【最終章】使徒叛逆篇ⅩⅩⅣーThe end of revolution 2ー
「【神の天誅】」
ルミナスが光輝き、そして、白に包まれた。
「何や!?」
「分からねぇ!けど、ヤバイのは確かだ!」
「………」
やがて、ルミナスの姿が現れた。
ルミナスの背中に八翼の翼が生えており、白く薄い服に白く長いスカートを着ていた。
更に瞳は白色に変色しており、神々しい姿をしていた。
額には第三の眼が開眼していた。
それだけではない、翼の至る所に眼球があった。
神々しい姿であると同時に異質で不気味な姿でもあった。
「【白翼天使の無限神眼】」
「何だよ…その力は…!?」
「私の最後の切り札よ…まさか…使わせるとは思わなかったけどね」
ルミナスがそう言うとルミナスの翼にある無数の眼球から白い炎が吹き出した。
「【天白炎眼】」
白い炎が蒼達に襲い掛かる。
蒼は炎を凍らせようとした。
しかし、白い炎は凍り付かず、蒼の氷は跡形も無く消滅した。
「なっ!?」
美浪とプロテアは銀の狼を動かして回避した。
しかし、炎は無数に存在し、回避しきるのは不可能であった。
美浪とプロテアは炎を鉄の狼の左腕で払った。
すると、鉄の狼の左腕が跡形も無く消滅していた。
「これは…ただ燃やしてる訳では無さそうね」
美浪とプロテアの造り出した鉄の狼は相当な霊圧硬度がある。
それを跡形も無く消滅させるなど普通は不可能だ。
「その通りよ…私の白い炎の能力は…『消滅』よ」
プロテアの白い炎は触れたモノを跡形も無く消滅させる事が出来る。
それは水であろうと概念だろうと問答無用で消滅させる事が出来る。
「【時間停滞】!」
蒼は時間を止めた。すると、世界が白黒に変化した。
蒼の能力は氷の力以外にも時間を操る事も可能である。
中でも蒼は時間を停止させるのが得意である。
「無駄よ」
「!?」
ルミナスは白い炎を出現させ、蒼の時間停止を解除した。
「嘘だろ!?」
「ドラコニキルの時もそうだったでしょう?そんな小細工は私には通用しないわ」
ルミナスの白い炎に燃やせないモノは存在しない。
ルミナスの能力は余りにも強大であった。
「【鉄神剣眼】」
ルミナスの周囲に鉄の剣が出現し、一斉にルミナスに襲い掛かった。
「無駄だと言うのが分からないのかしら?」
ルミナスに届く前に白い炎によって全て燃やし尽くされてしまった。
「これは驚いたわね…まさか…一つ残らず掻き消すなんてね…」
プロテアの【鉄神剣眼】は相当な攻撃速度を誇るのだがそれを意図も簡単にルミナスは消し飛ばした。
「【白炎皇帝の王剣】」
プロテアは白い炎の長剣を顕現し、鉄の狼を切り裂いた。
「くっ!?」
鉄の狼は一瞬で掻き消えた。
「【天白炎眼】」
プロテアは白い炎を放った。
このままではプロテアと美浪は二人共やられてしまう。
「くっ!?【天時飛】!」
美浪は時を飛ばしてプロテアを地面に飛ばした。
「うっ!?美浪!!!」
美浪は白い炎をまともに受け、身体のあちこちに風穴が空いた。
「くはっ…」
美浪はそのまま地面に落下した。
「美浪!」
蒼とプロテアは二人共美浪に駆け寄ろうとしたがルミナスがそれを妨げる。
「残るは…貴方達だけよ」
「くっ!?」
「………」
屍と美浪はやられてしまった。
残るはプロテアと蒼だけだ。
それに対してルミナスは傷一つ付いていなかった。
いや、ダメージを与えてもすぐに回復してしまうのだ。
ルミナスははっきり言って無敵だ。
本気を出したルミナスの力は圧倒的であった。
「【鉄神剣眼】!」
ルミナスは光の剣を回してプロテアの出現させた無数の剣を弾き飛ばした。
「くっ!?」
「はぁ!」
蒼はルミナスに接近し、ルミナスに斬撃を与えた。が、ルミナスは左手の剣でガードし、蒼を吹き飛ばした。
「ぐぁ!?」
「無限の炎に焼かれて消えなさい」
ルミナスは白い炎を放った。
ルミナスの白い炎は一つ一つは小さいが当たれば問答無用で全てを消滅させる。
蒼とプロテアはルミナスの白い炎を回避する。
「甘いわね」
ルミナスは既にプロテアの後ろに回り込んでいた。
「【時空神速】!」
プロテアは自身の時を加速させ、ルミナスの攻撃を回避した。
「【鉄神剣眼】!【時空神速】!」
