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第14話 神出鬼没! ダークネスイントルーダー!

 例の虫を連想させる表現があります。

 苦手な方はご注意下さい。


 聖域が出来上がって、この辺りも安全地帯になった。

 人は、流石にいないかな?


「ごめんくださぁーい! どなたかいませんかー?」


 一応、訊いてみよう。

 いるかもしれない。


「お前さん、聖鉄じゃな?」


 足元から声だ!

 見下ろして確認すると、お爺さんが杖をついてやってきていた。

 周りにも何人か連れてきている。

 ここに住んでいた人達、だろうか。


「あ、はい……この辺りはもう安全ですよ」


 と答える。


「ふん。余計な事をしてくれおったわい」


 ……え?


「ちょ、ちょっと! 余計なことって何だよぅ!」

「そうですよっ、わたし達はここで暴れていたレヴノイドを倒したというのにっ!」


 中にいた二人もコックピットを開けて反論した。

 けれど、お爺さんは頑なに態度を変えなかった。


「それが余計な事じゃ。王国はいつだってそうだった。力で押し潰す事しか知らん。お前さん達もそうなんじゃろ?」

「ご、誤解ですっ!」

「仮にそうだったとして、おじいちゃん達を助けた事実は変わらないじゃん」


 全力の反論。

 ありがとう、と言いたいけれど……。


「ここはお爺さんの話をゆっくり聞かせてもらったほうがいいかも」

「は? なんで?」


 レキリアは首を傾げる。

 あからさまに不機嫌な顔をしているし、単純に理由がわからないというよりは「こんな奴の話なんて聞く意味ある?」的なニュアンスだろう。


「なんであんなクソジ――」

「――はい、そこまで」


 コツンとコックピットハッチの縁を叩いた。


「事情があるなら、俺達はそれを知る必要がある。それこそ、力で押し潰す奴と思われたりしないようにね」

「なるほどね」

「そういうわけですので、事情をお聞かせ願えますか? 何分、俺は目覚めてからそんなに長いほうではないので」


 屈み込んで、なるべく視線の高さを合わせようと頑張った。

 頑張ったけどやっぱり見おろしちゃう。

 あと、何かあったら困るからコックピットは閉じた。


「奴らは昔からそうじゃった。元々、この辺りは貧しい村での。防備が弱くて、よくモンスター共の標的にされておった」

「襲いやすいから、ですか」

「その通り。奪うものなど無いというのに、何度も仕掛けてきた。わしらは、それを何度も退けた。十匹を殺せば、一人が殺された……」


 大変だったんだな……。


「そんなある日、ミロントリス王国が聖鉄の部隊をここに派遣してきた。それを見ていたモンスター共が、大挙して押し寄せてきよった」

「どうしてですか? 普通のモンスターならば、大きなものを見れば怖がって近付かない筈」

「さあてのう……彼奴らからすれば、デカいの倒せば箔が付くとでも思ったのじゃろう」

「なんて傍迷惑な……」

「とにかく、合間を縫ってやってきたモンスター共は瞬く間に村へと侵入し、大混戦となった。

 最初、聖鉄部隊は手も足も出ないまま、蹂躙されるわしらを、ただ見ているしか無かった。じゃが……」


 エールズとレキリアは固唾を呑んで続きを待つ。

 俺もそうしたい所だけど、そもそも呑み込む生唾が無かった!


「過半数が殺された辺りで、ついに彼奴らは諦めた」

「撤退したのですか?」

「いや」

「では……」

「彼奴らは、わしらの村を焼き払った。当時の村で生き残ったのはわしを含めて三人程度。他は、同じく故郷を失った者達で集まったのじゃ。聖鉄を村に持たない者達でな」


 これは、キツいな……。


「何という事を……」


 エールズはすすり泣きながら、コックピットハッチを開けた。

 右手には、王家の証であるペンダントを持っていた。


「我が国の兵が残した咎は、王女のわたしが背負います……!」

「詫びなど要らぬ。さっさと消えてくれ。危機に陥ってから駆け付けるような愚図に、補償など求めるものか」


 そう言って、お爺さん達は退散し始めた。

 うーん、悪いことしちゃったかな……。

 とか考えていると、お爺さんが振り向いた。


「どうせそうやって聖鉄に乗っておるのじゃ。その分だと護衛もおらぬようじゃから、滅びたのだろう?」

「……はい」

「なら、当時ここに来ていた者共とて、生きてはおるまいて」


 駄目だ、呼び止めようにも、取り付く島もない。

 このまま、黙ってそっとしておくべきなのか!?

