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フェアレーターノアール  作者: たい焼き
【最終章】天界叛逆篇
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【最終章】使徒叛逆篇ⅩⅩーInfinite chainー

「【呪縛紫鎖(ガブリエル)】」


 エクレアは無数の鎖で攻撃を仕掛けた。

 スープレイガとドラコニキル、アルビレーヌとウルオッサはエクレアの無数の鎖を回避していた。


「これは面倒だね~、うじゃうじゃ鎖が…」

「あいつの力はこんなもんじゃねえ…くそ…舐めプしてやがるな…」

「ふー、ならばチャンスだな。怒り狂え【黒龍魔王(サタン)】」


 ドラコニキルは【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動した。

 全身白い服で覆われており、服には大きな黒い十字架の模様があった。

 更に手足は両方黒ずんでおり、頭には龍の骨を被っていた。

 瞳は赤くなっており、龍の黒い翼が生えていた。

 ドラコニキルは黒い炎の長剣、【ペンドラゴン】を右手に顕現させ、エクレアに攻撃を仕掛けた。

 エクレアは鎖を自身の前に持っていき、ドラコニキルの攻撃を防いだ。

 しかし、ドラコニキルの黒い炎の剣はエクレアの鎖を簡単に焼き斬った。


「!?」


 エクレアは咄嗟にドラコニキルから距離を取った。

 しかし、そこには既に【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動していたスープレイガがいた。

 スープレイガの身体には全身に金色の薄い鎧を纏っており、髪も伸びていた。

 更に頭には王冠の様なものが付いており、四肢には刃物のの様な鋭い爪が生えていた。


「煌々と照らせ!【黄金汪魔(ルシファー)】!」


 スープレイガはエクレアの脇腹を貫いた。


「くっ!?」


 しかし、エクレアはすぐにスープレイガから離れ、上空へと逃げた。


「ちっ!逃がしたか…」

「流石に四対一では分が悪いわね…」


 エクレアはそう言って鎖を掴んだ。


「気を付けろお前ら!【第二解放(エンゲルアルビオン)】だ!」


 スープレイガがそう言うとドラコニキル、アルビレーヌ、ウルオッサが身構えた。


「起きろ、【怠惰人形(ベルフェゴール)】」


 ウルオッサは【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動した。

 全身に包帯が巻かれ、頭には二本の角が生えており、眼は片眼だけ包帯に巻かれていた。

 瞳の色と髪の色は水色に変色しており、背中には巨大な黒い翼が生えていた。


「舞い踊れ、【人形妃姫(レビィ・ア・タン)】」


 アルビレーヌも【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動した。

 下半身は魚の尾のような形状に変わっており、茶色い髪も少し紫掛かっていた。

 上半身のワンピースの姿はそのままであり、腕には真珠で出来た数珠が付いていた。


「いくら束になって掛かった所で…私の第二解放(エンゲルアルビオン)の前では無力よ…」


 エクレアはそう呟き、そしてー


「【第二解放(エンゲルアルビオン)】」


 エクレアの身体が鎖に包まれた。


「「「「!?」」」」


 やがてエクレアは鎖から姿を現した。

 エクレアの全身には紫色の鎖が巻き付けられており、衣服が纏われていなかった。

 更に背中には巨大な紫色の翼が生えており、瞳孔が黒くなっていた。


「【月光鎖天魔(ムハンマド・モント)】」


「ふー、天使とは聞いて呆れるな…我々より余程悪魔の様な姿をしている…」


 ドラコニキルがそう言った。

 エクレアが第二解放(エンゲルアルビオン)を発動した瞬間、周囲の景色が闇に包まれ、空には月光が照らしていた。

 エクレアのその姿は月光に照らされ、非常に美しくも、恐怖を煽る外見をしていた。


「霊圧の上がり方も異常だね…ヤバイなんてレベルじゃない…」

「当然よ…私は…天使親衛隊(フィーア・エンデ)よ。盆百な天使とは違うのよ」


 エクレアは右手を上げた。

 すると、無数の鎖がドラコニキル達に襲い掛かる。


「【世界堕落(コループティオ・デル・ムンドゥス)】!」


