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フェアレーターノアール  作者: たい焼き
【第七章】海王の花嫁篇
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【第七章】海王の花嫁篇Ⅵーresurrectionー

 イシュガルと蒼は激戦を繰り広げていた。

 蒼はイシュガルに完膚無きまでに叩き潰され、そのまま敗北するものだと誰もが思った。

 しかし、蒼は突如、霊力を暴走してしまい、イシュガルと戦い続けていた。


「【大海(タラサ)】!」


 イシュガルは大量の水を発生させ、蒼の動きを止めた。

 しかし、蒼は水を一瞬で凍結させた。


「な!?」


 海を造り出す程のイシュガルの水を一瞬で凍結させた。

 もう、生半可な水では今の蒼を対処しきれない。


「ならば…これならどうだ!【ノアの大洪水(プリミティ・ノア)】!!」


 巨大な槍の形をした水が蒼に襲い掛かる。

 蒼は水を凍らせようとしたが、水圧が凄まじく、凍らせてもすぐに粉砕されてしまっていた。大量の水は蒼に直撃した。

 そして、あまりの水圧に蒼の左手足が吹き飛ばされてしまった。


「蒼!?」

「フローフル!?」


 慧留とプロテアが声を上げた。


「ほぉう~」


 アスディアはそんな声を上げていた。

 一人だけ場違いな感じが半端では無かったが、慧留達は気にしている暇など無かった。


「ぐぅ~」


 蒼は左手足を持っていかれたが立っていた。

 左手足に霊圧が集中していた。やがて腕は元通りに再生された。


「超速再生…だと!?」


 イシュガルは驚愕の声を上げた。

 超速再生は特別珍しい能力という訳では無い。

 だが、使えるのは大概が魔獣であり、天使が…ましてやハーフエンジェルが使えるなどあり得ない事だ。


「あああああああああああああ!!!!」


 蒼が悲鳴を上げると左手と共に吹き飛ばされた黒刀を再生した左手に引き寄せた。

 蒼と二刀の刀は霊力で繋がっており、刀を自身の手に引き寄せる事が出来る。


「やれやれ…もう完全に化物だな…」


 イシュガルは先程全力で…殺すつもりで放った一撃だった。

 それにも関わらず左手足が吹き飛んだだけに収まった。

 それだけならまだしも魔獣しか使えない筈の超速再生まで使えると来た。

 最早、イシュガルの口から化物と表現されても仕方の無い事である。


「あああああああああああああ!!!!」


 蒼は絶叫を上げ、イシュガルに向かっていった。

 蒼はイシュガルの脇腹に刀を突き刺していた。


「がっ!?」


 イシュガルは慌てて距離を取った。

 【時間停止(クロノデザイン)】で時間を止め、イシュガルに攻撃したのだ。


ー時間の拘束力が強くなってる…今までは五秒が限界の筈だが…七秒は止められている…!?


