【第十章】道化狂乱篇Ⅲー開戦ー
ロキ・カオストリクスタシアは常森厳陣、ドゥームプロモ・ドラコニキル、ルバート・セイント、ルミナス・アークキエルローマカイザーを見据えていた。
彼等は今、鏡の城にいた。ロキは高い所から彼等を眺めていた。
「四大帝国の総帥達がこうして揃っている所を見るのは壮観だね…( ゜o゜)……て…!?( ; ゜Д゜)」
ルミナスがロキに斬りかかり、厳陣も炎の玉を投げて攻撃した。
ドラコニキルも【黒閃光】を放っていた。
ルバートも魔術を使って応戦していた。
「ひっどいな~(´д`|||)いきなり攻撃するなんて(T△T)」
しかし、ロキは攻撃を全て回避し、元にいた位地に戻った。
「あなたと話す事なんて何も無いわ」
「その通りだ。貴様は我々の敵だ」
「ふー、速い内にケリを着けたいんだが…?」
「僕はどっちでもいいけどね~」
四大帝国の総帥達はロキと話す理由が無いし、話し合いが無意味だと分かっている。
だからこそ、このままロキを叩くのが一番手っ取り早いのだ。
「まぁまぁ、落ち着いて。僕達の目的を知りたくないのかい?(* ̄∇ ̄*)」
ロキがそう言うと四人は手を止めた。
「どういう事だ?」
「少し長い話になる。少し、腰を下ろさせて貰うよ」
ロキがそう言って腰を下ろした。
「それで?あなた達の狙いは何なのかしら?」
「そうだな…僕らの目的は…この世界をあるべき姿に戻す事にある」
ロキが真面目な口調で話を始めた。
「あるべき姿?」
「ああ、千年前の混沌戦争。その戦争で人間は禁忌を犯した。人工の神を作り出したのだ。その神の名は…オーディン。そのオーディンの力は凄まじく、人間達はこの力を封印した。そうしなければ人間達も魔族もろとも消滅していたからだ」
千年前、突然魔族といった空想上の生物が闊歩し、人間は魔族に支配された。
その時に開発したのがオーディン。この力は絶大であり、人間側が勝利できる程だった。
しかし、当時の人間はそんな力を制御出来ず封印した。
それにより、人間は魔族に支配されたのだ。
それから五百年凌ぎを削り、人間達は霊呪法を作り出し、更に魔族と手を組み、アラルガンド・セクラムを筆頭にヒューマニックリベリオンを起こした。
「更に、今から二百年前に天使大戦と言われる四大帝国創設以来の初めての大戦が起こった。これにより、三大皇族以外の殆どの生物が人間の支配下に置かれ、絶滅した魔族も存在する。絶滅寸前の魔族も存在するね、エルフなんかはそうだ。そして、今から五十三年前、第三次世界大戦が勃発した」
第三次世界大戦はこれまでの戦争とは比較にならない巨大な戦争となった。
魔族を大方支配した人類が四大帝国を中心に争った。
そう、人間同士の戦争で魔族や魔術、霊術が利用されたのだ。
その戦争は凄まじく、四大帝国の間にある小国は特に壊滅的被害が出ていた。
「君ら四大帝国は偽りの平和を作り、僕らを退屈にさせている。だからこそ、オーディンを復活させ、四大帝国という概念を消し去り、争い合う、弱肉強食の世界を創る…それが僕らプラネット・サーカスの目的だよ」
「そんなモノ…納得できる訳が無いだろう!貴様らのやっている事は平和への冒涜だ!」
「ならばそんな君達のしてきた事は何だい?君達四大帝国は小国を虐げて平和を保っている。君達四大帝国の平和は小国にとっては暴力なんだよ。君達が平和を満喫して他の小国が虐げられている。これって不平等じゃないかな?それに僕にとってもそんなのはつまらない。僕はね魔族や人の本当の輝きを見たいんだよ。本能に動く人々は魔族は…本当に面白く、そして…美しい…」
そう、ロキはこの世界を弱肉強食の争いの絶えない世界に変えようとしている。
それが本来の世界だ。
そう、この世はそもそも弱肉強食。強ければ生き、弱ければ淘汰される。
にも関わらず、人と魔族だけは安寧と平和という無秩序を貫こうとしている。
本能に殺し合い、奪い合う。それが本来の人や魔族の姿であり、それは歴史が証明している。
「ふー、君の言う事は滅茶苦茶だな」
