EXTRAー勉強会ー
蒼たちはある二人の人物に勉強を教える事になった。
期末テスト…それはどの学生にも訪れるものであり、避けられぬ難関である。
蒼たち生徒会は全体的に優秀な生徒が多い。時神蒼はもちろんの事、同じ生徒会のメンバーである、苗木一夜、音峰遥、常守澪、董河湊、そして最近入ってきた、天草屍、蛇姫薊も成績優秀であった。澪と蒼に至っては学年一位である。
…しかしながら、成績優秀者がいれば必然的に成績が悪い者もいる訳で…生徒会は成績が優秀なものが多い、確かにそうだ。しかし、かなりヤバいのが二人いた。
そう、月影慧留と御登狂である。
慧留は見た目は黒髪ロングに黒目であり、間違いなく美少女である。狂も中性的な顔立ちをしており、黒髪でおさげで二つ括りにしており、瞳が紫の少女である。身体は慧留と比べて大分小柄ではあるが彼女も美少女であることは間違いない。
この二人は今、蒼を含めた八人の生徒会メンバーにより勉強をさせられていた。
「う~~~~~、くる帰りたい…」
「くるちゃん…がんばろう…」
狂と慧留は弱弱しくそう言っていた。なぜこうなってしまったのかは数日前に遡る。
期末テスト一週間前に控えていた蒼たちだが、生徒会はいつものように放課後に集まっていた。今回は全員集まっていたのだ。
「なぁ、慧留?お前期末大丈夫か?」
蒼が突然そんな事を言い出した。
その瞬間、慧留の肩が少し震えているのを蒼は感じた。
「大丈夫だよ」
慧留はすぐに答えた。
「…本当か?」
蒼はかなり怪しそうに慧留を見た。実は蒼は慧留の授業に様子を少し見ていた。転校早々、慧留は問題を先生に当てられ、答えられていなかった。その時は蒼が手助けをしたから何とかごまかせたものの、それ以降も何度か、慧留が当たる時があったのだが…
「お前、先生に当てられた時答えられてることの方が少ねぇじゃねーか、本当に大丈夫か?」
「大丈夫だって!」
二人がそんな話をしていると遥が自身のピンクのツインテールをなびかせながら、こう提案した。
「なら、中間テストの成績を皆で見せ合いっこしましょう。もし成績がヤバいと思ったら補習、それでいいわね?」
「えー、面倒臭い」
遥の提案を澪はめんどくさそうに言った。
「生徒会は生徒の基本にならなきゃいけないの!だから成績が悪いのは論外よ!じゃあ、早速明日持っていくこと!あ、もし持ってこなかったらその時点でそいつも補習だから」
遥がそう言うと慧留は青ざめた。しかし、青ざめていたのは慧留だけでは無かった。
「じゃあ、まずは蒼からね~」
翌日、遥が放課後の生徒会室で蒼たちの中間テストの成績を見ていた。
「ぶっちゃけ俺は見る必要ないでしょう…」
蒼はぽつりと呟いたが遥は無視した。
蒼は全ての科目が9割を超えており、数学に至っては満点だった。
「これなら問題ないか…」
遥は次に美浪の成績を見た。蒼程では無いが好成績であり、特に国語がよかった。というか七割を下回っている科目が無かった。
「次」
遥は今度は屍の成績を見た。屍は全てのテストが八割を超えており、特に科学の成績が高かった。
「苗木君は…」
一夜は全ての成績が八十点ぴったりであった。狙ってやっているとしか思えなかった。
「何これ?」
遥が顔を微妙に歪ませた。
「いやー、こういう数合わせ好きなんだよー、僕。面白いだろ?」
「もし期末でこれやったらあなたも補習」
「何で!?」
「当たり前でしょ!テストをこんなゲーム感覚でやるもんじゃないわよ!」
遥がそう言うと一夜が面倒臭そうな顔をした。…実際はテストの点数を調整する方が面倒臭いのだが…
「次は湊君」
湊はこれと言って得意科目は無く全てが八十点台だった。…正直、器用貧乏と言わざるを得ない。
「普通ね…」
「………」
湊は何故か釈然としないといったような表情をしていた。湊は決して怒られた訳でも何か言われた訳でもない。だが、微妙に湊は傷ついていた。
「じゃあ、澪は…」
「その前にハルちゃん答えなよー。不公平だよ」
遥が澪の成績を見ようとした瞬間、澪が遥に文句を言った。
「分かったわよ」
遥は成績を全て見せた。理系科目全般が全て満点であり、英語も満点であったが、国語と社会がなぜか七十点台だった。
「得意苦手がはっきりしてるな、あんた」
屍が呟いた。いや、遥は決して成績は悪くない。むしろいい方だ。しかし、得意科目と苦手科目がかなりはっきりしていた。
「てか、遥さん、言葉使い言葉使いうるさい割には俺より国語低いじゃあ…」
蒼がそう言うと遥はたまらず叫んだ。
「言葉使いと国語は関係ないでしょ!?それに七十点取ってんだから悪くないわよ!!人には得意苦手があるんだから別にいいの!!」
