【最終章】天界叛逆篇ⅩⅡーlightー
「始まりましたか…」
黒宮がそう呟いた。
現在、神聖ローマが再びこの十二支連合帝国に攻めてきた。
セラフィム騎士団のみならず、大量の改造天使もけしかけていた。
ここは四神天城跡地であり、最大拠点でもある。
ここに負傷者も運び込まれている。
ここにはルバート、黒宮、メラルが待機しており、メラルが負傷者の治療をしていた。
「どうする?」
「取り合えず、様子を見ましょう」
ルバートの質問に黒宮はそう答えた。
「様子見?よゆーだね?」
「!?」
黒宮は目の前を見た。
すると現れたのは薄ピンクのおかっぱ頭の少女と茶色の髪と赤い瞳が特徴の少年がやって来た。
恐らく、二人とも改造天使だ。
「私は…オレオ・レイオ…【第二解放】」
「俺は…ビスケット・クッキーだ。【第二解放】」
二人ともすぐに【第二解放】を発動した。
オレオの【第二解放】は大きな蟹の様な姿をしており、ビスケットの【第二解放】は全身に骨を纏った姿となっていた。
「【水蟹王】」
「【骸骨兵団】」
黒宮とルバートは驚愕していた。
「うっわ…これは…ヤバイね…」
「そんな事を言ってる場合じゃないですよ!」
オレオとビスケットはルバートと黒宮に攻撃を仕掛けた。
黒宮とルバートは攻撃を回避した。
「【光照大兎】」
ルバートは巨大な光の兎へと変化した。
ルバートの身体にはヘレトーアの神であるグノウェーが封印されている。
その封印を解除する事で力を解放する事が出来る。
「【光明】」
ルバートは光のレーザーを発射しそれがオレオの巨体に直撃した。
しかし、オレオはすぐに傷が再生し、ルバートに口から大量の水を発射した。
「くっ!?」
ルバートはそのまま吹き飛ばされた。
更にオレオの放った水には泡が含まれており、上手く身体を動かせなかった。
オレオはそれを逃さず接近し両手のハサミで攻撃した。
ルバートは身体の一部を千切られた。
「オワリダ!」
ルバートは口から光のレーザーを放った。
オレオは吹き飛んだが態勢をすぐに建て直した。
一方、黒宮は影を使い、ビスケットに攻撃をしていた。
ビスケットは黒宮の影を回避していた。
「速いですね」
「疾っ!」
ビスケットはルバートを捕らえた。
しかし、黒宮はビスケットの影を身代わりにした。
ビスケットはそのまま腕から無数の骨を出現させ、自身の影を穴空きにした。
すると、影に攻撃した同じ場所にビスケットの身体に穴が開いた。
「なっ…」
これは黒宮の技の一つで【身代わりの影】。
この技は相手の影を具現化させ、その影に攻撃すると影の主にダメージが行く。
「【影棒】!」
黒宮は影の棒を出現させ、ビスケットの動きを止めた。
影の棒に相手の影が当たると影の主の動きを止める事が出来る。
「くっ!?」
「さぁ…これで終わりです!」
黒宮は封印札をビスケットに投げた。
「【骨世界】」
ビスケットは周囲に無数の骨を出現させた。
「なっ!?」
黒宮は全身ビスケットの出現させた骨に身体全身を貫かれてしまった。
「がっ!?」
「甘い…この程度で私を殺せると?」
黒宮は全身を骨に貫かれている上にガチガチに身体を拘束されていた。
「これで…終わり…」
「はぁ!」
ビスケットの後ろから誰かがやって来た。
メラルだ。メラルはビスケットを殴り付けた。
「くっ!?」
メラルはビスケットに吹き飛ばされた。
「え?」
黒宮は驚いていた。
何故ならメラルにこれだけの力があったとは。
気弱そうな感じだったのだ予想外だった。
「【世界調和】」
メラルの霊圧はそこまで高いという訳では無い。
にも関わらず、あのビスケットをあそこまで吹き飛ばした。
「何だ…その能力は…」
「私の…アルカナは…【世界調和】…は痛みと癒しの力…傷を自分の身体…に……移して……それ…を…力に…変えます…」
メラルは今まで、負傷者の手当てをしていた。