 イシュガルは蒼の時間停止の拘束力が上がった事により、対応しきれていなかった。

 だが、今度は時間停止を喰らっても対応出来る。

 蒼は再び【時間停止(クロノデザイン)】を使用した。

 しかし、今度は対応しイシュガルは攻撃を回避した。

 そして、槍でイシュガルは蒼を吹き飛ばした。


「がああああああ!!!」


 蒼は【氷水天皇(ザフキエル)】で槍と自分の身体の一部を凍結し、固定させた。


「な!?」


 イシュガルは槍を氷から外そうとするが、氷の強度が強く、振りほどけない。

 やがて、蒼は左手の刀を逆手持ちにし、極大の一撃を放った。


「あああああああああああああああああああああああ!!!!」


 それは極大の破壊力の【時空覇王剣(クロノ・デーゲン)】であった。

 イシュガルは至近距離でこの一撃をまともに喰らった。

 衝撃波の余波はこの空間全体を震撼させた。


「素晴らしい…」


 アスディアはそう声を漏らした。

 しかし、まだまだだとも感じた。蒼には更に「上」がある。

 アスディアはそう感じていた。

 巨大な衝撃なと共に爆発が起き、土煙が立ち込めており、今はイシュガルと蒼の姿が見えない。


「どうなったんだ?」

「蒼…」


 一夜と慧留がそう呟く…

 やがて土煙は消え、イシュガルと蒼の姿が見えた。

 服がボロボロに裂けて、血塗れのイシュガルと槍に身体を貫かれている蒼の姿があった。


「あの状態で氷を引き剥がして蒼に攻撃を加えるなんて…」


 美浪が驚くのは無理も無い事であった。

 アスディア以外の誰もが先程の一撃で蒼がイシュガルを倒したモノだとばかり思っていたからだ。


「流石だね…イシュガルも…というより、この勝負はイシュガルの勝ちだね」

「え?」


 アスディアがそう言うとプロテアはそんな声を上げた。


「【大地の神揺エザフォス・グラビテール】」


 イシュガルが槍を蒼の身体から引き抜き、地面に突き刺すと巨大な地震と共にマグマが吹き出し、蒼に襲い掛かった。

 蒼はマグマを凍らせようとするも全く凍らずマグマに身体を打ち上げられた。

 更に地面から噴出した無数のマグマが無数の巨大な岩盤に変わり、蒼に襲い掛かる。

 蒼は二刀の刀で岩盤を切り裂くが切れば切るほど蒼の身体に岩が蒼の身体にこべりつき、やがて蒼の身体を覆った。

 そして、大地の振動と共に蒼の身体にこべりついていた岩が大爆発を起こした。

 その爆発は凄まじく、この世界全体を揺らした。


「ぐあ!?」


 結界を張って衝撃が遮断されている筈の慧留達でさえ、影響が及んでいた。

 蒼はそのまま地上へと落下した。しかし、まだ、蒼は立ち上がろうとしていた。


「しぶといな…」


 イシュガルがそう呟いた。

 だが、超速再生の速度はかなり遅かった。

 やがて超速再生は完全に止まってしまっていた。


「超速再生も万能では無い。貴様の様な強大な力を持っている奴が…そこまで多く再生出来る筈もない」


 超速再生は中でも力の弱い魔獣が使える傾向にある。

 超速再生をする魔獣の中にも身体を変化させ、変態する魔獣がいるのだが、変態すれば大概、超速再生能力が失われる。

 この理由には色々と説があるが、最も有力な理由は強大な力を得る事と引き換えに超速再生を捨てているというのが最も有力だ。

 中には変態しても超速再生を失わない魔獣も存在するが、再生能力は変態する前より大幅に低下する。

 蒼もそれは例外では無く、いくら超速再生能力を持っていても蒼の再生能力はそこまで高くない。


「ぐうううううう…」

「まだやるか…ならば…貴様の剣を折るしかあるまい」


 イシュガルは再び槍を構えた。


「やっぱり、このまま黙ってみてる訳にはいかないよ!」


 慧留がそう言うと他の者たちもコクりと頷いた。

 アスディアはやれやれと言った顔をして…


「分かったよ…もう勝負は着いてるしね…君達の好きにしたまえ…たが、依然障気は強いよ?恐らく、この障気に耐えられるのはアポロと慧留…そして、プロテア位だよ?」

「じゃあ、私達で行きます!」


 慧留がそう言うとアポロとプロテアが頷き、蒼達の元へと向かっていった。


