【第十章】道化狂乱篇ⅩⅩⅧーfusionー
「ロキ…とうとうやってしまったか…」
『世界宮殿』から現世を覗いていたアスディアがそう呟いた。
オーディンと融合したロキはとうとう球体から出て、その姿を現そうとしていた。
「来るぞ…」
オーディンの力を取り込んだロキが姿を現した。
見た目は両眼を瞑っており、身体のあちこちに歯車の装飾が付いていた。
更に頭にはピエロを思わせるシルクハットを被っており、ピエロを思わせるスーツに服装も変化していた。
「ふー、(ー_ー;)。何とか成功したね…(丿 ̄ο ̄)丿。これが…オーディンの力か…」
ロキは両眼を開眼した。
瞳は両眼とも黄色であった。
「眼も元に戻った…光を取り戻した!……だが…」
ロキはすり抜けを使おうと試みたがすり抜けが出来なかった。
「はー、すり抜けの力は無くなってしまったか…(ー_ー;)。まぁ、しょうがない…(丿 ̄ο ̄)丿」
そう言ってロキはシルクハットを投げ捨てた。
そして、額から真っ赤な第三の眼が出現した。
「強大な力を得ると代償は付き物だ…(^_^)」
ロキはそう言って左手から巨大な鍵を顕現させた。
「オーディンの宝剣…その名も【終焉の鍵剣】…この鍵で世界を破壊した…」
蒼達はロキの強大な霊圧に驚愕していた。
「強いとか弱いとか…そんな次元の話じゃねぇ…」
ロキの霊圧はただただ異質だった。
強大過ぎて計り知れない…
「さてと…行くよ…」
ロキは鍵を構えた。
「何をするつもりだ!?」
「気を付けろ!何か来るぞ!」
総員、警戒態勢を取った。
「だが無意味だ(≧▽≦)。【終焉の解錠】!」
ロキは鍵を回した。
すると、空間に無数の穴が出現し、そこから無数のビームが放たれた。
『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』
ロキの攻撃で殆どの兵士が倒れ、残っているのはセラフィム騎士団と澪と慧留、そして蒼だけである。
「粗方一掃したね…まぁ…こんなモノかな?」
「あたしの【彗星流星群】と似てるねけど…原理は全くの別物だね…」
ロキは異空間に穴を開けてそこからエネルギー弾を撃っている。
一方、澪の【彗星流星群】は空間をねじ曲げる程の高密度なエネルギー弾を六ヶ所で放っている。
この二つの技は似て非なるモノだ。
「どういう事だ?」
「あたしの【彗星流星群】より威力は劣るけどその代わり攻撃範囲が桁違いだ…しかも見た所…あんな攻撃を何発も撃てるみたいだしね…」
ロキは辺りを見回した。
ここらは一匹づつ確実に狩っていくのがいいとロキは判断したのだ。
「悪いけど…あまり次官を掛ける気は無いよ?」
ロキはそう言って再び鍵を回した。
「【終焉の解錠】」
ロキの周囲の虚空に無数の空間の穴が空いた。
無数の空間の穴から再び無数のエネルギー弾が放たれた。
「【彗星流星群】!!!」
澪は空間をねじ曲げる程の砲撃を六発同時に放った。
ロキの砲撃を吹き飛ばした。しかしー
「残念(>_<)、吹き飛ばせたのは六つだけだね」
残りのロキが放ったビームは全弾澪に命中した。
「ぐあああああああ!!!!」
「「澪さん!!!」」
澪はそのまま倒れた。
次に慧留が向かった。
「【終焉の解錠】!」
再びロキは周囲の空間に無数の穴を開けた。
「【世界逆流】!!」
澪は空間の穴が空く前の時間に巻き戻した。
「ほう…これは厄介な力だ」
ロキはそう言って鍵を回した。
「【終焉の解錠】」
ロキは突然姿が消えた。
「どこ!?」
「こっちだよ」
「!?」
ロキは慧留の胸に鍵を捩じ込んだ。
「【始まりの施錠】」
ロキは鍵をそのまま回した。
すると、慧留のの霊圧が全く感じなくなった。
「これは…!?」
「君の霊圧を閉めた。君はこれで霊力を使えない」
ロキはそのまま虚空に鍵を回し、慧留に無数のエネルギー弾を放った。
「【世界逆流】!」
