【第十章】道化狂乱篇ⅩⅥーblood bloodー
「何と!我が盟友が次々と死んで行く!これ程悲しい事があるか!」
バートルはそう叫んでいた。
「今度は何だ?」
「………」
現在、スープレイガとアルビレーヌがプラネット・サーカスの一人であるバートルと戦闘をしていた。
そんな時、突然バートルが叫びだしたのだ。
「ふ…今までは秘めたる力を隠してきたが…どうもそうは言ってられんらしいな…」
バートルの纏う雰囲気が変わった。
スープレイガとアルビレーヌはソロモンを構えた。
「煌々と照らせ!【黄金汪魔】!!!」
スープレイガは【悪魔解放】を発動した。
体中には金色の薄い鎧が纏われており、四肢は鋭利な刃物のような鋭い爪が生えていた。
さらに、髪は伸びており、地面に髪が付きそうな勢いであった。頭には金色の王冠の様なものがついていており、牙も生えていた。
「舞い踊れ!【人魚妃姫】!」
アルビレーヌも【悪魔解放】を発動した。
下半身は魚の尾のような形状をしており、茶色の髪も少し紫がかっていた。
上半身のワンピースはそのまま残っており、腕には真珠で出来た数珠のようなものがついていた。
「成る程…それが貴様らの真の力…という訳か…震える…震えるぞ…このパトスが…」
「「………」」
バートルの発言にスープレイガもアルビレーヌも黙り込んでいた。
「ならば!我も本気を出さなくてはな!【血流剣】!!!」
バートルは尾てい骨辺りから赤いものが飛び出した。
その赤いものは鋭利で刃物の様であった。
「何だ?あれは…」
「あれは…恐らく血ね」
「その通り!我が【血流剣】は我の血で固めて作ったモノだ!だが血だからといって甘く見るな!我が血塗れた聖剣は岩をも砕き!大地をも切り裂く虚無の魔剣!」
「魔剣なのか聖剣なのかどっちなんだよ?」
「突っ込んだら負けよ、スープレイガ。感じるのよ雰囲気を」
「無理がありすぎるだろそれ…」
そもそもスープレイガはバートルの言葉の意味があまり分かっていないので感じろというのは無理な話である。
「喰らえ!」
赤い剣がスープレイガとアルビレーヌに襲い掛かる。
動きはうねりがなら高速で動いている為、回避が困難であった。
「ぐっ!?」
スープレイガは左手で血の剣を掴んだ。
しかし、血の剣の切れ味は凄まじく、スープレイガの身体の金色の鎧をあっさりと切り裂いた。
「な!?」
「スープレイガ!?」
アルビレーヌは身体を分子化して回避したが血の剣の速度は速く、すぐにアルビレーヌを捕らえた。
「くっ!?」
アルビレーヌは血の剣で身体を切り裂かれた。
「何!?」
バートルがそんな声を上げた。
バートルの血の剣の動きが止まった。
いや、厳密には強い重力により押し潰されていた。
ラピドの能力だ。ラピドは引力と斥力を操る能力を扱う事ができる。
「甘いわ!」
バートルは更に血の剣を出現させ、ラピドの身体を貫いた。
「がはっ!?」
ラピドが攻撃を受けた事により、ラピドが止めていた四本の血の剣も動き出し、ラピドの身体を串刺しにした。
「がっは…」
ラピドはそのまま身体全身を貫かれ、あっという間に生き絶えた。
「何てヤローだ…あの血の剣は変幻自在に形を変えれる上に破壊力が図抜けてやがる…」
「実力は本物の様ね…」
スープレイガとアルビレーヌはラピドが一瞬で殺された事に驚いていた。
彼の能力をこうも簡単に振りほどくとは。
血を操る能力である以上、彼女の身体全身が凶器だ。
「そう言えば…我の渾名を名乗っていなかったな…ならば答えてやろう!我はプラネット・サーカス第六の席、『下位数字最上者』。吸血王女バートル・ツェペシだ!」
バートルは露出した背中に数字の6が刻まれていた。
そう、バートルは六番…それはつまり、『下位数字者』で最も強いという事だ。
「面白ぇ…」
スープレイガはそう言ったが内心、どうやって奴を倒すかを冷静に考えていた。
彼女は血を自在に操り、攻守ともに隙が全く無い。
迂闊に攻め込めば切り刻まれて終わりだ。