その負傷者達の傷を自分に移してそれを力に変える…それがメラルの能力だ。
「随分と変わった能力だな。だが…私の前では無意味だ!」
ビスケットはまた地面から骨を出現させた。
「【精霊移動】」
ビスケットは光速で移動し、ビスケットの攻撃を回避した。
「なっ!?」
そして、メラルはビスケットの眼前に立った。
そして、ビスケットの身体に触れた。
「【世界調和・痛み】」
すると、ビスケットの全身から地が吹き出し、更に切り傷、刺し傷に焼かれた痕など様々な傷が出現した。
「ぎゃあああ!!!!」
「それは…私が…治した…負傷者…の…痛みです…」
メラルは攻撃をする時、移動させた傷や痛みを力に変える【世界調和・怪力】と移動させた傷をそのまま相手に移す【世界調和・痛み】の二つの力を扱える。
また、メラルは傷を自身の身体に移動させる時は【世界調和・吸引】を使い、あらゆる傷を自身に吸収し、相手の傷そのものを無くす事が出来る。
非常に強力な力であるが欠点もあり、この能力は傷を負っている対象が必要なので傷を補充していない状態では戦えず、かなり癖のある能力だ。
つまり、傷を取り込まずには戦えないのでメラルの能力はこの様な負傷者が多く出る戦争では十二分に能力を活かせるが怪我人がいなければロクに戦えない。
「………」
メラルはビスケットが傷に苦しみ悶えている間に封印札をビスケットに貼った。
すると、ビスケットは動きを止め、そのまま意識も消えた。
そして、メラルは包帯を用意し、ビスケットの身体をガチガチに縛った。
「くっ!?」
黒宮はどうにか骨から脱出した。
そして、メラルの前に駆け寄った。
「助かりました…ありがとうございます」
「いえ…私は…何も…」
メラルはゴニョゴニョとした口調でそう言った。
「黒宮さん…治します…」
メラルは黒宮に近付いた。
「いや、大丈夫です。直になおりますから」
黒宮の身体は実際殆ど直っていた。
流石は不死と呼ばれる吸血鬼の真祖、回復力も凄まじい。
「メラルさんは引き続き負傷者の手当てをお願いします。私は、ルバートさんの援護を」
「分かり…ました…」
メラルはそう言って黒宮から去っていった。
黒宮はルバートの元へと向かった。
「【水泡光線】!」
オレオは再び泡を含んだ水の光線を放った。
しかし、ルバートはオレオの攻撃を回避した。
更にルバートはオレオの至近距離で光の砲撃を放った。
「【光輝大砲】」
オレオはルバートの光の砲撃をまともに受け、そのまま倒された。
そして、オレオの【第二解放】が解除された。
ルバートは元の姿に戻り、オレオの頭に封印札を付けた。
すると、オレオの身体は動かなくなり、そのまま布で身体を巻き付けて完全に封印した。
黒宮はルバートの戦いが終わった後すぐにやって来た。
「どうにか…倒せたんですね」
「うん、けど…まだまだ油断出来そうに無いよ?」
ルバートがそう言うと黒宮とルバートの前に無数の改造天使が現れた。
見た目は人と変わらず、白い服を着た集団だが、彼等はどんな攻撃をしても死なないゾンビ軍団だ。
彼等を戦闘不能にするには封印札で封印して動きを止めるしか無い。
「さて…ここからが本番の様ですね」
「さっきは情けない戦いをしてたけど、今度は大丈夫だよね?」
「当然です!今度は足を引っ張りませんよ!」
ルバートと黒宮は改造天使に突っ込んでいった。
ドラコニキルはピータと呼ばれる改造天使と戦闘を行っていた。
ピータは【第二解放】を発動し、巨大な白い鳥の姿をしており、ドラコニキルも【悪魔解放】を発動させていた。
「【黒炎刃翼】」
ドラコニキルは黒い翼を展開し、そこから黒い炎を放出し、ピータに突っ込んだ。
同じくピータもドラコニキルに突っ込んだ。
「【白突進】!」
ドラコニキルの黒炎の翼とピータの白い翼がぶつかり合う。
ーくっ!?