しかし、慧留の時間の巻き戻しは発動しなかった。
「そんな…!?」
慧留はそのまま無数のエネルギー弾を喰らい打ち落とされた。
「きゃあああああああ!!!!」
「慧留!」
蒼は慧留の元へと行こうとするがロキがそれを阻む。
「無駄だよ。助けても(^_^)」
「くっ!?」
「ん?」
ロキはルミナスが近くに来ているのを感知していた。
更にミルフィーユとエクレアとジェラート、フランがロキを取り囲んでいた。
「これは面倒だね」
そう言ってロキは鍵を回した。
「【天地冥道】」
ロキと蒼は光輝きどこかへ消え去った。
「なっ!?」
「消えた…」
「一体どこに…」
「どこに消えたかは分かんないけど…ロキの異空間にフローフルは飛ばされたと思うよ?」
ジェラートは冷静にそう答えた。
どうやら蒼はロキの異空間に連れていかれてしまった様だ。
「皆無事!?」
「陛下…!」
ルミナスが戻り、フランが声を上げた。
「ロキは?」
「それが…」
フランはルミナスに事の顛末を話した。
「やっぱり…ロキの狙いはそれだったのね…」
「でも…それならどうして速く融合しなかったのか気になりますね…」
「何か理由があったのは確かでしょうね…それにしても…面倒な事になったわね…」
蒼がロキの異空間に連れていかれてしまった。
ルミナスはそれしか殆ど頭に入ってこなかった。
やっと蒼を救出したと思えばこれだ。
蒼がいなければ…ルミナスは意味が無いのだ。
彼がいなければルミナスにとってこの世界は白黒と変わらない。
色の無い無機質な世界…
しかし、ルミナスは皇帝であり、止まれない。
ここで動揺する訳には行かない。
「フローフルの救出は再びアポロに一任するわ。そして、ここにいる怪我人の手当てを、ロキが再び現れる可能性もあるわ!その時に備えて!」
ルミナスがロキの異空間へ行く手段は今は無い。
こうなれば今の内に体勢を建て直して彼が戻ってくる時に備える。
「ロキ…あなたが戻ったら…必ず殺してやるわ…」
ルミナスは怒りの形相でそう言った。
蒼を異空間へ引きずり込んだロキを絶対にルミナスは許さない。
ルミナスにとって蒼は世界そのものなのだ。
蒼さえいれば、ルミナスにとってこんな世界はどうでもいいのだ。
ルミナスのこれからの計画も蒼がいなければ全く意味が無いのだ。
だが、蒼もかなりの力を付けている。そう簡単には負けはしないだろう。
空を見上げた。そう、ルミナスの目的は一つ。
「アスディア…待っていなさい…あなたは必ず…私が殺す」
今、一つの時代が終わり、そして始まろうとしている。
突如として『世界宮殿』が出現してから千年の時が経った。
この千年間、歪で不安定な状態で進んでいった。
だが、どの時代もそうだ。
この世界は不安定で歪で曖昧なのだ。
この世界を変えようともがいた所でそれは恐らく変わらないのだろう。
それでも世界は変化を続け、それと同時に人や魔族も変わっていった。
そう、時代とは…世界とは常に動く波の様なモノだ。
そしてそれは危ういバランスによって保たれている。
そんな危うい状態を今、支えているのが『世界宮殿』なのだ。
言わば『世界宮殿』は楔なのだ。
楔が壊れれば世界は容易く壊れる。
世界とはそういうモノだ。
楔を維持する者、壊そうとする者、或いはそれらとは別の事をする者、様々であるが色々な人や魔族が交わる事で新たな世界が動き出す。
それが今、動き出したのだ。
「ここは…」
蒼は辺りを見回した。
下にはマグマがあり、しかも周囲は火山が沢山あった。
「ふふ…君の苦手とする地形に移動したまでさ」
「俺とお前だけが移動したのか?」
「その通り、ゆっくりと…君を殺すとしようかな?」
「甘いな…」
蒼はそう言って翼を展開し、刀を振り上げた。
「【氷菓神刀】」
蒼は周囲のマグマと火山を凍り尽くした。