 ウルオッサは上空へ飛び、上空に魔法陣を出現させた。

 ウルオッサが発生させた魔法陣内に入った者は強制的に霊圧、魔力、及び身体能力を減退させる事が出来る。

 更にウルオッサのこの技は対象を選べるのでドラコニキル、アルビレーヌ、スープレイガには一切影響が無い。


「【無限呪殺鎖(ウンエントリヒ・ケッテ)】」


 エクレアはウルオッサの力の影響を受けている筈なのに動きが鈍っていなかった。


「まさか…あの鎖が僕の力を無効化してるのか!?」

「その通りよ。私の鎖は触れただけで縛る。それは能力でも…概念でもね」


 エクレアはウルオッサに鎖で攻撃を仕掛けた。


「【殼堕翼(クラスタ・デル・アーラ)】!」


 ウルオッサは巨大な自身の翼でエクレアの攻撃を防ごうとする。

 しかし、ウルオッサの翼は鎖により縛り上げられ、更にウルオッサの身体全身にエクレアの鎖が突き刺さる。


「がはっ!?」


 ウルオッサはそのままエクレアに地上に突き落とされた。


「ウルオッサ!?」


 アルビレーヌがウルオッサに声を掛けるがウルオッサは気を失っていた。

 あのウルオッサが一撃でやられてしまった。


「まだ生きてるわね…」


 エクレアはウルオッサに執拗に攻撃を仕掛けた。

 しかし、アルビレーヌとドラコニキルがエクレアの鎖を受け止めた。

 更にエクレアの後ろにはスープレイガがいた。


「甘いわね」


 エクレアがそう言うとエクレアの翼と背中から無数の鎖が出現し、スープレイガの身体を貫いた。


「がはっ!?」


 更にエクレアの鎖はアルビレーヌとドラコニキルの力も押さえ込み、縛り上げていた。


「くそ!?」

「身体が…動かない…!?」


 ドラコニキルとアルビレーヌはそのまま地面に叩き付けられた。

 更にスープレイガも鎖に縛られ、地面に叩きつけられた。


「ぐぁ!?」

「うっ!?」

「くはっ!?」


 一瞬だった。

 一瞬でエクレアはドラコニキル達をあしらった。

 仮にも相手はUSWの精鋭達だ。

 それを相手にエクレアは一瞬で片付けてしまった。


「残念だけど…これが力の差よ」


 エクレアの力は圧倒的であった。


「ここまでとはな…」


 ドラコニキルとアルビレーヌとスープレイガは鎖から抜け出そうとするが鎖は縛りが強くなる一方であった。


「悪いけど…あなたたちは抹殺する様に命を受けている…あなたたちはここで終わりよ」

「さぁ…それはどうかしらね!」


 アルビレーヌがそう言うとエクレアの足元から間欠泉が発生した。

 アルビレーヌが【悪魔解放(ディアブル・アーテル)】を発動した瞬間、時間差で発動する様に仕込まれていたのだ。


「くっ!?」


 エクレアが一瞬怯み、その瞬間に鎖が緩んだ。

 その隙をドラコニキル達は逃さなかった。

 ドラコニキルとスープレイガ、アルビレーヌは鎖から脱出した。


「運が良かったわね」

「………」


 ドラコニキルはエクレアの鎖を見つめていた。


「どうにか抜け出せたわね…どうにかしてあいつを倒す方法を考えないとね」

「ちっ!」

「いや…奴を倒すのは可能かもしれない」

「そうよね…相手はどんな物も縛り付ける能力がある…って、え?」

「どういう事だよ!?ドラコニキル!」

「確証は無いが…」


 ドラコニキルはスープレイガとアルビレーヌに耳打ちをした。


「なっ!?」

「成る程…そういう事ね」

「ああ…では、早速行くぞ!」


 ドラコニキルがそう言うとスープレイガがもうダッシュしてエクレアに接近した。


「無駄よ」


 エクレアの鎖はスープレイガの光の残像をも捕らえていた。


「たく…ホント何でも捕らえるな!?」


 光の残像を捕らえるとスープレイガの速度が減退した。


「くっ!?」


 しかし、スープレイガは再び魔力をチャージして鎖から逃げていた。


「逃げてるだけじゃ勝てないわよ」

「分かってるよ!んな事は!気に入らねぇが…今はこうするしかねぇんだよ!」

「?」


 エクレアはドラコニキル達のやろうとしている事が分からなかった。


「行くわよ…【水流廛爆破(ウェルテクス・イヌンダシオン)】!!!」

「!?」


 エクレアに大量の水が襲い掛かる。

 スープレイガはエクレアに接近してエクレアの腕を掴んだ。


「!?」

「悪ぃが一緒に水中旅行を楽しもうや…」

「くっ!?」


 スープレイガごと大量の水はエクレアを飲み込んだ。


ーこの程度で!


