【第二章】四大帝国会議篇Ⅰ-それぞれの思惑ー
「アザミの花」との決戦を終え、元の日常に戻ったと思われた。しかし、まだ終わってなどいなかった。十二支連合帝国の政府が遂に動き出した。フェアレーターノアール衝撃の新展開!!
時神蒼は気だるげに目を覚ました。
「何か…学校に行くのが久々な気がする…」
蒼はそう呟いた。「アザミの花」の一件が終わって、一か月が立っていた。それまで、学校は「アザミの花」の襲撃の為、修理中だった為、臨時休校となっていたのだ。
蒼は身支度を整え、すぐに部屋を出た。
「おはよう、蒼」
外にいたのは月影慧留だった。黒髪のロングヘアーに黒い双眸が印象的な少女だった。
「ああ、おはよう…ふぁ~~」
蒼は欠伸をしながら、挨拶をした。
「もう…だらしないよ」
慧留は蒼にそう告げた。
「だから言ってんだろ?朝は苦手なんだよ…」
「天使は普通朝に強いんだけど?」
蒼が言い訳をすると、慧留はそう言った。
全ての天使に当てはまる訳ではないが、基本天使は朝に強く、夜が弱いものが多い。実際、慧留はかなり朝に強い。
蒼の場合はかなり特殊の部類に入る。
「俺は夜型なんだよ…ほら、さっさと行くぞ」
蒼が言うと慧留は「うん」と言い、蒼について行った。蒼は随分と変わった。前までは学校に行くことをかなり嫌がっていたのに今となっては普通に嫌な顔をせずに行くようになっていた。
二人はそのまま学校へと向かった。
蒼と慧留は学校をに向かっている途中に魔道警察官を発見した。魔道警察官とはこの国、十二支連合帝国の治安を守る警察である。
しかし、その魔道警察官が幼い少女に暴行を加えていた。
「が…」
少女は息絶え絶えの状態だった。事の甚大さに気付いた蒼と慧留はすぐに少女の元へ駆け付けた。
「止めろ!」
蒼は魔道警察官の顔面を殴りつけた。魔道警察官は数メートル程吹っ飛んだ。
「ぐ!何をする!」
「こっちの台詞だ!いい大人が何幼女をボコってんだよ!」
「蒼…言い方が卑猥だよ…」
蒼と慧留は戦闘態勢に入っていた。
「何って…私はその子を殺さないといけないんだよ…魔族だからね。魔族は生きてちゃいけないんだ」
魔道警察官は平然とそう言った。
「「なっ…」」
蒼と慧留は驚愕の表情を浮かべた。
「この国の魔族を殲滅する…それが国からの命令なんでね…」
魔道警察官がそう言い放った。
「へぇ…この国はどうやら相当イカれてるみてぇだな…つい最近、この国の魔族の対応の事で問題になったばかりだってのに…」
蒼がそう言うと魔道警察官はそれを反論した。
「いいや…そもそも、この国から魔族を全て消せば問題にはならない!魔族は敵!人類の敵なのだ!殺さなくてはならない!絶対に!」
魔道警察官はそう言い放った。蒼は魔道警察官から逃げることにした。あまりにも状況が意味不明すぎる。
「逃げるぞ!慧留!」
「え!?」
蒼がそう言うと幼い少女を右手で抱え、左手で慧留の右手を掴んだ。
「霊呪法第六四番【瞬天歩】!」
蒼は【瞬天歩】により、光速で魔道警察官の元を離れた。
「チッ…逃がしたか…」
魔道警察官は舌打ちをしながらそう呟いた。
蒼と慧留がいた場所は学校の近くの公園だった。
「慧留…この子を…」
そう言って先ほどの少女を慧留の傍に寝かせた。
「うん」
慧留はすぐに少女の傷を治した。慧留は熾天使【時黒皇帝】の眷属だ。彼女は指定した者の時間を巻き戻すことが出来る。
今、彼女は少女が傷を負う前の時間に戻しているのだ。
少女はかなり小さかった。恐らく、年齢は十も満たないだろう…こんな幼い少女に手を出すとはあの魔道警察官の話が本当ならこの国の政府はイカれてる。
「終わったよ。幸い、傷はそこまで深くなかったよ」
慧留がそう言うと蒼は安堵した。
「ん…ここどこ?」
少女が目を覚ましたようである。
「公園だ…」
蒼は短く答えた。
「あなたが…たすけてくれたの?」
少女は答えた。
「ああ。危ないとこだったな…名前は?」
蒼が少女に尋ねると少女は答えた。
「のぞみ…」
「のぞみちゃんか…家は?」
蒼が再び訪ねる。
「ここから、まっすぐ行けば着く」
のぞみがそう答えた。どうやら、ある程度しっかりした子のようだ。
「じゃあ、家に送るよ」
そう言って蒼と慧留はのぞみを家に送った。