「ふっ…君達四大帝国なら痛いほど分かっているだろう。希望など無い事を!今までの争いの歴史がそれを証明している。人は魔族は…常に平和を求めながらも互いを虐げ、争いも求めている矛盾した生き物だ。ならば僕がその矛盾を解き放ち、生物のあるべき姿に変えようと言うんだよ!」
ロキは高らかにそう宣言した。
ロキはいつになく饒舌克つ真面目に答えていた。
「そんなの…認める訳には行かないわね」
「ルミナス、君は僕の思想には共感してくれないか…」
「あなたの思想は下らないわ。今まで積み上げてきたモノを全て壊す無意味な行為よ」
「いんや、君達のやっている偽りの平和こそ無意味だよ(T△T)」
ロキはルミナスの言葉を否定した。
「貴様の言う争いの世界が成り立てば虚無の人生を歩む事になる。俺まお前の思想には賛同しかねるな」
「ドゥームプロモ・ドラコニキル。君はもう少し聞き分けが良いと思ってたんだけど」
ドラコニキルもロキの思想には賛同出来ない様だ。
「僕はぶっちゃけどうでも良いけど…君がお山の大将気取ってるのは気に入らないね」
「君は本当に読めないね\(^o^)/」
ロキはルバートの奔放さに驚いていた。
「確かに…貴様の言う通りなのかもしれない。人は魔族は…平和と争いの両方を求めている。我々四大帝国のしてきた事が全て正しいとは言えん。だがしかし、貴様の目的が成就されればそれこそ世界の終わりだ!貴様を…認める訳には行かん!」
「生真面目だね~。常森厳陣」
ロキは溜め息混じりにそう言った。
どうやら交渉は完全に失敗らしい。
「僕達の狙いはオーディン復活。そして僕達プラネット・サーカスは君達の狂乱を傍観し続ける。楽しいパレードを作り出す」
「そんな事はさせないわ」
「認める訳にはいかないな」
「最初から君達に賛同する気は無かったしね~」
「この世界を終わらせん!」
ロキ、ルミナス、ドラコニキル、ルバート、厳陣はそれぞれの意思を口にした。
プラネット・サーカスと四大帝国。二つの勢力は見事に真っ二つに別れたのであった。
「いいだろう…ならば!第四次世界大戦の宣戦を布告する!」
蒼は慧留達と合流していた。
しかし、美浪と舞がクメールにより洗脳されてしまっていた。
「クメール・サロットサロットか…」
「ふふふ…我輩も随分と有名になったのだ」
「てめぇ…よくも好き勝手やってくれたな!四宮さんと美浪は返して貰うぞ!」
「我輩を簡単に倒せると思わない事だ!行け!」
クメールがそう言うと舞と美浪が蒼に襲い掛かって来た。
「ちぃ!霊呪法第七百一番【冬至縛】!」
舞と美浪の周囲に氷の鎖が出現し、二人を縛り上げた。
「!?」
「【氷菓神刀】!」
「【寵愛の恋矢】!」
蒼は氷の刃を放ち、クメールはハート型の霊力を放った。
お互いの技がぶつかり合い、クメールの霊力は凍り付いた。
「何!?透過しないだと!?」
「何で…!?」
クメールと慧留は驚いていた。
クメールの【寵愛の恋矢】は相手の物理攻撃を透過して狙った相手にぶつける事が出来る。
本来なら蒼の氷の刃を透過し、そのまま蒼に直撃する筈だ。
しかし、そうはならず、クメールの技はそのまま凍り付いた。
「慧留、お前の時間回帰はあいつの洗脳に効果があったんだよな?」
「う…うん」
「なら、考えられる事は一つだ。確かにあいつの洗脳波は物理攻撃を透過して相手にぶつける事が出来る。だが、概念に影響を与える技は透過出来ない」
「!? そ…そうか!」
「成る程ね」
クメールが全ての物理攻撃を透過出来るのなら慧留の攻撃も透過可能な筈だ。
しかし、クメールはそれが出来なかった。
更に蒼の氷の刃も透過出来なかった。
この二つに共通する事は概念に影響を与えているという事だ。
慧留の時間回帰は文字通り時間という概念を操っている。
蒼の氷は普通の氷とは違い、凍り付いた機能を完全に停止させる事が出来、それは相手の技の能力や時間にも影響を与える。
故に蒼の氷はクメールの技を停止させる事が出来た。
「なら、その力でも美浪ちゃんと四宮先生を元に…」