「うわぁ~お(丿 ̄ο ̄)丿。これじゃあ…意味が無いね…折角地の利を生かそうと思ったのに~(ー_ー;)」
「何でわざわざ他の奴等と引き離したんだ?」
「ルミナスと君が手を組んだら倒すのはかなり厳しいからね…(ー_ー;)。分断して倒そうと考えたまでさ」
「そういう事かよ」
「ルミナスの力はまだまだ未知数なのに対して君はある程度能力が知れてる…やり易い相手を先に倒すのは…定石だろう?」
「確かにそうだな。見た所アンタの能力…空間を操る能力みたいだな。しかもその鍵…あらゆるものを開け閉めする能力だ」
「鋭っ!?マジかよかなりの洞察力…・゜・(つД`)・゜・」
蒼は今までのロキの戦闘を見て的確に彼の能力を分析した。
「ったく…ルミナスにボコボコにされて…今度は俺かよ」
「ははは…言ってくれるねぇ(・_・)。君を殺した後、ルミナスも殺すよ(*^^*)。君達二人は僕の邪魔をするんだろうしね」
「そうしないと世界が滅ぶからな」
「世界が滅ぶ…かぁ…君は何を以て世界を滅ぶと言う?殺し合いが続く世界になること?それとも生物が絶滅した世界?或いはこの世界そのものが消えること?」
「…さぁな。けど…お前のやってる事が世界を滅ぼす事なのは分かる」
「分からないのに分かるって…それ矛盾してないかい?(ー_ー;)」
「俺はお前とお喋りに来たんじゃねぇ…お前を倒しに来たんだ」
「釣れないねぇ…最後のお喋りになるかもしれないんだからもうちょっと楽しもうよ(≧▽≦)」
「意外だな…アンタは誰と会話するのが好きな奴には見えないけどな」
「いんや、僕は結構お喋りだよ?何たって、アスディアの一部なんだからさ(^o^;)」
そう、ロキとアスディアは別人とは言え、分身だ。
ある程度性格も似ていても不思議では無い。
「そうか…あっ、そうだ(唐突)、君は『世界宮殿』がどういうモノか…知ってるかい?」
「だから…お喋りに来たんじゃねぇ!」
「重要な話は聞いておいた方がいいよ?なら、どこまで知ってる?」
「千年前に偶発的に発生した…所謂概念装置みたいなモンだろ。人や魔族の運命をある程度コントロールしてそれでこの世界のバランスを保ってる」
「半分正解だ。でもそれじゃ五十点」
「何だと?それ以外にも何かあるってのか?」
「『世界宮殿』には意思がある」
「寝言か?」
「寝言じゃあない。まぁ知らないなも無理はない。これは僕やパルテミシア十二神にしか知り得ない事実だ。そもそも…『世界宮殿』が何故出来たのか…それは千年前に遡る」
ロキはそう言って蒼に説明をした。
「まず『世界宮殿』を創ったのは…人間だよ(迫真)」
「!?」
ロキの衝撃事実に蒼は驚愕した。
この世界そのものである『世界宮殿』を創ったのは人間だと言うのだ。
「ああ、今のは結論だ。順を追って説明するよ。かつて、千年前に元老院と呼ばれる組織があった。その組織は霊術、魔術の研究をしていた。そうしていく内に彼等元老院は『世界宮殿』の前進である概念装置を開発した。その装置は数秒だけ過去や未来へと渡れる装置だった。しかし、彼等は研究の足掛かりを掴み、研究へと没頭していった。そして…『世界宮殿』が生まれた」
『世界宮殿』は千年前の人間の研究により創られたモノだ。
元老院とは千年前に突如としてこの世界を牛耳る様になった謎の組織であったが『世界宮殿』を創った組織であるという事は蒼は知らなかった。
元老院はこの世界の物質には魔力と霊力の力が眠っている事を知り、それらの力を抽出する研究に没頭していた。
それらを使って作り出したのが『世界宮殿』だ。
「だが…『世界宮殿』は元老院の創造を遥かに越える危険なモノだった…『世界宮殿』には…もう一つの隠された能力があった」
「隠された…能力?」
「それは…人間の思念や感情を取り込み、それを具現化する能力だ」
「なっ!?それって…つまり…!」
「ほう…理解が速いね…君の思ってる通りだ。つまり、魔族は人間が産み出した産物なんだよ」