「さぁ?どうする??」
バートルは挑発する様にそう言った。
「待たせたわね」
フォルテがそう言ってアルビレーヌとスープレイガの前に姿を現した。
そして、第二部隊が全員到着した。
「ふふふ…血肉踊る…さて…楽しむか…」
バートルは高揚した様にそう言った。
敵はバートル一人だ。数では圧倒的にこちらが有利だ。
「ふふふ…ちょっと遊ぼうかな??(*´∀`)」
「誰だ!?」
フォルテが叫んだ。
そして、声の主はバートルの前に現れた。
現れたのはこの戦争の首謀者、ロキであった。
「な!?」
「我が盟友の一人…ロキでは無いか!何故ここに?」
「いや~、思った以上にこちらがやられまくってるから、僕も出陣しないとヤバイと思ってね(´д`|||)。それに…いくら君でもこの人数はキツいよ?数の力は侮っちゃいけないΣ(ノд<)」
「そうだな。いいだろう。我と貴様で敵の数を半分に分けよう」
「そうだね、じゃあ、こっちはこっちで好きにやらせて…貰うよ!\(^o^)/」
ロキはそう言って走り出した。
「二手に別れろ!」
フォルテがそう言うと兵士達は二手に別れた。
まぁ、その方がいいだろう。
ロキとバートルが連携されてはこちらの方が不利になるのは明らかであった。
「さて…これで勝負は分からなくなったぞ?」
バートルは勝ち誇った様にそう言った。
二手に別れたとは言え、フォルテ側の方が向かった人数が圧倒的に多い。
こちらは約三十名程しかいない。
「ふ…あちらに人数を割いたのは正解だったな!我が盟友、ロキは最強の男、我より強い!」
「そうね」
「だが、愚かでもある。死体が増える結果となるのだから。まぁ…それはこっちでも変わらんか」
「随分な自信じゃねーか!」
「自信では無い。これは勝利宣言だ」
アルビレーヌとスープレイガとバートルの交戦が再び始まった。
「…多過ぎるね(´д`|||)」
ロキは冷や汗をかいていた。
ロキは本来、ルミナスと戦う前のウォーミングアップと敵戦力を多く減らす為にわざわざ第二部隊へとやって来た。
やはり跡土がこんなにも速くやられたのが予想外だった。
あまり戦力を減らす事なく跡土が倒された為、ロキが出張らざるを得なくなってしまった。
まぁ、それでも計画に大きな支障は無いし、着実に事は進んでいる。
プラネット・サーカスと四大帝国連合の戦力は今のところ拮抗しており、お互い約半数の戦力が減っている。
ぼちぼち折り返し地点である。
「さてと…グチグチ言ってないで始めようかな?」
ロキの周囲には多くの兵士達がいた。
それを取り仕切るのはここの部隊長であるフォルテだ。
「イシュガルドの内乱…その因縁に決着を着ける」
フォルテがそう言った。
そう、イシュガルドの内乱が起こった原因はロキが造り出した分身がヘレトーア軍に紛れ込んでおり、その人物がイシュガルドの子供を殺した事により、内乱が勃発した。
この殺されたイシュガルドの子供がフォルテの親友であるプロテア、その弟であった。
イシュガルドの内乱により、フォルテ達エルフにも大きな打撃を受けた。
フォルテにとってもロキは因縁の相手なのだ。
「イシュガルド…君達はいつまでもいつまでも過去を引きずる…それが自身を苦しめるだけだという事に気が付かず…」
「いいえ、過去に眼を背ける事は死んだ過去の者達に背くのと同じだ。それを背負って生きなければならないの」
「それはただの経験だよ(* ̄∇ ̄*)。所詮君達は過去に囚われてその先を見れないのさo(^o^)o」
ロキはこの人数を相手に随分と余裕そうであった。
「かかれ!」
フォルテがそう言うと兵士達がロキに攻撃を仕掛けた。
ー多いね。軽く三千はいる(´д`|||)
ロキは兵士達の攻撃を回避した。
そしてー
「【絶死切断】」
ロキが左手を虚空へと薙いだ。
すると、兵士達の上半身と下半身が分断された。
「な!?」
ロキは更に兵士達を殺した。
あっという間に兵士達の死体が重なっていった。
ー何だ?この能力は…手を動かしただけで身体を切断された!?