「いや、俺のこの力は相手の生命活動ごと停止させる恐れがある。俺じゃ二人を元に戻すのは厳しい。慧留、俺の霊呪法で二人を縛ってる間に二人を…」
蒼がそう言い掛けた時、美浪と舞は蒼の霊呪法をあっさりと振りほどいた。
「そう簡単にはさせないのだ!」
美浪と舞がクメールの元へ戻った。
「ウルグェゲロゲロゲロゲロ…」
クメールは口からハートが連なっている鞭を取り出した。
恐らく、あれがクメールのエンゲリアスだ。
「口から出すとか気持ちの悪い奴だ」
「これは…お前達が使う普通のエンゲリアスでは無いのだ!これは…こう使うのだ!」
クメールは鞭を美浪と舞に打ち付けた。
「はひっ❤」
「あんっ❤」
「「「!?」」」
そんな淫靡な声を舞と美浪は上げていたが二人の霊力が上昇していた。
蒼も慧留もプロテアもその事に気付いた。
「面倒な力だな…」
「それでも…やるしか無いよ!二人を…」
「ええ!」
「行くぞ!」
「そこまで。クメール」
「「「!?」」」
「おお、ユグド!」
どうやら、彼もプラネット・サーカスのメンバーの様だ。
見た目は翡翠色の長い髪と瞳、そしてフリルな服装をした小さい少女の姿をしていた。
「もう、目的は果たしたです。これ以上戦う意味は無いのです。もう引くです」
「ムムム…そうですか…ハァハァ…」
「わたしの身体を見て欲情しないでくれるです?殺すですよ」
「ひぃ~!すみませんなのだ!」
蒼と慧留、プロテアは人目見て分かった。あの少女は只者では無いと。
少なくともクメールやアリアナとは次元を越えた強さを持っているのは確かであった。
「あなたが…時神蒼ですね…わたしはエスデス・ジルド。プラネット・サーカス第三の席、樹木王女のエスデス・ジルドです」
そう言ってエスデスはスカートで隠されていた左足を見せた。
左太股辺りに3の数字が刻まれていた。
「わたし達の身体には数字が刻まれています。この数字はわたし達プラネット・サーカスの力の序列であり、上位数字者と下位数字者で別れています。プラネット・サーカスの数字者。つまり、あなた達で言う、幹部クラスである『童話人』には一から十の数字を持つ者がいます。十から六までが下位数字者。つまり、幹部の中でも弱い方です。そして、わたしを含めた五から一までが上位数字者はそれぞれ王の名が与えられる上位の実力者達です」
蒼はエスデスの言葉を聞き、擬流跡土とアリアナ・サンタマザーの事を思い出していた。
跡土は自分を五の席と言っており、傀儡王と名乗っていた。
つまり、跡土はプラネット・サーカスで上位の実力者という訳だ。
しかし、エスデスの言葉通りなら跡土は上位数字者の中で一番弱い事になる。
そんな人物ですら四大帝国の一角である十二支連合帝国を壊滅させる程の力があるという事だ。
アリアナは十番目…つまり、幹部の中で最も下端という事になるがそれでも相当な実力の持ち主である。
「………」
「まぁ、戦闘力だけじゃなく、総合力や組織の貢献度合いにもよって数字は変わるので明確な力の序列……という訳でも無いです。それでも、下位数字者と上位数字者とでは力の差が天地程にありますけどね」
そうは言ってもプラネット・サーカスのメンバーが全員、四大帝国の総帥に匹敵する戦闘力を持っている事は変わりない。
エスデスの霊圧も相当なモノであり、蒼はエスデスを一人で倒せる自信が無かった。
「ユグドたん…そんなに我々の事を話しても良いのか?」
「いいのです、別に。減るものでもないです。後ユグドたんとか気持ち悪いので言うなです」
「酷い!」
「つべこべ言わずにさっさと引きやがるです」
「分かったのだ」
エスデスとクメールが引こうとする。そして、それに美浪と舞も付いて行っていた。
「待て!」
「あなた達ではわたし達は倒せないです。それは分かってるでしょう?」
「くっ!?」
「わたし達は引いてあげるのです。そこを勘違いしないように」
そう言ってエスデスは引こうとする。その時、クメールの背中に8の数字が刻まれているのが見えた。
「ああ、ユグドが自己紹介したのに我輩はしていないのだ。一応しておくのだ。我輩はプラネット・サーカス第八の席、愛の矢主、クメール・サロットサロット…なのだ」