「!?」
『世界宮殿』の能力は生物の運命のコントロールと生物の思念や感情を具現化させる事の二つだ。
しかし、感情や思念を明確に持っている生物は人間だけだ。
その人間の思念や感情を『世界宮殿』が取り込んだ事でこの世界に魔族が出現した。
「魔族にも二通りの魔族がいた…一つ目は『世界宮殿』によって産み出された魔族。そして…『世界宮殿』の力を受けて人間から魔族へと変貌した者の二種類だ。『世界宮殿』は順調に人の思念を取り込み、魔族を増やしていった。そして、人は特異な力を持つ魔族を恐れ、魔族も力を持ち、人と魔族は争うようになる。それが…千年前の混沌戦争が起こった切っ掛けさ。つまり…全部人間が始めた事なのさ。君も、僕も、『世界宮殿』によって創られた存在なのさ!」
そう、全ては人間の探究心が産み出したモノだった。
「じゃあ何か?それを知って絶望した…とでも言うのか?」
「そんな事はどうでもいいよ…けど…この『世界宮殿』の作ったレールを歩くのは僕にとっては癪な訳さ。だから…僕がこの世界をあるべき闘争の世界へと戻し『世界宮殿』を壊す」
「話は終わりか?」
「随分と落ち着いているね…」
「俺は…この世界がどうなのかなんてどうでもいいんだよ。俺は…ここにいる。仲間がいる、それだけで十分だ。一人じゃ無い…だから怖くねぇ」
「寝言は寝て言いなよ(ー_ー;)。今の君は一人だ」
「お前がそう言うなら…見せてやるよ」
蒼は黒刀を構えた。
「面白いね…なら、見せてみなよ!」
ロキも鍵を構えた。
そして、二人同時にお互いを攻めた。
蒼の黒刀とロキの鍵がぶつかり合う。
「【終焉の解錠】」
ロキは鍵を回し、その瞬間空間に穴が開き、そこからエネルギー弾が放たれた。
蒼は攻撃を回避し、斬撃を放った。
「【氷菓神刀】!!」
「無駄。【終焉の解錠】」
ロキは鍵を回し、自分の前に大きな穴を開けた。
蒼の斬撃が穴に吸収された。
「!?」
「終わり♪」
蒼の真後ろから空間の穴が出現し、蒼の斬撃が放たれた。
「何!?【時間停滞】!」
蒼は時間停止を使いその場から逃れた。
しかしー
「つ~かまえた♪」
ロキはそう言って蒼の身体に鍵を指した。
「ぐっ!?しまっ!?」
「【始まりの施錠】\(^o^)/」
蒼は霊力を封じ込められてしまった。
「くそ!」
蒼はロキを振り払うが遅い。
蒼の背中の氷の翼が崩れていた。
「無駄だよ…君からはもう霊力は流れない。僕が君の霊力の流れを完全に止めた。これで…僕の勝ち確」
ロキは蒼にそう言って攻撃した。
「【終焉の解錠】!!!」
ロキは空間の穴からエネルギー弾を放った。
蒼は技を出そうとするが時間能力も氷の力も使えなかった。
ロキの攻撃速度は速く、時間操作が無ければ回避するのは容易では無かった。
「ぐああああああああ!!!!」
蒼はロキの攻撃をまともに受けた。
しかし、霊力の流れを止められているだけの為、蒼の身体の霊圧硬度は変化していない様で何とか無事であった。
「【氷魔連刃】!」
蒼は霊呪法を放とうとするがやはり何も発動せず不発だ。
「【絶死切断】!!!」
ロキは空間切断で一気に勝負を付けるつもりだ。
蒼は寸での所で回避するが完全には回避しきれず身体を切り刻まれる。
「ぐああああああああ!!!!」
「はははははははははははは!!!!終わりだよ!君は何も変える事は出来ない!」
ロキは更に空間切断を使う。
蒼は回避しきれず右手を切断された。
「ぐうっ!?」
「まずは四肢をもごうかな?」
ロキは攻撃を続ける。
今度は左足を切断した。
「がっ!?」
蒼は右手と左足を切断された。
霊力の流れが完全に止められている以上、今の蒼は最早動く事が出来なかった。
「さてさてさ~て♪もう動けない様だし止めを指そうかな?」
ロキはそう言って空間切断を放とうとしていた。
ーくそ!?どうする!?
