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クリスマスディ【X’mas Day】

作者: 喜多 幸

百合以外も書けるんだぞ!

ってことで、お楽しみ下さいm(_ _)m

 さて、俺達の日常がこうして日の目を見たことをまず感謝しよう。だが、作者の事だ……恐らく更新は亀のように(のろ)く、また気まぐれで、インスピレーションがどうだとか言って書かないかもしれないし、書くかもしれない。ソレは、俺こと周防(すおう) 優希斗(ゆきと)にも分かりかねる事をまずは記載して置こう。

 まぁ、ぶっちゃけ俺自身や人物の設定は作者ではなく、絵師の方なのだがな。


 題名通り、この話しは、クリスマスの日に起こったことである。俺と俺の親友と言って良い瀬野(せの) 翔太(しょうた)と彼、翔太の幼馴染にして親友でもある木崎(きざき) 志保(しほ)と俺の双子の姉でもあり、志保さんの恐らく親友と言っていい周防 優佳理(ゆかり)の四人が主な登場人物で(つづ)る、青春恋愛ラブコメディーである。……多分。

 ふぅ~、何だか一人語りってしんどいな……面倒になってきた。そろそろ、本題に入れという読者の声が聞こえてきそうなので、本題に入っていこうと思う。



 世間では十二月二十五日といえば、クリスマスムード一色だが、俺の通う男子高校では終業式という事もあり、有難くも教師陣から大量の宿題がだされたので、前半にさっさと片付けるに限る。と、親友の翔太といつもより早く徒歩で帰宅することにした。

 夏休みにも教師陣から有難くも、大量の宿題が出されていたのだが翔太と遊びまくって宿題が手着かずで残り、夏休みの残り一週間は酷い目に合わされた。俺は、姉から翔太は幼馴染から鬼スケジュールを組まれ、なんとか宿題と休み明けのテストを乗り切ったのであった。

 あの地獄は、一度味わえば十分(じゅうぶん)なので翔太と俺とで冬休みは、前半に終わらせて後は、なんの(うれ)いもなく遊び倒す! と、事前に打ち合わせた結果、我が家で泊りがけで宿題を片付ける事になった。


「にしても、この量はヤバくね? 夏とほぼ遜色(そんしょく)ないじゃんかよ!」

 学校からの帰り道、翔太と二人で今さっきだされた宿題について語りながらの家路である。

「あぁ、そうだな。ヒナちゃん先生が『諸君、喜べ! 一足早いサンタさんからのプレゼントだぞv』と、極上の笑顔を浮かべた時は、ヒナちゃん先生のポケットマネーでケーキでもあたるのかと思ったが……甘かったな」

 担任の女性教師であるヒナちゃん先生こと、水木(みずき) 比奈(ひな)先生。自称永遠の二十五歳と言っていたけど……恐らく、三十五歳くらいであろう美人(自称)担任による今学期最後のホームルームを思い出していると翔太が突然ニヤニヤしている事に気付いた。うわっ! キショイわ! と、内心で突っ込みをいれて実際には少し言い回しをやわらかくして、翔太に話しかける。

「何、突然ニヤニヤしてんだよ! 危ない人に見られたいのか? この変態が! 俺まで危ない人に見られたらどうしてくれる」

 と、まくし立てると翔太が真顔に戻りニヤニヤしていた原因を語ってきた。

「いやぁ~、HP(ホームルーム)でのヒナちゃん先生の格好を思い出していたらつい……テヘペロ」

 うわっ! 親友がテヘペロとか言っちゃってるよ! 怖い! 怖い! と、内心でかなり引いている素振りを見せずにヒナちゃん先生の格好を思い返してみる。

「あ~、そういえばサンタのコスプレしてたな」

 教室に入ってくる時には、白いコートを着ているから、何事かと思ったが、教室に入るなりコートを脱ぐとクラスメイト達のテンションが凄い上がった。何故ならサンタのコスプレをしていたからである。そのサンタコスを見た、一部の男子生徒達は一斉にガラケーとスマホを構えて写真を撮っていたっけ……まぁ、ヒナちゃん先生にデータ消されたみたいだけど。空手、柔道、剣道の三つの分野で有段者並みの実力者で実家が合気(あいき)柔術の道場というまさに、武人と呼ぶに相応しいヒナちゃん先生にいくら若い力を持て余している高校生の男子達が群がろうが、所詮は素人……勝てるわけがない。

 まぁ、美人かどうかはともかく、それなりに整った顔立ちをしているし、アメと(むち)の使い分けがいいのか物凄く人気のある先生ではあるんだよなぁ。と、内心でごちっていると翔太がまたニヤニヤと思い出し笑いをしている。

「そう! サンタコスのヒナちゃん先生、めっちゃ可愛いかったなぁ……悔やまれるのは、写真に残せなかったことだな! 高値がついただろうに……チッ」

 たいした悔しそうな口ぶりでもないので冗談だと受け取る。それに、写真は無くは無いんだよなぁ……

 通知表を見たら、俺がクラスで一位だったからなのか先ほど、ヒナちゃん先生から一件の写真付きメール(写メ)を受信しスマホを操作すると、件名:ご褒美とありメールを見たら、サンタコスのヒナちゃん先生が自分撮りした写真と『クラス一位、おめでとう! 次も頑張るように』との一文を有難くも頂戴したのである。だが、ソレを見せびらかせるほどの度胸などない。つか、敵しか作らない事は想像に難くないので、このメールは、画像だけSDカードに保存してメールの方は破棄した。