クメールはそう言って洗脳した美浪と舞を連れて去っていった。
「くそ!」
美浪と舞が洗脳され、向こうの支配下に置かれてしまった。
数で相手を追い詰めたと思ったらこれだ。
「ごめん、蒼。私達がもっとしっかり…」
「いや、それは俺も同じだ。……完全に俺達の敗けだ」
相手を洗脳し、手駒とするあのクメールという男。
プラネット・サーカスの中でも最優先に倒すべきだろう。
あの男の能力はそれ程厄介なモノだ。
「時神!」
「蒼!」
「屍、一夜」
「これは一体…美浪君と四宮先生は!?」
「敵に洗脳され、連れていかれた」
「何だって!?」
「お前ら…何で追わなかった!?」
屍が蒼の胸ぐらを掴んだ。
「済まない…もう一人の新手が来ていて…追っていたら最悪こっちがやられてた」
「そんなにやべぇ奴等なのかよ…」
「ああ…」
「クソ!」
屍は蒼の胸ぐらから手を離し、そう吐き捨てた。
「取り合えず、あのクメールとかいう男を最優先で倒す必要があるね」
「ああ、分かってる!美浪と四宮さんは絶対に取り戻す!」
蒼はそう決心した。
「ふ…どうやらここまでですわね」
アリアナは蒼達から逃げた後、別の場所を襲撃していたのだが、アルビレーヌ、フォルテ、ウルオッサ、スープレイガ、黒宮、澪達に見つかり、激戦を繰り広げていた。
「あなた達全員で来られてはワタクシでも倒す事は出来ませんわ。ここで…引かせて貰いますわ!」
そう言ってアリアナは白い棒を無数に飛ばした。
黒宮達は攻撃を回避したがその隙にアリアナは逃げられてしまった。
「くっ…」
「プラネット・サーカス…想像以上の強さですね」
「ちぃ!」
「もう、面倒臭いよ~」
「ウルオッサ、面倒臭がっている場合では無いわ」
「厄介だったね~、あの能力」
この六人が束になって掛かってもアリアナは倒し切れなかった。
手傷は負わせたがアリアナは自身の不利を悟り逃げた。
「本気を出してる様にも見えなかったしな」
「そうですね、全く…全く…厄介な奴等ですよプラネット・サーカスは」
「第四次世界大戦…だと!?」
「ああ…まぁ、今すぐに開戦する訳では無いよ(* ̄∇ ̄*)こっちにも準備ってもんがあるからね。君達もだろ?」
ロキは余裕の表情を崩さずにそう言った。
「戦争を仕掛けた事…後悔する事にならなければいいわね」
「相変わらず威勢がいいね、ルミナス(^o^;)。こっちは君達よりも組織力が大きいんだよ?」
「関係無いわ。何故なら…私がこの世で…最も強いからよ」
「うっわ~。最強厨乙\(^o^)/」
「ふっ…いつまでそう言ってられるかしらね?」
ルミナスもロキも余裕の表情を崩さなかった。
二人とも必ず己が勝つという圧倒的自信に満ちていた。
「僕らプラネット・サーカスはそれぞれの正義の為に動いている」
「そんな正義はまやかしだ」
「それは違うよ常森厳陣。正義なんて人それぞれだ(*´∀`)」
ロキがそう言うとロキの後ろから小さい少女がやって来た。
「こんな所で油を売っていたのですね、ロキ」
「エスデス、君はクメールと一緒にいたんじゃ?」
「クメールとアリアナはとっくにここから出ていきましたよ。後はあなただけです」
「そうか、それは悪い事をしたね」
「エスデス…」
「アフリカ共和国を丸々乗っ取ったあの…」
「思ったより小さいね」
エスデスの出現に四大帝国の総帥達は驚きを隠せなかった。
エスデスは名前だけは知られていたがあんな幼子の姿をしているとは誰も知らなかったのだ。
「乗っ取った…とは人聞きが悪いですね。わたしはあくまで平和の為に彼等を買い取ったに過ぎませんよ」
「自身が不要と判断した者を殺すのが平和なのか?」
「この世界には必要な者とそうでない者がいます。それを選び、不要な者を殺すのがわたしが掲げる思想です」
「選民思想とは笑えるな、貴様は神にでもなったつもりか?」
「この世界に全知全能の神様なんて存在しませんよ。だからこそ、我々が神となる」
エスデスはドラコニキルの問いにそう答えた。
