【第九章】天使輪廻篇ⅩⅣーsandalphonー
ローグヴェルトとスープレイガのコピーは未だに交戦が続いていた。
スープレイガは【悪魔解放】を使っており、本来の力で戦っている。
スープレイガの格闘術は相当なモノであり、ローグヴェルトはロクに攻撃が出来ておらず防戦一方だ。
「くっ!?」
ローグヴェルトは何とかして反撃の期を伺うもスープレイガの猛攻に耐えるのが精一杯であった。
「おらおらおらおらあ!!どした!?そんなもんかよぉお!!」
スープレイガはローグヴェルトの隙を突き、ローグヴェルトの身体を地上へと蹴り飛ばした。
更に四肢に光の刃を出現させた。
「【光刃刀】!」
光の刃を以てローグヴェルトの身体を切り裂いた。
「くっ!?」
ローグヴェルトの身体から血が吹き出した。
しかし、ローグヴェルトは立ち上がり、スープレイガを剣で弾き飛ばした。
「はっ!少しはやるようだな!」
ローグヴェルトは自身の剣を見た。
なんと、ひび割れていた。
それ程、スープレイガの力は強力である事を意味していた。
やはり、USWの【七魔王】だけあり、相当な戦闘力の持ち主だ。
「このままでは…やられるのは俺の方だな…」
ローグヴェルトはスープレイガが【悪魔解放】を使用してからまともにダメージを与えられていない。
はっきり言って今の二人の力の差は歴然である。
「やれやれ…」
舐めていた訳では無いが、やはりスープレイガは強い。
スープレイガはローグヴェルト目掛けて突進した。
「オラオラどした!?」
「いちいち五月蝿い奴だな」
「はっ!?余裕だな!」
「別に余裕では無いがな」
ローグヴェルトは攻撃を回避しながらそう言った。
やがて、ローグヴェルトはスープレイガから距離を取った。
「打ち砕け…」
ローグヴェルトは剣に霊力を収束させた。
やがてローグヴェルトの剣は虹色に輝きだした。
「【滅殺虹剣】」
ローグヴェルトの身体が発行し、霊力が吹き出した。
そして、ローグヴェルトの右手には身の丈の倍はある虹色の大剣を構えていた。
ローグヴェルトのエンゲリアス、【滅殺虹剣】だ。
「それがテメーの天使か!」
「ああ…」
「だが…まだ、あるんだろ?その先が…」
「………」
「出せよ!エンゲルアルビオンを!」
「悪いがそれは出来ない…俺のエンゲルアルビオンはこんな人目の着く場所では使えん」
「そうかよ!」
スープレイガはローグヴェルトに突進した。
ローグヴェルトはスープレイガに大剣を振り上げた。
スープレイガは吹き飛ばされた。
「はっ!大した破壊力だな!」
ローグヴェルトのエンゲリアス、【滅殺虹剣】の能力は単純なモノだ。
強力な破壊の力だ。
ローグヴェルトのエンゲリアスの破壊力はセラフィム騎士団随一であり、全てのモノを破壊する破滅のエンゲリアスだ。
「だが、それがどうした!」
スープレイガは光速で動き回った。
スープレイガは力を解放するとスピードが最も上昇する。
ローグヴェルトはスープレイガのあまりの速さに眼が追い付いていない。
スープレイガはローグヴェルトの後ろを思いっきり蹴り飛ばした。
「くっ!」
「威力が上がった分、スピードが落ちてるぜ!その大剣…相当な重さだろ!」
確かにスープレイガの言う通り、ローグヴェルトのエンゲリアスは非常に重い。
破壊力は確かに高いがその分、スピードが殺されてしまうのだ。
「【光速魔爪】!」
スープレイガは更に速力を上げ、ローグヴェルトを切り裂いた。
「ぐはっ!?」
「ははははははははははははははは!!!!終わりだ!!!!」
スープレイガはローグヴェルトを地上へと叩き落とした。
スープレイガはローグヴェルトを叩き落とした場所まで移動した。
叩き落とした場所はどうやら、誰も人がいない廃工場の様だった。
