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私的哲学

依存心

作者: 羅志

これはあくまでも私のことであり、誰もが同じような依存心を持っているというわけではありません。

悪しからず。

私は親しくなった人に、極度に依存する癖があります。

それは、まるで独占欲にも似た、非常に醜いことこの上ない依存心です。


その人の人間関係を脅かすことを恐れて、それできちんと距離を取ろうとすることは

できます。

その人が別の人と仲良くしている様を見て、この交友関係の広さに憧れを抱くことは

いつものことです。


けれど、その人が私へ視線を、意識を一切向けてもらえなくなったら、と考えると、

血が凍るような感覚がします。

頭からサッと血の気が引いて、胃から何かがせり上がってくるような感覚がします。

スッと下がった体温に手が震えて、無意識に手が首へと伸びるのです。


そして、がり、と。数回、掻きます。

落ち着くまで、がり、がり、がり、がり、と。

赤く痕がつくのはいつものこと。

その引っ掻くことで生まれる痛みで、頭の中が落ち着くまで、それを繰り返します。


落ち着いた頃には、自己嫌悪で死にたくなってきます。

死んでしまいたい。

どうして自分なんて生き物が存在しているのでしょう。

消えてしまいたい。

なくなってしまいたい。

生まれてこなければ良かった。


こんな無様に生き恥晒すならば。

初めから存在などしなければよかったのに。



自分の異常な依存心は理解しています。

だから、上手く距離を取ろうと心がけます。

私は別に、相手の生活を脅かしたいわけじゃない。

ストーカーのように、付き纏って、相手を脅かしたいわけじゃない。

だから、適度に距離を取ろうとします。

けれど、私の中の琴線に触れてしまった人相手には、そうも行きません。

適度に距離を取ろうとすることが、とても難しくて。

極端な距離の取り方しか、できなくて。


だんだんと疎遠になっていって。

…ちがう、最初にそうしたのは自分の方。

自分から疎遠になっていったくせに、あとで、全てが離れてしまったあとに、苦しむ

のは私。

苦しみながら、相手の様子を遠目から見ている自分が、ストーカーじゃないなんて、

誰が言えるのでしょう。

例え相手に実害がないとしても、自分が相手を探していること。

自分が相手を見ようとしているのは、間違いない事実です。

害を及ぼすような、悪質でないものならばいい、なんてことはない。


距離を置いて、築いていた関係を壊したのは自分。

片付けて、なくしたのは相手。

きっかけは、どうあがいたって自分。


それでいて、相手を求めるなんて。

本当に、なんて自分は愚かしくて、虚しくて、馬鹿げていて、腐っていて、どうしよ

うもない。


なんて、だめな存在なんだろう。



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