エスデスは本気でそうして平和を実現しようとているようだ。
「そんなのは君の思い上がりだと思うけど?」
「この世界の資源は有限、だが魔族や人は増え続けているです。そして足りなくなるです。足りなくなれば奪い合うしかなくなるです。だからこそ、不要な者を殺し、減らす事で本当の平和が実現するのです」
「偏った思想だな」
「何とでも、あなた達のしてきた政策がそれを証明しているです。だからこそ、あなた達もその報いを受けるべきです」
エスデスは無表情でそう言った。
「まぁまぁ(* ̄∇ ̄*)。どっちが正しいかなんてこの先の戦いで分かる事だよ。戦争は至ってシンプルだ。勝つ事こそ正しい…勝てば官軍…だよ(*´∀`)」
「それについては同意ね。そして…負けるのはあなたよ」
「………」
厳陣はそうは思わなかった。
勝てば必ず正しいと言うのであればこの世界はもっと単純で誰も道を間違えたりなんかしない。
確かに勝たなければならない。しかし、勝つ事で失われるモノだって存在する筈だ。
厳陣はどうしても勝つ事が全てとは思えなかった。
「何かを得る為には勝つしかないです。勝つという事は敗者から何かを奪う事を意味するです。結局、この世界は争奪なのです。だからこそ、生きる者を減らしていくしかないのです。そして…人や魔族は…痛みを知るのです。その痛みが争いの抑止力となる。平和の完成です」
「そんなのは嘘ッパチだ!そんなモノで…」
「ふー、常森総帥の言葉に同意だね。そんなモノ同じ事の繰り返しだ」
「やはり、あなた達とわたしでは相容れない様ですね。それが分かりましたです。ならば…あなた達に絶望を与えてやるです」
エスデスは無表情でそう言った。
さっきからそうだが、エスデスの表情が全く変化していない。
まるで、心が無いようであった。
「エスデス、今日は随分と喋るね(* ̄∇ ̄*)」
「別に、大した理由は無いです」
「そっかぁ…まぁいいや。じゃあ、僕らはここで消えるとするよ。今度会う時は戦場だね(*´∀`)」
ロキとエスデスの身体が虚空へと消えていった。
「向こうから宣戦布告してきた以上、こっちも四大帝国で連合を作るしか無いわ」
「そだね~。あそこまで露骨に喧嘩売られちゃあこっちも連合を作るしか無いね」
「とは言え、準備する事は山積みだぞ」
「敵の目的も見えない以上、迂闊に行動も出来ない」
そう、相手は宣戦布告をしたが罠の可能性の方が圧倒的に高い。
とは言え、このまま何もしないのは論外なので連合は作るしか無いだろう。
「常森殿、ドラコニキル殿、あなた達は?」
「連合には入る。だが、まずは情報収集からだ」
「こちらも連合には入るが戦力は整えておきたい」
厳陣達が話をしていると蒼、屍、一夜、プロテア、慧留がやって来た。
「常森さん!」
「時神君!」
「報告する事があります!霧宮美浪、四宮舞さんが敵に洗脳され、拉致されました」
「何だって!?舞君まで…」
厳陣は驚愕の表情をした。
「クメールの仕業ね。どうやら、あの男を最優先で叩いた方が良さそうね。彼の能力はこちらの戦力を根こそぎ奪われかねないわ」
「ルミナス…」
「こんな形で再開する事になるなんてね、フローフル」
ルミナスは蒼を悠然と見つめていた。
「ルミナス様」
「ローグヴェルト、周辺の状況は?」
「は、彼等は本当に撤退した様です」
「そう、御苦労だったわね」
「ローグ…」
「エル…」
蒼とルミナス、慧留とローグヴェルト。
この二人には只ならぬ因縁があった。
蒼とルミナスは義理の姉弟、慧留とローグヴェルトは慧留が神聖ローマにいた頃の友人同士だったのだ。
だが、今はお互いに違う国に身を置いている。
蒼と慧留は十二支連合帝国に身を置いている一般人、ルミナスは神聖ローマの皇帝であり、ローグヴェルトはその副官である。
彼等の立場は随分と変わったモノである。
「フローフル、あなた達は十二支連合帝国側に着く…つもり?」
「ああ」
「そう、まぁ今回はお互い味方同士よ。仲良くしましょう」
「俺も出来ればそうしたい所だがな」