「さてと…」
「はぁ…はぁ…くっ…」
ローグヴェルトは大剣を両手で持ち上げた。
よく見ると大剣があった場所には巨大なクレーターが出来ていた。
ローグヴェルトの大剣がそれほどの重さがある事を意味していた。
「はっ!?そんな重い剣じゃ俺は捉えきれないぜ?さっさとエンゲルアルビオンを使えよ」
「さっきも言ったろう。ここでは使えない」
ローグヴェルトの【第二解放】は人が多い場所では絶対に使わないとローグヴェルトは誓っていた。
それほど、ローグヴェルトの【第二解放】は危険な代物なのだ。
「そうかよ…だったら…死ねよ!」
スープレイガがローグヴェルトに止めを指そうとする。
しかし、突如としてローグヴェルトは姿を消した。
「な!?」
「こっちだ」
「!?」
ローグヴェルトはスープレイガの後ろに回り込んでおり、大剣でスープレイガを吹き飛ばした。
スープレイガは壁に身体をぶつけ、吐血した。
「かはっ!?」
しかし、スープレイガはすぐに壁から抜け出し、ローグヴェルトの前に立った。
スープレイガの肩は先程の一撃でバッサリと切られており、大量に出血していた。
とてつもない破壊力である。
「どう言う事だ!てめぇ…何で…!」
「どうもこうもない。ただ…重さを変えただけだ」
「!?」
そう、確かにローグヴェルトのエンゲリアスの能力は破壊の能力。だが、単純な破壊の力では無い。
ローグヴェルトのエンゲリアス、【滅殺虹剣】の能力は剣の重さを増減する能力だ。
ルミナスのエンゲリアス、【白神天使】は剣の長さを伸縮する能力だが、ローグヴェルトのこの能力はその真逆の能力だ。
剣の重さを増やせばそれだけ破壊力は増すが速度が殺される。
だからと言って軽くしすぎれば攻撃が軽くなる。
ローグヴェルトは相手によって重さを調節していたのだ。
だが、あくまで調節出来るのは重さだけなので剣の大きさ自体は変わらない。
「久々に力を解放したので感が鈍っていたのだが…もう大丈夫だ。貴様の速さにはもう、慣れた」
「はっ!?なら、見せて貰おうか!」
ローグヴェルトの剣とスープレイガの拳がぶつかり合う。
先程までローグヴェルトが完全に劣性であったが、今はほぼ互角だ。
いや、僅かにローグヴェルトの方が上回っている様に見える。
「ここだ!」
ローグヴェルトがそう言うといきなり、一撃が重くなった。
「なっ!?」
スープレイガは左手でガードしたが剣がいきなり重くなり、ガードしきれず、左手を切り落とされてしまった。
「がっ!?」
スープレイガは一歩、後ずさった。
「重さを調節出来ると言っただろう。軽い一撃からいきなり重い一撃にする事もその逆も出来る。貴様の速度はもう把握した」
「!?」
はっきり言って、スープレイガはローグヴェルトの能力を舐めていた。
単純に刀の重さを増減するなどという派手さが無い地味な能力だからだ。
しかし、逆に言えばローグヴェルトの力は応用性が非常に高く、汎用的な力だ。
しかもローグヴェルトの場合は自分の意思で好きなタイミングで重さを増減できる。
速度調整と威力調整を自在に出来るのだ。
「さて…勝負はもう着いていると思うがまだやるのか?」
「当たり前だ!俺は負けねぇ!!」
スープレイガはローグヴェルトに再び攻撃を仕掛けた。
しかし、ローグヴェルトはスープレイガの攻撃を大剣で防ぎ、吹き飛ばした。
「ぐあ!」
ローグヴェルトはスープレイガが吹き飛んだ場所までジリジリと詰め寄ってきた。
「気に喰わねぇ…」
「? 何がだ?」
「てめぇも…時神と同じ眼をしてやがる…」
「時神? ああ、フローフルの事か」
ローグヴェルトはフローフルがこの国で時神蒼として活動している事は一応、知っている。