「…呆れた」
薊がぽつりと呟いた。遥はそれを聞き、反応した。
「今度は薊ね」
「どうぞどうぞお好きに」
薊は挑発するようにテスト用紙をビラビラと振り仰いでいた。遥はそれをブン取り、点数を見た。逆に薊は文系科目が満点であったが、遥と違い、そのほかの点数も取れており、理数系科目も九十点を全て超えていた。
「がは!!」
遥は血を吐いたようにして倒れた。
「つ…次は澪ね…とは言え、澪は成績いいから特に見るまでもないけど一応ね」
遥がそう言うと澪は成績を遥に見せた。流石は生徒会長を務めるだけあったほとんどのテストは満点だった。しかし、一科目だけかなり悪い点数の科目があった。
「数学…十九点!?何これ!?」
「あー、それね、試験中に寝ちゃった(笑)ほとんど埋まってないでしょ?それ」
確かによく見ると答えが二割しか埋まっていない。しかし、テスト中に居眠りをするとは…
「澪、あなたも補習よ…」
「え、無理無理」
遥がそう言うと澪は神速で断った。
「言い訳無用よ!!こんなん見過ごせるわけないでしょ!?赤点じゃないこれ!?」
「分かった分かった分かったわよ!!この問題全部解くからそれで満点だったら見逃してー!」
遥が叫ぶと澪は土下座をして遥に懇願した。
「あんた…プライドが無いわけ…」
遥が呆れるようにそう言った。
「まぁ、今回だけは許してあげるわ、じゃあ、その問題を5分でやって全問正解なら見逃すわ」
遥がそう言うと他の人たちが「五分!?」と答えたが澪はすぐにとりかかった。
「分かったわ!」
遥は問題を五分前に全て終わらせ、問題は全問正解だった。とても五分で解けるような問題量では無かったが、澪はやってのけた。蒼を初め、遥以外の者たちは驚愕の表情を浮かべた。
「さてと、残るは…」
狂と慧留だった。
-出た!鬼門二人!!
「まずは慧留からね」
慧留は恐る恐る問題を遥に見せた。
「「「え!?」」」
遥、屍、蒼は三人で同時に声を上げた。なんせ、慧留のテストの点数が…
「国語三点、数学二十点、理科十点、社会三十点、英語六十点!?」
遥は叫び交じりにそう言った。
「うあっちゃ~、まともな点数が英語しかないね…」
湊がマズいなこりゃといった顔をした。
「しかも、その英語すら及第点の六十点、終わってんな」
屍が吐き捨てるようにそう言った。
「で、でもまだ時間はあるし!」
美浪がそう言うが蒼が溜まらず声を上げた。
「一週間しかないんですけど!?」
「う~~」
慧留は苦悶の声を上げていた。
「次は狂ね…」
遥がそう言って狂の成績を見た。その瞬間、皆の顔が青ざめた。特に屍と薊の青ざめっぷりがヤバかった。屍はともかく、薊はあまり表情を変えない為、こんな薊を見るのは珍しかった。
その狂の点数は…
「国語八点、数学五点、理科0点、社会十八点、英語二点」
薊が顔を青ざめながらそう呟いた。目眩を起こしそうな勢いだった。
「屍君、君の教育はどうなってるのかね!?」
蒼が屍に敬語口調で煽る様に問い詰めた。
「うるせーよ…」
屍は返す言葉もないといった顔をしていた。
「しかも0点まであるよ!すごいね!!逆に!!」
澪が訳の分からないテンションでそう言った。
「ま…まだ一週間あるし…」
美浪がそう言うと蒼が再び叫んだ。
「一週間しかないんですけど!?その間にこの馬鹿二人をどうすればいいんですかね!?」
「くるは馬鹿じゃないもん!!」
「バカバカ言わないでよ!!」
狂と慧留が抗議をしたが他の者たちは聞かなかった。
「まぁ、ここでグタグタ言っても仕方ないわ。私たちで何とかするしかないわ。美浪も言ったようにまだ一週間あるわ。それまで何とかして足掻きましょう」
「別にテストが悪くても問題ないんじゃあ…」
「そうだよね…」
慧留と狂がそう言うと遥は業を煮やしたようで慧留と狂に説教をした。
「馬鹿言ってんじゃないわよ!!うちは進学校なのよ!!成績が悪かったら普通に留年するし、最悪退学処分まで喰らうわよ!!!それに成績が悪かったら夏休みが補習で丸々潰れるし、あんたら暫くここに来れなくなるのよ!?立場を考えなさい!!!!!」
「「ごめんなさい」」
慧留と狂は謝り、そして、勉強会がスタートした。
「という訳で蒼と屍、湊、私は狂の勉強を、慧留は薊と美浪、澪、苗木君で見る。これでいいわね?」
遥がそう言うと他の者たちはコクリと頷いた。
そして、二手に分かれて勉強をし始めたのであった。
「慧留ちゃん、まずは科学の問題からだ」
一夜がそう言って問題を出した。
Q.酸性の液体に青色リトマス紙に入れるとどうなる?
