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フェアレーターノアール  作者: たい焼き
【最終章】天界叛逆篇
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【最終章】使徒叛逆篇ⅩⅩⅡーrefrainー

「何故、貴様はそこまでフローフルを信じる?」


 ローグヴェルトが慧留にそう訪ねた。

 今、ローグヴェルトと慧留は戦闘をしていた。

 ジェジェを慧留とプロテアと美浪の三人掛かりで倒した後、ローグヴェルトが慧留達を襲撃したのだ。

 それにより、慧留もルミナスの戦いに参加する筈だったのだが、ローグヴェルトと戦う事となった。


「蒼は…私の世界を変えてくれた人だから…蒼の過去に何があったとか…そんなの関係ないよ…私は…時神蒼を信じる!」

「お前はいつだってそうだった…エル…お前はいつも迷わない。いつだって前を見ている…だからこそ…お前は誰よりも眩しいんだ…」


 ローグヴェルトは大剣を構えた。


「お前に第一解放(アインスエンゲル)が無駄なのは分かっている。【第二解放(エンゲルアルビオン)】」


 ローグヴェルトは【第二解放(エンゲルアルビオン)】を発動した。

 背中には虹色の翼が生えており、両手には黒色の籠手が着いていた。

 長剣は大剣に変わっており、巨大化していた。そして、ローグヴェルトの背中には玉座があった。


「【終焉の神剣(ハルヴァン・ヴェルト)】」


 ローグヴェルトは大剣を構えた。


「御出で、【時黒王子(ルキフゲ・ロフォンカレ)】」


 慧留は【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動した。

 骸骨と漆黒の羽根で出来た翼が生えており、全身に喪服が纏われていた。

 更に瞳の色も紫色に変わっており、錫杖の色も黒紫色に変化していた。

 頭には黒いヴェールが纏われていた。


「俺の【第二解放(エンゲルアルビオン)】は無敵だ。貴様がどうこう出来るモノでは無い」

「やってみないと分からないよ?少なくとも私はもう、君に負けるつもりは無いよ!」


 慧留は左手に黒い剣を顕現させた。


「【黒魔剣(グラディウス)】!」


 しかし、ローグヴェルトは非常に落ち着いていた。


「【万物斥界(アプレイトス)】」


 慧留はローグヴェルトの斥力の力で吹き飛ばされた。


「くっ!?」


 しかし、慧留は再びローグヴェルトに接近した。


「無駄だ。【万物斥界(アプレイトス)】」


 ローグヴェルトは斥力の力に更に自身の霊力を固めて飛ばした。

 それにより、慧留の身体はローグヴェルトによって切り裂かれた。


「ぐっ!?【魔神の輪廻回帰(パザード・レテンカルナシオ)】!」


 慧留はローグヴェルトの斥力の力を再現した。


「!?」


 ローグヴェルトは斥力により吹き飛ばされた。

 慧留の【魔神の輪廻回帰(パザード・レテンカルナシオ)】は過去に使った技を再現する技だ。

 先程、ローグヴェルトが斥力の力を使っており、それを再現したのだ。


「上手くいった!」

「………少し驚いたぞ…技のコピー…では無さそうだな。過去の再現…か…厄介な能力だな。だが…無尽蔵に使える訳では無いだろう?」

「くっ!?」


 慧留の過去の再現は再現する能力が強大であればある程、使用制限がある。

 無闇に乱発は出来ないのだ。


「このまま長期戦に持ち込めばお前は勝手にバテる」


 確かにローグヴェルトの言う通りだ。

 このまま戦えば先に力尽きるのは間違いなく慧留の方だ。

 だからこそ、慧留はローグヴェルトの能力を攻略しなければならない。

 だが、ローグヴェルトの引力と斥力の能力は簡単には攻略出来そうに無かった。

 今の所、欠点らしい欠点はほぼ無いと言っていい。

 あるとすればローグヴェルトの斥力の能力は基本的に一ヶ所しか使えず、全方位で使えば技のインターバルが生じる事くらいだ。


「御託はいいよ!」


 慧留はそのまま突っ込んで行った。


「【万物斥界(アプレイトス)】」


 慧留はそのまま吹き飛ばされたがそのまま黒い剣を投げ飛ばした。

 しかし、ローグヴェルトはその黒い剣も斥力の力で吹き飛ばした。

 その瞬間、慧留の姿が消えた。


「!?」


 ローグヴェルトは後ろを見た。

 そこには慧留がいた。


ーそうか!?慧留の奴…過去改変で俺の後ろに飛んだのか!?