 わからない……。


 けれど、ただひとつ、今の俺にもできる事がある。

 エールズを慰めよう。


「エールズ。決して、背負い込まないでね。俺も、一緒に考えるから……」

「勇者様……」

「なーに二人して辛気臭い顔しちゃってるんだよ! あー、しっかし、ムカつく! あいつら、本当にムカつく!」


 逆にレキリアは、ちょっと反省しようね!

 思いきり顔と態度に出ていたからね!


「売り言葉に買い言葉じゃないけど、レキリアはもう少し大人の対応をしようね」

「はーい」


 まったくもう。

 ……とかやっていた時だった。



 カサカサカサカサ……。


 耳障りな音が聞こえてくる。



「とーう!!」


 突然、目の前からぬるりと何かが飛び出てきた。


「「「ぎゃーゴキブリぃいいいいい!!?」」」


 思わず叫んだ。

 辛うじて人型ロボットだけど、頭に長い触覚あるし!

 なんか黒光りしているし、お腹なんて、こう、節目が……!


「何を言うか! 拙者はダークネスイントルーダー・タフマシーンでござる!」


 どれどれ……。


“暗黒忍者・タフマシーン”


 忍者はイントルーダーと訳さないでしょう。

 どちらかというと“曲者”でしょう。


 というか!

 君みたいな忍者がいてたまるかっ!!


 くそ、慌てたせいでポーズ取るの忘れてた!

 必殺・なんかかっこいいポーズ!

 よーし!

 エネルギーゲイン倍加!


「だいたい、この辺りは聖域が出来て、レヴノイドは近寄れないんじゃなかったのか……」

「チッチッチ……甘いでござるなぁ~? 拙者は適合型! そこらの貧弱殺虫剤などでは、拙者は倒せぬ!」

「いま殺虫剤って言った!?」


 タマゴで世代交代でもしていたのかな……。

 巨大ロボットのくせに?


「やっぱりゴキブリじゃないか!」

「はて何のことやら。そも油蟲とて生きておる。人間どもは見た目に惑わされ無闇に殺生しすぎではござらぬか?」

「疫病も発生させる、れっきとした害虫ではありませんかっ」


 エールズが外部音声出力用のスピーカー機能を使って叫んだ。


「フッ、笑止! 綺麗さっぱり殺菌消毒した文明的食料品ばかり口にしているから胃は弱くなり、虫の脚すら満足に堪えられぬ! 拙者もう大爆笑でござるよイヒーイヒヒヒイヒヒヒヒヒヒィヒヒヒヒ!!」


 なんつー笑い方を!

 恐いよ!


「然らばこれにて閑話休題! シャシャシャ! 鈍間鈍行鈍亀は拙者に道を譲られよ!」


 飛んだ!

 思った以上に翅の動きが……。


「忍法・黒手裏剣!!」


 ひえぇ!

 よ、避けたぞ!

 バルムンクでカウンターだ!

 叩き潰してやる!


「忍法・隙間隠れの術!!」


 スライディング!?

 駄目だ、叩いて潰す作戦も中止!


「からの……とーう!!」

「ぎゃ!」


 タックル!?

 痛みはそんなに無いけど、懐に潜り込まれると結構“クる”ものがあるね……。


「もう相手をするのも疲れたでござろう? そろそろ良いではござらぬか。

 さもなくば次は飛んで張り付くくらいの事は拙者も考えるのでござるよ」

「ひ、ひえええ……」



 何か、何かいいものは無いか!?


 そういえばゴキブリは洗剤を掛けると呼吸器が塞がれて窒息死する。

 もしかして、タフマシーンにも効くのかな?



 洗剤的なやつは、流石に無かったな。

 駄目かな。

 あ、でも待てよ?


「レキリア。アーティファクトを即興で改造できる?」

「はい!? いくら天才のウチでも、戦闘中にアーティファクトのカスタマイズはリスキーすぎて……」

「それでもいい。あれを、放っておくわけには行かないよ」

「そうかなぁ~? どうなっても知らないからね」

「俺は信じる。天才レキリアの起死回生の一手を」

「……ちぇ。卑怯な殺し文句」


 頼んだよ、レキリア!



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