力は拮抗しており、互角であった。
二人は何度も何度もぶつかり合った。
このままでは拉致が開かない。
ドラコニキルもあまり時間を掛けてはいられない。
次の一撃で確実に決める。
「【黒炎天魔剣】!」
ドラコニキルの黒い長剣に極大の黒炎が宿った。
ピータも今までとは魔力の質が違う事を感じ取ったのか霊圧を上げて突進してきた。
この一撃で恐らくこの勝負は決まる。
「はあああああああああああああああああ!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
黒い炎の刃と白い翼がぶつかり合い、そして爆発した。
爆発は凄まじく、辺り一帯を吹き飛ばした。
更に土煙は凄まじく二人の姿は中々見えなかった。
最初に煙から出てきたのはドラコニキルであった。
全身に傷を負っており、ダメージを受けていた。
更にしばらくしてピータが現れた。
「ガッ!?」
ピータは身体の半分以上を焼き付くされ、跡形も無かった。
ピータはそのまま地面に落下した。
ドラコニキルはピータの落ちた場所へと向かった。
「これは…恐ろしいな…」
ドラコニキルはそう言った。
ピータの【第二解放】は解除された。
だがしかし、ピータの身体の再生が始まっていた。
このままでは数分で再生が完了してしまうだろう。
「………」
ドラコニキルはピータに無言で封印札を貼り、封印した。
更にピータの身体を布で巻き付け、完全に抵抗出来ない様にした。
「これが…改造天使か…こうして封じ込める以外は無さそうだな」
ドラコニキルはそう呟いた。
改造天使…想像以上に厄介な存在であった。
今の改造天使は相当な実力があった。
あれ程の実力を持った改造天使はそうは多くは無いだろうが死なないだけでも十分厄介であった。
ドラコニキルは【第二解放】を解除した。
ドラコニキルは以前、ミルフィーユ一人に完膚無きにまで叩き潰された。
ミルフィーユの能力は風であり、相性ではドラコニキルの方が有利だった。
だが、ドラコニキルは破れた。
あの謎の力で。
弟子である蒼達ならば彼女の能力が分かるかもしれないが、ドラコニキルでは彼女の能力は皆目見当も付かなかった。
いずれにしても、ミルフィーユとは二度と戦いたくないとドラコニキルは思った。
彼女ははっきり言って化け物だ。
あの蒼の師匠なだけある。
それだけではない、ドラコニキルはセラフィム騎士団とは何回かあった事がある。
その中でもルミナスは勿論、ローグヴェルト、フランそして…エクレア…彼等はヤバイとドラコニキルは踏んでいる。
天使の中でも彼等は別次元の力を持っている。
そうでなくとも神聖ローマの力は未知数であり、どれだけの戦力を隠しているかも分からない。
はっきり言って、ある意味プラネット・サーカスとは別の意味で底が見えない。
パルテノスに正面から侵攻しようとする奴等だ。
それだけふざけた能力を持っているのはある意味当然かもしれない。
「あまり…ゴチャゴチャ考えている暇は無さそうだな」
ドラコニキルは長剣を構えた。
無数の改造天使がドラコニキルの前に現れた。
ドラコニキルが持っている封印札も数に限りがある。
流石にこれだけの改造天使を封じる程の封印札も持ってはいない。
こうなったら、封印するだけ封印して封印札が尽きれば改造天使を撒き、封印札を別に補充するしかない。
これだけの改造天使から逃げ切るのはそもそも不可能なので戦って封印する事が前提ではある。
「やれやれ…何でこうも面倒な事が…」
ドラコニキルはそう呟いた。
そう、時神蒼と出会ってからドラコニキルは厄介な事ばかりに巻き込まれている気がする。
それは運命なのか、或いは必然なのか、それはドラコニキルには分からない。