蒼は打開策を考えた。
蒼は一瞬で今までの状況を分析した。
ロキの能力は相手の霊力の流れを止める能力だ。
霊力の流れを止めてしまえば放出する事が出来なくなり、自身の周囲に留まるだけになってしまう。
だが、流れが止まっただけで完全に封じられた訳では無い。
その証拠に氷で出来た翼は崩れているが蒼の【χ第二解放】は解けていない。
「終わりだよ!【絶死切断】!」
ロキは蒼に空間切断を放った。
その瞬間、蒼は一つの考えを思い付いた。
「賭けに出るしか…ねぇ!」
蒼は自分の心臓に黒刀を突き刺した。
「ん~(ー_ー;)??血迷ったかな??・゜・(つД`)・゜・」
ロキはそう言ったがそうではない。
「【時間停滞】」
蒼はいつの間にかロキの撃った攻撃の射程外におり、ロキの空間切断を回避していた。
「へ?」
ロキは驚愕していた。
「な…何で???」
「死ぬかと…思った…」
蒼はそう言って立ち上がった。
「何をしたあああああああああ!?!?!?」
「お前の能力は…あくまで霊力の流れを止めるだけ…能力を封じる訳じゃない…まぁ、実質封じる能力と同じだがな…俺のエンゲリアスの能力が無ければな…」
「どう…いう…」
「俺の【氷黒楽園】の最たる能力は停止能力だ。四大元素のみならず概念、特殊能力すら機能停止させる…俺のエンゲリアスで…お前のその鍵の封印の力を停止させたのさ。自分の身体を凍結させたからな…危うく死ぬところだった…」
蒼は自身の心臓を突き刺し、自分に掛けられていたロキの能力を停止させたのだ。
そして、停止させた後、傷口を氷で一時的に防ぎ、生命活動が出来る程度にはしている。
更に蒼は欠損した右手と左足を氷で補い翼も元に戻っていた。
「成る程…そういう事か…とんだチート能力だ」
「てめぇにだけは言われたかねぇよ!」
「だが…氷で傷を塞いでいるに過ぎない…そう長くは戦えない筈だな?」
「生憎だがその通りだ…だから…すぐにケリ着けさせて貰うぜ」
「却下\(^o^)/」
ロキはそう言って空間に隠れた。
そして、空間に無数の穴を開けてエネルギー弾を放った。
このまま自分は外に出ず、長期戦に持ち込んで蒼の体力を尽きさせる事を狙っている。
「成る程な…だが…却って好都合だ」
「戯れ事を言うね…異空間にいる限り、僕に攻撃を当てるのは不可能さ(*`Д´)ノ!!!」
「いや、そうでもねぇぜ?」
蒼は黒刀を弓へと変化させた。
そして、右手に弓を持ち、蒼は手から霊力を放出した。
火、水、雷、風、土、五つの属性が右手に集中していた。
蒼は【χ第二解放】を修得してから七元属性の内、光属性以外の六つの属性を扱える様になっていた。
蒼の得意とする氷属性も本来なら水属性の譜系の属性だ。
この五つの属性を組み合わせ、蒼の弓が虹色に輝いていた。
更に蒼は虹色の矢を生成し、弓に宛がった。
すると、虹色の輝きは消え去り、真っ黒へと変貌した。
「何をするつもりかは知らないが…無駄な事だよ!」
ロキは異空間に隠れながら蒼にエネルギー弾を放った。
「【時間停滞】!」
蒼は一瞬時間を止めた。
蒼以外の全ては時間停止の影響で白黒になっている。
蒼は空間の穴に狙いを定めた。
「【六崩破滅矢】!」
蒼は真っ黒の矢を空間の穴に放った。
すると、時は動き出した。
蒼は衝撃を翼で抑えているのだがそれでも少し後ろへと動いてしまっていた。
更に衝撃が凄まじく、氷で出来た右手がひび割れそうになっていた。
矢は異空間へと入っていった。
ロキは異空間へと隠れていた。
ここに隠れていれば蒼に攻撃される事は無い。
だからここで時間を稼ぎ、蒼が限界を迎えるまで出なければいい。
非常に効率的な勝利方法だ。
「僕の勝ちだ」
だが、ロキのその思惑は覆る事になる。
「なっ!?」
異空間の穴から巨大な黒い矢…いや、あれは矢というよりは巨大な霊圧の砲撃と表現した方が性格かもしれない。
とにかく蒼の矢がロキに襲い掛かろうとしていた。
「馬鹿な!?ここまで来るなど!?」
しかし、ロキは蒼の言葉を思い出した。
蒼の能力は…概念にも通用する。
ロキの空間へと入り込んでも不思議では無い。