プロテアは左眼の能力で無数の鉄の剣を出現させ、その無数の鉄の剣の時を加速させ、ルミナスに攻撃した。
ルミナスの身体は無数の鉄の剣により全身を切り裂かれた。
「!?」
しかし、ルミナスは【無限再生】により全身の傷が直ぐ様回復ーしなかった。
「これは…どういう事?」
「ようやく…お前の再生能力を封じられたぜ…」
「!?」
蒼は氷の結界を張っており、ルミナスに氷を蓄積させていた。
蒼の氷はあらゆる能力を完全に停止させる力がある。
その能力を使い、ルミナスの【無限再生】を封じ込めたのだ。
「まさか…私の【無限再生】を封じ込めるなんてね…」
「屍と美浪のお陰でお前に隙が出来た。だからこそ成功したのさ」
「そう…けど…【無限再生】を封じただけで他の能力は普通に使えるわ!」
ルミナスは無数の白い炎を放った。
蒼は白い炎を回避しようとするが間に合わない。
しかし、蒼の目の前にプロテアが来た。
「【鉄万化眼】!」
プロテアは蒼と自身の前に鉄の壁を造り、プロテアの炎を防いだ。
しかし、鉄の壁は一瞬で消え、蒼とプロテアの眼前にルミナスが迫っていた。
「ふっ!」
ルミナスがプロテアを切り裂こうとするが蒼がルミナスの一撃を刀で防いだ。
プロテアも両手に鉄の剣を顕現させ、蒼とプロテアは高速の斬撃でルミナスに攻撃した。
蒼もプロテアも武器を二振り持っており、ルミナスも両手を使ったとしても倍の手数の差がある。
にも関わらず、ルミナスは蒼とプロテアの斬撃を完全に防いでいた。
「【天白炎眼】」
「【鉄万化眼】!」
ルミナスが斬撃の最中に翼にある無数の眼から無数の白い炎を放った。
だが、プロテアが再び鉄の壁を造り、防御した。
ルミナスの白い炎は確かに全ての物質を一瞬で燃やす。
しかし、対象を一つ燃やせば白い炎は完全に消えてしまうという唯一の弱点があった。
プロテアはルミナスの一瞬の隙を突いた。
「【時空神速】!」
プロテアはルミナスの左腕を掴み、左腕を封じた。
本当は両手共封じたかったがルミナスの剣の速度が速すぎて自身の時を加速させても左手を封じるのが限界だった。
本来ならルミナスの時間を減速させたかったのだが先程から時の減速能力を使ってもルミナスには全く通じていなかった。
ルミナスの炎は概念にも効果がある為、デバフの能力は一切通じない。
「隙を見せたわね」
ルミナスはプロテアの右腕を切り落とした。
「うっ!?」
しかし、蒼はプロテアが作ってくれた隙を逃さなかった。
この時、初めてルミナスの顔が青冷めた。
両手の刀を重ねてルミナスに全力で攻撃した。
「【超越神滅剣】!!!!!」
蒼はルミナスに極大の斬撃を放った。
「くうっ!!」
プロテアは蒼がルミナスに斬り掛かる直前に自身の時間を加速させて回避し、ルミナスのみが蒼の斬撃を受けた。
【無限再生】が無い今、プロテアにとっては極大のダメージとなった筈である。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
蒼は全力で斬撃を放った。
しかし、ルミナスはまだ立ち上がっていた。
ルミナスの身体はとてつもなく頑丈であった。
左肩をバッサリと切り裂かれていたが身体に欠損は見られなかった。
本来なら身体が吹き飛んでもおかしくない程の一撃であるにも関わらず、ルミナスは大きなダメージを受けていながらも再び立ち上がっていた。
これはルミナスが頑丈というだけでなくルミナスは蒼が斬撃のダメージを半歩下がる事で軽減したのだ。
「うっ…」
ルミナスが光の剣を杖代わりにして辛うじて立っていた。
【無限再生】が封じられた今、身体の再生は不可能である。
プロテアはかなり追い詰めたが蒼に関しては倒しきるには程遠かった。
このままではー
「負けるのは…私の方…か…ははは…ははは…」
ルミナスは何故か嗤っていた。
このままでは負けるのはルミナスの方だと言うのに、ルミナスは嗤っていた。
何かが…何かがおかしい。
「?」
蒼とプロテアは疑問を浮かべた。
「ルミナス…お前はもう、終わりだ」
「そうね…私一人の力だと…これが限界みたいね…ならば…奥の手を使うとしましょう…」
ルミナスは剣を掲げた。
すると、ルミナスの周りに十三個の武器が出現した。
「!?」
「あれは…まさか…」