だが、ドラコニキルにとってそれが運命だろうが必然だろうがはた迷惑な事には変わりない。
ドラコニキルは面倒事が嫌いなのだ。
面倒事が生まれれば必ずいざこざが生まれる。
いざこざが生まれればやがて争い、そしてそこに怒りが生まれる。
怒りとは何事も破壊する狂気の感情であり、ドラコニキルが最も嫌う感情だ。
だが、ドラコニキルは柄にもなく、今回の戦いは沸点が低かった。
今回の改造天使…これは恐らく無理矢理実験で造られたものだろう。
こんな下らない戦いの為に色々なモノを利用し、下らない怒りを産み出す。
ドラコニキルはこの様なやり方が非常に気に入らなかった。
「全く…感情を抑えるよう…戒めていたつもりだったんだがなぁ…」
ドラコニキルはそう言いながら長剣を振り、一撃で改造天使達を吹き飛ばした。
ドラコニキルは…怒っていた。
「さぁ…覚悟しろ…」
スープレイガは改造天使を倒しながら封印をしていた。
「殺せなくても動きを止めればこっちのもんだ!」
「そうね、ならば私があなたを拘束する」
スープレイガの前に何者かが現れた。
その人物はスープレイガが見覚えのある人物だった。
「てめぇは…エクレア!」
「はぁ…面倒そうな人に会ったわね」
エクレアはうんざりした様にそう言った。
エクレアは人がいなさそうな場所に行ったつもりであったがこうしえスープレイガに会ってしまった。
「ハッ!てめぇは俺が倒す!」
「あまり強い言葉は使わない事ね…弱く見えるわ」
エクレアがそう言うとスープレイガは剣を抜き、エクレアに斬りかかった。
「【呪縛紫鎖】」
エクレアは両手から無数の紫色の鎖を出現させた。
その鎖の強度は凄まじく、スープレイガの剣では切れなかった。
スープレイガの身体から鎖が絡み付く。
スープレイガは鎖から脱出しようとしたが抜け出す事が出来ずそのまま拘束された。
「ぐっ!?」
「所詮はこの程度…あなた達に勝利は無い…」
「煌々と照らせ、【黄金汪魔】!」
スープレイガは【悪魔解放】を発動し、エクレアの鎖から抜け出した。
「【悪魔解放】を使って強制的に私の鎖から抜け出すなんてね…強引な人…」
スープレイガの身体は金色の薄い鎧に覆われており、頭には金色の王冠の様なモノが付いていた。
四肢には鋭利な爪が生えており、髪も伸びており、悪魔の尻尾もあった。
「行くぜ…」
スープレイガは光速で移動し、エクレアの眼前にいた。
「なっ!?」
エクレアはスープレイガのあまりの速さに驚いたが咄嗟に鎖でガードした。
しかし、スープレイガのパンチは凄まじくエクレアは吹き飛ばされた。
スープレイガは【光速魔爪】という、技を使っていた。
この技はスープレイガの速度を上げ、その名の通り光速で移動する。
「【聖霊弓】」
エクレアは『聖唱』を使用した。
この力は天使のみが使える技であり、人間が使う霊呪法や悪魔の使う魔歌に相当する。
エクレアは光の弓を出現させ、矢をスープレイガに放った。
しかし、スープレイガはエクレアの弓を左手で弾き飛ばした。
「!?」
エクレアは驚愕した。
天使の力は悪魔にとっては有毒な筈でその力を素手で弾き飛ばすなど本来ならあり得ない。
「おらぁ!」
スープレイガはエクレアの顔面を殴り付けた。
「くっ!?」
エクレアはスープレイガが殴る瞬間に後ろに下がってダメージを逃がし、更にスープレイガの腕を鎖で縛ったのでダメージはほぼ受けなかった。
しかし、スープレイガは鎖から腕を引き抜き、エクレアの鎖がスープレイガの身体を縛りきる前に脱出した。
エクレアは鎖でスープレイガを拘束しようとするがスープレイガの速度が速すぎてエクレアの鎖では捉えきれなかった。
ー速い!?何てスピードなの!?