フォルテはロキの能力が見当が付かなかった。
殆ど何もせずにロキは兵士達を狩っていた。
「ここだ!」
兵士の一人がロキの身体を刀で切り裂いた。
しかし、ロキの身体から刀がすり抜けた。
「何!?」
「残念☆僕はどんな物理攻撃も通用しない\(^o^)/」
兵士はロキに一撃で殺された。
三千以上いた筈の兵士は既に三分の一は殺されていた。
「【精霊環神】」
フォルテは虹色の翼と輪を展開し、ロキに攻撃を仕掛けた。
ロキに攻撃がヒットした。にも関わらずフォルテの攻撃がすり抜けた。
「だから…無駄だよ(^○^)。僕に攻撃は通らないo(^o^)o」
攻撃は一切効かないのに向こうの攻撃はほぼ一撃必殺。
とんだチート能力だ。
このままでは無駄に兵力を消耗するだけだ。
だからと言ってこのまま逃がしてくれるとも思えなかった。
逃げるにしても囮は必要だ。
「皆!撤退だ!ここから逃げろ!!」
フォルテがそう言うと兵士達は逃げ出した。
既に三分の二以上の兵士が殺されていた。
こうも一方的にやられれば撤退の指示が出るのは当然である。
兵士達はロキから逃げた。
「逃がさないよ~?(^○^)」
「【虹滅光】!!!」
フォルテは虹の光線を放ったがロキは虹の光線をすり抜けた。
そのまま兵士達を追い掛けようとしたがフォルテがロキの目の前に立ち、ロキに虹の光線を放った。
今回の攻撃はロキは回避した。
「おっと…(/_;)/~~怖い怖い…(>_<)。はぁ~、君を殺した方がてっとり速いか…(-.-)」
ロキは逃げた兵士達を追い掛けるのを止め、フォルテのみに狙いを定め、殺す事にした。
「流石は部隊長…部下の為に身体を張るその姿は隊長の鑑だね(^○^)」
「それはどうも」
「けど残念無念それも無駄になるよ?(* ̄∇ ̄*)」
「やって見ないと分からないでしょ!【虹滅光】!」
フォルテは虹の光線を放った。
「…霊魔結合を使えるなんて…珍しいね。しかも五属性を混ぜ込んだプリズム属性とは」
ロキは回避動作すらしなかった。
フォルテの攻撃は全てすり抜け、まるで効いていなかった。
「どうなってる?一体何の能力だ…」
「僕は無敵だって言ったしょ?(-.-)君はここで死ぬんだ」
ロキはそう言って右手を薙いだ。
ー何か来る!?
