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魔王の策略

視点は久々に魔王城へ移る。

王宮の執務室では高々と積まれた書類に囲まれ、作業するボブとメープルの姿があった。


「終わらなーい!魔王様のバカー!」


書類の山を崩さぬよう配慮しながらメープルは伸びをする。ボブも苦笑いしながら、一旦休憩だねと体を起こした。


「すごい量ですよね。魔王様、いつからお仕事してないんですか?」


さらに書類を持って執務室に来たジャスミンが尋ねる。盛大にため息をついて顔をそらすメープルの代わりにボブが答えた。


「仕事はしっかりしていたみたいだよ。大抵は急を要しないもの、官僚たちの愚痴をまとめたものだし。

ただ、所々に緊急依頼が入っていて、メモが残されているんだよ。」


そう言って、一枚の書類をジャスミンに見せる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

XXXX年XX日

最近地震が起きて地盤沈下が多発しています。このままでは危険なのでどうにかしてください。


依頼主:とある村の村長

依頼先:国


P.S.

地盤沈下の改善と今後地盤沈下が起きないように地盤を固めておきました。

その後どうなったのか確認お願いします!


魔王より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


書類に目を通したジャスミンは苦笑いして、書類をボブに返した。


「なに、この書類…。他にもこんな感じなやつあるんですか?」


そんなジャスミンの問いに2人とも目をそらす。

官僚たちの愚痴も多いが、基本的に魔王が残したメモの事後処理・事後の確認に人を出してしまっている。メープルたちは魔王様の仕掛けた罠にまんまとはまってしまったようだ。


「だからね、まだ魔王様捜索の人員を出せてないの。」


悔しそうな顔でメープルが言う。国の端から端まで馬を使っても5日かかる。


「今のところ一番古い書類で3年前だな。随分前から準備されてたみたいだ。」


ボブの言葉にメープルはまたため息をつく。書類整理を始めて2週間近く、ため息しかついてない。

そんな様子を見てジャスミンが提案を出した。


「私、行ってきましょうか?」


驚いた顔してメープルとボブはジャスミンを見る。


「魔王様探し、行ってきますよ。」


ジャスミンはもう一度言う。メープルは困ったような目をして聞いた。


「研究室の方は大丈夫なの?」


ジャスミンはこの国の魔法研究所長として研究所の管理を行っている。

魔法研究所は現在の魔法の分析や新しい魔法の発明を行うところだ。特にこの国では医療魔法が発展しているので、人の命に関わることが多く、国の最重要機関となっている。また、獣人化及び獣化の研究なども魔法研究所の管轄だ。


「大丈夫です!優秀な人たくさんいますから。」


だけど…とメープルはまだ渋る顔をする。魔王様がすぐに見つかる保証はないのだ。あまり長く魔法研究所のトップに離れられるのは…。


「そしたら、期限決めればいいんじゃないか?」


ボブが提案を出す。ボブが言うには一ヶ月なら休暇を出せるから、長期休暇という名目で行って来いとのことらしい。


「さすが軍師参謀官!頭いいね!」


メープルがほめると、魔王様の方が賢いけどねとボブはつぶやく。

メープルとボブはジャスミンの休暇届けを作成し、3日後には出立できるように取り計らうことになった。

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