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真実は…

ヘルバさんとかカエルラさんとか今回新登場したキャラはサークルメンバーのあだ名ではなく、新しく作りだしたキャラになります!


なんでって?だって、サークルメンバーの中にこの役が合いそうな人いなかったんだもん…。

 翌朝、朝食を摂りながら、リンゴが思い出したように言いだした。


「そういえば、カノンの持ってた地図の印、この辺りだったよね。」


 そうだっけとカノンはポフラからもらった地図を広げる。


「わぁ、世界地図だ〜!」


 セブンがカノンの肩越しに地図を覗き込む。ペンペンもカノンの右側から地図を見てミネラミコー辺りを指差した。


「このマーク、見たことある。」


 えっ!とみんなの注目がペンペンの指先に集まる。

 ×印それぞれのすぐ側に形の違うマークが描かれており、ミネラミコーの辺りには二重三角形で外側の一番上の頂点が無いマークだった。


「これ、地形か町を表した地図記号だと思ってた。」


 リンゴがペンペンの示すマークを見ながら言った。


「アニキ、ここに何かあるんですか?」


 クッパがグリコに尋ねる。カノンたちもわかっていることはほとんどないので、謎が隠された地図であることを伝えた。


「ねぇ、ペンペン。ここまで案内してもらうことってできる?」


 カノンがペンペンに聞くと、ペンペンは嬉しそうな顔で答えた。


「もちろんです!」




 カノンたち6人は一度山から出て、少し北に向かった。そこは昔使っていた鉱山の入り口らしく、大きめの洞窟になっていた。ペンペンを先頭に一行は洞窟の坑道を進んでいた。


「ずいぶん入り組んでるな。これ、迷わずに出られるのか?」


 周りを見渡しながらグリコが訊く。狭い道ではないので、2列で少し広がりながら歩いている。しかし、途中右に曲がったり、3つの分かれ道の真ん中を進んだりとペンペンは迷いなく進んでいるが、カノンたちは今どこを歩いているのかわからなくなっていた。


「ペンペン、まだー?」


 しびれを切らしてカノンが尋ねる。ペンペンは振り向き、笑顔でもう少しですと言った。

 そのまま、しばらく歩くと、突然ペンペンが歩みを止めた。


「着きました。ここです。」


 小さな泉があり、不思議と落ち着いた気分にさせてくれる場所だ。泉の前には小さな石碑があり、地図と同じマークが記されていた。


「古き友との盟約ここに刻まん。光の道歩む者、闇を導く者現れたる時、元祖の導師、手を差し伸べん。」


 石碑に書かれた文字をリンゴが読み上げる。


「えっ、これ読めるの!というか、これが文字だったの?リンゴ姉ちゃんすごい!」


 セブンが感嘆の声を上げる。クッパとペンペンも同じ気持ちのようだ。


「これ、普通にこの国の文字だよね?」


 クッパたちの様子にカノンは疑問を口にしてしまったが、すぐにしまったと口を塞ぐ。

 石碑に書かれていた文字は確かに普段使われている文字だが、王都から離れれば離れるほど読み書きできるものは少ない。さらに、子どもだけで盗賊までして暮らしていたのだ。クッパたちに読み書きを教える人は今までいなかったのだろう。


「ふむ、俺の世界とは文字が違うようだからな…。しかし、郷に入れば郷に従えというからな。この世界の文字も覚えるしかないのか…。」


 はいはいとカノンはクッパの言葉を軽く流す。もっとも、石碑の文字が読めたところで何の意味もわからないのだが。


「カノンお姉ちゃん。かばん光ってるよ。」


 ペンペンがカノンの裾を引っ張り、かばんを指差した。カノンは慌ててかばんの中を見ると、ポプラからもらった地図のマークのひとつが光を帯びていた。


「あっ、石碑が!…泉も?!」


 石碑の近くにいたリンゴが驚き数歩下がる。地図と石碑のマークが呼応するように光り、泉の輝きの中に1人の影が現れた。


「懐かしい光。その地図は…レッドホースの子どもたち?」


 金髪の長い髪が泉まで伸び、淡い水色のドレスをまとった神秘的な女性は眠たそうな顔で欠伸をする。


「えっ?誰?何?…えっ、水の上に人が立ってる?!」


 混乱した思考回路の中グリコが言葉を発する。


「レッドホース…。私を育ててくれたお母さんはレッドホース家の長女だって言ってたよ。お姉さん、誰?この地図は一体…。」


 カノンがゆっくりと泉の上の女性に話しかける。それだけで理解できたのか女性が話し始める。


「私はヘルバ・ユウェンス。この世界の封印の土の印を司る番人よ。さて、何から聞きたい?」


 カノンたちは顔を見合わせる。何から聞いたらいいんだろうか。カノンたちもわからないので、とりあえず名前を名乗り、ここに来た経緯を話すことにした。

 拙い言葉でとても長い説明になってしまったが、ヘルバはじっと耳を傾けてくれていた。




「要約するとカノンちゃんが生まれた時の予言が原因で今まで暮らしていた村を出て、自分が襲われる理由の手掛かり探しのためにここに来たと。そして、この地図については特に何も教えてもらえず、謎を解いたら強い武器が手に入るって言われたのね。」


 ざっくりだが、そんな感じだ。ヘルバは随分と渋い顔をするので、カノンは心配になりどうしたのか聞いてみた。


「予言については私にもわからないから手助けできないんだけど、この地図については正しく教えておかなきゃならないわね。」


 ヘルバの言葉に子どもたちは首を傾げる。


「この地図はね、この世界を2つに分けるための封印を示したものなの。この5つの印で五芒星を描き、中央の印のところから封印を発動する。その封印によってこの世界を昼と夜に分けたのよ。」