フォルテはとっさに見えない攻撃を回避した。
「へぇ?そこら辺の雑魚とは違うみたいだね。僕の攻撃をかわすなんてさ(^○^)」
「あなたの攻撃は恐らく時空間に関する術ね。空間切断…それがあなたの攻撃の能力」
「御名答。そうだよ?僕は空間切断能力を使う。だから視認できないで相手を殺せる」
ロキは手動で空間を操り、切り裂く事が出来る。
それが見えない攻撃の正体だ。
「眼に見えない攻撃による一撃必殺に攻撃を全てすり抜ける。とんだチート能力だね」
「ふふふ…それほどでも…あるかな(*´∀`)」
ロキがニヤリと笑みを浮かべながらそう言った。
こちらの攻撃が一切通じない上に向こうの攻撃はほぼ一撃必殺。
子供が適当に考えた様なチート能力にどう対処すべきか。
だが、どんな力にも必ず弱点は存在する。
その弱点を見極めなければフォルテに勝ち目は無い。
「さぁさぁさぁさぁ…盛り上がって来たよ~?君は僕にどう殺されるのかな?\(^o^)/」
「生憎、あなたに殺されるつもりは無いわ」
「そうか…ならば何としても君を殺して…絶望を味わって貰わないとね」
ロキがそう言って左眼を閉じ、右眼を見開いた。
「【万物破壊】」
フォルテの後ろから空洞の穴が出現し、そこから黒い手裏剣が無数に放たれた。
「しぶとい!」
「はぁ…はぁ…」
「うっ…流石に…強いわね」
バートルは嫌気が差した様にそう言った。
スープレイガとアルビレーヌ以外は全員殺した。
だが、スープレイガとアルビレーヌが中々倒れなかった。
「我が血を受けて、まだ立っていられるとは…ふふふ…ゴキブリなみにしぶといよ貴様らは…!」
「褒められてる気はしないわね」
「だな」
スープレイガとアルビレーヌには身体のあちこちに傷があった。
バートルはふざけた言動ではあるが実力は本物であり、図抜けた戦闘力を持っていた。
仮にスープレイガかアルビレーヌが彼女と一対一に持ち込まれていたら確実に負けていただろう。
「認めてやろう。貴様等は大した奴等だ。ならば!我が戒めの封印を解き、貴様等を永劫の常闇へと誘おう!」
「あいつはいちいち尊大な言い回しをしないと気が済まないのか?」
「解釈するのも面倒になるわね」
しかし、そんな呑気な事も言ってられない。
バートルの魔力が凄まじく上昇していた。
そして、バートルの体中に赤い剣が纏う様にして覆われていっていた。
「【血流鎧】……我が最強の盾にして矛…貴様等は我の養分となって貰うぞ…この力を使うと大量の血を消耗するのでな…貴様等がその贄となって貰う」
バートルの体は一回り巨大化しており、更に血で覆われた顔には眼が六つあった。
異形な瞳であり、かなりグロテスクであった。
身体を覆う血液は凝固しており、尚且つしなやかな動きをしており、まるで液状の筋肉である。
「血…血が欲しい…血を啜る時だけ…生きてると実感出来る…」
「吸血鬼みたいな奴だな」
「彼女は吸血鬼よ。ただし、ただの吸血鬼じゃないわ。人間と吸血鬼のハイブリッドよ」
そう、バートルはUSW出身の吸血鬼であり、人間と吸血鬼のハーフだ。
どういう訳か人間と魔族の間に生まれた子供は強い力を持って生まれる事が多く、他の魔族とは卓越した能力を持っている。
「確か…半魔族は忌み嫌われやすかったな」
「ええ、バートルもそれは例外じゃなく、更に魔族協定が定まっていなかった時代は迫害が尋常じゃ無かったわ。バートルの両親もそれで死んでるわ」
そう、バートルの様な魔族と人間のハーフを半魔族と呼ばれ、魔族協定が締結された今でも迫害の対象となっており、締結される前は更に酷い迫害を受けていた。
強過ぎる力を持って前に…自身とは違う存在を恐れ、迫害するのは人も魔族も同じだったのだ。
蒼やルミナスもこの半魔族と呼ばれる種族に属し、彼等もまた、バートルと同種なのである。
「おおおおおおお!!!」
バートルは突進した。
スープレイガはバートルを迎え撃った。
しかし、パワーに差がありすぎた。
スープレイガは一瞬で吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ!?」
更にバートルは身体から血の剣を無数に出してスープレイガを貫いた。
「がはっ!?」
「レイ!」