エクレアはスープレイガのあまりの速度に捉えきれ無かった。
「【光魔王刃刀】!」
スープレイガは両手から光の剣を抜き、出現させ、エクレアの身体を切り裂いた。
「くっ!?」
エクレアは両肩を切り裂かれた。
「浅いか!」
スープレイガは更にエクレアに追撃を掛ける。
ーこのままでは私が負ける…
「【第二解放】」
エクレアは【第二解放】を発動した。
「ガッ!?」
「これで終わりね」
エクレアは【第二解放】を解除した。
スープレイガは何が起こったのか全く分からなかった。
気が付いたらスープレイガは身体を切り刻まれて倒れていた。
「くそ…どうなってる!?」
スープレイガは立ち上がろうとしたが立つことが出来なかった。
エクレアの力は圧倒的であった。
間違いなく、スープレイガが今まで戦った敵の中で一番強い。
「どんなに力を奮おうとも…その力を抑え込めば…何も出来はしないわ。あなたが私を倒す事は絶対にない…」
「ぐっ!?」
「あなたは…私が手を下すまでも無いわね」
エクレアはそう言った。
ただ単にエクレアはスープレイガを殺すのが面倒なだけだが。
どうせ、改造天使が後始末をしてくれるだろうとエクレアは思ったのだ。
「待ち…やがれ…」
「待てといって待つ敵がどこにいるのよ。私は忙しいの」
エクレアはそう言ってスープレイガの前から去っていった。
完全に負けた…スープレイガの【悪魔解放】は完全に解除されていた。
意識も徐々に遠退いていた。
更に近くから集団の足音が聞こえてくる。
恐らく、改造天使だろう。
ーチクショウ…
スープレイガはそのまま意識が闇へと沈んだ。
アルビレーヌは改造天使と交戦していた。
「はぁ!」
アルビレーヌは巨大な鎌で改造天使を倒していき、封印札で封印していった。
殺せないだけでこれほど厄介だとは正直アルビレーヌは思ってもみなかった。
「こんな所に強そうな敵発見~」
「!?」
アルビレーヌは声のする方へと向いた。
そこにいたのはサングラスをかけた茶髪の男であった。
「お前は俺が殺す。見とけよ見とけよ~。【第二解放】」
男は【第二解放】を発動した。
すると、巨大な岩のゴーレムに変化していた。
「俺の名はジャガ・ビーだ。そして俺のエンゲリアスの名は…【土岩天使】」
ジャガはそう言ってアルビレーヌに殴り掛かった。
アルビレーヌは攻撃を回避し、【悪魔解放】を発動した。
「舞い踊れ【人魚妃姫】」
アルビレーヌは水のバルーンに包まれた。やがて、バルーンが弾けた。アルビレーヌの姿が露になった。
下半身は魚の尾のような形状をしており、茶色の髪も少し紫がかっていた。
上半身のワンピースはそのまま残っており、腕には真珠で出来た数珠のようなものがついていた。
「【水泡死鎌】」
アルビレーヌは水で出来た巨大な鎌を出現させ、ジャガの巨大な左腕を切り裂いた。
しかし、ジャガの左腕はすぐに再生した。
「な!?」
ジャガは口から無数の岩の棒を出現させた。
「【無限岩石】!」
ー攻撃範囲が広い!?