 ここまで聞いてグリコが疑問を投げる。


「じゃあ、この地図は何のためのものなんだ?封印が完成したならこの場所を示す必要はないし、逆に印の一か所でも壊されたら封印が崩れるんじゃないのか?」


 ヘルバはうんうんと頷き答える。


「さすがにひとつ壊されたくらいで封印は解けないけど、全部壊されたら結界が壊れちゃうだろうね。だけど、私たちの力にも限度があるんだ。結界が脆くなった時にお供え物もらったり、力を分けてもらったりして今まで保ってきたんだよ。

 最近は誰も来てなかったから平和だったんだろうね。そのお供え物を持ってきたりという役目を担っていたのが、当時の五大守護家。レッドホース家もそのひとつだよ。」


 カノン、リンゴ、グリコは顔を見合わせる。最近、魔物が増えて活発になってきている。これを平和と言うのだろうか?


「そのお供え物とかって持ってくるのは誰でもいいの?」


 ペンペンが聞く。しかし、答えはなんとなくわかっていた。


「うーん、私たちがここに姿を見せるためには守護家が持っている地図が必要なの。受け取るためにも姿を見せなきゃ受け取れないから誰でもってわけにはいかないわね。」


 レッドホース家の地図はポプラが持っていた。そして、ポプラは15年間家を飛び出していた。この地図でヘルバたちに会うのは無理があるだろう。もしかして、最近魔物達が活発化したのは守護家に当たる家が管理していなかったから?


「守護家のひとつが機能しなかったからといって封印が脆くなることはないよ。封印の5つは繋がっているから私たちは日々中でワイワイやってるし、他のメンバーの力を分けてもらうこともできるから。」


 まるで心を読んだかのような答えにカノンはドキッとする。


「なんでわかったの?」


 そんなカノンの質問にグリコが顔に出てるからだよと答える。そんな様子を微笑ましく見ながらヘルバは言葉を繋げた。


「だけど、最近はどの封印も外からの接触がないの。おかげでみんな弱ってきちゃって…。最後に外から接触があったのは15年前でカエルラのところが最後ね。」


 カエルラというのは水の封印を司る番人らしい。しかし、契約があるとかでこれ以上のことは言えないとヘルバは言った。


「ねぇ、その結界が壊れたらどうなるの?」


 わからないことも多い中、セブンが聞く。ちょっと難しい顔しながらヘルバは答えた。


「人や世界だけでなく昼の魔力と夜の魔力も結界で分けているの。その2つを合わせることでとても大きな力になってしまうことがわかったから。そして、それを悪用しようとする人がいたからはっきり分けようということになったのよ。

 分けていたはずの力が再び合わさったら何が起こるか、私にもわからないわ。」


 このヘルバの言葉にリンゴは疑問を持つ。


「あれ?結界は昼夜魔法大戦があったからって学んだけど、そうじゃないの?」


 この質問にはヘルバも驚く。


「昼夜魔法大戦って何?」


 リンゴが以前、カノンに教えたような説明で話す。



 昼夜魔法大戦

 昔、この世界が2つに分かれる前の話。今よりももっと魔法を使える人が多く、人々はそれぞれ得意分野の魔法で支えあって生きていた。

 この時の王様に双子の王子が生まれた。兄は自然元素を操ることが得意で、弟は医学系の魔法が得意だった。それぞれ支え合い、王である父とともに国を守っていた。

 数年が経ち、2人のうちどちらかが王になる時がやってきた。どちらの王子も優秀だったのでどちらを王にするかで臣下や国民が2つに分かれてしまった。

 兄を支持する軍と弟を支持する軍に分かれ、内戦が始まった。

 弟は持っていた医学系の魔法を応用し、兵の強化や兄軍の弱体化を計った。それがきっかけになり兄と弟は仲違いをして戦争は激化してしまった。

 その戦いに終止符を打ったのは兄王子の許嫁セリーヌ・メントスだった。彼女はとても大きな魔力を持った女性であった。その魔力を全て使い、命を賭して世界の真ん中に結界を作り上げたのだ。

 こうして、昼夜魔法大戦は終わり、世界は平和を迎えた。昼の世界は兄王子が夜の世界は弟王子が治めるようになった。



「大筋だけなのですが、こんな感じです。」


 クッパたちも聞いたことのない話だったようでとても真剣に聞いていた。

 話を聞き終わったヘルバがうーんと唸る。


「私の知ってる話と随分違うなぁ。私の知ってる話はね…。」


 ドドドドドドドドッ


 ヘルバが話し始めようとした時、カノンたちの足元が大きく揺れ始めた。


「な、何!!地震??」


 天井から大きな岩も落ちてくる。涙を浮かべて怯えるペンペンとセブンをリンゴが守るように抱き寄せる。


「くっ、ここは俺に任せて、みんな外へ!」


 クッパがかっこよく前に出るが、どうやって外に出よう。

 揺れは大きく、カノンとグリコが危ない落石を剣で弾きみんなを守っているが、入り口が塞がってしまう。


「みんな!こっちに集まって!」


 ヘルバが泉の近くにみんなを呼び集めた。そのまま、ヘルバはリンゴの肩に手を置きみんなに言った。


「リンゴちゃん、ちょっと力借りるわね。」


 ヘルバが詠唱を始めるとカノンたちの足元に魔法陣が浮かび上がる。


「もしかしたら、誰かが結界を壊そうとしているのかも…。結界ができた本当の理由を知りなさい。世界を護って…。」


 ヘルバの言葉を聞き終わる前に周りが白い光に包まれる。


 "セーデム・ムーターレ"


 視界が開けた時、カノンたちは大きな町の門の前にいた。

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