この問題に対して慧留はこう答えた。
A.濡れる
「いや、まぁ、そうなんだが…そうじゃないだろ!?」
一夜はたまらず声を上げた。
「慧留ちゃん、答えは「赤色に変色する」だよ…」
美浪は答えを言った。
「そうなんだ…」
慧留は苦い顔をした。
「次は薊君が問題を出してくれないかい?」
「………」
一夜がそう言うと薊は問題を出した。
Q.次の漢字を書きなさい。「しょぎょうむじょう」
慧留は自信満々に答えを書いた。
A.初行夢城
「いやいや、「行」しか合ってないよ、えるるん。こう書くんだよ」
澪はそう言って「諸行無常」と書いた。
「あっれ~、おっかしいな~」
慧留は冷や汗をかいてそう言った。
「じゃあ、今度はあたしが問題出すね」
澪が問題を出した。
Q.日本で初めて天下統一を成し遂げたのは誰?
慧留は頭を抱えたが、すぐに分かったような顔をして答えた。
A.アレクサンドロス
「えるるん。ここは日本だよ…答えは豊臣秀吉だよ」
澪が呆れたようにそう言った。
「えっと、今度は私から出しますね」
美浪がそう言って問題を出した。
Q.次の四文字熟語の意味を答えなさい。「日進月歩」
A.世界で一番すごくて強いこと
「慧留ちゃん、ふざけてる?」
美浪が若干切れ気味に発言した。
「ふざけてないよ!」
慧留が青ざめながらそう言った。
因みに答えは「努力を重ねることで日に日に進歩していく様」という意味だ。
「これは重傷だね」
「心が折れそう…」
一夜と薊がそう言うと美浪も溜め息を吐いていた。
「ねぇ、あたし帰っていい?」
「「「ふざけんな!!!」」」
澪が「帰っていい?」と言い出すとと三人の堪忍袋の緒がとうとう切れた。
蒼と屍、遥と湊は狂の勉強を見ていた。
「取り敢えずなんか問題出さねぇと始まらねぇ、行くぞ!」
蒼がそう言って問題を出した。
Q.「そこに車を止めてはいけません」を英語に直しなさい。
狂は即答した。
A. Oh,no no no here.
「気持ちは分かるが頑張れ…」
屍が頭に手を置きそう言った。
「次よ次!!」
遥が続いて問題を出した。
Q.「蛇足」という言葉を使って分を作りなさい。
A.遥の勉強会は蛇足だ。
遥は笑顔でぶち切れ、狂の頭に拳骨を加えた。
「痛!!何するの!?」
「馬鹿なこと書いてないで真面目に答えなさい!!」
「でもこれ一応文にはなってますよw」
遥がそう言うと蒼が笑いそうになりながらそう言った。
「蒼もいい加減にしなさい!」
「ったく、次は俺が出すぞ、問題」
屍は次の問題を出した。
Q.地球に最も近い惑星はどこ?
狂は目を輝かせて答えた。
A.月
「月は衛星だよ…御登さん…」
湊が困った顔をしながらそう言った。因みに答えは火星。
「てか、湊、あなたさっきから黙りっぱなしじゃないの!なんか問題出しなさい!」
遥がそう言うと湊は「じゃあ」と言って問題を出した。
Q.酸素を発生させるためにはオキシドールと後一つは何が必要?