しかし、ローグヴェルトはスープレイガの言葉の意味が分からなかった。
「テメェは俺より強いと思ってやがる…時神もその眼をするんだ…」
「強いも何も…実際俺はお前を圧倒してるが?」
「はっ!前言撤回だわ…テメェは…時神以上だよ!」
スープレイガはそう言ってローグヴェルトに襲い掛かる。
欠損した左手は魔力の刃で補っていた。
「分からんな…貴様の言っている意味が。何がそんなに気に入らないんだ?」
「うるせぇよ!俺は俺より強いと強いと思ってる奴等を一人残らず叩き潰す!」
「やはり理解出来ないな…気に入らない者を片っ端から潰して…何がそんなに楽しいんだ?」
ローグヴェルトは決して争い事を好む性格では無い。
出来る事ならば争いはしたくないし、なるべく穏便に済ませたいと思っている。
だが、目の前にいるスープレイガは自分を見下したと判断した者を片っ端から潰したいと言うのだ。
やはり、ローグヴェルトとスープレイガの思想は相入れないモノがある様だ。
「本能に理由があるか?」
「…成る程な…確かに本能に理由は無いな。よく分かった、貴様はただの…獣だ」
「うおおおおおおお!!!」
スープレイガは雄叫びを上げ、ローグヴェルトに突っ込んだ。
だが、ローグヴェルトは何も言わずにすれ違い様にスープレイガを叩ききった。
スープレイガの身体の上半身と下半身を分離させた。
「ちくしょう…」
スープレイガの身体は粒子となって消えた。
「?」
ローグヴェルトはおかしいと思った。
死体がいきなり粒子となって消えるなど有り得ない。
「これは…紙切れ?」
そう、ローグヴェルトはスープレイガのいた場所に紙切れがある事に気が付いた。
「成る程な…これでスープレイガの偽物を造っていた…という訳か。しかし、能力までそのままコピー出来るとは…この術士…ただモノでは無いな…」
どうやら、今回の一件は一枚岩では無さそうだ。
何か…裏がありそうだ。
ローグヴェルトはそのまま廃工場から去っていった。
「ヤバイヤバイヤバイヤバイネ…まさか…セラフィム騎士団までここに来るとは…」
ドーラーはかなり焦っていた。
ドーラーはこの国を混乱させ、同士討ちさせて片付けようと思っていたのだがまさか、神聖ローマからの遣いがやって来るとは。
生憎、ローグヴェルトの霊力はドーラーは所持していない。
「困った事になったネ…もたもたしている場合では無くなってしまったネ…」
ドーラーは本格的に動き出すしか無かった。
「出てくるネ!」
ドーラーがそう言って出てきたのは厳陣、黒宮のコピーとそして、長い黒髪に水色の瞳とゴスロリ衣装が特徴の女性であった。
彼女は四宮舞を無論、厳陣と黒宮同様、コピー体だ。
「君達、苗木一夜をさっさと殺していくネ!それが終わったら引き上げる!」
そう、それが一番最適だろう。
セラフィム騎士団が来てしまった以上、ドーラー一人の手では追えない。
ならば逃げるしか無いのだが…ひとつひとつ問題が残っている。
一夜だ。彼はどういう原理かは知らないがドーラーの作り出したコピーを見分ける能力がある。
あの能力があれば後々面倒な事になる。
速めに殺すのがベストだろう。
「ふっふっふ~。随分焦ってるじゃないか(*´∀`)」
「!? ピエロ!」
やって来たのは髏奇であった。
「思ったより時神蒼以外の面々もやるみたいだね~( ̄ー ̄)これは予想外」
「全くだネ。特に苗木一夜…あの男はイレギュラーだったネ」
「彼の能力は恐らく、「眼」を使う能力だ。眼さえ潰せばいいんじゃないかな?( ´,_ゝ`)」
「それではダメだネ。念には念を…」
「相変わらず用心深いね~( ̄ー ̄)禿げるよ?」
「心配するなら貴様も協力するネ!」