「やれやれ…類は友を呼ぶ…とは、よく言ったモノだね…」

「おい、それはどう言うことだ?」

「気にしないでくれ」


 屍がアスディアの言葉に抗議しようとしたがアスディアはさらっと流した。


「あああああああああああああ!!!」


 蒼はイシュガルに突撃をした。

 しかし、蒼の霊力は殆んど尽き掛けており、先程より、攻撃が緩慢であった。


「遅い!」


 イシュガルはそんな蒼に対して一切手を抜かなかった。

 イシュガルは蒼の右手の刀を弾き飛ばした。


「!?」

「これで…終わりだ!!!!【三叉海激(トライデント・プロスボレー)】!」


 イシュガルの槍が巨大な水属性エネルギーが纏われ、蒼の左手の刀ごと貫いた。

 蒼の黒刀、【黒時皇帝(ザフキエル)】の刀身は完全に砕かれた。


「がああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 蒼はそのまま吹き飛ばされ、岩盤にぶつかった。


「………」


 イシュガルは真っ直ぐと蒼を見据えた。

 蒼は再び、立ち上がろうとしていた。


「まだやるか…これ以上は…」


 イシュガルは一応、蒼を殺さない程度には力を加減していた。

 だが、これ以上戦えば間違いなく蒼は死ぬ。

 だが、見た所、彼の理性は完全に消失している可能性が極めて高い為、生かしたら所で無意味であるという考えもあった。


「仕方無い…こうなったのも俺の責任だ…せめて…俺が…」


 イシュガルが再び槍を構える。


「止めて!!」

「!?」


 そんな声が響いた。

 声の主は慧留であった。

 慧留とアポロはイシュガルの前に立ち塞がった。

 そして、慧留は剣を、アポロは銃を持っていた。


「プロテアは蒼の所に行って!」

「分かったわ」


 プロテアは蒼の元へと向かった。


「何のつもりだ?あいつはもう、元には戻れない!」

「蒼は絶対に殺させない!蒼は助かる!」

「ええ…慧留の言う通りよ。やらせないわ」

「よかろう…ならまずは貴様らからだ!」


 イシュガルは完全に頭に血が上っていた。

 イシュガルは槍を構え、慧留とアポロに突撃した。






 プロテアは蒼の目の前にやって来た。


「フローフル!」

「ヴヴヴヴ…」

「元に戻って!フローフル!!」


 プロテアが必死に訴えるが蒼には届かなかった。

 蒼は右手から氷の刃を飛ばした。

 まだ、力は残っている様だった。

 しかし、プロテアは攻撃を回避せず、鉄の剣を生成し、氷を砕いた。

 そして、ゆっくりと蒼に近付いていった。

 蒼は氷の刃を飛ばし続けた。

 プロテアは剣で氷を砕いていった。

 やがて、プロテアの身体から鱗の様な紋様が出てきた。

 『ポセイドンの鱗』…今回、イシュガルがプロテアを花嫁にすると言った原因である。

 砕ききれなかった氷はプロテアの身体に当たるプロテアの身体の硬度が蒼の氷を上回っている為、傷一つ付いていなかった。


「あああああああああああああ!!!」


 蒼はまるで怯える様に氷で攻撃を続けた。

 しかし、プロテアは蒼の眼前まで近付いていた。


「フローフル…あなたは…私を救ってくれた…何度も…何度も…私を知らない世界にいっぱい…連れていってくれた」


 復讐しか頭に無かった。

 壊す事しか頭に無かったプロテアを助け、救ってくれたのは紛れもなく、蒼だ。

 本当の希望の形を蒼はプロテアに示してくれた。


「だから…今度は私の番…」


 プロテアはそう言って、蒼を抱き締めた。


「!?」

「戻って…フローフル」






「くそ!全然出口が見えねぇ!」


 蒼は自身の精神世界から抜け出そうとしていたが、未だに出口を見つけられずにいた。

 蒼は何となく分かっていた。もう、あまり時間が無い。


「あいつらが…待ってる…俺は…」


 蒼がそう呟くと一筋の光が見えた。


「何だ?あれは…」


 蒼はその光へと向かっていった。


『蒼!』


 そんな声が聞こえた。慧留だ。

 そう、蒼は慧留と出会った事で運命が…止まっていた時間が動き出した。

 いつも蒼の隣にいて、時には決別した時もあったが、今はこうして共に有る。


『蒼!』