恐らく蒼はロキの作った異空間に照準を合わせ、時間停止で確実に空間の穴に入り込める様に狙ったのだ。
蒼の矢は凄まじく速く、回避が間に合わなかった。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!\(^o^)/(;_・)゜゜(´O`)°゜(T▽T)(´;ω;`)( ゜o゜)((((;゜Д゜)))(((((((・・;)(/ロ゜)/(;゜゜)(*゜Q゜*)( ; ゜Д゜)(((((゜゜;)」
蒼の矢がロキに命中し、ロキは絶叫を上げた。
蒼の矢は強力で数キロ先のものすら跡形も無く軽々と消し飛ばす程の破壊力だ。
ロキはそのまま蒼の矢に飲まれた。
「はぁ…はぁ…」
蒼は息を切らしていた。
心臓の一部を凍らせている以上、呼吸をする事すらかなり苦しいのだ。
霊力も尽き始めていた。
ロキは異空間から出てきた。
「よう…随分とボロボロじゃねーか?」
蒼はロキを軽く煽った。
「貴様…」
ロキの身体は凄まじく消耗していた。
脇腹に風穴が空いており、左手足が吹き飛んでいた。
更に全身焼け爛れており、額の第三の眼も潰れていた。
「よくも…よくもよくもよくもよくもよくもよくよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!やってくれたなこぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおとおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
ロキは怒りの形相でぶちギレていた。
ロキも蒼も見た限りでは戦える様な状態では無かった。
「くそ…まだあんなに元気なのかよ…」
蒼はロキの強靭な生命力に驚愕した。
いや、恐らくオーディンの力のお陰だろう。
あれだけ負傷しているのにまだピンピンしていた。
「貴様を…異空間へと飛ばしてやる!!【死の空間】!!!!」
蒼のうしろに巨大な空間の穴が出現し、蒼を飲み込む。
「ぐっ!?」
「その空間に飲み込まれたら最後、身体を粉々にされた後、別の空間へと飛ばされる!!!!分かるかい?君はここで終わりなんだよおおおおおおお!?」
蒼はロキの作り出した空間を凍らせようとするが質量がでかすぎて凍り尽くせなかった。
「くそ!?」
「万策尽きたなぁ!?貴様はここで死に…僕に負けるのさ!ここで…死ねええええええ!!!!」
蒼は空間に引きずり込まれようとしていた。
「ここで…死ぬ訳には行かねぇんだよ!」
「無駄だ!!」
蒼は空間を抜け出そうともがくが氷で出来た左足と右手が粉々になった。
空間の穴は更に大きくなり蒼を完全に飲み込もうとしていた。
「こんなところで終われねぇ!!!!」
それでも蒼は真っ直ぐに諦めない選択をした。
蒼は知っている。諦めてしまったら全てが終わってしまう事を。死んだら何もかも無くなってしまう事を。
だからこそ、蒼は絶対に諦めない選択をしたのだ。
すると、黒刀が蒼の元へと離れた。
そして、蒼の身体に切っ先を向けていた。
「なっ!?」
「ふふふ…あははははははははははははははははははははははははははは!!!!エンゲリアスもとうとう、持ち主を見捨てた様だな!!!!」
ロキが嘲笑した。
黒刀は真っ直ぐに蒼の心臓を貫いた。
そして、蒼の身体から鮮血が吹き出した。
「がっ!?」
「これはお笑いだ!自分の刀で命を落とすとは!!!」
ロキはケタケタと笑った。
蒼はそのまま空間へと引きずり込まれる事はー無かった。
「あれれ~?おっかしいぞ~?何で君は動かない??」
蒼の身体が空間ごと止まった。
吸い込まれるでもなく、動き出すでもなく、止まったのだ。
まるで、蒼そのものの時間が止まってしまっていたかのようであった。
ロキはその蒼の常態を奇妙に感じていた。
そして…その後ー蒼の身体が光出した。
「ふぁ!?一体…どうなってるんだあああああああ!?!?!?!?」
ロキは訳が分からなくなり、叫んだ。
蒼に何かが起ころうとしていた。




