彼女はそう告げる。男――アーノルドは瞑目する。わかっている、子供は何も悪くない。けれども、この子はきっと、苦しい思いをたくさんすることになる。それだけが悲しい。


スクルドとアーノルドは小さく頷いた。


この、赤子は。

実に実に、数奇な運命を辿ることになるのだが。

まだこのとき彼らは、知る由もなかった。


(――え、何コレちょっと、俺、え? ラノベ的展開、マジ? 転生、した?)


この子供が、転生者であることを。


――お前の名は、ロキ。その生涯に、幸多からん。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