 今度は一夜の声が聞こえた。

 一夜は蒼が八年前に会った人物で蒼が困った時は誰よりも蒼を助けてくれた。

 一夜には世話になりっぱなしだなと思った。


『時神!』


 屍はいつしか、蒼の親友になっていた。

 最初は敵として立ちはだかったが、今ではお互いを理解し合える…そんな関係になっていた。

 蒼が挫けそうになった時、誰よりも鼓舞してくれた。


『蒼!』


 美浪はいつしか、蒼にとって無くてはならない存在になっていた。

 美浪が蒼には出来ない色々な人達の関係を繋げてくれていたお陰で蒼はここまでこれたと言える。


『フローフル!』


 インベルは蒼が「一番最初」に出来た友達だ。

 普段はウザいけど、仲間思いで情に厚くて、便りになる奴だ。

 昔は蒼とアポロを繋ぎ、そして、蒼の回りの人達を繋いでくれていた。


『フローフル』


 アポロは始めて会った時はよく衝突した。

 けど、いつしかかけがえのない存在になっていた。

 蒼とインベルのピンチに昔はよくアポロが助けていたものだ。


『フローフル!!!』


 プロテアは最初はすれ違うばかりであった。

 だが、今はこうして分かり合っている。

 イシュガルとの戦いも蒼はプロテアの為に戦うと決めた。

 蒼に幸せとは何か、何が自分にとっていい選択をすればいいのか…それを示してくれた。


 彼等と共に有りたい。だから…だから…だから…


「こんな所で…立ち止まってる暇なんかねぇんだよ!!!!」


 蒼が一筋の光を掴むと世界は黒から白へと染まった。

 それを見て、蒼は呆けた表情をしていた。


「見つけられた様だな…出口を…」

「トロンペーター…」


 蒼の後ろに突如、トロンペーターが現れた。


「今度こそ…俺の「本当の名に」辿り着ける事を願っているよ」

「…ああ」


 蒼はそう言って、光の出口へと進んでいった。


「そうだ…お前には仲間がいる。そして、俺にはお前がいる…お前には俺がいる…その事を忘れるな…時神……蒼……」






「!?」


 蒼は目を覚ました。

 蒼の眼前に映っていたのは崩壊している空間、そして、自身を抱き締めているプロテアの姿であった。


「プロテア!?」

「!? フローフル!?良かった!元に戻ったのね!?」


 プロテアがそう言った。

 どうやら、蒼は元に戻れた様だ。

 先程まであった樹木の様なドス黒い翼も消えており、瞳も赤黒い瞳ではなくサファイアの様な青色の瞳になっていた。

 髪の色も変わっており、白黒混じりの髪から真っ黒に変わっていた。

 以前まではオッドアイであったが、どうやらそれは無くなった様だ。


「プロテア…怪我は無いか?」

「大丈夫よ。あなた程度の攻撃で傷が付く筈無いでしょう?」


 確かにプロテアの身体には傷一つ付いていないが強がりにしか聞こえなかった。


「そろそろ離してくれないか?苦しい…」

「え…?あっ…」


 プロテアは慌てて蒼から離れた。

 そして、自身の行動にプロテアは少し恥ずかしくなり頬を赤く染めた。

 仕方が無かったとは言え、やはり恥ずかしい。


「他の皆は?」

「! アポロと慧留が!」


「その心配は無い」


 そんな声が聞こえた。

 イシュガルの声だ。そして、イシュガルの隣にアポロと慧留がいた。

 アポロも慧留も無傷であった。


「いや~、イシュガルと戦いが始まる前に蒼が元に戻ってくれて助かった~」

「そうね、こんな事は言いたく無いけど二人掛かりでも多分負けてたわね」


 慧留とプロテアがそう言った。


「蒼!」

「時神!」


 障気が消えた事で一夜や屍もやって来た。


「大丈夫、蒼?」

「ああ、問題無い。心配掛けたな…皆…」


 美浪の安否確認に蒼は淡々と答えた。

 どうやら、蒼が意識の無い間に色々と迷惑を掛けてしまっていたようだ。


「いや~、何とか立ち戻れて良かった!良かった!」


 陽気なテンションでアスディアがやって来た。


「アスディア…お前、俺がこうなる事を分かってたな?」

「さて?何の事やら?」

「アスディア…貴様の会話は筒がなく聞いていた…後で詳しく説明して貰うぞ?」

「げ!?」