「のぞみ!よかったわ…無事で…」
のぞみの母が望みを抱きしめてそう言った。
「本当にありがとうございます!この御恩は一生…」
「いやいや、いいですよ…それより、詳しい話を聞かせてくれませんか?」
慧留はのぞみの母に質問をした。
「…突然、私たちを魔道警察官が襲い掛かって来たんです…私は逃げてる時、娘とはぐれてしまって…」
のぞみの母がそう答えると今度は蒼が質問をした。
「あなたは魔族ですね?」
「…はい、獣人族です」
「警察は魔族を無差別に殺し回ってる可能性が高い…今後は用心してください…それではこれで…」
蒼と慧留は頭を下げてその場を後にした。
「ねぇ、蒼…魔族を無差別に殺し回ってるって本当なのかな?」
慧留が質問をする。
「あの魔道警察官の口ぶりからの推測でしかねぇが…あの様子じゃあガチでやってるっぽいな…」
蒼はそう言った。二人は学校に向かっていた。今の時間は十一時を過ぎていた。完全に授業が始まっていた。まぁ、二人にとってそれは大した問題ではない。
「十二支連合帝国政府は何を考えてるの?四大帝国会議も控えてるのに…こんな事したら益々他の三国を敵に回すことになるのに…」
慧留の言い分はもっともだ。つい先日「アザミの花」によって、十二支連合帝国政府は様々な悪事や魔族に対する過剰な迫害をしていたことが世界中に露呈し、広まってしまっており、他の四大帝国に目を付けられているのだ。
それが理由で緊急で四大帝国会議が開かれることになったのだ。
それにも関わらず、何故、さらに悪化させるようなことをしたのか、蒼は理解できなかった。
「まぁ、生徒会に報告だな…これは」
蒼と慧留は学校に向かった。
蒼と慧留は放課後、生徒会室に向かった。生徒会室には全員集まっていた。
「皆来てたのか…ちょうど良かった…報告したいことが…」
「報告?」
蒼が言うと音峰遥が反応した。ピンク頭のツインテールがと特徴の少女であり、一宮高校生徒会副会長である。
蒼は皆に今日起こった出来事を話した。
「やっぱり、動き出したみたいだね~」
常守澪はそう言った。彼女は黒髪赤目のポニーテールが特徴の少女であり、一宮高校生徒会会長でもある。
「動き出した?どういうことすか?」
蒼は澪に尋ねる。
「俺や美浪ちゃんもさっき聞いた話なんだけど…」
董河湊はそう言った。紺色頭が特徴の少年であり、生徒会のメンバーだ。
隣にいるのは霧宮美浪。水色頭のセミロングが特徴の少女で彼女も湊同様、生徒会のメンバーである。
「何かあったの?」
慧留が言うと苗木一夜が蒼と慧留の前に来た。彼はアッシュブロンドの髪と眼鏡が特徴の青年で蒼より一つ上の三年生の生徒会メンバーである。
「僕が説明するよ…単刀直入に言うと…この国…十二支連合帝国政府の最終目的が魔族の完全殲滅だ」
「「え…」」
一夜はそう言うと蒼と慧留は言葉を詰まらせた。
「その通り…十二支連合帝国政府は魔族を完全排除…もっと言うと魔族の力を我が物にしようとしている」
声の主は蛇姫薊だった。彼女は生徒会室の入り口から入ってきて言った。
彼女は先日までは敵同士だった。ついこの間まで蒼たちと激闘を繰り広げた、十二支連合帝国のテロ集団「アザミの花」の幹部だった少女だ。
他の「アザミの花」の幹部たちはリーダーである天草屍を含め、魔道警察に逮捕されていた。しかし、蒼たちの手引きで彼女だけは魔道警察に捕まっておらず、一夜が経営している魔族を保護する目的で作られたマンション、苗木日和に住んでいた。
このマンションは薊だけでなく、蒼や慧留、美浪も住んでいる。このマンションの全貌は国も把握しておらず、普通のマンションだと思っている。
「どういうことだ?」
蒼がそう言うと薊が説明を始めた。
「十二支連合帝国政府の大半は魔族を危険な存在だと認識している。四大帝国条約が締結されたのは三十年前…四大帝国全体を巻き込んだ戦争は今から五十年前に起きてるわ。この争いで多くの人間と魔族は死に絶えた。これを繰り返さないように…魔族と人間が共生するように作られた条約が魔族条約よ。まぁ、締結された直後はこの国に限らず、人間は魔族に対する迫害が凄かったけど…他三国はすぐに落ち着きは取り戻していた…」
薊はさらに話を続けた。