 慧留は過去にローグヴェルトのいた場所にいた事になっていた。

 過去改変により、慧留はローグヴェルトの後ろを取ったのだ。

 そもそも慧留はここでジェジェと戦っており、ローグヴェルトがいた場所も過去にいた。

 過去改変は過去に経験があればある程、その能力が発動しやすい。


「【双黒魔剣(デュオ・グラディウス)】!」


 慧留はローグヴェルトの身体を切り裂いた。


「くっ!?」


 ローグヴェルトは斥力の力で慧留を吹き飛ばした。


「【黒閃光(オスキュラスレーゼル)】!」


 ローグヴェルトは慧留の攻撃を回避した。

 しかしー


「【魔神の輪廻回帰(パザード・レテンカルナシオ)】!」


 ローグヴェルトが避けた先に黒い光線が放たれていた。

 ローグヴェルトは黒い光線をまともに受けた。


「くっ!?」


 ローグヴェルトは辺りを見回した。

 しかし、慧留の姿が無かった。


ーどこだ?


「【王魔黒閃光(マギア・デア・オスキュラスレーゼル)】!」


 ローグヴェルトの頭上に慧留がいた。


「しまっ!?」


 ローグヴェルトの斥力の力が間に合わなかった。

 ローグヴェルトは慧留の攻撃を直撃で受けてしまった。


「【一引反転(アンクラフト)】!」


 慧留はローグヴェルトに引き寄せられた。

 しかし、慧留はローグヴェルトの剣を防ぎきった。


「甘い!」


 ローグヴェルトは左手で慧留の首を握り、地面に押し倒した。

 更に慧留の頭目掛けて大剣を突き刺した。


「【千本黒魔劍(グラディオス・デル・ミールレ)】!」


 ローグヴェルトの真上から無数の黒い剣が落下してきた。

 その黒い剣がローグヴェルトを貫く。


「ぐっ!?」


 ローグヴェルトの左手の力が一瞬緩み、慧留はローグヴェルトを蹴り飛ばしてローグヴェルトから離れた。


「はぁ…はぁ…」

「くっ…」


 慧留とローグヴェルトは向かい合っていた。

 ローグヴェルトは全身に傷を負っており、慧留もジェジェとの戦いで連戦の為かなり魔力を消耗していた。


「もう…終わりだよ」

「何だと?」

「私は君の能力は攻略した…それにその傷…もう戦えないでしょ?」


 確かに、押しているのは慧留の方であった。

 無敵と思われていたローグヴェルトの引力と斥力の能力を慧留は破り、更にローグヴェルトに深手を負わせた。


「確かに…貴様が勝つだろうな…()()()()()()()

