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今後の方針

「それで、どうしますか?」


ハットリ王の口切で両国王の会議は始まった。

しかし、現状況は問題点がとても多い。


①昼夜魔法大戦を信じている昼の国にとって、夜の国は敵であること。しかも、メルは魔王として王宮を占拠しているため、印象がすごく悪い。


②昼と夜の国が敵対していることはレオとエイクにとって好都合であること。このまま敵対していれば今回のように利用され身動きが取れない状況になりかねない。


③レオはカノンを狙っている。カノンの今後の処遇をどうするか。


④エイクは自身の体を取り返そうとしている。メル曰く安全とのことだが、エイクがどんな行動に出るか予想がつかない。


⑤2つの封印の警備の強化と壊された封印が修復できないかの研究。



「それで、どうなったんだ?」


会議が終わったメルたちにグリコはとても不機嫌な様子で尋ねる。


「グリコもみんなも顔が怖いよ〜。ジャスミンもみんなのことありがとね。」


「お褒めに預かり光栄です。」


ジャスミンは笑顔を浮かべて頭を下げる。しかし、カノン、グリコ、リンゴの顔は晴れない。


「なんで俺らは蚊帳の外なんだよ!会議なら参加させろよ!」


「そうですよ。私たちの今後のこともあるんですよね?ひどいじゃないですか!」


グリコとリンゴの抗議に対して、


「こういう会議は大人の役割だからね〜。」byメル


「子どもがいると話が進まない可能性がありますから。」byジッピー


「大人だ子どもだいうなら、なんでメルはよくて私たちはダメなのさ!」


カノンの言葉にジッピーとジャスミンは虚を衝かれたような顔になる。メルは目をそらすように視線をずらす。そして、ハットリがとどめを刺した。


「メル殿は俺よりもずっと年上っすよ。」


『え、えぇ〜〜!!』


衝撃で固まる3人に、1人笑い続けるメル。しばらく話は進まなかった。





「では、改めまして。」


ジッピーが会議の内容を要約して話す。


「①、②に関しては本当のことを昼の国、夜の国に告知して両国の関係性を築こうと思います。時間もかかると思いますし、反乱分子も出るとは思いますが、やっぱり嘘は良くないですからね。王家の醜聞どうこうも時効ですから大丈夫でしょう。」


「メルが王宮占拠しちゃったことは大丈夫なの?」


カノンの質問に対して、


「別に国民みんなが見てたわけじゃないし、王宮を守るために夜の国の王が応援に来たってことでいいんじゃないってことになった。」


やり過ぎた私が悪いんだけどねとメルが笑って説明する。


「③のカノン殿に関しては昼の国の監視の目が届くところにいてもらいます。最もたる候補は総合王立学校への入学ですね。あそこなら警備は厳重、教授たちも強いから簡単にはカノン殿に危害を加えさせはしません。それに、カノン殿自身にも強くなってもらいたいと思っています。」


拒否権はありませんよ。

最後の言葉がただでさえ臆病なカノンを震え上げさせる。


「カノン、死ぬなよ。」


「大丈夫!カノンなら何とかなるよ!」


友人2人は付いてくる気ないようだ。


「って、グリコもリンゴもひどい!一緒に来てくれないの!?」


「俺、シエロ師匠に付いてくつもりだから。ごめんよ。」


「私もオルビスに会いに行かなきゃならないから。カノン、頑張ってね!」


そういえばそんな話したっけなぁとカノンは肩を落とし思い出す。


「④に関してはエイクオン殿をよく知っているメル殿に一任することになりました。」


「本体を取り戻される心配は全くないと思うけど、他者の体を乗っ取る可能性もあるから昼の国も注意してね。」


メルの言葉にカノンたちは息を呑む。


「体を乗っ取るって?」


「エイクオンは今、精神生物サイコロイドの状態になってる。この状態だと他者への乗移りが可能になるの。リスクも伴うけどね。詳しくはラビエルのこと話すときに話すわ。」


それに関してはきっちり聞かせていただきたいですねとジッピーは呟く。


「最後の⑤に関してはどうなったのですか?」


会議に参加してないジャスミンが尋ねる。結界に関しては夜の国にとっても重要なことだ。


「これに関しては、現状どうしようもないといったところです。結界の作り方や原理は未解明、警備の強化に関してもメル殿で勝てない相手に軍が束になっても勝てないのではないかと…。」