「嫌だよ~( ̄ー ̄)今回の件は協力しないよ。君だって一度は拒否したんだ。少なくとも今回は自分で切り抜けなよ(-.-)」
髏奇の言い草にドーラーは腹が立っていた。
確かに髏奇の言う通りなのだが煽り口調なのがとてもうざったらしい。
「君はいい加減、台詞に顔文字を着けるのは止めるネ」
「何をメタイ事を言ってるんだい?( TДT)」
「邪魔をしに来たなら速くどっかに行ってくれないかネ?」
「ははっ!そんなに冷たい事を言わないでよ!ははっ!(*´∀`)」
「止めろ、そのネタは危ないネ」
髏奇がやたら甲高い声でそう言うとドーラーがその喋り方を止めるように言った。
確かに無闇やたらにあの例のネズミの喋り方をするのはヤバイ。
「まぁ、ちゃんとこの場を切り抜けられる事を祈っているよ。傀儡王がいなくなったら大分こちらの戦力に影響するからね~( TДT)」
「そう思うならさっさと助けて欲しいモノだネ」
「そこは自己責任で☆」
「君は本当にうざいネ」
そう言ってドーラーは仮面を取った。
ドーラーの素顔は右半分が黒髪、左半分が白髪の紫の三白眼が特徴の青年であった。
「素顔を晒すのは久し振りだね~(*´ω`*)ドーラー?」
「この仮面は息苦しいんだネ。少し集中したいから君はさっさと帰って欲しいネ」
「全く…一応、僕がプラネット・サーカスの筆頭だという事を忘れないでくれよ?」
「そう言う君こそ、ミーが死ねばプラネット・サーカスの戦力の大半を失う事になる事を忘れないでくれ」
ドーラーはプラネット・サーカスの戦力のいくつかに関わっている。
ドーラーはコピー体を造る能力があり、それにより、プラネット・サーカスの戦力増強に一役買っているのだ。
そのドーラーが死ぬと戦力の何割かを失う事になる。
「だから、そうならない事を祈ってるって言ってるじゃないか!( TДT)」
「なら助けて欲しいネ」
「これはゲームだ。ゲームは常に平等に事を運ばなければならない( ´,_ゝ`)」
「そうか、ならばせめてミーの邪魔だけはしないでくれよ?」
「勿論(^_^;)」
そう、これはゲームだ。
髏奇もようやく自分がプレイヤーとしてこのゲームに参加出来る事を少しだけ嬉しく思っていた。
髏奇は常に上から混沌を眺めるだけだった。
はっきり言って、今までならそれだけで十分楽しめた。
だが、いつからか、その混沌の世界に身を任せたいと髏奇は思う様になっていた。
見てるだけでは満足できない。そう、狂気に身を任せたいのだ。
「常に他人を見下し、笑い転げていた君にしては随分珍しい物言いじゃないかネ」
「気分だよ、気分。心というモノはいつだって気まぐれだ。君だってイライラしていると他の者に当たりたくなるだろ?逆に気分が良ければ他人に何かを恵んでやりたくなるだろう?それと同じさ(*´∀`)」
「いや、その理屈はおかしい」
「おかしく無いさ。だからこそ、僕はゲームを楽しみたいのさ(*´ω`*)」
髏奇はそう言って蒼とルミナスを思い浮かべた。
ー僕の可愛いオモチャ達…パレードで踊ってくれよ(笑)
「そんなに楽しそうな君、久し振りに見たネ。ならば、ミーも楽しもうかネ。君は胡散臭いしウザいしキ○ガイだけど…君が楽しそうにしている時は決まって楽しい事が起こるんだ」
「ねぇ?君は僕を褒めてるのかディスってるのかどっちなんだい?(^_^;)」
そう、髏奇が楽しそうにしている時は必ず楽しい事が起こるのだ。
何だかんだ言って、プラネット・サーカスは髏奇と似たような感性の者達が集まっている…という事だ。
「ミーもこの命の駆け引きを楽しもう。ミーが死ぬか、苗木一夜が死ぬか…勝負だネ」
ドーラーがそう言うと厳陣、黒宮、舞のコピー体は姿を消していた。
To be continued




