表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/26

第4話 狂気の幼女趣味

※変態出現にご注意下さい。

※ロボット同士の戦いなので残酷なシーンではありません。


 歩いて、戦って、食べるのを見て、水浴びを見張って、寝顔を見ながら歩く。

 そんな感じの生活が、何日か続いた。

 一人で考え込むのは得意じゃないから、エールズと話をしたりもした。


 ちなみに、エールズの水浴びを見張るといっても。

 視界がサーモグラフィーで表示される、熱量計測モードでだ。

 草食系の俺に、裸体をそのまま見るなんて大胆な事はできない。

 というより、あまりに堂々と脱がれると、男扱いされていないのかと悲しくなってくる。


 夜から夜明けにかけては、エールズの寝顔を眺めて癒やされながら、彼女が寝る前に教えてくれた方角へとゆっくり歩く。


 言われたとおり、俺は少しも眠くない。

 頭もスッキリしているし。

 でも、ここで凹むのは簡単だ。


 むしろ生前の記憶を持ったまま転生させてもらえるだけ、有り難いじゃないか。

 未練を晴らす機会が、あるかもしれないんだから。

 俺の場合は存分に晴らせる。

 生前の俺は、何をやっても認められない中途半端な奴だったから。

 逆に前向きな考え方をしたい。




 そうして歩き続けてきた俺は今、森の近くで陣取る巨木型のレヴノイド達を倒している。

 森を荒らしている奴らを見付けたからだ。

 理由の無い環境破壊が、許されていい筈が無い。

 たっぷりお仕置きして、森の動物たちに謝ってもらおう。


 手前側の草原地帯には、既に三体の残骸が倒れている。


「気を付けて下さい! このガントゥレントは飛び道具も使ってきます!」

「森があるから、ビームだと被害が出るかな」

「何とか防いで――きゃ!?」


 背中に受ける衝撃。

 どうやら、ガントゥレントがしがみついてきているようだ。

 エールズ王女が舌を噛んだらどうしてくれるんだ。


 俺は振り向きざまに、裏拳を食らわせる。

 そのまま、ガントゥレントの鼻に指を突っ込む。


「あ、あの。勇者様、何を?」

「お仕置きしようと思って」


 ロケットパンチを飛ばし、空中でジタバタするガントゥレントにビームを当てる。

 あっという間に、ガントゥレントは消し炭になった。


「これなら自然環境は守られる」

「いいアイデアだと思います。でも、無理はしないで下さいね」


 残りが、両目から機関砲を放ってくる。

 この前のあのカラスみたいなのと比べると、少し大きめの弾を使っているようだ。

 カンカンカンッと、装甲に反射する音も大きい。

 俺は両腕をクロスしながら近付いて、うち一体を掴む。


「ぬんっ!」


 そして膝蹴り。

 くの字に折れ曲がったガントゥレントは、そのまま動きを止めた。

 爆発させると燃焼するかもしれないし、これも環境への配慮だ。

 俺が歩き回る事で森が荒れるのは……ちょっと心が痛むけど。

 野生動物のみんなは、しっかり逃げてくれるといいなあ。


 後はガントゥレントの残骸を盾にしながら、ロケットパンチを使って倒す。

 あっという間に、群れはスクラップになった。


「あ、見て下さい! 木々が薙ぎ倒されて、道が出来ています!」

「もしかして、何かがあの山を越えていったのかな」

「そうみたいですね」


「空を飛べたら、木々に被害が出なくて済むんだけど」

「少し、遠回りして行きましょう」

「そうだね」


 綺麗に薙ぎ倒された道が、真っ直ぐに続いている。

 俺はその獣道を辿って歩く。

 ズシン、ズシンと響き渡る足音。

 鳥たちが驚いて、飛び立っていく。

 うう、ごめんよ……推定30tくらいの巨体でごめんよ。

 いつかダイエットして、スリムになって、君達を優しく迎えてあげるからね……。

 きっと途方も無い努力が必要かもだけど、俺は頑張るよ。



「見えました! あれです!」


 緑色の丸っこい巨大ロボットが、ナタみたいなものを振り回している。

 その周囲を飛んでいるのは、オオワシだ。

 ……全長10mくらいの。


 でも大きさより気になる事がある。


「オオワシは生き物なんだ?」

「もしかして、エルフが使役しているのかもしれません」

「どういう事?」

「森の奥深くに住まうエルフ達は、聖鉄との共存を望みませんでした」


 望遠レンズを起動して、オオワシを見る。


「本当だ。エルフが乗ってる」


 一羽に付き一人のエルフがオオワシの背中に乗っていて、弓矢を構えている。

 俺は望遠レンズの視界を、コックピットの内部に表示する。


「防御魔法とかあるのかな?」

「あります。ただ、ネクロゴスが現れてからは、もはや気休めにも……」


 だとしたら、まずいな。

 機銃でも撃たれたら、あっという間に蜂の巣だ。

 そうはさせるか!

 俺はロケットパンチを放って、緑色のロボットに拳骨を喰らわせる。


「オカァアアアアアン!」


 緑色のロボットは、俺のほうに振り向く。

 よし、これで俺に注意が向いた!

 俺は外部音声を起動して、呼び掛ける。


「君達、離れてくれ! 今から、ビームを使う!」


 すると、オオワシが一羽、俺の所へと飛んでくる。

 エルフのお姉さんが乗っていた。


「あんた、聖鉄だろ? この里は、アタイ等でケリを付ける。すっこんでてくれ」


 そう言って、エルフのお姉さんは再び引き返していった。


「断られちゃいましたね……」

「うん」


 正直、凹む。

 取り付く島も無い言い方だったし。


 と思ったら、またさっきのオオワシとエルフが戻ってきた。


「悪い、撤回させてくれ。里の子供達が行方不明になった」

「俺はその子達を探せばいいのかい?」

「いや、アタイが探す。あんたに、あのデカブツを託す」

「わかった!」


 それなら、俺もやりやすい!


 緑色のロボットは、決めポーズみたいなのをし始める。

 それから、腰をカクカクと動かした。


「ハゲシークゼンゴォー……ンゴォー」


 激しく、前後?

 こいつは一体、何を目的としているレヴノイドなんだ?

 俺は目を凝らす。黒い帯が上下に現れ、名前が表示される。


“陵辱鬼兵・ペドフィローダー”


 君という奴は……!

 そういうのはアダルトゲームでやるべきだ!

 この世界にそんな物は無いかもしれない。

 性犯罪は俺が一番許せない犯罪の一つ!


「グフフフフゥ、ヨージョ……エルフゥ……リョージョクゥ……」


 う、うわあ。


「なんかきもちわるいことをつぶやいてます……!」

「慌てるな! 素数を数えて落ち着くんだ!」

「1……3……6?」

「6は素数じゃないから……」


 などとやりとりをしていると、ペドフィローダーがこっちを指差してきた。


「ヒーメェ……ネトラレェ! ナーカーノーヒートー!」


 駄目だこいつ! 早く何とかしないと!

 しかも、俺の中に王女が乗っている事を、何故か見抜いている節がある!

 ……やらせはしない、やらせはしないぞ!


 まずは目からビーム!

 けれど、ちっとも通用しない。

 なんだこのレヴノイド! バリアがあるのか!


 近くにエルフの里がある。

 ペドフィローダーに近付いてバルムンクを使うのは、あまりいい手じゃない。


 ……待てよ?

 こういう時こそ、アーティファクトとやらの出番なのかな?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