渡河
この物語には、チート主人公はいません。勇者も魔王もいません。人生に疲れた青年と風変わりな奥様による、人とそうじゃないものを交えた、日常の中のささやかなる幻想奇談をお楽しみください。
青年は自暴自棄でした。当て所なく遠方の田舎町までやって来て、寂れた住宅地で今まさに、行き倒れようかとしていたのです。ところが、彼は奇縁とめぐり会います。差し伸べられる手は、ほっそりとした百合のようだったそうです。
「此処にはよく、流れ着く方がいらっしゃいますもので」
青年は自暴自棄でした。当て所なく遠方の田舎町までやって来て、寂れた住宅地で今まさに、行き倒れようかとしていたのです。ところが、彼は奇縁とめぐり会います。差し伸べられる手は、ほっそりとした百合のようだったそうです。
「此処にはよく、流れ着く方がいらっしゃいますもので」