A.〇玉
「……俺………心が折れそうマジでなんとかして」
湊が泣きそうな顔をでそう言った。普段ウザがっている蒼も今の湊にはさすがに同情し、湊の肩に手を置いた。
「二酸化マンガンな…」
屍がそう言うと「ああ、そっか!」と言って狂は納得した。
「下ネタぶち込んでくるとは…いよいよヤバいわね…」
遥がイラつかせながらそう言った。
「ああ、こいつストレスが溜まると下ネタに走り出すんで…」
屍が狂の衝撃事実をカミングアウトし、蒼と湊、遥は心が折れそうになっていた。
「ああ~、もうやだ!〇〇〇〇でもしてすっきりしたい!!それとも、そこら辺の男を〇〇〇〇して…」
狂がかなりヤバめの台詞を言っていたので、蒼が無理矢理狂の口を塞いだ。
「止めてよ!蒼ちゃん!もしかして、くるを犯そうと…」
「黙れ!うるさい!しばくぞ!てめぇ!!イライラしてるからって下ネタ言うな!!大体こうなったのも全部お前が悪いんだろうが!!」
「そんなの知らないもん!!!」
………こうして、慧留と狂の勉強会はひどい有様であった。
「う~~~~~、くるもう帰りたい…」
「くるちゃん…頑張ろう」
そして、今の状況になっている訳だ。
因みに今はテストの一日前であった。二人ともそれなりに学力は伸びてきており、一週間にしてはかなり頑張った方である。
しかし、慧留は国語、狂は英語が結構ヤバめであった。それ以外の科目は何とか及第点にまでは持ち込めたものの、どうしても慧留は国語が、狂は英語が伸び悩んでいた。
因みに二人は自主勉強をしており、他の八人は二人の勉強の様子を見つつ、これからの算段を練っていた。
「何とかここまでは持ち込めたが…ヤバいぞ…慧留は国語がどうしても伸びない…」
蒼がそう言うと屍が溜め息を吐きながらこう言った。
「はぁ…あいつの場合、とにかく漢字が駄目すぎ…古文や漢文に至ってはマジお手上げだ」
「狂も英語がね…」
遥がため息交じりに呟いた。
「あの子は何というか…英単語が全く頭に入ってないですからね、単純な英作を作るだけでも一苦労…」
湊が両手を上げながらそういった。
「でも、このままじゃマズいですね…あの二人かなりフラストレーションたまってますし…特に…狂ちゃんが…」
美浪が顔を赤らめながらそう言った。狂はあの後もストレスが溜まると下ネタを連発していた。美浪は思い出すだけで恥ずかしくなっていた。
「…最悪、一科目は捨てましょう…仕方ないわ…」
遥がそう言うと他の人たちも「そうだな」と言った。
…因みにこの後、狂が慧留に〇〇〇〇は週に何回してるのかとか、〇〇〇〇は見るのかとクソみたいな質問攻めをしていた為、蒼たちが止めに入った。
因みにその時の慧留は顔が真っ赤になっておりとても気まずい雰囲気になっていた。
期末テストに日がやって来た…来てしまった…
「ぶつぶつぶつぶつ…」
「ぶつぶつぶつぶつ…」
慧留と狂はテストに出る(であろう)単語をひたすら読んでいた。
「まぁ、頑張れよ…」
蒼は慧留にそう言うと屍も同じような事を狂に言った。
「頑張れ…」
「「うん」」
慧留と狂は死にそうな顔でそう言った。………大丈夫か?
テストは終了し、慧留と狂は力尽きていた。
「大丈夫か?慧留?」
「…うん、大丈夫だよ、蒼」
「大丈夫?狂ちゃん?」
「死んだ…」
美浪が声をかけると狂は力なくつぶやいた。
テストが返却され、再びテストの中身を遥は全員分のを見た。ほぼ全員中間テストの時と変わっていなかった。
…問題は慧留と狂である。
「慧留は…英語八十点、数学六十二点、理科五十五点、社会六十三点、国語は…」
遥が言葉を止めた。何故なら国語の点数が…
「九十八点!?どうなってんだこりゃあああああああ!?」
蒼が叫んだ。慧留も「あれ?」みたいな顔をしていた。
「何で?え?え?」
「いや…何も考えて無かったんで…」
遥が困惑してると慧留も分からないといった様子で言葉を返した。
「じゃあ、狂は…」
屍がそう言って狂の点数を見た。
「国語が五十点、数学が七十一点、社会が六十六点、理科が四十八点、英語が…六十七点か…」
「取り敢えず赤点から脱したわね…慧留、狂、これからは勉強を怠らないようにね?」
「「ワカリマシタ」」
慧留と狂は片言でそう言った。
その後、遥は泣いた、過程はどうあれ、慧留に負けたことを…
狂も泣いていた。あれだけ勉強して、赤点回避しただけであったことを。…慧留はそれなりに取れてたのに…
とは言え、一週間でここまでやれたのはすごいことなのではあるが…
「頼むからこんなことは二度と起きないで欲しい」
蒼がそう言うと他の者たちもうんうんと頷いた。
THE END
番外編です。屍たちの溶け込み具合がヤバいです。まぁ、慧留とくるが勉強できないのはお察しだったかもしれません。う~ん、勉強会っていうほど集中できないんですよね~、友達と雑談ばっかりしちゃって…皆さんもそんな経験があるのではないでしょうか?
という訳で、次回も番外編です。しばらくはそっちをお楽しみいただけたらなと思います!それでは!