「どういう事?」

「仕方無い…慧留…貴様はどうやら…俺の想像を絶する程の強さを手に入れた様だ…ガルディアを殺した時のこの力…また使う事になるとはな」


 ローグヴェルトがそう言うとローグヴェルトの玉座がひび割れ始めた。


「!?」

「これが…我がエンゲリアス…【滅殺虹剣(サンダルフォン)】の真の姿だ…」


 玉座が粉々に崩れ、更にローグヴェルトの右手の剣は小さくなっていった。

 ローグヴェルトの右手の剣は短刀と呼べる程にまで縮んでおり、一方、左手には粉々になった玉座の残骸が集まり、黒色の剣に変わっていた。

 そして、ローグヴェルトの右側の翼が黒色に変色していた。

 この現象には見覚えがあった、これはー


「堕天!?」

「少し違うな…俺のは半堕天…その名の通り…俺は半分堕天してる…貴様のとは違い、不完全な堕天だ」

「不完全?」

「俺の堕天は完全では無い。だからこそ、貴様とは違い、【第二解放(エンゲルアルビオン)】を使いつつ、堕天の力を扱う事が出来る」


 ローグヴェルトの場合、完全に堕天した訳では無いので慧留と違って完全にエンゲリアスが変質していないのだ。

 慧留のエンゲリアスは完全に堕天しており、その性質は悪魔が扱う完全にソロモンだ。

 だが、ローグヴェルトの場合は堕天が完全では無いので天使を使用出来、第二解放(エンゲルアルビオン)も使用出来る。


「これが俺の真の第二解放(エンゲルアルビオン)…【終焉の虹黒剣(ハルヴァント・ヴェルブ)】だ」


 霊圧が…比べ物にならないくらい上がっていた。

 慧留はローグヴェルトのこの強大な霊圧に恐怖した。

 しかし、このまま負ける訳には行かない。

 今度こそ、友達を止める、慧留はそう誓ったのだ。


「はあああああ!!!」


 慧留はローグヴェルトに突っ込んで行った。


「【黒虹大剣(ナヘマー)】」


 ローグヴェルトは左手の黒い大剣を構えた。

 そしてー


「【天地征圧(アンツクラフト・ベルング)】」


 慧留は地面に叩き付けられた。


「!?これは…!?」

「俺の右手の剣、【滅殺虹剣(サンダルフォン)】は引力と斥力を操り…左手の【黒虹大剣(ナヘマー)】は重力と反重力を操る」

「!?」


 慧留は身体を動かそうとするが重力が強すぎて立ち上がれなかった。


「【黒滅大剣(エイン・デーゲン)】」


 ローグヴェルトは慧留目掛けて左手の黒い大剣を振り上げた。

 すると、黒い斬撃が慧留を切り裂く。

 黒い斬撃は周囲の建物は愚か、天を突く程の強大な一撃であった。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 慧留はそのまま吹き飛ばされた。

 たったの一撃で相当ダメージを負った。

 慧留の全身から血が吹き出していた。

 しかし、慧留は再び立ち上がった。


「まだ立てるのか…」

「まだ…立てるよ…!」


 慧留はローグヴェルトに肉薄した。


「無駄だ。【天地征圧(アンツクラフト・ベルング)】」


 慧留は再び重力に押し潰された。

 ローグヴェルトの【天地征圧(アンツクラフト・ベルング)】は指定した範囲に超重力を発生させ、相手の動きを封じる事が出来る。

 ローグヴェルトは左手の黒い大剣を再び振り上げようとした。


「【千本黒魔劍(グラディオス・デル・ミールレ)】!!!」


 ローグヴェルトの頭上から無数の黒い剣が落下してきた。


「【万物斥界(アプレイトス)】!」


 しかし、ローグヴェルトは慧留の攻撃を全て弾き飛ばした。


「緩くなった!」


 だが、さっきの攻撃でローグヴェルトが使っていた重力の力が解け、慧留はローグヴェルトに攻撃を仕掛けた。


「はあああああ!!!【双黒魔剣(デュオ・グラディウス)】!」


 慧留は右手の錫杖に黒い魔力を纏わせ、左手に黒い剣を顕現させ、ローグヴェルトに斬りかかった。


「お前にもう、勝ち目は無い。【無反天力(ニヒツ・グラビター)】」


 慧留の剣がローグヴェルトに届くことは無かった。

 いや、慧留の身体が浮いたまま止まっていた。


「!?」

「先に行ったな。俺の【黒虹大剣(ナヘマー)】は重力と反重力を操るとな…お前の周囲に反重力を発生させ、俺に攻撃が当たらない。それだけではない。お前は自分自身の斬撃をその身に受ける事になる」


