EXTRA-二人の雑談ー
音峰遥と常守澪は二人で雑談をしていた。
音峰遥と常守澪は二人で生徒会の仕事をしていた。
遥はピンクのツインテールをなびかせながら、書類に判子を押していた。一方澪は一人でスマホを弄っていた。
「あなたも手伝ってよ」
遥がそう言うと「はいはい」と言って澪は遥を手伝った。澪はかなり面倒臭がりなので本当は手伝いたくなかったのだが、遥を怒らせるほうが面倒臭いと判断したため、手伝うことにした。
澪は自身の青い髪を弄りながら判子を押し出した。
「そう言えば、こうやって二人きりで作業するの久しぶりよね」
「んー、そだね。アオチーやえるるんたちが来てから二人きりになることがほとんどなかったからね~。いや~、生徒会も賑やかになったね~」
「そうね、まさか、屍たちまで入ってくるとは予想外だったけど」
遥と澪はそんな話をしていた。澪の言うアオチーとは時神蒼、えるるんは月影慧留の事である。この二人は今年の春から同じ生徒会のメンバーである董河湊により生徒会に入ってきたのだ。
遥が言っている屍とは「アザミの花」のリーダーである天草屍の事である。彼らは敵対していたのだが、とある事情により生徒会に入ることになった。最初は微妙な関係が続いていたが、今となっては大分改善されている。因みに「アザミの花」のメンバーは屍以外にも蛇姫薊と御登狂も生徒会に所属している。
遥は生徒会がかなりの大所帯になっていることを喜んでいる。この学校の生徒会はかなり特殊であり、それゆえ、入ってもすぐに辞める人が多く、蒼たちが来るまで四人しかいない状態だった。決して仲が悪かったり、ギクシャクはしていなかったがどこか寂しかった。
しかし、蒼たちが来てから生徒会は確実に変わった。遥にとってとても楽しい空間になっていた。
一方、澪は複雑な気持ちだった。澪は人と話すことがあまり得意ではないし、そもそも人間嫌いな所があり、大人数でいる事をあまり好まない。
正直、今の生徒会は人が多すぎると思っていた。勿論、澪とて蒼たちの事は大事だと思っているし、遥同様嬉しいという気持ちはある。しかし、やはり澪はあまり人が多いのは好きになれなかった。
「うん。でもやっぱ、人が多いのは苦手かも」
「まぁ、元々人間嫌いだもんね澪は」
「う~ん、人間そのものが嫌いって訳じゃないけど…」
「澪はコミュ障だからね~」
「む~~ん」
遥が澪にとってきつい一言を言い放った。澪は今までまともな友達が出来たことが無い。澪は幼い頃から霊呪法の才と言った霊的才能、及び魔術の才能があった。
それが理由で周りの人間に無駄に特別扱いされ、よそよそしい態度を周囲の人間たちに取られていた。そのせいで澪は遥に会うまでまともな友達が出来たことが無かった。
遥もまた、霊術の才能があった。にもかかわらず、澪より友達が多くいた。
「私とハルちゃんの何が違うんだろう…」
澪はそう呟いた。
澪と遥が出会ったのは高校一年生の頃であった。その頃、二人は同じクラスで澪は相変わらず一人でいたが、そんな澪を見かねて遥が澪に話しかけた。
最初は澪は遥の事を無視していたが次第に打ち解けてきた。そして、遥と澪が普通に話すようになった辺りから二人は当時の生徒会長に生徒会の勧誘を受けた。
澪はかなり嫌がっていたが遥が興味を持ち、すぐに生徒会に入った。澪もいやいやながら入った。
それか澪は生徒会のメンバーたちと仲良くなっていっていた。勿論最初は遥としあ話していなかったが、生徒会は澪を特別扱いする人間はいなかった。一宮高校生徒会は「そういう人間」が集められていたからだ。
だからこそ、澪もすぐに生徒会に打ち解けることが出来ていた。…まさか澪自身、自分が生徒会長になるとは思わなかったが…
澪はてっきり遥が会長になると思っていたから。当時の生徒会は六人ほどいたが、三年生は会長一人しかおらず、二年生が三人いた。
しかし、澪が二年生になる前、上の三人が辞めてしまったため、生徒会長が澪に、副会長は遥になった。
残りの三人が辞めてしまったのは、生徒会の仕事についてこれなくなってしまったからだ。これを聞いた前生徒会長は澪を会長に推薦した。
澪は嫌がっていたが、遥が「会長は確かに澪の方がいいですね!」と言ってすぐに受け入れてしまっていた為、澪は無く無く生徒会長になった。
「まぁ、澪も昔に比べたらかなり話せるようになったじゃん。あたしが話した時は本当に何も話せなかったんだし」
「まぁ、これだけ話す機会があれば話すようにもなるよ」
「それもそうね。それにしても蒼たちは…面白いわね」