 アスディアがイシュガルの言葉を聞いて気まずそうな顔をしていた。

 やはり、アスディアは何かを企んでいるとしかイシュガルは思えなかった。

 まぁ、他の者たちは蒼が復活して良かったと考えているのでアスディアの事など今はどうでも良かった。


「どうする?決闘を続けるか?時神蒼」

「お前のその傷…俺がやったのか?」

「………」

「慧留、イシュガルを回復させてくれ。俺は回復しなくていい」

「!? 蒼!?」


 蒼の予想外の言葉に慧留が驚いていた。

 慧留だけでは無い。一夜達は勿論、アスディアやイシュガルですら驚いていた。


「どういうつもりだ?」

「俺の言いたい事は分かるだろ?さっきまでの俺は暴走した俺だ。あれは俺じゃねぇ!対等な条件で戦わないと意味がない」


 蒼はそう言い放った。

 蒼は暴走した力を使ってイシュガルに勝つ事はフェアじゃ無いと考えたのだろう。

 だからこそ、自身は回復せず、イシュガルだけを回復するよう、蒼は慧留に頼んだのだ。


「いや、その申し出は却下だ。このまま行く」

「いいや、回復しろ!」

「断る!図に乗るな!貴様如き、この状態でも十分戦える!」


 イシュガルは霊圧を放出した。

 確かに相当な霊圧であった。


「そうかよ…アンタがそこまで言うなら、俺は何も言わねぇ…」

「うんうん、丁度いいハンデじゃないか。そもそも君が蒼に決闘を挑んだ時点で大人気無いんだからそれぐらいのハンデは合ってもいいと僕は思うよ?」


 蒼はどうやら納得したようだ。

 アスディアも最もな意見を言い、それに賛同した。


「しかし、どうするつもりだ?【氷水天皇(ザドキエル)】は無事だが、【黒時皇帝(ザフキエル)】は俺がへし折ったぞ」

「え?……てホントだ!?俺の刀折れてんじゃねぇーか!」


 蒼は今更その事に気が付いた様で驚いていた。

 因みに、【氷水天皇(ザドキエル)】はアスディアが持っていた。


「フローフル、【氷水天皇(ザドキエル)】だよ。自身の相棒はもっと大事に使いなよ?」


 アスディアはそう言って、蒼に【氷水天皇(ザドキエル)】を渡した。

 蒼はそれを受け取った。


「それで?どうするつもりだい?刀が折れては…」

「心配すんな、一夜。手はある」


 蒼はそこまで深刻そうな顔をしていなかった。


「確かに『天使(エンゲリアス)』は自己修復出来るが…それには半年以上の時間を要するぞ?」


 イシュガルがそう言った。

 確かに『天使(エンゲリアス)』には自己修復が出来る。

 破損したり傷付いても元には戻るが損傷の度合いが酷ければ酷い程、修復に時間が掛かる。

 【黒時皇帝(ザフキエル)】の壊れ具合からすれば確かに半年は掛かるだろう。


「俺はもう…未来を掴んでるんだよ」


 蒼はそう言って、折れた【黒時皇帝(ザフキエル)】を上に掲げた。

 すると折れた【黒時皇帝(ザフキエル)】が消え、黒刀が出現した。


「な!?」


 一夜が声を上げた。

 確かにいきなり刀が消えて別の刀が出現すれば誰でも驚くだろう。


「まさか…錬金術…」


 屍がそう呟いた。

 確かに今の力は錬金術と酷似している。


「いいや、違うぜ」


 しかし、蒼はあっさりと否定した。


「ふぅ~、なら良かった。俺の存在意義を奪われる所だった」

「何言ってんだよお前は?」


 屍が訳の分からない発言をすると蒼は突っ込みを入れた。


「錬金術じゃ無いんなら…何をしたんだい?」


 アスディアはとても興味深そうに聞いてきた。

 アスディアも今の謎の現象に興味があった。


「【黒時皇帝(ザフキエル)】は時を司る天使だ」

「!? まさか…「別の時間軸から呼び出した」のか!?」

「ご名答…流石だな…イシュガル…未来から【黒時皇帝(ザフキエル)】を「呼び出した」」


 イシュガルが言い当てると他の者達も驚いていた。

 それもそうだ。未来から【黒時皇帝(ザフキエル)】を呼び出すなど常識外れな力であった。


「そんな事が…面白いねぇ…」


 アスディアは舌舐めずりをしながらそう言った。


「だが、刀が戻った所でさっきと同じになっただけだ。そのままでは結果は変わらんぞ」

「仰る通りだ。まぁ、慌てんなよ。まだ()()()()