 エクレアは鎖を操作し、スープレイガを串刺しにし、吹き飛ばした。


「がはっ!?」


 そして、エクレアは空中へ飛び、水中から脱出した。


「【黒炎刃翼(アトルム・フラムマアーラ)】!」


 ドラコニキルはエクレアのいた場所に黒い炎を放った。

 エクレアは鎖でドラコニキルの攻撃を防いだ。

 しかしー


「なっ!?」


 エクレアはかつてない程に驚愕していた。

 何故なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ドラコニキルはエクレアに接近し、エクレアを黒炎の剣で切り裂いた。

 すると、エクレアの全身を纏っていた鎖が崩れ落ち、エクレアは裸の状態になっていた。

 更にエクレアの身体は黒炎に包まれ、今にも焼き尽くされそうであった。


「【呪縛紫鎖(ガブリエル)】!」


 エクレアは身体から無数の鎖を新たに発生させ、黒炎を縛り付け、身体から黒炎を分離させ、鎖でそのまま押し潰した。

 更に身体に再び鎖を巻き付けていた。

 だが、エクレアは先程の一撃でかなりダメージを受けていた。


「一体…どういう…………!?」


 エクレアは今になってドラコニキル達のやろうとしていた事に気が付いた。


「そう…お前の予想通りだ」

「水と炎を使って…私の鎖を錆らせたって事!?」

「その通りだ…お前の鎖は鉄製だ…だからまさかとは思ったが…当たりだった様だな」


 鉄は水に濡れ、そしてそれがそのまま乾燥すると赤錆が出来る。

 赤錆は外部から内部へと徐々に脆くなっていく。

 ドラコニキルはエクレアが最初にアルビレーヌの水を受けた時、エクレアの鎖を観察していた。

 エクレアの鎖が水を受ける事で僅かに錆びている場所があったのだ。

 赤錆はそんなすぐに出来るモノではない。だが、エクレアの鎖は錆に対して非常に弱いのだろう。

 水をエクレアの鎖に浴びせ、それをドラコニキルの黒炎で急激に暖める事で赤錆を発生させ、エクレアの鎖が崩れ落ちたのだ。

 エクレアの鎖はドラコニキルの黒炎だけでは決して燃やす事は出来ない。

 だが、アルビレーヌの水でエクレアの鎖を濡らし、ドラコニキルの黒炎で暖めれば、この様にエクレアの鎖を攻略出来た。


「エクレアの鎖はあらゆるモノを縛る。だがその代償に錆に極端に弱くなってたのね」

「そういう事だ」

「私の弱点を見切るなんてね…正直驚いたわ…けど、私にはまだ奥の手があるのよ!」


 エクレアはそう言って無数の鎖をここら一体に出現させた。

 そして、エクレアは自身の身体に纏っていた鎖も使用していた。

 エクレアは再び全裸になっていた。


「【天使呪縛舞台(ガブリール・ケットサーカス)】!」


 すると、ドラコニキルの後ろから鎖が出現した。

 虚空からいきなり鎖が出現した。


「何!?」

「!?」


 アルビレーヌの真下からも無数の鎖が出現し、串刺しにしていた。

 更に周囲の水と黒炎すらエクレアの鎖は縛り上げていた。


「いくら私の鎖が水に弱いとはいってもその前に縛り上げれば意味が無いわ!これで終わりよ!」

「ああ…そうだな…お前は俺の部下達を甘く見すぎたな」

「何ですって?」


 エクレアがそう言うといきなり身体が重くなった。


「!? これは…」

「よくやったな…ウルオッサ…」

「はぁ…はぁ…」


 ウルオッサはエクレアに縛られていたのだが意識を取り戻し、エクレアの鎖を振りほどいていた。

 ウルオッサを縛っていた鎖はエクレアの霊力が長い間供給されていなかったので脆くなっていた。

 エクレアの鎖はエクレアに霊力を供給され続ける事でほぼ無敵に近い能力を手に入れるが逆に霊力が供給されなくなると途端に脆くなるというもう一つの弱点があった。

 エクレアの上空には魔法陣が描かれていた。

 ウルオッサの技である【世界堕落(コループティオ・デル・ムンドゥス)】だ。

 この技はウルオッサの基本的な技であり最も強い技でもあり、この技を受けた者は魔力、及び霊力や身体能力、思考能力すらも減退させる事が出来る。

 さっきはエクレアが全身に鎖を纏っており、それによりウルオッサの攻撃を防いでいたのだが、さっきのエクレアの渾身の一撃によりエクレアは防御の鎖を棄ててしまっていた。

 それにより、エクレアはウルオッサの技をまともに受けてしまった。

 ドラコニキルとアルビレーヌを縛っていた鎖が緩んでいた。


「くっ…」


 スープレイガも自身を縛り上げていた鎖を引きちぎり、エクレアの元へ向かった。


「これで…終わらせる!【黒炎魔神剣(サタン・グラディウス)】!」

「【光魔王刃刀(ルシファーズ・ルクシリア)】!」

「【水泡死鎌(スクマーテルア・ゴルドレーザー)】!」