「察しが良いわね…プロテア…そう、これは…パルテミシア十二神の神具よ!」
そう、そこにあったのはパルテミシア十二神の使っていた神具であった。
シルフィ・ヘスティア・パルテミシアが使っていたお守りの神具、【生命神具】。
ワスタード・ヘパイストス・パルテミシアが使っていた炎の盾の神具、【永遠の盾】。
刹羅・アルテミス・パルテミシアが使っていた樹木で出来た弓矢の神具、【月神弓矢】。
オルフィス・アレス・パルテミシアが使っていた鉄の棍棒の神具、【戦神棍棒】。
アフロディテが扱う仮面の神具、【最上天仮面】。
セレナーデ・ヘラ・パルテミシアが使っていたジュルの神具、【愛憎の拳】。
エリシア・アテネ・パルテミシアの使っていたナイフと盾の神具、【時空短剣盾】。
ランクル・デメテル・パルテミシアが使っていた白馬の神具【神白馬】。
ジェネミ・アポロン・パルテミシアが使っていた竪琴の神具、【黄金の竪琴】。
アウス・ヘルメス・パルテミシアが使っていた銀製の杖の神具、【伝令神杖】。
イシュガル・ポセイドン・パルテミシアが使っていた三叉槍の神具、【海地神三叉鎗】。
ガルディア・ハデス・パルテミシアが使っていた兜と瓢箪の神具、【瓢箪黒槍】と【冥界の兜】。
そして、アスディア・ゼウス・パルテミシアが使っていた鞭の神具、【雷帝神鞭剣】、全ての神具が揃っていた。
「私は神となった…故に神の力も私のモノよ」
ルミナスがそう言うと神具から霊圧が漏れ出し、ルミナスに吸収されていた。
「「!?」」
今まで感じた事の無い霊圧であった。
全てを押し潰すなんて生易しいもんじゃない。
全てを作り替えてしまう様なそんな霊圧だ。
ルミナスは光に包まれ、そして、生まれた。
ルミナスは全て真っ白になっていた。
いや、先程から真っ白であったが白さが増していた。
瞳も真っ白になっており、全てが白く、終焉を意味する様であった。
「【天白翼神乃終焉】」
圧倒的であった。
今までのルミナスも恐ろしく強かったのにそれとは比べ物にならなかった。
ルミナスは右手から白い剣を顕現させた。
「【消滅乃白神剣】」
ルミナスは剣を振り上げた。
蒼とプロテアは攻撃を回避した。
「「なっ!?」」
ルミナスが切り裂いた場所が完全に消えていた。
まるで、最初からそこに無かったかの様であった。
「私のこの【天白翼神神乃終焉】の能力は…事象の上書きよ…全てを作り替え、そして消滅させる事も出来るわ…私が消えろと思ったモノは全て消し、事象を思いのままに操れる」
「そんな…メチャクチャだわ…」
「今のはわざと避けさせたのよ…一撃で終わらせるのはつまらないわ…貴女には…もっと絶望を与えないとね…」
ルミナスが剣を振り上げた。
プロテアは巨大な鉄の巨人を作ったがルミナスに切り裂かれた瞬間、跡形も無く消え去った。
「嘘…だろ!?」
蒼は驚愕した。
プロテアのあの鉄の巨人はとてつもない霊力で出来ていた。
それを一瞬で消し飛ばすとは尋常では無かった。
「【超越神滅剣】!」
蒼は両手の剣で斬撃を放った。
しかし、ルミナスの白い剣が蒼の斬撃に触れた瞬間、一瞬で消し飛ばされた。
「なっ!?」
「【極楽鳥花】」
ルミナスは蒼に霊呪法を放った。
無数の霊圧でできた白い鳥が蒼に襲い掛かる。
「なっ!?このパワーは!?」
ルミナスは霊圧上昇により、霊呪法の破壊力も上がっていた。
蒼はルミナスの霊呪法をまともに受けた。
霊圧の白い鳥が蒼に当たる度に大爆発を起こし、蒼は吹っ飛ばされた。
「がっ…」
「貴女は殺さないわ…フローフル…この剣で切った者は問答無用でこの世界から消滅する…」
蒼は全身に風穴が空いており、更に内蔵も吹っ飛んでいた。
とても立ち上がれる様な状態では無かった。
「そんな…フローフル!」
「貴女は殺す…この世界から存在そのものを消してやるわ!」
ルミナスがプロテアの眼前に迫っていた。
「【鉄神剣眼】!」
プロテアはルミナスの前に無数の鉄の剣を出現させ、攻撃した。
しかし、ルミナスが一撃でプロテアの発生させた全ての鉄の剣を消滅させた。
「【縛十光輪】!」
プロテアは光の輪により、身体を拘束された。
【縛十光輪】はルミナスが最も得意とする霊呪法だ。
ー動けないどころか…霊力すら練れない!?