 蒼は二振りの刀を重ね合わせた。

 そして、霊圧を最高まで高めていた。


「!? マズイ!皆!下がれ!」


 アスディアが慌てた表情でそう言うとイシュガル以外の者達が全員離れた。

 今の蒼の霊圧はアスディアをざわつかせる程であった。

 霊圧が最高まで高まり、周囲を振動させていた。


「大した霊圧だ…」


 イシュガルはそう呟いた。

 そして、蒼は力を解き放った。


「【χ第二解放カイザー・エンゲルアルビオン】」


 蒼の周囲から巨大な霊力の柱が発生した。

 周囲は爆風が発生した。

 やがて、蒼の姿が現れた。


「………」


 イシュガルは黙って蒼の姿を見ていた。

 蒼は今までの姿とは異なる姿をしていた。

 瞳は先程と同じサファイアの様に蒼い瞳、更に髪は真っ黒になっていた。

 服装は黒い衣と両手にはχ(カイ)を象っている籠手が付いていた。

 更に翼は氷の翼であるが、黒く変色していた。

 基本的には【氷水天皇(ザドキエル)】の【第二解放(エンゲルアルビオン)】である【アルカディアの氷菓】がベースであり、そこから黒く変色しているという状態であった。

 しかし、頭のわっかは消失していた。

 そして、蒼の新たな力の名はー


「【氷黒楽園アルカディア・メランアリス】」


 霊圧が先程までとは桁違いであった。

 二つ同時の【第二解放(エンゲルアルビオン)】は力を放っているだけで大した霊圧は無かったが、今回のはしっかりと霊圧が凝縮されており、そして、先程の数倍…強い。


「二つの『天使(エンゲリアス)』の融合…か…面白い」


 そう、【χ第二解放カイザー・エンゲルアルビオン】は二つの『天使(エンゲリアス)』を融合させ、爆発的な力を生み出す技である。

 しかし、二つの『天使(エンゲリアス)』を持つ者は蒼以外にはいない。

 つまり、この力は蒼だけの力である。


「驚くのはまだ速いぜ?」


 蒼がそう言うとイシュガルは肩を切り裂かれていた。


「!?」


 イシュガルの目の前に蒼はいなくなっていた。

 蒼は既にイシュガルの後ろに回り込んでいた。


「【世界停滞(クロノスタシス)】」


 【世界停滞(クロノスタシス)】は世界の時間を完全に停止させる。

 停止時間は九秒であり、【時間停止(クロノデザイン)】より時間の拘束力が延びている。


「【大陸(ゲー)】!」


 イシュガルは岩盤を蒼にぶつけた。

 しかし、蒼は光速で攻撃を回避した。


「【時間疾走(クロノス・トレケイン)】!」


 蒼はイシュガルの身体を切り裂いた。


「ぐぅ!」


 イシュガルは槍を地面に突き立てた。


「【大地の神揺エザフォス・グラビテール】!!」


 地震が起き、マグマが噴出し、岩盤が蒼に襲い掛かる。

 しかし、蒼は黒刀を自分の回りに乱舞し、岩盤を凍り付かせた。


「やはり、氷も扱えるのか…」

「【氷菓神刀(クリスタシア・デーゲン)】!」


 巨大な氷の刃がイシュガルを襲う。

 イシュガルは自分の前に土の壁を作ったが、氷の刃にあっさりと切り裂かれ、イシュガル自身に直撃した。


「がっ!?」


 イシュガルはそのまま凍り付いた。

 しかし、イシュガルは氷から抜け出した。


「はぁ…はぁ…」


 イシュガルは氷の刃が左肩に直撃した事で、左手と左肩が壊死していた。

 最早、左手は使い物にならなかった。

 蒼が圧倒していた。蒼はイシュガルの攻撃を全て流し、そして、イシュガルに大ダメージを与えた。


「まさか…ここまでとはな…いいだろう…見せてやろう…」


 イシュガルがそう言うと大量の水が発生した。

 そして、水は蒼とイシュガルを覆い尽くした。


「これは…」

「【水の舞踏場(ヒュドール・トポス)】」


 蒼はイシュガルの前に刀を構えた。

 そして、周囲の水も警戒した。


「このフィールドは…水属性…あるいはそれに類する能力しか使えない。使えばその技は大幅に弱体化する」

「ご説明どうも!」


 蒼は直ぐ様、攻撃に転じた。

 【時間疾走(クロノス・トレケイン)】を使い、自身の時間を加速させた。しかしー


ー何!?動きが…遅く…


 蒼の目の前に槍が迫っていた。

 蒼は紙一重で槍を回避したが、次の攻撃は避けきれなかった。


「【三叉海激(トライデント・プロスボレー)】!」


 水属性を付加した槍が蒼に襲い掛かる。

 蒼は水を凍らせようとしたが、水の勢いが凄すぎて凍らせてもすぐに粉砕された。

 やがて、蒼は水の槍に身体を貫かれ、吹き飛ばされてしまった。


「がはっ!?」


 更に水の壁にぶつかった事で水圧に襲われた。


「ぐあああああああああ!!!」


 蒼は何とか水から抜け出したがかなり息が上がっていた。


「はぁ…はぁ…くっ…」


 蒼は貫かれた脇腹を凍らせ、傷を塞いだ。

 しかし、これは応急処置であり、気休めにしかならない。


「言った筈だ。ここでは水属性…あるいはその派生属性以外の攻撃は弱体化するとな」

「で…逆に水属性は強化される…か…汚ったねぇフィールドだな…しかも派生属性は弱体化はされないが強化もされない…」