 慧留の身体に切り傷が入り、そのまま吹き飛ばされた。


「うあああ!!!!」


 慧留の周囲に反重力が発生した事により、慧留はローグヴェルトに斬撃を与えたつもりが逆に自分にそのまま反射されたのだ。

 そう、ガルディアはローグヴェルトのこの力により破れたのだ。

 ガルディアの武器は一発一発が即死攻撃だがローグヴェルトのこの能力により、自身の攻撃が反射され、ガルディアは致命傷を負った。

 ローグヴェルトのこの反重力の能力はカウンターに近い能力だと言える。

 しかもただのカウンターではなく、相手の能力をそのまま返すというモノだ。

 引力、斥力、重力、反重力の四つを自在に操るのがローグヴェルトの能力だ。

 しかも先程の様に斥力が効かなければ反重力で対応するなど、状況に応じてこの四つの能力を自在に切り替える事が可能であり、先程まで存在していた斥力を使った後のインターバルも無いに等しい。

 ローグヴェルトを倒すにはこの四つの能力を同時に攻略しなければならない。

 だが、ローグヴェルトの能力を一つ一つ攻略するならばまだしも同時に攻略するのはほぼ不可能だ。

 これがセラフィム騎士団団長にして最強の使徒、『頂点者(ジ・エンピレオ)』の称号を持つローグヴェルトの真の力である。


「うっ…」


 慧留は再び立ち上がろうとするが上手く立ち上がれなかった。


「まだ戦うか?もう俺に勝つ事は不可能だと分かっただろう?俺を倒す事が出来るのは陛下だけだ」


 ローグヴェルトがそう言い放った。

 ローグヴェルトはそれ程圧倒的な力を持っていた。


「それでも…諦める訳には…行かないんだよ…」


 慧留はそう言って立ち上がった。

 だが、身体は既に限界に近付いており、危険な状態であった。


「陛下の…我々の世界に何が間違っていると言うのだ?お前こそ分かっているのだろう?この世界に希望など無い事を!」

「そんな事は無いよ!諦めなければ…必ず…道は在る!」


 慧留はそう言って錫杖を杖変わりにし、右手に黒い剣を顕現させた。


「この世界宮殿(パルテノス)がある限り、俺達の生きる先には絶望しかない。世界宮殿(パルテノス)の決められた運命に流れるだけの空虚な未来…そんなモノ…俺は御免だ!」