アルビレーヌが鎌でバートルに攻撃を仕掛けるがバートルは移動速度も相当上がっており、アルビレーヌの攻撃を簡単に回避した。
「なっ!?」
「どこを見ている?」
バートルはアルビレーヌを吹っ飛ばした。
「うっ!?」
「【光刀刃】!!」
「【水泡死鎌】!!!」
スープレイガとアルビレーヌはバートルに同時に攻撃したが血の鎧と剣により防がれてしまった。
「「!?」」
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
バートルが咆哮を上げ、二人を吹き飛ばした。
「がはっ!?」
「ぐふっ!?」
スープレイガとアルビレーヌは既に限界が近かった。
バートルは攻撃をする度に相手の血液を吸い取っていた。
そのせいで二人はかなり消耗していた。
「アルビレーヌ…このままじゃ俺もお前も終わりだな」
「そうね、でもここで二人仲良く逝くのはあなたにとってはあまり良くないんじゃないの?」
「だな、てめぇと一緒に死ぬのは御免だし…それに…」
「また蒼?あなたって気持ち悪いわね。質の悪いストーカーじゃない?」
「てめえ…後で覚えてやがれ…」
「後があればね。次で最後にするわよ」
「ああ!」
スープレイガとアルビレーヌはお互いに連携をして攻め、バートルを倒すしかない。
スープレイガとしては一人の相手を協力して倒すのはあまり好きでは無いが死ぬよりはマシだ。
生死が関わる戦いで手段を選ぶのは愚の骨頂と言える。
アルビレーヌはそんな事はあまり気にしない性分なので特には問題無いのだが、スープレイガの好戦的な性格はあまり理解出来ない。
まぁ、そんな事を考えている暇は今はなく、目の前の敵を倒すのが先決なのだが。
「行くぜ!」
スープレイガはバートルに突っ込んで行った。
「無駄だというのが分からんか…愚かだな…いいだろう…この我が貴様を永劫の闇へと葬ってやろう!」
バートルとスープレイガはぶつかり合った。
「【光速魔爪】!!!」
スープレイガはバートルの後ろへと光速で回り込み、攻撃を仕掛けた。
「無知とは恐ろしいモノよ」
「がっ!?」
バートルはスープレイガの後ろからの攻撃を血の剣で防ぎ、スープレイガを捕らえた。
「くそ…!?」
「血を貰うぞ…」
ー今だ!アルビレーヌ!!
「【銀崩水覇】!!!」
アルビレーヌはバートルの一瞬の隙を付いて、銀色の水を帯びた鎌でバートルを切り裂いた。
「何!?」
バートルはスープレイガの捨て身の攻撃により僅かに隙が生じていたのだ。
そのせいでバートルは攻撃を回避仕切る事が出来なかった。
バートルの身体中に銀色の水が覆いバートルの身体を溶かし始めた。
【銀崩水覇】は斬った者を銀色の水に封じ込め、封じ込めた者を完全に溶かし尽くす技だ。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
アルビレーヌはスープレイガを抱えてバートルから離れた。
バートルはどうやらアルビレーヌの攻撃が効いている様だ。
このまま溶け尽くして消えてくれたら一番安全だ。
「まぁ、そう上手く行けばいいけどね…」
「な…めるなああああああ!!!!」
バートルは強引にアルビレーヌの技から脱出した。
「やっぱり、そう上手くも行かないわね」
アルビレーヌは何故か余裕の笑みを浮かべていた。
「がっ!?」
バートルはそんな声を上げた。
バートルは自分の心臓を見た。
すると、スープレイガの右手がバートルの心臓を貫いていた。
「吸血鬼は基本的に不死と言われてるわ。けど、そんな吸血鬼にも弱点はある。炎や水には弱いし心臓は吸血鬼の弱点よ」
黒宮レベルの吸血鬼であれば心臓を貫かれたくらいでは死なないがバートルは吸血鬼とは言え、人間とのハーフであり、戦闘能力は並の吸血鬼の比では無いがその代わり生命力は並の吸血鬼より遥かに劣る。
それに吸血鬼はアルビレーヌが言った様に火や水にも弱く、弱点を突けば殺せない事も無い。
バートルの防御力と攻撃力は図抜けているがその分視野が非常に狭く、敵に連携されると脆いという弱点があった。
バートルはその欠点を二人に突かれたのだ。
「二対一ってのはあまり好きじゃねーが…死ぬよりマシだ」
スープレイガはそのままバートルの心臓を握り潰した。
人も魔族も…動物ですら同じだ。
自分とは違う生物を恐れ、迫害する。