「十二支連合帝国は外国から見ればそこまで魔族に対して迫害をしているようには見せていなかった。隠していたのよ…ずっとね…十二支連合帝国総帥は代々、魔族を殺すための兵器を開発していた。その最高戦力が神器…あなたたちは…神器の作り方を…知ってる?」
薊は質問をしてきた。そして蒼は答えた。
「確か…死んだ妖怪や霊的存在を使って作るんだろ?」
「表向きではそう言うことになってるわ…けど、実際は違う…神器は「人間が殺した魔族を使って作ってる」のよ。霊的存在じゃなくて、生きた魔族を使って作ってる…非人道的な物よ…」
薊は蒼の答えを否定してそう答えた。しかし、慧留以外の者はそこまで驚いてはいなかった。
「まぁ、そんな事だろうと思ったわ…だから、今、魔道警察官は魔族を殺して回ってんだろ?」
蒼がそう答えた。薊は首肯した。
「そう。今、魔道警察官は「魔族狩り」を始めている。四大帝国の魔族と対抗するために…」
薊がそう言うと慧留は驚愕の表情を浮かべた。
「そう、十二支連合帝国総帥、閻魔弦地の目的はまさにそれなんだよ…というより、代々、十二支連合帝国が創立以来、閻魔家がこの国の総帥を務めていて彼らの目的が魔族の殲滅…そして、魔族の力を我が物とし、最終的には世界を征服する事なんだよ…」
一夜がそう言うと薊は驚いていた。
「あなた…何でそれを…」
「この学校の機密情報に乗っていた。この学校は閻魔家に対抗するための隠れ蓑だったんだ」
薊の疑問に一夜は答えた。
「この学校が総帥に立ち向かうための隠れ蓑?」
慧留がそう言うと一夜が説明を始めた。
「この学校は魔族を受け入れている数少ない学校でね…それでも、この国は魔族に対する対応がずさんだから生活に困ってる者が多く、学校に行く金が無いものが大半だから、この学校にいる魔族は一割程度しかいないし、もしばれたら、差別の対象になりかねないから身分を大概隠している。この学校は一部の魔族と人間が閻魔家の企みを知ってそれを止めるために作られた学校だったんだよ。全て、この学校の機密事項に書かれていたよ」
一夜がそう答えると今度は遥が話し始めた。
「生徒会の特権を使った人はね…例外なく行方不明になってたのよ…その原因が口封じのために真実を知った人たちを殺していたのよ…政府がね…だから、生徒会でこの特権をダシにすることがあってもあたしたちは使わないように勧めていたのよ。まぁ、あたしもこのことを知ったのはつい最近だけど…」
「はぁ…てことは事実を知ってしまった俺たちは全員消されるわけだ…このままじゃな…」
蒼がそう言った。だが、いささか疑問が残る。
「あいつらはこの学校が閻魔家の情報の山ってこと知ってるよな?何で手出ししないんだ?」
その疑問に澪が答えた。
「しないんじゃないよ…出来ないんだよ…閻魔家がその事を知った時にはこの学校は超エリート校になってて、生徒数もかなりいたし、魔族に精通してる人も多くなってた。あたしたちみたいにね…だから、潰そうにも潰せなかったのよ。人気がある学校を潰す理由もないしね…もし潰したら、感の鋭い人なら怪しんで真実を調べようとするわ。そうなれば向こうにしてみればデメリットしか無い。だから、潰さずに泳がせているのよ」
「そして、閻魔家は兵力が整いつつある…最近の「魔族狩り」でさらに兵力が増強されている。四大帝国会議で騒動を起こし、四大帝国の上層部の魔族を皆殺しにし、見せしめにするのが目的だろうね…」
一夜がそう言う。
「…しかも、「アザミの花」のメンバーは全員処刑するらしいわ。五日後…つまり、四大帝国会議が開かれる日に決行するそうよ…この学校は閻魔家の情報を随時閲覧できる。その情報だからまず間違いないわ」
遥がそう言うと薊は青ざめた顔をした。
「そんな…じゃあ…屍たちは…?」
「殺されるでしょうね」
遥はそう答えた。
「でも~、この事態を打開するためには彼らの協力が必要不可欠なんだよね~。教職員たちも恐らく今回は動くだろうけど、それでも戦力が足りないし…家の学校は教職員の数がかなり少なくてね…まぁ、少ない理由は今説明したとおりだけど…」
澪がそう言った。そう、今回ははっきり言って国そのものを敵に回すということなのだ。国の企みを阻止する目的でこの学校が作られたわけだが、この学校だけでは戦力が足りない。もっと、戦力を増やすべきなのだ。
