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フェアレーターノアール  作者: たい焼き
【第四章】百夜亡霊篇
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【第四章】百夜亡霊篇ⅩーStart of revengeー

 蒼たちはファントム島の祠に向かっていた。その祠には美浪と澪がいる。迎えに行かなければならない。


「戻ってきたね~」

「蒼、屍さん。やったんですね」


 澪と美浪はいつもの調子でそういった。


「ああ、さっさと帰るぞ」


 蒼がそう言うと、美浪は澪を肩で担いで、立ち上がった。


「手伝おうか?」

「ううん、いい。…私何もしてないし」


 美浪は淡々とそう言った。




 その後、アルビレーヌとも合流し、そのまま、蒼たちは十二支連合帝国に帰還した。







「では、私たちはこれで」


 アルビレーヌとウルオッサ、ラナエルは船場にいた。USWに帰還する為にだ。

 見送りは蒼と慧留、厳陣と舞と大志の五人だ。


「ドラコニキルによろしく言っといてくれ」

「ああ!またな!蒼!」

「テンション高いな…ラナエルは」


 蒼は力無くそう呟いた。

 今回の一件は世界が崩壊する危険があるほど大きな事態となった。

 これからの後始末が大変だろうなと蒼は思った。USW内で起こった問題なので後始末はドラコニキルがする事になるのだろう。


「今回に関してはお礼を申し上げます」

「いやいや、困った時はお互い様ですよ」


 アルビレーヌがお礼を言うと大志がニッコリと笑いながら謙遜した。

 裏が有りそうな雰囲気がモロに出てたので少しアルビレーヌは表情が少し引き吊っていた。


「今回は世話になったの、小僧、小娘」

「また、何かあったら連絡を」


 舞と厳陣がそう言うと二人は深々と頭を下げた。


「蒼、慧留…あなたたちもありがとね」

「…ああ」

「ふふ、どういたしまして」


 アルビレーヌとウルオッサ、ラナエルはそのまま船に乗っていった。

 船はそのまま出航してやがて、姿が見えなくなった。


「…時神、月影、改めて礼を言うぞ。四大神を解放してくれた事、感謝している」

「…そう言えば、四大神は?」

「妾の中におる。…なつかれておるからな」


 あの後、舞は四大神を元に戻そうとしたらしいが、彼らがそれを拒み、舞と共にある事を選んだ。


「時神君、月影君、ご苦労だったな。ここしばらく、大きな事件が無かったから大変だったろう?」

「まったくだ。報酬が欲しいくらいだ」

「言いますね。時神君」

「黒宮さんはなんでそんな、胡散臭げなんだよ!?」


 蒼は堪らず叫んだ。黒宮はよく分からない、蒼はそう思った。


「さて…帰るか…慧留」

「そうだね!帰ろ!」


 蒼と慧留はさっさと帰っていった。








「お前たち…本当に私と共にいるのじゃな」


 舞は自身の精神世界の中にいた。四体の神は頷いた。彼らは舞と共にいる事を選んだ。

 百年前のあの時から。舞は自身の己の弱さによってアザゼルに身体を乗っ取られてしまった。

 そして、それを蒼たちが助けてくれた。


 舞がアザゼルに取り憑かれ始めたのは50年前、イシュガルドの内乱からである。

 あの時を境に舞は身体が乗っ取られ始めた。

 イシュガルドの内乱。悲劇の戦争、ヘレトーアで起こした。ヘレトーア史上最悪の戦争。


 舞は傲っていた、自身の力で世界を平和へと導けると。しかし、それはただの驕りであった。

 世界は、舞一人では全く歯が立たない。どれだけ大きな力を持っていても、世界を一人で変える事など出来はしないのだ。

 何故なら、人は平等ではないから、世界は理不尽であるから、人には感情があるから。


 舞は目を閉じ、覚悟を決めた。生きて、罪を償うという、覚悟だ。

 舞は新しい道を進むと決めたのだ。








 ~プロテアの回想~


 ここは牢獄。私はこの牢獄である人物を殺す。私の家族を皆殺しにし、イシュガルドの内乱を引き起こしたあの男を。

 男の名は閻魔弦地、私の家族を殺した。私が殺すべき者は多くいる。

 閻魔弦地などその内の一人に過ぎないのだ。常森厳陣、黒宮大志、そして…四宮舞。

 プロテアが殺すのはこの四人だ。この四人を殺す為にプロテアは今まで生きてきた。


 復讐の為に、自分を保つために。

 復讐は何も生み出さない、虚しいだけ、自分を苦しめる、死んでいった者たちを更に苦しめる。

 そんな事など知った事ではない。そうなると分かっていても理解していても、この溢れ出る憤怒を抑える事など出来はしない。


 私はこの四人を殺す事を第一としている。勿論、彼ら以外にも殺さなくてはいけない者もいる。

 USWのカーシス・ベルセルク、三賢人(グリゴリ)、ヘレトーアのセイント教、セクラム教、神聖ローマのセラフィム騎士団。挙げればキリがない。

 私「たち」はそれら全てを殺す事が目的だ。復讐者たちが集っていた。


 四大帝国会議が終わり、閻魔の罪が公になり、トウキョウ刑務所に閉じ込められていた。

 これは好機、閻魔弦地を殺す絶好の機会(チャンス)だ。警備を掻い潜るなど造作もない。

 この時の為に暗殺術や戦いの訓練を受けてきた。強くなった。


 さて、そろそろ閻魔のいる牢獄に到着する。閻魔は裏でUSW…厳密にはカーシスと繋がっている。そこで助けが来ると思っているだろう。

 そこを突く、私は今、USWの軍服を着ていた。終わらせよう、初めての復讐を!