ルミナスはプロテアに思い切り斬りかかった。
「これで終わりよ!プロテア!!!!」
「!?」
プロテアは斬られなかった。代わりにー
「え?????????」
ルミナスはそんな素頓狂な声を上げた。
何故なら…ルミナスの剣はプロテアではなく、蒼を切り裂いていたからだ。
蒼の身体が完全に消滅した。
「嘘…フロー…フル…?」
「あっ…あっ…あう…」
ルミナスが絶望の表情をしていた。
蒼が…完全に消滅した。
「くっ!」
プロテアは自身の能力で時間を…過去を渡ろうとした。
プロテアは時間の加速と減速を同時に行う事で過去と未来に渡る事が出来る。
「無駄よ…フローフルは…全ての事象そのものが消滅した…過去にも未来にも…フローフルはいないのよ…ははは…はははははは…はははははははははははははははははははははははははははははははははははは…はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは…」
ルミナスが壊れた様に笑い出した。
「そんな…」
そう、ルミナスの事象の上書きは存在そのものを問答無用で消滅させてしまう。
それは過去も未来のその人も全てを消してしまうという事だ。
「もう…何もかもお仕舞いよ…私は…私は…!」
ルミナスはそう言って霊力が暴発した。
その暴発した霊力により、プロテアの全身が切り刻まれた。
プロテアも倒れていた屍も美浪も吹き飛ばされた。
「うああああああああ!!!」
プロテア達はそのまま下に落ちていった。
「私は…私は…」
何の為にやって来た。
ルミナスはただ…フローフルと…蒼と一緒にいたかっただけなのに…どうして…どうしてこうなったのだ?
殺すつもりなど無かった。
間違いなく蒼は立てなかった筈なのだ。
それなのに…蒼は立ち上がり、プロテアを庇った。
ルミナスはもう、認めざるを得なかった。
フローフルを…時神蒼を自分のモノには決して出来ないという事を。
ルミナスは大粒の涙が零れた。
「うっ…うっ…」
ルミナスは嗚咽を漏らしながら泣いた。
今までルミナスは泣いた事など無かった。
蒼が失った悲しみがとてつもなく大きかったのだ。
だが…ルミナスはここで心が折れる訳には行かなかった。
何故なら、ルミナスは蒼の為だけに動いていた訳では無い。
ルミナスは間違いなく、平和を望んでいた。それは事実なのだ。
だからこそ、ここでルミナスが折れれば世界宮殿の支配権が完全に失い、この世界が崩壊してしまう。
ルミナスはもう…蒼を追い掛けるのを止めなければならない。
「フローフル…結局私は…望んでも…貴方だけは手に入らなかった…」
ルミナスは悲しみに暮れながらそう言った。
本来ならばもっと整理する時間が欲しかった。
しかし、こうなったのは全部…
「私のせい…」
ルミナスは仮にも神聖ローマの皇帝だ。
ならば、悲しんでいる暇など無い。
最後の仕上げに取り掛からなくてはならない。
「戦いは…終わったわ…この世界に…平和と安寧を…」
ルミナスの身体が光の粒子となり、消えていった。
地球の動きが止まった。
そして、世界に光が包まれた。
「何だ?あの光は?」
現世にいた者達は空からの光に驚いていた。
この光は世界中を照らしていた。
【聞きなさい!この世界に生きる者達よ!】
「この声は…ルミナス様の声…」
ローマの兵隊がそう言った。
【私は世界宮殿を制圧した…そして!『七魔王』も、時神蒼達も、ヘレトーアの者達も全員倒した!さぁ…世界よ!私に従え!】
世界は…ルミナスにより支配された。
ルミナスは世界宮殿の力により、心を支配した。
誰も、ルミナスに逆らう者は現れなくなる。
ルミナスが真の唯一の神となったのだ。
ルミナスはこの世界の犯罪者…賊からこの世界を変えた英雄として祭り上げられた。