確かにとみんなが沈黙する中、とんでもない提案が出てくる。


「結界に関わった人たちに会いに行けばいいじゃん。」


『えっ?!』


全員の視線がカノンに集まる。カノンは驚き身を硬くするが、続きを促されて話し出す。


「前にミネラミコーの結界に行ったとき、土の番人ヘルバに会って話聞いたの。まだ2つ結界が残っているなら、その番人に会えるんじゃないかな?」


「番人?それは何の話だ?」


「それは、私がお答えいたします。」


ハットリが質問をした時、突然応接間の扉が開かれる。

そこにはウィローと


「お母さん?!」


カノンの育て親ポプラが立っていた。


「突然の来訪お許しください。」


ウィローが一礼し入室する。続くように入ってきたポプラだが、堪え切れなくなったようにカノンの元へ走り出す。


「カノン!無事でよかった。」


「お母さん…どうしてここに?」


ポプラは体を離し、カノンを見つめる。


「実はね…

カノンに渡したアリアからの封筒、私が家から持ち出していた封筒と間違えて渡していたの。」


「えぇ!?」


ごめんねと謝るポプラと苦笑いしながら顔をそらすウィロー。カノンは驚きのあまり数秒固まっていた。


「ってことはあの地図はポプラさんの?!」


「そういえば、ヘルバさんの所でレッドホースの地図だって言っていたね。」


カノンの頭の中でグリコとリンゴの言葉が繰り返される。時々ポプラの"おっちょこちょいでごめんね"という言葉も聞こえてきた。

言葉が飲み込め、意識が戻ってきたカノンはポプラに渡された封筒に手をかける。


「お守りと…地図?」


グリコとリンゴも気になり中を覗き込む。丸い形の島の地図のようだ。島を囲むように等間隔で5つのマークが描かれ、島の中央には星マークが描かれている。左側上部には赤い三角が書いてあった。


「あっ!このマークヘルバさんの所にあったよ。」


リンゴがマークの1つを指差す。それは土を司るヘルバの所にあった紋章だった。


「ということはこれは封印に関わる地図なのだな。」


いつの間にか地図を覗き込んでいるハットリがいう。メルも残りのマークがそれぞれの封印のマークであることを告げた。


「しかし、この地図がどの場所を示しているのかわからないですね。」


いや、わかるかも


カノンは顔を上げ、初めにもらった地図を取り出す。


「最初にポプラにもらった地図にも封印の場所と星マークがついていた。今もらった方のは封印の場所とは別だけど、封印のマークの真ん中に星マークがあることは変わらない。ということは、世界地図にあるこの星マークの所に行けば、この地図の島にたどり着けると思うの。

どうかな、お母さん。」


ポプラは何も言わない。静かに微笑み返している。カノンはそれだけでわかっていた。あとは行動あるのみ。


「今から、ここに行ってくる!」


行ってきます!と駆け出すカノンをグリコとリンゴが抑える。


「待て待て、ここまでどれくらいかかると思ってんだ!落ち着けよ!」


「それにどうやって行くつもりなの?1人じゃ無茶だよ。」


だけど、行かなきゃとカノンは2人を振り切ろうとする。そんなカノンの手からヒョイっと地図が取り上げられた。


「この場所なら私の転移魔法で行けると思うよ。早ければ日帰り、遅くても一泊二日で戻って来られるんじゃない?」


「ちょっと、メル様!ここ抜け出せないんじゃなかったんですか!」


今度はメルがジャスミンに詰め寄られる。メルはジャスミンにあとは任せたと伝え、カノンたちに近づく。


「じゃ、行きますか。」


「えっ、ちょっと、今から?えっ!!」


話について行けないグリコとリンゴや主人を止めようとするジャスミンの希望を裏切るようにメルは呪文を唱える。


「"セーデム・ムーターレ"」


白い光はメルやカノンたちを飲み込み、一瞬で消える。


「行っちゃった…。メル様ー!!」


ジャスミンがメルの名前を呼んでも聞こえるはずもなく。

そこで、ウィローもあることに気づく。


「はっ!ポプラがいない!ポプラ?!」


辺りを見回すが、ポプラの姿が見えない。


「そういえば、光の中にポプラさんも入っていましたね。」


冷静なジッピーの言葉に久々の妹との再会だったのに…と弱り切った声で呟く。


「てか、これどうしろっていうんすか。」


「どうにか場を納めてください。王様でしょ?ハットリ様。」


「ちょっ、ジッピー冷たい!」


この場にいても仕方ないので、王宮はジャスミンに任せ、ハットリたちは正しい歴史の公開のため戻ることになった。

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