それはどこへ行っても同じだ。
バートルは親がいなくなった後、ずっと一人であった。
バートルは死体の血を吸って生き永らえていたがやがて生き血を好むようになり、血を搾り取りながら殺す事に嵌まっていった。
やさぐれ、荒んでいった。
バートルは気が付けば国を一つ落としていた。
バートルはずっと孤独であった。
そんな時に、バートルは出会ったのだ、一筋の光明に。
「やぁ?(*´∀`)ノ君に会いに来たんだ。バートル・ツェペシ」
「お前は…何者だ?」
「君を勧誘しに来た」
「勧誘?」
「プラネット・サーカス。この組織では君みたいな者が大勢集まってる。きっと仲間もたくさん出来る。いや…違うね。君には既に仲間がいる(*´∀`)」
「どういう…」
「僕が君にとっての最初の仲間となろう(*^^*)。君は一人じゃないよ」
バートルは一筋の光明、ロキと出会った。
バートルにとってロキが一番最初の友であり、仲間であった。
バートルはロキの勧誘を受け入れ、プラネット・サーカスへと加入した。
バートルは『童話人』の中でも一番の新人であった。
そう、バートルは一人じゃない…一人じゃないのだ…
バートルはプラネット・サーカスのメンバーとそこまで多く何かを語らった訳では無かったが共に行動する仲間がいるだけでバートルは嬉しかった。
孤独では…一人では無かった。もう、何も怖くは無かった。
もしかしたら、ロキはバートルの心を利用しただけなのかもしれない。
でも、バートルにとってはそれでも構わなかった。
ロキにどんな打算的な理由があったとしてもバートルは救われた。
バートルは救われれば天使だろうが悪魔だろうがどうでも良かった。
何に救われるかなんて人それぞれだ。
バートルの様に悪魔に魂を売って心が救われる者だっている。
どの様なモノが救いかなんて自分自身にしか…いや、自分自身ですら分からないのだ。
何が正しいのか?間違ってるのか?それも人それぞれ違うのだろう。
皆、自分なりに答えを探しているのだ。
バートルだって、その一人だ。
「!? 御報告です!第二部隊にロキ・カオストリクスタシアが攻めてきたとの事です!」
湊がそうルミナスに報告した。
湊はかなり取り乱していた様だ。
ー仕掛けて来たわね…ロキ…
「思ったより速かったですね。まぁ、半数近く『童話人』が失えば動かざるを得ないでしょうね」
アルダールが冷静にそう言った。
現在、両者共に拮抗している状態だがどちらかというとプラネット・サーカスが劣性の状態だ。
初めはプラネット・サーカスが優勢であったが擬流跡土が死んだ事により、プラネット・サーカスの大半が無力化されたのだ。
それにより、ロキが出張らざるを得なくなったのだ。
ルミナスは期待以上に事が進んでいるので余裕の表情であった。
唯一の計算外の事は蒼が敵に捕まってしまっている事だ。
何としても蒼は助けなければならない。
そうでなくては、ルミナスがここまで行動してきた意味が無いのだ。
蒼を助け出す事が出来ればルミナスはこの戦争は勝利も同前と考えている。
「どうなさいます?ルミナス陛下」
「そうね、フローフルの救出が完了次第、私が出るわ!」
「それが妥当だろうね」
珍しく一夜がルミナスの言葉に賛同していた。
一夜も感情的な性格という訳ではない。冷静に状況を判断する能力も備わっているのでみだりに取り乱したりはしない。
一夜もルミナスの今の言葉に総合的に考えて賛成したのだ。
「向こうの大将が出張った以上、こちらも動いた方がいいでしょう。ですが、指揮は誰に?」
「苗木一夜とあなたで何とかしなさい」
「分かりました」
「仕方無いね」
ルミナスの命令にアルダールと一夜は同意した。
ルミナス以外でここを指揮できるのはアルダールと一夜だけであろう。
ーこの戦い…勝つのは私よ。そして…手始めに…この世界を…手に入れる!
To be continued
バートルの名前の由来はエリザベート・バートリです。そう、あの吸血鬼のモデルとなった女性です。まぁ、性格は全然違うけど。中二病っぽいキャラにしました。
そして、とうとうロキが動き出しました。彼は第二部の序盤からずっと出続けていましたが力を本格的に見せる事はあまり無かったです。彼には秘密があるので後々暴かれる事でしょう。
それではまた!