ルミナスの世界征服はここで完遂してしまった。
しかし、ルミナスはそれを喜ぶ事は決してなかった。
蒼がいない…自分が最も大事にしていた人を自分の手で摘んでしまった。
ルミナスはこの世界を維持しなければならないという使命感だけで動いている。
ルミナスがこの状況を作った。
ならば、ルミナスが責任を取らなければならない。
一度着いた王座から簡単に離れる事など許されない。
ルミナスは蒼がいなくても、この世界を見据え続けなければならない。
それが、ルミナスの使命だ。
誰もルミナスを倒す事など出来ない。
蒼達が束になってもまるで歯が立たなかった。
そもそも、今、この世界でルミナスに逆らおうと考える者などただ一人を除いていない。
そう、ただ一人だけ…ルミナスの支配から逃れた者がいた。
慧留達はあの後、ルミナスにより強制的に地上に引き戻された。
慧留達は十二支連合帝国にいた。
しばらくすると上空からルミナスが現れた。
このルミナスは世界中で確認出来たらしい。
そして、慧留とローグヴェルト以外の全員がルミナスに跪き、ルミナスを崇め、讃えた。
神聖ローマの者達は勿論、ヘレトーアの者達、『七魔王』を含めたUSW達、十二支連合帝国の者達、屍、美浪、一夜、プロテアもルミナスに跪いた。
そう、慧留とローグヴェルト以外は全員、ルミナスに支配されていたのだ。
「? 何故俺とエルには掛からない!?」
「これは…どういう事?」
「陛下が『世界宮殿』の力を行使した様だ。全ての人達は陛下に完全に支配された」
「そんな!?……え?でも、何で私とローグは平気なの?」
「それは…俺にも分からん」
そう、実の所、何故ローグヴェルトと慧留だけがルミナスの術に掛かっていないのか、二人にもさっぱり分からなかった。
「蒼…蒼は!?」
「……いない様だな」
「フローフルは私が殺した」
「「!?」」
慧留とローグヴェルトの前にルミナスが現れた。
「え?ルミナスは今…」
「上にいる私は私の分裂体よ」
「陛下…今…何と?」
「フローフルは私が殺した。もう…この世にいないわ」
「え?」
慧留は訳が分からなくなっていた。
「陛下!何故我々だけあなたの力の影響を受けていないのです!?」
「それは貴方達が『世界宮殿』の支配から外れているからよ。ローグヴェルトは一度死んで私が甦らせた事で…そして、月影慧留は堕天した事で魂が変質し、『世界宮殿』から外れた…だから…貴方達は影響を受けていないのよ」
そう、『世界宮殿』は魂が変質した者を自身の支配から外す様になっている。
ローグヴェルトは一度死んでルミナスが蘇生した事により、魂が変質し、慧留は天使から堕天使になる事で魂が変質した。
それにより、世界宮殿に支配されずに済んだのだ。
皮肉にも、慧留が蒼達を一度裏切った事で慧留は『世界宮殿』の支配から逃れる事が出来たのだ。
「月影慧留…貴女は殺さないわ…この世界は一つとなった…もう…誰も死ぬ必要は無いわ」
「何だよ…それ…何だよ!?それ!!君が…君が…蒼を…殺して……」
「そうよ…世界を一つにするには必要な事だった…フローフルは…平和の為に礎になったのよ」
「ふざけるな!そんな…そんな…!」
慧留は蒼が死んだ事を未だに信じられなかった。
蒼は今までどんな事も可能にしてきた。
蒼が死ぬ筈なんて無いのだ。
慧留はそう…都合良く思い込もうとしていた。
大切な人の死ほど受け入れられず都合良く失う筈が無いと思い込む。
「エル…」
ローグヴェルトは慧留を悲しげに見つめていた。
今のローグヴェルトは何を感じ、何を思っているのか…それは誰にも分からなかった。
「ローグヴェルト…行くわよ」
「………」
ローグヴェルトは去って行くルミナスに付いていった。
そして、少しだけ後ろを振り向き、慧留を見つめた。
ーエル…お前はこれから…どうする?