「ハルちゃんはアオチーたちを…特にアオチーに対して随分入れこんでるよね~。もしかして、アオチーの事…気があるの~?」
「別にそう言う訳じゃない!!まぁ、王子なのはびっくりしたし、彼の力はとても今日に深いと思ってるけど…そう言うのじゃない!!」
遥は顔を赤面させながらそう言った。
「あ、そう」
澪は意味深な顔をしていった。
「だから違うって!!」
「はいはい、分かったわよ~。後気になるのがさ~、遥って基本的にだれとでも仲良くなるし、他人を苦手意識すること無いけど、なえきんの事は嫌ってるよね~。あれ何で?」
澪は遥に質問をした。遥は気さくな人物だ。実際、誰も近寄ろうとしなかった澪とも仲良くなっており、今となっては澪と遥は親友の関係になったいてた。しかし、遥は一夜の事をどうも苦手意識をしているようだった。
「苗木君は…ね…。二年生の頃同じクラスだったんだけど…あたし、彼に協力してもらったことがあったの」
「協力?」
澪は疑問符を浮かべた。というか、遥と一夜が二年生の頃に知り合っていたとは初耳だった。二年生は遥と澪はクラスが離れていた。まぁ、生徒会があるから会う機会は多かったのだが。
「そう、覚えてるでしょう?露中大臣の暗躍を暴く依頼」
「あー、あったねそんなの、けどハルちゃんの手際の良さですぐに事件の真相を暴いて露中大臣の不正を暴いたじゃん」
「あれ、あたしが暴いたんじゃなくて苗木君が暴いたの」
「まじ?」
澪は驚いたようにそう言った。露中大臣とは十二支連合帝国の大臣の一人であり、政務活動費を不正に利用していた疑いがあった。
露中大臣は黒い噂が多かったが、この時より顕著になっていた。しかし、証拠が全くなく、立証させることが出来なかった。
「苗木君と初めて話したのはその時だったわ」
そう言って遥は昔のことを話しだした。
高校二年生になって間もない遥はすぐに依頼を受けることになった。その時の澪は生徒会長としての仕事にかかりっきりになっていたので、遥の手伝いをする暇がなかった。
その依頼の内容は露中大臣の政務活動費を不正に使っている証拠を掴んでほしいとの事であった。正直遥は情報収集の類が苦手であったが、断る訳にはいかなかった。生徒会としての使命というのもあるが何より、国を仕切っているのんげんが不正をしているとなれば遥は放っておくわけにはいかないと思ったのだ。
遥は正義感の強い人物であったため引けなかった。
遥也に色々調べたし潜入捜索も行ったが、証拠を見つけることは出来なかった。
遥はある日の放課後、捜査が上手くいかず、歩きながらため息を吐いていた。そんな時に突然彼は現れた。
「露中大臣の不正の証拠が見つからず、お困りのようだね」
「!!」
遥は声の方向に顔を向けた。そこにいたのは眼鏡をかけたアッシュブロンドの髪をした遥と同い年くらいの少年であった。
「あなたは…確か、苗木一夜君」
「お、僕の事を知っているのかい?」
「同じクラスじゃない。覚えてるわ」
「僕はクラスでは目立たない存在なのだがね」
遥はクラスの名前をすぐに覚える。というか、遥は人の名前を覚えるのが結構得意なのだ。しかし、一夜とはクラスで唯一離したことが無かった。
遥はクラスの人間とすぐに話すようにしているのだが、一夜は授業が終わるとすぐに教室に出てしまうためなかなか話す機会が無かったのだ。
「あたし人の名前はすぐに覚えるの。あなた…あたしに何の用なの?あなたいつも休み時間はどっか行って誰とも話そうとしないじゃない」
「ああ、露中大臣の不正の証拠が掴めたから君に教えようと思ってね」
「何ですって!?って、何であなたがその事を…」
「僕は情報収集が得意だからさ」
「答えになってないわよ」
「君の事も一通り知っているよ。音峰遥年齢一五歳、誕生日は十月十日、血液型B型、好きな食べ物は刺身全般、嫌いな食べ物は無し、因みに意外と惚れっぽく何人かの男子に告白したものの勢いが凄すぎてドン引きされるばかりで付き合った事が…」
「それ以上は言わんでいい!!」
遥は慌てて一夜を止めた。遥はかなり驚いていた。一夜の言っていたことは全て事実だったからだ。
「そうか…まぁ、取り敢えず、単刀直入に言うよ。露中大臣は単独犯ではないよ。何人か政府側の人間が後ろにいる。そいつを何とかしないといけないね。僕のパソコンにデータがあるから君のスマホに転送するね」
一夜はそう言ってパソコンを使い、データを遥に送った。
「これは…」
「まぁ、そう言う訳さ。奴らはデータを偽造している。僕の力で復元できたが…それは決定打にならないだろうね…どうとでもごまかせる」
「じゃあ、どうすれば…」
