ゲームクリア
時間は少し戻り、王宮占拠宣言の数分前。カノンたちは1度立ち止まり作戦会議をしていた。
「だーかーらー!ここまで人がいないのは不自然だし、闇雲に動いても時間の無駄なんだって!」
「じゃあ、どうすんだよ!対策がないなら闇雲に動いても同じじゃねぇか!」
会議というより、喧嘩であるが…
「ほら、2人とも落ち着いて…。」
カノンが疲れ気味になだめるが、15分ほど前から話が全く進んでない。
すでにカノンの声も届いてない様子であった。
「はぁ…。お腹すいたし、クッキーでも食べてようかな…。リンゴとグリコも食べる?」
「「いらない!」」
息ぴったりに言われ、カノンは落ち込み気味にクッキーの袋を開ける。
「…わぁっ!」
勢い良く開けすぎてクッキーが地面に散らばる。
「全く…何してるのさ。手伝ってやるから早く拾うのさ。」
「うー、ありがとう。」
しょぼくれながらカノンはクッキーを拾い始める。すべて集め終わって、改めてリンゴとグリコに向き直る。
「手伝ってくれてありがとう。落としてないのあげる。はい。」
2人にクッキーを差し出すと横からありがとうなのさと手が伸びてそれを口に入れた。
「「えっ?!」」
3人の目はカノンの隣に注がれる。そこには白いショートカットの髪に白い耳を生やし、白く長い尻尾を振りながら美味しそうにクッキーを食べる女の子(?)がいた。
「美味しいのさ〜!」
「………」
「ありがとうなのさ〜!」
「………だれ?!」
やっとの事で声を出したカノンを少女はキョトンと見上げる。
「だれって、今君らと戦ってるシーキッズ様に決まっているのさ。」
「なんで、戦ってる相手のクッキー食べてんだよ!」
「はっ!匂いにつられてしまったのさ!逃げるのさ!」
しかし、シーキッズが逃げ出す前にその手はカノンに掴まれた。
「にゃにするのさ!」
「えーっと、どうすればいいんだっけ?」
「倒せ、カノン!」
「おっけ!」
カノンの足元にシーキッズの少女が倒れた時、辺りは白い靄に包まれていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うーん、ここは…?」
「早く起きるのさ。コイン渡さずに逃げようかと思ったのさ。」
カノンたちは目を覚ますとそこはシーキッズに頭を蹴られた現場だった。
「あっ、猫だ〜。」
「シーキッズなのさ!」
イライラと怒り気味の白い猫が声を荒げる。カノンがよしよしと撫でようとしたら爪で威嚇された。
「とにかく、コインもらおうぜ。てか、3人分持ってるのか?」
「当たり前なのさ。1匹につき、5人分までは持ってるのさ。」
そう言って、シーキッズは宙返りをすると白くしなやかな尻尾の先に3人分のコインが現れた。
「まったく、あんな方法で負けるにゃんて…。さっさと受け取るのさ。」
「わーい、ありがとう〜。」
まず、カノンが尻尾からコインを取り、次にグリコが手を伸ばしたその時…
「ニャニャ!」
シーキッズは驚きの顔を浮かべて1本の白い毛に姿を変えた。
「えっ、いやなに?どーゆーこと?」
「フラン様に何かあったみたいなのさ。王宮に…」
最後の力を振り絞って、白い毛に戻ったシーキッズが告げたようだ。
「王宮…?王宮に行けばいいのかな?」
「まぁ、それより、バッジ完成させてみないか?ひとつしかないけど。」
そうだねとカノンは銀バッジとコインを合わせる。
「えっ、まさか!!」
カノンの体が光に包まれる。
「転移魔法!カノン、俺らを置いてくなよ!」
グリコとリンゴが置いていかれまいとカノンに捕まったその瞬間、転移魔法は発動し、3人はその場から転移して行った。