「確かに貴様には水属性の適正がある様だが、氷属性が使い慣れている分、そっちを使わざるを得ない」

「それを知った上でこのフィールドかよ…全く…参るぜ」


 イシュガルは左手は壊死している為、使い物にならず、右手だけで戦っているにも関わらず蒼の剣を押さえ込んでいた。

 蒼は二つの『天使(エンゲリアス)』を融合させている為、刀が一本に縛られており、手数が減っている。


「だが、それでも両手は使えるんだよ!【水流荒波(アクエリアス)】!」


 蒼は四百番台の霊呪法である【水流荒波(アクエリアス)】を放った。

 普段の蒼が使う【水流荒波(アクエリアス)】とは比べ物にならない破壊力であった。

 イシュガルの力は敵味方関係無く、影響が及ぶ様だ。

 蒼の発生させた水はイシュガルに襲い掛かった。

 しかし、イシュガルはこれを難無く切り裂いた。

 やはり、水属性同士の戦いはイシュガルに軍配が上がる。


「【水月天剣(ヒメルネロ・デーゲン)】!」


 蒼は巨大な三日月の形をした水をイシュガルに飛ばした。

 イシュガルは先程の蒼の攻撃を切り裂いた事により、僅ながら隙が生じていた。


「【三叉海激(トライデント・プロスボレー)】!!!」


 蒼の作り出した水の刃を粉砕した。

 やはり、イシュガルは相当な力を持っている。

 あの傷でここまで動けるのは最早、化け物である。

 イシュガルは更に、蒼に一瞬で間合いを詰め、槍で攻撃した。

 槍は蒼の身体を貫通し、蒼を再び吹き飛ばした。


「ぐぅ!?」


 蒼は水の壁に吹き飛ばされ、またしても槍と水圧の波状攻撃に見回れた。


「があああああ!!!」


 蒼は何とか今回も水圧から脱出した。

 しかし、骨の何ヵ所かは砕けており、これ以上はあまり派手に動く事は出来ないだろう。


「これ以上動くのは貴様も限界だろう…終わりだ…」


 イシュガルは蒼に止めを指そうと蒼に近付いた。

 しかし、蒼は不適な笑みを浮かべていた。


「ああ、終わりだ。このステージがな!」

「!?」


 蒼がそう言うとイシュガルが作り出した水のフィールドが全て凍り付いていた。


「霊呪法第九百八十二番【七源凍結(しちげんとうけつ)】」


 蒼の発動させた霊呪法はトラップ式の霊呪法であり、七ヶ所に氷の(つぶて)を張り巡らせて発動させる。

 蒼が先程から水を使った技を使っていたのは自身の発生させた水ならばイシュガルが発生させた水と違い凍らせ易く、任意で凍らせる事が出来る。

 その為、自由に陣形を組める状態にし、【七源凍結(しちげんとうけつ)】を発動出来る様にしたのだ。

 【七源凍結(しちげんとうけつ)】は霊呪法の最強クラスであり、一度発動させると解除はほぼ不可能である。

 しかし、発動させるにはかなりな手間が掛かる為、使い所がかなり限られる技でもある。


「これでてめぇのフィールドは消えた」


 蒼がそう言うと凍らせた水が砕け、水のフィールドが完全に消滅した。


「水のフィールドが消えた!?」

「へぇ~。あれを破るなんて大したもんだ。いくらイシュガルが弱っていたとはいえ…」


 アスディアが感心した様にそう言った。

 イシュガルは紛れもなく本気で戦っている。

 それにも関わらず蒼はあらゆる戦術でイシュガルを翻弄していた。


「ただただ『天使(エンゲリアス)』に頼りきった戦いはせず…霊呪法を組み込んで戦う…か…これは世辞抜きに言おう。見事だ」

「今までのはお世辞だったって事かよ…」


 イシュガルの言葉に蒼は苦い顔をした。

 蒼の本領は『天使(エンゲリアス)』を二つ使える事では無い。

 『天使(エンゲリアス)』と人間にしか使えない霊呪法…この両方を使って戦うのが蒼の本領である。

 蒼がハーフエンジェルだからこそ、出来る戦術である。


「だが甘いな…一度フィールドを壊されたのならまた作ればいいだけだ!それに同じ手は通用せんぞ!」


 イシュガルは再びフィールドを展開しようとする。しかしー


「もう、お前のフィールドは作らせねぇ。【時間氷結(クロノス・パゴス)】」


 蒼がそう言うとイシュガルの水の動きが止まった。

 いや、厳密にはイシュガルの氷が全て凍り尽くされていた。

 イシュガルの水は海が出来る程の大量の水で溢れていたというのにそれが全て凍り付いていた。


「な!?何をした!」

「俺の能力は氷と…後一つは何だ?」

「!? まさか…時間を止めて…止めてる間に全ての水を氷結させたのか!?」

「アンタの水を凍らせられなかったのは水圧が凄まじかったからだ。だが、時間を止めてる間は水圧はゼロだ。その間に全てを凍り尽くせばそれでおしまいだ」


 この様な芸当は今までなら出来なかった。

 しかし、【χ第二解放(カイザー・エンゲルアルビオン)】により、それを可能にした。

 【水の舞踏場(ヒュドール・トポス)】の時にこの技を使わなかったのは水属性の力が強化されていたのと、自身の時属性攻撃が弱体化していた為、時間を止めても凍らせる事が出来なかったからだ。