「そうじゃない!人は…魔族は…変われる!」

「そうだ!この世界を…壊す事でな!」


 慧留とローグヴェルトは相容れなかった。

 慧留もかつて、ローグヴェルトと同じ事を考えた事があった。

 故に蒼達と争った事もあった。

 だが、慧留は気が付いたのだ。

 結局は同じ事だと。

 気に入らないからといって無闇にルールを書き換える事は駄目な事なのだと。

 こんな世界でも必死こいて生きている人達がいる。

 ルールを変えるという事はそのルールを守って生きている者達を踏みにじる事になるのだ。


「前にも言ったよね?私は…君の思いを棄てないって…例え…それを否定するのが今の君でも…私のやるべき事は…昔の君の意思を守る事…そして…今の君を…止める事!」

「止める?出来るのか?お前は俺には絶対に勝てない!」

「やってみないと分からないよ!」


 慧留はローグヴェルトに向かっていった。


「これ以上何を言っても貴様は止まらない…ならば…ここで…死ね!」


 ローグヴェルトは右手の短刀を振った。


「【虹神滅劍(プリズマ・デーゲン)】」


 虹色の斬撃が慧留に襲い掛かる。


「【魔王大盾(グラン・スクートゥム)】!」


 慧留が巨大な黒い盾を作り出した。

 しかし、黒い盾は一瞬で砕けた。


「終わりだ」


 慧留の身体が真っ二つに切り裂かれた。

 しかし、慧留はニヤリと笑っていた。


「なっ!?」


 ローグヴェルトの背中から黒い剣が刺さっていた。


「【時歴輪廻分身(プラエタリタ・アルタエゴ)】」


 ローグヴェルトの後ろに慧留がいた。


「いつの…間に…」

「私はね…自分の過去を切り取って分身を作れるんだよ…一人一人私と同じくらい強いんだよ…まぁ、持続時間はそんなに長くは無いんだけどね」

「ならば…さっき俺が殺したのは…」

「過去の私だよ」

「くっ!?【万物斥界(アプレイトス)】!」


 慧留はローグヴェルトの斥力の力により吹き飛ばされた。


「うわっ!?」


 慧留は再び体勢を立て直した。

 慧留のこの分身は基本的に分身出来る数には制限が無いが勿論、危険性(リスク)がある。

 まず、慧留の【時歴輪廻分身(プラエタリタ・アルタエゴ)】は自身の過去を切り取っているので慧留本体と全く同じ力を扱う事が出来るが、耐久性は高くなく脆い。

 更にこの分身は連続で分身を作る数に制限こそ無いが霊力以外に自身の過去…つまり寿命を消耗する。

 分身を自身の意思で解除すればその分の寿命は戻るがそうでない場合はその時間は戻ってこない。

 つまり、使えば使う程、自身の寿命を縮める事になる。

 また、分身に費やした寿命が多ければ多い程、耐久力が上がる。

 しかし、数の力というのはそれだけで大きな力となる為、慧留のこの能力はメリットも多く、所謂ハイリスクハイリターンな能力だ。


「エル…!」

「私は…負けない!」


 慧留はそう言って自身の分身を何体も出現させた。

 見る限り百体は下らなかった。


「くっ!?」


 ローグヴェルトは驚愕していた。

 ローグヴェルトの能力である引力と斥力の能力は使う相手を限定せず、広範囲に扱う事が出来る。

 しかし、重力と反重力は効果範囲が決まっているのでこれだけの数がいると重力と反重力の能力は扱い辛いのが現状だ。


「だが…本体は一人だ」


 ローグヴェルトはそう言って慧留に突っ込んで行った。


「【万物斥界(アプレイトス)】!」


 ローグヴェルトは斥力の力で慧留達を吹き飛ばした。


「うあ!?」


「【天縛引球(バインド・クラフト)】」


 ローグヴェルトは黒い球を出現させ、上空に打ち上げた。

 すると、黒い球からとてつもない引力が発生し、周囲の建物は勿論、大地すら吸い寄せていた。


「くっ!?」


 慧留は無数の黒い球目掛けて黒い剣を飛ばした。

 慧留の分身達も同様に黒い剣を飛ばした。

 すると、黒い球は無数の剣を吸い寄せて自爆した。


「やはり、これだけでは足りないか」

「皆!離れて!」


 慧留の本体がそう言うと慧留の分身達はローグヴェルトから離れた。

 ローグヴェルトは数十個の黒い球を空に打ち上げた。

 すると、再び建物や大地を吸い寄せ、巨大な隕石の様になっていた。


「【天縛流星(エイン・メテオア)】」


 無数の隕石が慧留達を襲う。

 慧留は過去改変で隕石の存在を無かった事にしようとしたが物量が大きすぎて不可能であった。

 また、同様の理由で過去を再現さて打ち消すのも不可能であった。


「!?」


 無数の隕石は慧留達目掛けて落下した。