 ドラコニキルの極大の黒炎の剣とスープレイガの両腕の光の刃、アルビレーヌの水の鎌でエクレアを切り裂いた。






 エクレアは争いが嫌いであった。

 争いはただただ醜いからだ。

 何も産み出さず、何も造り出さずただただ壊すだけ。

 だからこそらエクレアはこの終わりのない無限の地獄から抜け出す方法を探していた。

 【厳選(アウスヴェレン)】…ローマカイザーによる天使の餞別。

 これにより多くの天使が死んでいった。

 かつての友であったジェリーもそのアウスヴェレンの被害者であった。

 エクレアは別に世界の平和とかそんな大それた事は考えてはいなかった。

 ある意味、エクレアは諦めていた。

 この世界に命というものが有る限り、争いは無くならないのだから。

 エクレアはそんな間違いだらけの世界に諦めを感じていた。

 だから、エクレアは一人でひっそりと暮らしていた。

 そんな時に彼女は現れた。

 ルミナス・アークキエル・ローマカイザー、歴代ローマカイザー最年少して最強の皇帝である。

 エクレアはローマカイザーの事は信用していなかった。

 アウスヴェレンの事があったので当然であった。


「貴女の力を貸して欲しいの」


 ルミナスは一人でエクレアの元へとやって来た。

 エクレアの家は民家に紛れて存在しており、ルミナスはすぐにエクレアの家を特定していた。


「断るわ」

「何故?」

「どうせ、争いが始まるのでしょう?」

「そうだね…けど、争いはもう、終わらせるつもりだよ」

「どういう事?」


 エクレアはルミナスのやろうとしている事について聞いた。

 『世界宮殿(パルテノス)』を支配して争いを無くすと。

 そして、その為にはエクレアの力が必要なのだと。


「この先に待っている世界は…貴女が望んでいた楽園よ。そう、私と手を組めば貴方もその楽園へと行く事が出来る。私なら…それが出来る」

「………」


 エクレアもその楽園に行ってみたかった。

 エクレアはルミナスのこの言葉をただの戯れ言と捕らえる事も出来た。

 しかし、エクレアはルミナスの言葉を戯れ言とは思えなかった。

 ルミナスには何らかの…単純な強さだけではない。

 それ以外にも…何か大きな力を持っている様な気がしたのだ。

 エクレアは思ってしまったのだ。ルミナスならば世界を変え得る救世主であると。

 この時のエクレアは十代であり、子供といって差し支え無い年齢だ。

 にも関わらずこれ程まで強烈な存在感を放っているのは普通では無かった。

 エクレアは何人かのローマカイザーの皇帝を見てきたがルミナスの様な人物は初めてであった。


「いいわ。あなたの戯れ言に…付き合って上げるわ」

「決定だね」

「あなたは今までのローマカイザーとは違うみたいだしね」

「ええ、貴女の期待は絶対に裏切らないわ」


 実際、ルミナスはエクレアの期待を裏切る所か予想以上であった。

 今まで成し得なかった神聖ローマを統一し、更に事実上の世界統一を成し、世界宮殿(パルテノス)さえも支配しようとしている。

 そう、エクレアはルミナスにまんまと魅せられた訳だ。

 だが、エクレアは後悔はしていなかった。

 ルミナスはこの世界を新たに変える者だと、そう、エクレアは確信したのだ。

 世界の変革者はいつだって誰かを従える大きなカリスマを持つ者だ。

 ルミナスもそうであったのだ。

 ルミナスにはきっと、不可能な事など存在しない。

 ルミナスがやると決めればそれは必ず果たされてしまうのだ。

 ルミナスに出来ない事は無く、全てを支配する完璧な存在なのだ。

 少なくともエクレアはそう思った。

 この世界に誰よりも愛され、選ばれた存在、それがルミナス・アークキエル・ローマカイザーなのだ。

 エクレアはルミナスに可能性を感じた。

 諦めていた選択をする事が出来たのだ。

 だからこそ、エクレアはここまでルミナスに付いてきた。

 だが、それもどうやらここまでの様だ。





「くっ…」


 エクレアはそのまま地面に伏した。


「どうやら…ここまで…ね…」


 エクレアはそのまま倒れた。


「くそ…」

「くっ…」

「うっ…」


 ドラコニキルとスープレイガとアルビレーヌもそのまま倒れた。

 少し離れた所にいたウルオッサも倒れた。


「あー、もう無理。動けない…」


 ウルオッサは駄々をこねる様にそう言った。


「クソが…動けねぇ…」

「ふー、どうやら…我々はここまでの様だな…」

「悔しいけど…流石にこれ以上は戦えないわね…」

「たく…USWが束になって掛かって天使一人に相討ちとは情けねぇ…」

「仕方あるまい…エクレア・パイルペンドラー…奴の強さは想像を遥かに越えていた。セラフィム騎士団…こいつら単体で恐らくプラネット・サーカスと同等以上の強さを持っている…」