「なら…やることは一つだな…」
蒼はそう言うと慧留は「まさか…」といい、そして、そのまさかを一夜が発現した。
「我々は魔道警察署に潜入し、天草屍を含めた「アザミの花」の救出を決行するよ」
「やっぱり、そうなるんだね…でも、前までの敵を助けるなんて…何か不思議…」
一夜がそう言うと湊がそう言った。
「そうやね…けど、やるしかないもんね!友達の仲間を助けなきゃね!」
美浪がそう言った。因みに美浪の言う友達とは薊のことである。美浪は薊と部屋が隣だった為、遊びに行くことがあり、薊自身も美浪とはある程度仲は良好であった。
「何で…助けようとするの?前までは敵同士だったのに…いくら利害が一致してるからって…危ないとは思わないの?」
薊が質問をする。すると、答えたのは蒼だった。
「利害が一致してる。それもある。けど、それだけじゃないんだよ。俺たちはお前ら「アザミの花」はただの悪人だとは思えないんだよ…むしろ、今の政府の方が最悪だ。だから、皆、お前らを助けたいと思ってるんだよ。それと、これは俺の個人的な理由だが―」
蒼は更に続けた。
「屍は…屍の願いは偽りでも間違ってもいないと思う…ただ、やり方を間違えただけだ。そんな奴が殺されるのは間違ってる…それに…俺とあいつは似てるから。もし道が違っていたなら…俺は屍の様になってたかもしれない。だから…かな…」
蒼がそう言うと薊は呆れた顔をした。
「あなたたちは…とんだ…お人好しね…」
薊は眼に涙を浮かべていた。そんな薊の頭を美浪は撫でながらこう言った。
「大丈夫。天草さんたちは絶対にウチ等で助けるから」
美浪は優しくそう言った。
「具体的にはどうするんですか?」
慧留は一夜に尋ねる。
「まぁ、取り敢えず考えてはいるんだが…明日連絡するよ。今日はもう遅い。解散しよう」
一夜がそう言うと澪と遥も賛同した。
「そうだね~。焦ってもしょうがないし…処刑決行まで五日あるし。こういう時こそ落ち着かないとね~。まぁ、教職員の方はあたしとハルちゃんで何とかするから」
「そうね、今ごちゃごちゃ考えてもね…皆大なり小なり混乱もしてるでしょうし」
湊と美浪も頷き、蒼と慧留も了承した。
「それでは、また明日集まろう」
一夜がそう言うと生徒会一行と薊は生徒会室から出て行った。
その後、湊と遥と澪は家の方向が一緒の為三人で帰った。
蒼と慧留、一夜と美浪、薊は五人で帰っていた。
すると、薊は一人、立ち止った。
「薊ちゃん?」
美浪が薊の名を呼ぶ。
「私も…私も連れて行って欲しい!私は…屍を助けたい!だから…」
薊がそう言うと一夜が話してきた。
「かなり危険が伴うよ…というより、僕は反対なんだ…僕は君を他の生徒会ほど信用してないんだよ。用心深いからね僕は…他の皆はどうなんだい?」
一夜が他の三人に聞いてくる。
「ウチは…一緒に行くべきやと思う…天草さんは薊ちゃんの大事な人で…それに、薊ちゃんがいた方が絶対に戦力になると思います…」
美浪はそう言った。慧留も気持ちは同じの様だ。
「私も…美浪ちゃんに賛成です。蒼は?」
蒼が答えた。
「俺は…正直、一夜と同じ気持ちだ…けど、今回は薊は俺たちと一緒に行くべきだと思う…何でか分かんないけど…そんな気がするんだ…」
蒼がそう言うと一夜が溜め息を吐いた。
「はー…分かった、君らがそこまで言うなら蛇姫君も一緒に同行してもらおう」
一夜は手を頭に乗せながらそう言った。
「皆…ありがとう…」
薊は涙を浮かべながらそう言った。
「おっと…僕の家はここだから…じゃあ、四人とも…気をつけて」
そう一夜は言って去って行った。
「なんだかんだ言って、一夜さんも心配してるやん…」
美浪がそう言うと蒼は「まったくだ」と言い慧留も「そうだね」と言った。
薊は疑問を浮かべていた。
「あいつ今、「四人とも」って言ったろ?つまりそう言うことだよ…たく…あいつも俺のこと言えねぇな」
蒼はそう答えた。
「あいつらの企みは必ず阻止する。絶対に」
「うん」
「せやな」
蒼と慧留、美浪がそう言うと薊は再び礼を言った。
「ありがとう…」
ここはとある会議室だった。
「そうか…準備は整ったか…それでは予定通り進めていこうか」