「チクショ~~~~~~。あいつら~~。殺してやる!殺してやる!はははは…私がこんなところで生涯を終えると思うな…!迎えが来るまであと少し…」


 閻魔の声が聞こえた。醜悪な声であった。これが肥え太って、喰い潰れたクズの末路か…

 良かった…これで安心して、何の躊躇いも無く殺せる。

 私は閻魔の前に立った。


「遅いぞ!速く私をここから出せ!」


 自分の保身しか考えていない。それが滲み出ている一言だった。もう、救いようがない。懺悔する時間すらも与える気にはなれなかった。


「はい、分かりました」


 私はナイフで閻魔の腹を突き刺した。


「はぇ…」


 何とも間抜けな声だった。自分に何が起こっているかすら気がつけないうつけ者だ。


「今すぐ出してあげますよ…この世のしがらみからね」


 私は閻魔に近づいた。閻魔は怯えきっていた。気分が良かった。

 今、私は閻魔をあの時の私と同じ目にあわせていると思うと果てしない征服感と高揚感で身体が満たされていた。


「き…貴様は一体…」

「別に…どうだっていいじゃないですか…私の事など…あなたは…死ぬんですから」


 私はナイフを引き抜いた。閻魔はぜぇぜえと息を切らしていた。肥え太った豚が必死で逃げようとしていた。

 見るに絶えない滑稽さであった。少し笑いそうになる。

 私は帽子を取った、そして、顔が露になった。


「女!?貴様は…?」

「イシュガルドの内乱…」

「!?…貴様…まさか!?」


 ようやく気が付いたか、まぁ、あの時と違って姿が変わっているので分からないのも無理からぬ事かもしれない。


「あなたを裁くのはこの国じゃない、この……私だ……!」

「ひっ、ひぃ!」


 閻魔は仰け反った。しかし、私は彼を生かす気などなかった。


「十二支帝国、USW、ヘレトーア、神聖ローマ、全てを壊してから、そっちに行くわ」

「ふざけふな!貴様らのような人の姿をした化物が…」

「イシュガルドたちに…よろしくね」


 そして、私は閻魔弦地の首を吹き飛ばし、身体をバラバラにして殺した。

 辺りには血の海が広がっており、私はかつてない程の満足感…そして、虚無感が同時に私に降り注いだ。







 プロテアはとあるビルの屋上にいた。空はもう暗い。

 プロテアは四宮舞とアザゼルを同時に仕留める機会を逃してしまった…

 アザゼルは死んだ。その情報はプロテアの耳に届いていた。


「私が直接殺せなかったのは残念だけど、アザゼルは死んだのは朗報ね。四宮舞…必ず殺す。常森厳陣も、黒宮大志も」


 プロテアは屋上から景色を見ながらそう呟いた。銀色の髪が風によってなびく。

 その血の様に赤い瞳は次のターゲットを見据えていた。そう、プロテア「たち」の復讐劇はまだ終わっていない。むしろ、これからだ。


 プロテアはエゴイストかもしれない。それはプロテア自身、自覚している。

 けど、もう遅い。全てが遅すぎた。五十年前のイシュガルドの内乱。

 あれが起こった時点でプロテアの復讐劇が始まるのは必然であった。


 強くなる為に努力した。強さのみ求めた。血嘔吐を吐くほどの鍛練を繰り返した。

 プロテアはどうやら才能があったようで、非常に高い戦闘能力を得た。

 しかし、まだだ、まだ足りない。彼らを殺すにはもっと、力がいる。

 戦略がいる。知識がいる。経験がいる。ズルさがいる。プロテアは復讐を果たす為にここまで来たのだ。


 まずは、四宮舞を殺す。次に、黒宮大志を殺す、最後に常森厳陣を殺す。

 そして、行く行くはイシュガルドの内乱を引き起こした者を全て殺す。

 更に今度は世界を殺す。そして、最後の一人になるまで殺し続ける。


「それが、この世界に対する私の宣戦布告よ。このクソッタレな世界を壊さないと気が済まない!」


 プロテアは表情自体は氷の様に無表情であったが、声にはかなり力が籠っていた。

 プロテアは本格的に動く頃合いだと考えていた。仲間ももうすぐ、到着する。

 復讐のー始まりだ。



 To be continued

 【第四章】百夜亡霊篇終了です。次回から新編に入ります。今回は【第二章】の伏線が回収されました。プロテアですが勿論、次の章でも出てきます。というか、次章のキーパーソンです。【第五章】はいつもと視点を変えてまして、プロテアを中心に物語が展開していきます。厳陣や黒宮の過去も明らかになり、結構シリアスになる予定です。

 では、【第四章】の話をして行きましょうか。この話で出てくる四大神はハワイの四大神がモチーフになっています。名前がまんまだから分かる人には分かるかもしれませんね。舞は今回の話で一旦の決着は着きましたが、彼女の本当の戦いはこれからだったりします。今回でアルビレーヌとウルオッサが再登場しましたがスープレイガを登場させる予定もありました。けど、没に(笑)メタ的な話をすると見せ場を作れそうになかったからです。アルビレーヌやウルオッサの方が協調性があるので動かしやすかったのです。因みに『七魔王(セブン・ドゥクス)』のメンバーの名前には共通モチーフがありましてそれは七つの大罪に関連する動物です。それ以外にもモチーフはありますが(笑)【第一章】で出てきた「アザミの花」のメンバーは日本神話がモチーフですが…てかこれ、今回のあとがきで言う内容じゃないですね(笑)これから出て来る敵にもモチーフがあるかもしれませんね。

 次の話は蒼たちにとって大きな「壁」となります。彼らの軌跡を最後まで見守ってください。それでは!

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