「簡単だよ…彼らはデータを偽造しているのと…金の闇取引を行っている。その取引現場に行って取り押さえればいいのさ」
「つまり、あなたは彼らは政務活動費のデータを偽造してるのとお金を別ルートで取引してることでお金を賄ってるって事?」
「まぁ、そう言うことさ。そして、奴らが次来る場所も特定済みさ。どうする?僕の誘いに乗るかい?」
遥は迷っていた。何故ならこの苗木一夜…かなり胡散臭そうなのだ。しかし、このままでは手掛かりがつかめそうにないのも事実であった。
「………分かったわ」
「決まりだ。ではすぐに行こうか」
一夜はニッと笑った。
「今日なの?」
「ああ、だから君に会いに来たのさ。僕には力がないからね。君に頼るほかないのさ」
「何であなたは私に協力するの?危ないことに首を突っ込んでるのよ?あなた」
「僕は常に楽しいことを探してるのさ。それに、国が不正を行っているとなると…僕としても色々面倒なことになるんだよ。だからさ」
「…」
遥は黙っていた。
「無駄話はここまでだ…行こうか」
そう言って一夜と遥はその取引場所に向かった。
「…ここだよ」
一夜がそう言った。もう夜になっていた。遥と一夜が今いる場所は船場であった。そこにいたのは四人の黒スーツの男と二人の男性であった。
「確かに露中大臣ね」
遥がそう言った。
「君は確か、音系の霊術が得意で高速で霊呪法を使えたね」
「そんな事まで知ってるなんて…」
一夜がそう言うと遥は呆れるようにそう言った。
「なら、君の力であの二人を分断しよう」
一夜がそう言うと遥は頷いた。
「これが今回の金だ」
男がそう言うと露中がそれを受取ろうとする。すると、いきなり音の波が襲い掛かってきた。
「何だこれは!?」
露中が叫びを上げると露中を囲っていたスーツの男たちがふっ飛ばされた。
「そこまでよ!」
遥が声を上げた。
「何じゃ貴様は!?」
「答える必要は無いよ!」
一夜が突然声を上げた。すると、露中がその声の方向に目を向けた。すると、露中と男の眼の前にすでに一夜がいた。
「霊呪法第三八番【電気衝】!」
一夜が霊呪法を唱えると電気の衝撃が露中と男に襲い掛かり、二人は気絶した。
「ふぅ…」
一夜が一息つくとスーツの男たち四人が一夜に襲い掛かってきた。一夜は雷系の霊呪法しか使えない上に発動速度がかなり遅い。
「がはっ!」
一夜はスーツの男に殴り飛ばされた。
「マズいね…」
一夜は膝を付きながらそう言った。
「縛十光輪!」
遥が霊呪法を唱えるとスーツ男たちの周りに光の柱が発生し、動きを止めた。
「ぐ…」
スーツ男たちは動きを止めた。
「【サウンドミサイル】!」
遥は音の衝撃波を発生させ、その衝撃波がスーツ男たちに直撃し、スーツ男たちは気絶した。
「助かったよ」
「お互い様よ」
遥は一夜に手を伸ばし、一夜はその手を取り、立ち上がった。
「ところで、君が今、気になっている男子だけど、あの人は止めた方が…」
「だから何であんたが知ってるのよ!!」
「後それから、君の作る料理は佐志賀にひどいよあれ…」
「だから、何で知ってんのよあんた!!」
二人はそんなやり取りを続けていた。
そして、その後、露中は自身の悪事が露見し、失脚した。
「へぇ~、そんな事があったんだ~。つまり、ハルちゃんがなえきんが苦手なのって…」
「あたしの秘密を余すところ無く言ってくるからよ…」
「なんていうか…よく分からないね…なえきんって」
「全くよ」
二人はそんな話をしていた。
「まぁ、これから色々あるだろうね…」
「そうね、楽しくなりそう」
遥と澪は楽しみにしていた。澪も少しだけ、この先の事が楽しみになっていた。
「あたしも昔とは随分変わったな~」
澪は確実に変わってきている。それは本人も自覚していた。
「よし!片付いた片付いた!帰ろ!澪」
「うん」
話してるうちに仕事を一通り終えた遥は澪に変えるように促す。
普段は澪が遥を振り回しているように見えるが実際は逆だ。遥が澪を振り回している。遥は傍若無人だなと澪はずっと思っている。
だが、そんな遥かだからこそ、澪は遥と一緒にいるのかもしれないと感じたのだ。
澪は遥と同じ気持ちだ。今の仲間たちを大事に思っている。だからこそ、この居場所を守りたいと強く思った。
-妙な事を考えるようになったな…私も
「行くよ~、澪」
遥が澪の名を呼ぶと澪は遥と一緒に学校を出て行った。
THE END
番外編です。一旦、ここで番外編は一区切りします。次からは【第三章】に入ります。次の話でこの物語も折り返し地点に入ります。それではまた次にお会いしましょう!