アルビレーヌは鎌を大振りに振り上げた。
「【水流廛爆破】!!!」
その瞬間、大量の水の荒波が発生した。
そして、ジャガの発生させた岩の棒を吹き飛ばした。
アルビレーヌの力がジャガを上回っていたのだ。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
ジャガは大量の水に押し流された。
「はぁ…はぁ…」
アルビレーヌの使った技は大技ゆえに魔力の消耗も激しい。
「!?」
アルビレーヌは驚愕していた。
ジャガはあれだけの水を喰らいながらもまだ立ち上がっていた。
ジャガの属性は恐らく土属性だ。
アルビレーヌの水属性攻撃では相性は五分五分であり、ジャガに有効打を与えようと思えば風属性が一番手っ取り早い。
だが、こちらには風属性を扱える者はいない。
そもそも風属性自体がかなり珍しい属性であり、五大属性の中でも雷の次に少ないと言われている。
七元属性と呼ばれる七つの属性の中でも風、雷、闇の三種の属性はかなり珍しい属性であり、希少性の高い属性である。
逆に火、水、光の三種は使い手がかなり多く、最もメジャーな属性である。
土属性は調度真ん中に位置し、珍しくもなければ多くも無い属性である。
しかし、希少性イコール強さという訳でも無く、あくまでこの五つの属性は互いに優劣はあるだけで使い手によってその強さが変わるのみで属性だけの力量差は無い。
七元属性の派生属性は風、雷、闇以上に使い手が少ない希少な属性であり、弱点属性も派生元とは別の属性になっている事も珍しくない。
例えば蒼の使う氷属性は水属性の派生属性だが、水属性が得意な筈の火属性が弱点になっており、それ以外にも鋼属性にも弱い。しかし、雷が弱点という訳でも無く、派生属性である草属性や土属性、風属性に強い属性である。
という風に派生属性も含めると相性は更に複雑化しややこしいのだ。
「くっ!?」
ジャガはアルビレーヌの所へと突っ込んで行った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
アルビレーヌは攻撃を回避した。
「厄介ね…これは…」
アルビレーヌは鎌をジャガに振り上げた。
しかし、ジャガの身体はかなり堅く、斬ることが出来なかった。
そして、アルビレーヌはそのまま吹き飛ばされた。
しかし、アルビレーヌは体勢を立て直し、攻撃を仕掛けた。
「【銀崩水覇】!!!」
アルビレーヌの鎌から銀色の水が出現し、ジャガの身体を覆った。
そして、ジャガの身体が溶け出していた。
アルビレーヌの【銀崩水覇】はあらゆるモノを溶かす死の水だ。
いくら身体が硬いジャガでも身体が溶かされれば成す術は無いだろう。
「ヌオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
しかし、ジャガは跳躍して水から逃げた。
「!?」
アルビレーヌは驚愕していた。
まさか、アルビレーヌの奥の手がごり押しで脱出されるとは思っていなかったからだ。
ジャガはそのままアルビレーヌに突進した。
アルビレーヌはジャガの攻撃を回避したがジャガはアルビレーヌの動きを先読みしていた。
アルビレーヌの回避した場所にその岩の拳を振り上げ、アルビレーヌを吹き飛ばした。
「くっ!?」
ジャガの一撃は凄まじく、アルビレーヌの身体は全身から血が吹き出していた。
これが…改造天使の力。成る程、強大な力である。
改造天使のスペックは通常の天使とほぼ同等と言っていいだろう。
これでいて無限の霊力、無限再生なのだからふざけたモノである。
正直、この戦いは長引けば長引く程不利になるだろう。
すぐにカタを着けなければならないだろう。
アルビレーヌは立ち上がり、鎌を構えた。
To be continued