男の声が聞こえた。男の名は閻魔弦地、現十二支連合帝国総帥である。
彼の最終目的は世界中の全魔族の殲滅と魔族の力を我が物とし、四大帝国を制圧することである。
「この国の魔族の約五割を殲滅、その力を手中に収めました。そして我々には「アレ」があります。兵力としては十分に足りているかと」
別の男がそう口にした。
「会議はどこで行われる?」
閻魔は質問をした。
「五日後のここ、十二支連合帝国の「トウキョウ裁判所」にて開かれます。四大帝国の魔族や人間が多数参加されるものと思われます」
男がそう答えた。
「そうか…ふふふ…して、一宮高校の様子は?」
閻魔が再び質問をした。
「はっ!どうやら、生徒会たちが我々の事を知ったようです」
男はそう答えた。
一宮高校のネットシステムはかなり前から国が把握していた。一宮高校は特殊な技術を使い、国の機密情報を自動的に学校に送信される仕組みになっており、学校を潰さない限り情報漏洩が防げないようになっていた。
国は何度も停止を試みたが結局、情報漏洩を阻止することが出来なかった。しかし、その代わり、国は一宮高校の機密情報を調べた人間を把握でき、調べた者は秘密裏に殺していた。
これが、生徒会のものでしか調べる権限が与えられなくなった理由である。最初はこの情報を誰もが調べることが出来たのだ。
それでも、情報を流し続けたのは学校側が勢力を増やすためであろう。
一宮高校の教職員は少数ながらも全員が反十二支連合帝国の勢力であった。
「もう、あの高校は潰して構わん。攻撃を仕掛けろ。明日にでもな。だが、四大帝国会議が控えている。あの高校に送り出すのは最低限にするようにしろ」
会議にいた人間たちは全員頷いた。
「我らの敵は誰だ!?」
『この世界の全ての魔族!』
「我らの悲願は!?」
『魔族の力を使い、世界を我が物にすること!』
「我らの戦いに栄光あれ!」
『総帥万歳!!!』
まるで宗教団体の様なやり取りを最後に十二支連合帝国の会議が終了した。
ここはとある国のとある場所。
「いかがなさいますか?陛下?」
男が陛下に尋ねる。
「ふむ…私は内戦を治めなければならない。私は会議には参加できないわ」
陛下がそう言う。
「『頂点者』、あなたが出席なさい」
陛下が続けてそう言った。
「かしこまりました」
『頂点者』はそう答えた。
「あなたは一体どこで何をしているの?フロー?」
空を見上げながら陛下はそう呟いた。陛下にはきょうだいがいた。そのきょうだいは今現在、行方不明なのだ。
「それについてなのですが…陛下、その者は十二支連合帝国にいるとの情報が入りました」
『頂点者』がそう答えた。
「そう、でも…今はこの国から離れる訳にはいかないわ。もし、あの子を見つけたら…その時は…」
「はっ…必ずあの者を連れ戻します」
陛下がそう言うと『頂点者』は了承した。
「戦は続く。私は…この戦いを早く終わらせなければ…」
陛下はそう言った。この国は全皇帝が七年前に病で亡くなり、新たな皇帝が決まるまで、内乱が続いていたのだ。
そして、今から、一年前に皇帝が即位し、今に至る。
陛下が即位してから内乱は鎮静傾向にあるが、未だに内乱は治まっていない。
陛下にとって、この国を統一することは最優先事項なのである。
「『セラフィム騎士団』の方はいかがなさいますか?」
『頂点者』は陛下に問うた。
「『セラフィム騎士団』は我が国の最大戦力…それをホイホイ他国に連れて行くわけにはいかないわ…ただでさえ内戦中なのに…四大帝国会議に出席するのは騎士団長であるあなただけで十分よ…」
陛下は淡々とそう告げた。
「かしこまりました。要件は以上です。失礼します、陛下」
そう言って、『頂点者』は去って行った。
「ふふふ…私も平和のために…」
陛下はそう呟いた。
To Be continued
始まりました【第二章】です。この話は【第一章】の後日談的な側面が強いのでまずは【第一章】をご覧になってください。今度の敵は政府です。どうするんでしょうね、蒼たちは。
余談ですがこの話は【第一章】より速く終わる予定です。短い内容ではあるのですが、本編の中心人物が多数出てくる重要なエピソードでもありますので楽しみにしてください。
それでは、また!