「神聖ローマだけでプラネット・サーカスを潰す事も可能だったのにそれをせず、四大帝国の連合を作って神聖ローマは静観していた…それはつまり…」

「僕達を疲弊させる為…全く…手の込んだ事をしてくれるよ…」


 天使親衛隊(フィーア・エンデ)、その力はドラコニキル達の想像を遥かに越えていた。

 彼等の実力であればパルテミシア十二神を殺せても不思議では無いだろう。


「ふー、いずれにしても…俺達はここでリタイアだな」


 ドラコニキルはそう呟いた。





「エクレアの所は相討ちか…まぁ、そんな所でしょうね…」


 ルミナスはそう呟いた。

 ルミナスは今、世界宮殿(パルテノス)上空にある巨大な城にいる。

 ルミナスによってこの世界宮殿(パルテノス)は造り変えられていたのだ。

 ここで蒼達の様子を眺めていた。

 だが、それだけではない。

 ルミナスはこの世界宮殿(パルテノス)を手に入れた。

 しかし、手に入れただけで完全に掌握している訳では無かった。

 天使親衛隊(フィーア・エンデ)をそれぞれに配置していた。

 本来ならルミナスがこの世界宮殿(パルテノス)を完全に掌握するまで足止めをしてくれる、或いは敵を全滅させるのがベストなのだが、恐らくそう上手くはいかないだろう。

 実際、蒼、美浪、プロテアがここに向かっている。

 慧留はローグヴェルトと交戦している。

 ローグヴェルトはどうやら勝手に慧留達の所へと行った様だった。

 まぁ、何人で来ようともルミナスに勝てる者など存在する筈も無い。

 ルミナスは誰よりも強く、そしてこの世界を支配する者だ。


「パルテミシア十二神は全滅し、着実に終わりの時は近付いている…物語は最終章へと迎えている…フローフル…再び戦う事になるとはね…」


 ルミナスが今回の戦いで警戒していたのは全員で五名。

 一人は蒼だ。彼はこれまで幾多の戦いを乗り越え、強くなっていった。未知数の潜在能力がある。

 二人目はアスディア・ゼウス・パルテミシア。彼は言わずもがな、ルミナスが死にかける程の高い戦闘力があった。

 三人目は苗木一夜。彼は以前のプラネット・サーカスとの戦いで少し話した事があるのだが食えない男であった。

 それだけならまだしもルミナスの本質にも気が付いている節があり、更に多くの知識があり、敵に回したくないタイプの男だ。

 四人目はプロテア・イシュガルド。蒼に大きな影響を与えた人物であり、神の力を持つ人間だ。

 そして、ルミナスがある意味最も警戒しているのは五人目だ。

 ルミナスが最も警戒しているのは慧留だ。

 慧留は間違いなく、人を動かすカリスマ性がある。

 それは、ルミナスと同じタイプのモノだ。

 慧留は蒼に最も大きな影響を与えた人物であり、更に堕天使というイレギュラーな存在でもあり、はっきり言ってルミナスにとって最も得体が知れなかった。

 だからこそ、ルミナスはローグヴェルトに少しだけ感謝していた。

 ローグヴェルトが相手ならば慧留が無傷でここに来る事はまず有り得ない。

 そもそもローグヴェルトが慧留を倒す可能性すらある。

 ローグヴェルトの戦闘力はルミナスの次に強いナンバーツーなのだ。

 月影慧留、彼女はルミナスが叩き潰した十二支連合帝国を見事に建て直した。

 更にUSWやヘレトーアにも多大な影響を与えている。

 月影慧留という存在があったからこそ、蒼達はここまで来れたとも言える。

 それだけ、慧留という存在は重要なのだ。

 月影慧留だけは何としても殺さなくてはならない。