 ローグヴェルトは上空に浮遊し、辺りを眺めていた。


「何!?」


 ローグヴェルトに向かって慧留とその分身が向かっていた。


「ローグ!」

「どうやって!?」


 ローグヴェルトは何故慧留が無事なのか分からなかった。

 しかし、そんな事を考えている余裕は無さそうであった。


「【万物斥界(アプレイトス)】!」


 ローグヴェルトは再び慧留達を吹き飛ばした。

 慧留の分身が消滅していく。


「うあっ!?」


 慧留は再び立ち上がった。


「はぁ…はぁ…」


 ローグヴェルトはかなり消耗していた。

 慧留にそれなりにダメージを与えられていた上に連続でこれだけの力を使ったからだ。

 しかし、それは慧留も同じ事だ。

 慧留はもう、立っている事すら出来ない筈なのだ。


「ローグ…君が倒れるまで…私は…諦めない!」

「エル!」


 ローグヴェルトは慧留に向かっていった。

 ローグヴェルトは二振りの剣で慧留に襲い掛かる。


「【影潜(ウンブラ)】」


 慧留は自身の影に潜り込んだ。


「!?」


 ローグヴェルトは驚き、怯んだ。

 その隙を慧留は逃さず、影から出てローグヴェルトを切り裂いた。


「くっ…それで…さっきの隕石から逃れたのか…!」


 そう、慧留は影に潜り込む事で隕石から逃れていた。

 しかし、影に入れる人数は決まっているので全員が影に逃げ込めた訳では無かった。


「流石に…君の力でも影の中までは影響が出ないみたいだね」

「だがお前は俺を攻撃するには影から出る必要がある。それに…見た所貴様が影に留まれるのはそこまで長くは無理だろう」

「………」


 ローグヴェルトの言う通り、慧留が影に潜り込み続けられる時間は魔力の残量で決まる。

 今の慧留では数秒影に潜り込むのがやっとであった。

 それに影に隠れていては自分も相手を攻撃する事が出来ないという弱点も存在する。

 あくまでも不意打ちや奇襲に使うのがこの技の使い方だ。


「まさか…ここまで俺をここまで追い詰めるとはな…」

「いつまでも…私だって守られてるだけじゃないんだよ…」

「エル…やはり…貴様をここに残しておいて良かった…貴様が唯一、陛下を倒せる可能性があったからだ」

「どういう…」

「これ以上は何も語るまい…これで…最後だ…」

「やっぱり…そうなるんだね…」


 ローグヴェルトと慧留はお互いを睨み合った。

 そしてー


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「うああああああああああああああああああああああ!!!!」


 ローグヴェルトと慧留が咆哮を上げて突撃した。


「【一引反転(アンクラフト)】!」

「!?」


 慧留はローグヴェルトに引き寄せられた。

 しかし、慧留は左手に黒い剣を顕現させ、ローグヴェルトに斬りかかった。


「【無反天力(ニヒツ・グラビター)】!」


 慧留はローグヴェルトの一歩手前で攻撃を止め、


「【時歴輪廻分身(プラエタリタ・アルタエゴ)】!」


 慧留は自身の過去を切り取り、分身を数十体作った。

 その分身達がローグヴェルトに襲い掛かる。


「【万物斥界(アプレイトス)】!!!」


『うあっ!?』


 慧留の分身達はローグヴェルトの斥力の力に吹き飛ばされた。


「お前の敗けだ!エル!大人しく…眠れ!!!」


 慧留は再び自身の過去を切り取り、分身を作り、その分身達が慧留を吹き飛ばされない様に支えていた。

 そして慧留はローグヴェルトの斥力に耐えきった。


「耐えた…だと……」


「はぁ…はぁ…」


 慧留の分身達が消えていく。

 しかし、二体の慧留の分身が慧留をぶん投げた。

 そして、慧留は両手で錫杖を持ち、巨大な黒い剣を作り出した。


「くっ!?【天地征圧(アンツクラフト・ベルング)】!!」

「まだだ!」


 慧留は再び分身体を作り、その分身体が慧留を蹴り上げて加速した。

 そして、分身体はローグヴェルトの重力の力で地面に叩きつけられた。

 ローグヴェルトの【滅殺虹剣(サンダルフォン)】は自分の周囲に引力と斥力を発動させる能力。

 そして、【黒虹大剣(ナヘマー)】は自身が選んだ一対象に重力と反重力を与える力。

 つまり、引力と斥力は広範囲に撃てるが重力と反重力は指定した対象一体にしか効果がない。

 更にローグヴェルトの斥力の力は全体で使えば三秒程のインターバルがある。


「【虹黒双神剣(プリズマ・ツヴィリングスパス)】!!!」


 ローグヴェルトは二つの剣を慧留に振り上げた。


ーありったけを!!!