ローグヴェルトは心の中でそう、問い掛けた。
やがて、ルミナスとローグヴェルトは消えていった。
慧留は頭が真っ白になっていた。
世界はルミナスに奪われた。
蒼はルミナスによって殺された。
この戦いで多くの人達が犠牲になった。
なのに…なのに…慧留達は負けてしまった。
何も…何も得られずに負けてしまった。
今まで…どうにかしてきた。だから今回も大丈夫だと…そう…思っていた。
だが、現実は違った。
慧留は何も得られなかった。ルミナスに…完膚無きにまで叩き潰された。
ルミナスの力はあまりに強大で…そして…遠すぎる。
あの蒼を殺し、そして世界を完全に支配してしまう程の人物。
「ふざけるな…ふざけるな!ルミナス!!!降りてこい!ルミナス!!!」
慧留は上空にいるルミナスに向かって叫んだ。
「何を言ってるの!?慧留!!言葉を弁えなさい!!」
「なっ!?」
慧留に向かってプロテアがそう言い放った。
「慧留ちゃん、ルミナス様はこの世界の救世主だ。馬鹿な事を言うな」
続いて一夜がそう言った。
慧留は負傷している屍と美浪の所へと駆け寄った。
彼等ならもしかしたらと慧留はすがる様に二人を治療した。
慧留の時間回帰より、時が巻き戻り、屍と美浪の傷が治った。
「屍!美浪ちゃん!」
「ん…月影…」
「慧留ちゃん…」
屍と慧留が目を覚ました。
しかしー
「上にいるのは…ルミナス様か?」
「へ?」
「本当や!ルミナス様!」
「そんな…」
屍も美浪もルミナスに支配されていた。
「皆…何言ってるの!?ねぇ!?皆!!何で…何でルミナスなんかに…!!!」
「ばっ!?おま…何言ってんだよ!?ルミナス様はこの世界を収める…神みたいな御方だぞ!?」
「ルミナス様にそんな口の聞き方はダメですよ…慧留ちゃん…」
「なっ!?そんな…ねぇ!?皆…こんなの…こんなの絶対おかしいよ!?ねぇ!!」
慧留が皆に呼び掛けるが皆はルミナスの方にしか向いてなかった。
「ルミナス様!」 「ルミナス様!」
「ルミナス様!」 「ルミナス様!」
「ルミナス様!」 「ルミナス様!」 「ルミナス様!」
「ルミナス様!」
「ルミナス様!」 「ルミナス様万歳!!」
「ルミナス様万歳!」 「ルミナス様!!」
「ルミナス様が世界をお救いになった!」
「ああ!ルミナス様!」 「我々の救世主だああ!!」
「ルミナス様ああああ!!!」 「ルミナス様!!」
「ルミナス様がこの世界の神!」
この異常な光景を見て、慧留は絶句した。
「っ…」
皆が皆…ルミナスを崇めている。
ルミナスを敬っている。
ルミナスを尊敬している。
ルミナスを救世主と言っている。
そう…慧留だけ…慧留だけが…違うのだ。
世界に只一人…慧留だけがルミナスを認めていなかった。
まるで慧留は世界に一人だけ放り出された様な気分になった。
世界に一人だけ…違う…慧留は疎外感を感じていた。
これが…これが…
「孤独」
慧留はそう呟いた。
孤独…それはこの世界で最も恐ろしく、悲しい事だ。
誰にも理解されず、受け入れられず、阻害され、独りぼっちになる。
一人は…悲しい。一人は…寂しい…心細い…不安…とにかく…痛いのだ。
今の慧留は正に孤独と言える状態であった。
慧留はここにいる者達の中で唯一、ルミナスに支配されていない。
それにより、慧留は一人となった。
こんな事ならいっそ、慧留もルミナスに支配されていた方がマシだったかもしれない。
慧留はこの事態を何とかしたかったが…どうにも出来なかった。
こうして…ルミナス一人の独裁社会が完全に完成されてしまったのである。
To be continued