 ルミナスはそう考えていた。

 ルミナスが他人に対してここまで恐怖を感じる事など無かった。

 成長した蒼やアスディアすら撃ち取ったあのルミナスが月影慧留に対してだけは恐怖を感じずにはいられなかった。


「月影慧留…フローフルを変えた不思議な堕天使…私の心をざわめかせる…」


 恐らく、これが世界の革命を懸けた最後の戦いになるだろう。

 だが、ルミナスに負けはありはしない。

 ここまでルミナスは負けた事が無い、敗北を知らずにここまで来た。

 そして、これからもそうだ。

 この世界宮殿(パルテノス)を支配すれば全てが思いのままだ。

 蒼も必ずやルミナスに振り向いてくれる筈なのだ。

 ルミナスはその為だけにここまで歩んできたのだ。

 ルミナスは手段を選ばなかった。

 利用出来るモノは全て利用し、卑劣な手段も選ばず、全て自分の力だけで成し得てきた。


「来なさい…フローフル…貴方は私が全力で叩き潰す」






「あちこちで強い霊圧がぶつかり合ってるわね」

「そうだな…」

「皆は…大丈夫かな?」


 薊、屍、くるは東に向かっていた。

 彼等は他の方角で霊圧のぶつかり合いを感知していた。


「なら…俺達もいずれは…」

「どうやら…その様ね」


 薊がそう言うと目の前に金髪の女性がいた。

 セラフィム騎士団、天使親衛隊(フィーア・エンデ)の最後の一人、フラン・ヴェルニケルだ。


「悪いが…ここから先は通行止めだ」

「そうは行かねぇな…俺達はその先に進まなきゃならねぇ」

「そうか…ならば、お前達はここで纏めて仕留める」

「や…やれるモノならやってみなよ!」


 くるは強がる様にフランにそう言った。

 くるは分かっていたのだ。フランが並の霊圧では無いことを、そして、とてつもなく強い事を…


「ルミナス様からの命令だ。恨みは無いが貴様らはここで消えて貰う」

「そうかよ…だがな…アンタらを野放しにしてたら世界が滅ぶ。俺は…いや、俺達はアンタを倒す!」

「世界が滅ぶ…違うな、これは…革命だ!」

「革命…ね…聞こえはいいけど…結局はこの世界を破壊しようとしているのと同じね」

「貴様らこそかつて同じ事をしていただろう!十二支連合帝国のアザミの花の事件を忘れたとは言わせんぞ!」

「あの時とは違う!」

「そうだな…俺達はかつて、アンタらと同じ事をした」


 屍達はかつて、十二支連合帝国に反旗を翻した事があった。

 国を変える為に…自分達が自由になる為に…屍達は国に反旗を翻したのだ。

 根本的には屍達がかつてやった事と今、神聖ローマがやろうとしている事は何ら変わりは無いのだ。


「けどな、さっきもくるが言ったがそれは加古の話だ。俺達は変わった…いや、変わろうと必死で足掻いてる。お前らのやろうとしてる事を…全部否定するつもりはねぇよ。けどな…この世界には自分と戦って…必死で抗っている奴等がいる、己の運命に負けずと進み続けてる奴等がいる、皆…必死で足掻いてんだ。そんな奴等を侮辱する様な事を…今の俺には出来ねぇ…だから…俺達がお前を止める!」

「若造が…貴様らがどんなに足掻いた所で結果は変わらん。ルミナス様の命令は…皇帝の命令は絶対だ」

「じゃあ、お前はずっと命令聞いてるだけで止まってろ!俺達は進み続ける!お前らの好きにはさせねぇ!」


 屍と薊とくるはフランと戦う事となった。




To be continued

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