 しかし、水のフィールドが無くなった今、この力を使用しても問題無いという事だ。


「水のフィールドは張れそうに無い…か…」


 正直、体力が全開で左手が使えていれば、まだ結果は違っていたのかもしれないが今のこの状態はかなり厳しいモノがあった。

 イシュガルは蒼に完全に圧倒されていた。


「だが、俺にはまだ地の力が残っている」

「悪いが…次で決める」


 蒼がそう言うと蒼の刀がとてつもない霊圧が込められていた。

 今での比では無いくらいの霊圧がチャージされており、イシュガルは勿論、アスディアでさえ、恐怖する程であった。


「な…これだけの…霊圧を…信じられない…」


 アスディアが恐怖している姿を見て、それ程ヤバイ力である事を慧留達は認識した。

 蒼の黒刀から水色の冷気と黒色のオーラが出現していた。


「【氷魔天刀(シュネー・デーゲン)】、【時空覇王剣(クロノ・デーゲン)】」


 蒼は【氷水天皇(ザドキエル)】と【黒時皇帝(ザフキエル)】の必殺技を唱えた。

 すると、二つの属性が混じり合い、融合した。

 そして、霊圧は更に増大し、この異空間が消滅させる程の霊圧であった。


「これはちょっと…ヤバイね…」


 アスディアは結界を瞬時に張り、更に守りを強化した。

 アスディアはかなり本気になっている。

 慧留たちも蒼の霊圧が規格外である事は容易に理解出来た。


「くっ!?【三又地界(トライデント・イピロス)】!」


 アスディアは槍に自身の霊力を最大まで収束させ、蒼に放った。

 先程とは違い、槍には土属性エネルギーが収束されており、間違いなく、今までのイシュガルの攻撃で最大の威力を誇る。

 しかし、蒼は未だに力を貯めており、微動だにしなかった。

 やがて、蒼は刀を構え、突進するイシュガルに極大の一撃を放った。


「【χ(カイザー)μπλε(ブル)μελαν(メラス) degen (デーゲン)】」


 蒼は氷属性と時属性を融合させた刀でイシュガルを切り裂いた。

 イシュガルの槍と蒼の刀が激突する。しかし、お互いの力が拮抗する事は無かった。


「何!?」


 蒼の刀はイシュガルの神具を粉々に破壊し、イシュガルを切り裂いた。

 周囲は霊圧の奔流により爆発した。

 そして、爆発と霊圧の衝撃により、蒼達のいる異空間が破壊された。

 すると、元の黒い空間の姿に戻っていった。


「何て破壊力だ…」


 一夜がそう呟いた。


「フローフルはとうとう…僕らと同じ境地へと達した様だね…果たして…全力の僕でも彼に勝てるかどうか…」


 アスディアはそう呟いた。

 蒼の強さは間違いなく、アスディア達と同じパルテミシア十二神に相当する力を得ていた。

 現世では彼はほぼ敵無しであろう。

 それ程までに今の蒼は強かった。

 アスディアは蒼の力が想定より遥かに越えていた為、軽く恐怖していた。

 だが、それ以上にー


「頼もしいね…しかも、これで彼の力の全てでは無い。末恐ろしい子だね…」


 そう、これで蒼はまだ、潜在能力の全てでは無かった。

 今出せる力はこれが限界だろうが…蒼にはまだ、上がある。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


 蒼は膝を付いた。

 だが、蒼の勝ちだ。イシュガルを…パルテミシア十二神を倒した。

 イシュガルは気を失っていた。


「蒼が…勝った…!勝ったよ!」

「ああ!蒼の…勝ちだ!」


 慧留と一夜がそう言った。


「フローフル!」


 プロテアが蒼の元へと駆け寄った。

 慧留達もそれに続いた。


「プロテア…皆……ありがとな…皆のお陰だ」

「全くだ!もっと感謝しろ!」

「そんな恩着せがましく言われると感謝出来ねぇよ!」


 屍の恩着せがましさに蒼は突っ込みを入れた。


「まぁ、何だ!勝てて良かったな!」

「………そうだな」

「何だ?嬉しくねぇのか?」


 インベルが訝しげな顔をしながら蒼に尋ねた。


「本来なら…負けてたのは俺の方だ」

「確かにそうね。戦いが滞りなく進んでいたら負けてたのはあなたの方ね」


 正にアポロの指摘通りだった。

 本来なら蒼はイシュガルに負けていた。


「ハンデ付きでこれじゃ、話にならねぇ…けど、もう戦うのは御免だな」

「ああ、それには同感だ。あいつヤバかったもんな」


 蒼の言葉に同意するインベルであった。

 インベルもイシュガルと戦うのは御免の様だ。


「それでも…凄いですよ!あのパルテミシア十二神に勝っちゃうなんて!」

「美浪君の言う通りだ。胸を張っていいと思うよ、蒼。けど、次はこんな無茶はしないでくれよ?」

「ああ、分かってる。悪かったよ」


 蒼と一夜が話しているとアスディアが蒼の前に現れた。


「おめでとう、フローフル。よくイシュガルに勝ったね?凄いじゃないか!(*´ω`*)ぼかぁ、嬉しいよ!」

「そうかよ…じゃあ、一個聞くぜ?お前の目的は何だ?何で俺とイシュガルを戦わせた?」

「そうだね…それはイシュガルが起きた後で話すか…」


 アスディアがそう言うとイシュガルが目を覚ました。


「そうか…俺は負けたのか…」

「まぁまぁ!気にしないで♪イシュガル!負けたのなんかほぼ運負けみたいなもんだし!」

「それでも負けは負けだ。時神蒼、一つ聞きたい。お前にとって…仲間とは何だ?」

「?」

「お前は決して一人の力で俺に勝った訳では無い。だから、聞いている、お前にとってプロテアは…仲間は…何だ?」


 イシュガルはそう、蒼に聞いてきた。

 確かに蒼一人ではこの戦いに勝つ事は無理だっただろう。

 イシュガルは蒼が勝つ要因となった仲間について聞きたかったのだ。


「分かんねぇよ…けど…俺がアンタと戦ったのは…プロテアの為だ。そんで、皆は俺の為に動いてくれた…助け合いが仲間なんじゃねーの?今はそれしか言えねぇな」

「………そうか…だからお前はそんなに強いんだな」


 イシュガルは一人で納得していた。

 蒼はイシュガルが何故こんな清々しい顔をしているのかよく分からなかった。………負けたのに


「イシュガル…アスディア…」

「お!来たね♪ガルデア♪」

「ああ…一時はどうなるかと思ったぞ」

「アンタは…!」

「久し振りだな。時神蒼、そして天草屍」

「俺の事も覚えてたんだな」

「…まぁな」


 ガルデアは異空間の外から蒼とイシュガルの戦いを眺めていた。

 ガルデアだけでは無い。他の神々も外から眺めていた。

 蒼とイシュガルが戦っていた空間が破壊された為、ガルデアが普通にやって来たのは自然と言える。


「他の皆は?もしかして、この戦いを「ずっと眺めていた侵入者」を捕まえに?」

「その通りだ。最初から気が付いていたんだな」

「ガルデア…僕の事舐めすぎ」

「そうだったのか?」

「いや、イシュガルは気付こうよ」

「相変わらずだな、お前は」

「ちょっ!?ちょっと待てよ!侵入者って何だよ!?」

「そうだね、まぁ取り合えず誰か回復系の術を使える人はイシュガルを治してくれないかな?話はそれからで」






To be continued

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