 慧留の錫杖に魔力が集中していたこれが正真正銘の最後の一撃だ。


「【王魔黒影剣(グラン・ソーン・グラディウス)】!!!」


 慧留とローグヴェルトの剣がぶつかり合う。







「フローフル!」


 蒼が城を走っているとプロテアの声が聞こえた。美浪も一緒であった。


「プロテア、美浪!…慧留はどうした?」

「慧留はローグヴェルトと戦っているわ」

「そうか…」

「時神!」


 屍も蒼達の元にやって来た。

 これで四人が合流できた事になる。


「薊とくるは?」

「無事だよ」

「そうか…来れたのは…俺達だけみてぇだな」


 蒼がそう言うと三人は険しい表情をした。


「だが…後の敵はルミナスだけだ!」

「うん!勝って…戻ろう!」

「そうね」

「ああ!」


 蒼達はお互いに決意を確認し合い、そして走り出した。

 やがて巨大な門を見つけた。


「あいつの…ルミナスの霊圧を感じる…」

「いよいよやね」

「これで…この戦いで…全てが終わる」

「決着を着けるぜ…ルミナス!」


 蒼がそう言って門を切り裂いた。

 すると、門は崩れ、道が開かれた。


「荒っぽい開け方をするのね…フローフル」


 門の先に声が聞こえた。

 蒼達は門の中に入っていった。

 そこにいたのはー


「ルミナス…!」


 ルミナスであった。

 ルミナスは巨大な白い玉座に座っていた。

 如何にもラスボスの様な佇まいであった。


「運が良いわね…貴女達の仲間は誰一人として死んでない…けど…そっちの方が却って私にとっては都合が良いわ…これから征服する世界が誰もいないただの箱なのもつまらないしね」

「箱?違うな…これからお前の檻になる!」

「言うね…天草屍…」


 ルミナスは不気味な笑みを浮かべていた。


「あなたの下らない計画もここで終わりよ」

「それは違うわねルミナス…これから始まるのよ」

「いいえ、あなたはここで終わりです!」

「終わりはしないわ…霧宮美浪…」


 ルミナスはそう言って立ち上がった。


「ルミナス…」


 蒼はルミナスの雰囲気が全く違っている事に気が付いた。

 ルミナスの霊圧の()が全く変わっていたのだ。


「アスディアは死に…この『世界宮殿(パルテノス)』も手に入れた…後は…貴方達を倒せば全てが終わる」

「終わらせねぇよ…絶対にな…」

「俺達で…お前を倒す!」

「うん!」

「これで最後よ」


 蒼達は構えた。

 ルミナスはゆっくりと立ち上がり、長剣を掲げた。


「長きに渡る物語もついに終焉を迎える…貴方達を…倒す事で!そして…新たな世界が想像される!」


「【再起動(ジプノータス)】」


 蒼は二振りの刀を重ねた。


「【第二解放(エンゲルアルビオン)】」


 蒼は【第二解放(エンゲルアルビオン)】を発動させた。

 蒼は全身に黒い軍服を纏っており、霊力で出来た黒い翼が生えていた。

 更に氷で出来た羽衣が纏われており、右手には蒼色の刀、左手には黒刀が握られていた。


「【氷天黒救世楽園(アルカディア・メシアアリス)】」


 蒼のこの【第二解放(エンゲルアルビオン)】は諸刃の剣であった。

 【氷天黒救世楽園(アルカディア・メシアアリス)】は使えば使う程、蒼の寿命を縮める。

 ヴィングスゴルデクス戦で一度使用しただけで左手が灰化の症状が出ていた。

 恐らく何度か使い続けると灰化は全身に渡り、死ぬ事になるだろう。


「【第二解放(エンゲルアルビオン)】」


 ルミナスも【第二解放(エンゲルアルビオン)】を発動した。

 長剣が焼失し、ルミナスの背中に四対の翼が生えており、頭に白色の王冠が着いていた。


「【裁きの白天翼(さばきのはくてんよく)】」


 ルミナスは全力で蒼達を叩き潰すつもりだ。


「行くぜ…」


 蒼と屍とプロテアと美浪はルミナスの方へと突っ込んで行った。


「これで最後よ…」


 ルミナスはようやく全て終われると思った。

 この戦いで…最後だ。





To be continued

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