ルミナスとフローフルは五年前の事件以来、確執が生まれていた。
幼少の頃は仲が良かった二人だったが時は流れ、蒼にとってルミナスは最大の敵となってしまっていた。
「ローグ…」
「お前とはゆっくりと話したかった所だが…そうもいかなくなってしまった」
「そう…だね…」
「エル…君はフローフルのやった事を分かっている筈だ。それなのに…何故だ?何故、フローフルに着く」
「蒼は私の友達だよ。だからだよ…それに…神聖ローマのやってる事はやっぱり納得いかない」
「そうか…ならば、俺とお前は袂を分かった…という事だな」
ローグヴェルトは慧留にはっきりと「決別した」と口にした。
ローグヴェルトはあくまで神聖ローマに…ルミナスに忠誠を誓っているという事だ。
「フローフルが世話になったみたいね、苗木一夜」
「僕の様なしがない一般人があなたに名前を知られてるなんて光栄ですね」
「あまり自分を卑下するモノでは無いわ。エル・マクガヴェイン、天草屍、プロテア・イシュガルド…あなた達もフローフルの世話が世話になってるみたいで礼を言うわ」
「てめぇは俺の保護者じゃねぇ…」
「まぁまぁそう言わず」
「そう言わず…じゃねーよ!」
蒼とルミナスは普通に会話していた。
今の二人を見ていると二人に確執があるという事が信じられないくらいであった。
「とにかく、霧宮さんと四宮さんを救出するのが先ですね」
「ああ、クメール・サロットサロットを最優先に倒さなければ」
「彼の能力は術者が倒されれば解ける筈よ」
「それが分かれば後は見つけるだけだ!」
「だけど厄介なのはクメールだけじゃないよ。アリアナとかいう奴も相当厄介だった」
澪がそう言った。
そう、クメール以外も厄介なのは変わらない。
プラネット・サーカスの『童話人』。彼等は全員が手配書Sランクの犯罪集団だ。
しかも四大帝国以外の小国もほぼ全て制圧している。
更に彼等の最終目的は人工神オーディンを蘇らせてこの世界を破滅へと導く事だ。
オーディン復活は何としても阻止しなければならない。
「プラネット・サーカスは何としても潰す。そうでなければこの世界は本当に処刑されてしまうわ」
「世界の行く末なんてどうでもいいけど好き勝手されるのは気に入らないね」
「ふー、今後はこんな面倒な事は起こらないで欲しいモノだな」
「今度こそ…平和を…その架け橋を実現して見せる」
今の四大帝国はそれぞれ別々の思惑はあるものの、一つの共通認識があった。
それはプラネット・サーカスという敵だ。
この敵を倒す為なら協力は惜しまない。
敵の敵は味方…とよく言うが今の状況は正にそれだろう。
人は魔族は共通の敵を倒す為にかつての敵と協力し、打ち倒し、そこから輪が広まっていった。
今回、四大帝国が初めて手を組み、プラネット・サーカスという巨悪に立ち向かおうとしている。
これにより、どの様な結末を迎えるかは分からないが四大帝国全員には共通の指名があった。
それは戦争に勝つ事だ。
勝たなければ、何も変わらない。
負ければ何も得られない。
幾千もの屍を越え、勝利しなければ何も意味がない。
プラネット・サーカスの勝利は世界の終わりを意味する。
確かに四大帝国が勝った所で世界が平和になる…などという都合のいい話は無いだろう。
ロキ達プラネット・サーカスが言う様に四大帝国の今までの政策が小国を虐げ、発展していったのは紛れも無い事実だ。
そのせいで小国達はプラネット・サーカスの軍門に下ったと言っても過言では無い。
これは四大帝国のやって来た罪だ。
ならば、この戦いで小国達の憎しみを一身に受け止めるのも今の四大帝国の使命であると言える。
これから戦争が始まる。恐らく、今までの戦争の中でも最も大きな戦争となるだろう。
この戦争は世界の今後を左右する大きな戦争だ。
負ける訳には行かない。
「決まりね…これより、四大帝国で連合を作り、この世界の巨悪であるプラネット・サーカスを打倒する!」
ルミナスは高らかにそう宣言した。
これにより、四大帝国の連合が生まれたのだった。
To be continued