「まぁ、確かに可愛かったけど、教師の写真を売り買いするのは如何(いかが)なものかな? 翔太(しょうた)君」

 と、もっともらしい事を言ってこの話題を切り上げる方向に翔太を誘導する。

「ほほぉ、優希斗(ゆきと)にしては素直じゃないか! まぁ……な、確かに個人的に楽しむのであれば、ただの変態ですむモンも売り買いとなると犯罪になるのか? うん、よくないな! 俺が、悪かった。と素直に謝罪しようじゃないか、優希斗君」

 こんな感じの冗談の言い合いは日常茶飯事なのだが、そろそろ話題を宿題に戻す。

「ふむ、俺はいつも素直だと思うが……まぁいいか! で、だ。宿題の件だが……」

 そんな感じの俺に対して翔太は、別な話題を被せてきた。

「そういえば、今日って優佳理(ゆかり)さん家に居るのか?」

 明らかに目の前の事から逃げているのは、明白な事実なのだがあえて見過ごしその話題に乗る。

「はぁ? 姉貴か? どうだろうなぁ……朝、何か言っていたような気もするが……」

 うーん、と(うな)る俺の肩に翔太が右手をポンと乗せてきて、同情の眼差しで言ってくる。

「優希斗、お前その年でもう痴呆(ちほう)が始まったのか……ドンマイ! 例え、お前が俺を忘れようとも俺達の友情は無くなりはしないぜ!」

 良い笑顔だな! この野郎! それに、クサイ台詞まで言いやがりやがって! と、内心でごちり翔太の手を払いながら突っ込みを入れる。

「阿呆かっ! 誰が、痴呆か! 俺は、朝は弱いんだよ! それに、何クサイ台詞言ってんだよ!」

 俺の突っ込みを受けて、あ~、なるほどと納得した顔になった翔太が返答を返す。

「ふ~ん、低血圧なのか! それはご愁傷様(しゅうしょうさま)

 と、言った後に尚も続けてクサイ台詞を続けてくる。

「クサイ台詞? 何言ってんだよ! 俺とお前の友情の前に一つとして、恥じることなどない!」

 あ~、クソ! 完全に翔太のペースだ。まぁ、こんな阿呆な会話も楽しいんだがそろそろ、我が家も近いことだし話しを本筋に戻さないとな。と、内心で決意し翔太に話しかける。

「ふむ、そうか! ならば我友よ、そろそろ現実を見ようぜ! 目の前の問題を棚上げにするような奴は、俺の知る翔太じゃねぇよ! 目を覚ませ!」

 右手で翔太の左肩に手をかけて、俺の方に向かせ左手を翔太の右肩に乗せて、軽く前後にふりながら戻って来いというと、翔太が思いもよらない返しをしてきた。

「や、やめろよ! まだ日が高いし、レディ達が見ているだろう?」

 などと、言って照れる素振りを見せる。よりにもよって、ご近所の中学生達にその光景を目撃され、ヒソヒソとこちらを伺いながら、何かを(ささや)きあっている。

 チッ! は、(はか)りやがったな!? 翔太たたたたたぁぁぁぁ~~~~~!!!!と、(ぼう)アニメの名台詞をアレンジした言葉を内心でごちり、翔太の両肩から手を下ろし、早足で自宅に向かう。

 俺の態度の急変を察知(さっち)した翔太が、焦りながら俺の後を追いながらよく通る声で呼びかかけてきた。

「優希斗さ~~ん! マジ、悪ふざけがすぎました! 許して下さいぃ~」

 無言で早足で歩く俺の耳に、先ほどの中学生達の会話が届いてきた。

「あ、なんだぁ~。違うのか! 残念」

「ねぇ~! あの二人ならアリだよねv」

「二人とも、リアルの人でそういうの想像するのどーかと思うよ」

「「えー、想像するくらいいいじゃん! 」」

「まぁ……ね。 あっ! 所でさぁ~……」

 ふむ、どうやら誤解は解けたようだな。内心でごちり、尚も俺に謝罪を述べてくる翔太。

「あ~、ほら! 中学生達の誤解も解けたんだし、許してくださいよ~。優希斗さまぁ~~」

 足を止めて、背後を見やると翔太の焦り顔が一瞬でパッ! と笑顔になる。

 ここで、用意しておいた台詞を笑顔で翔太に伝える。

「精々、頑張って一人で宿題を片付けてくれたまえ! 翔太君」

 グッ! と親指だけを立てるポーズをとり、締めとして一言。

「グットラック!」

 そして、再び歩き出そうと前を向くと、翔太が情けない声ですがり付いてきた。

「優希斗ぉ~、見捨てないでくれよぉ~! 俺、マジでヤバイんだからさぁ~」

 知るか! 俺の責任じゃねーよ! と内心でごちり、まとわりつく翔太を引き()がす。

「ええい! 鬱陶(うっとう)しい! は・な・れ・ろ!」

 そんな、俺の態度の俺の台詞に間髪(かんぱつ)いれずに翔太が返答を返す。

「い・や・だ! 宿題を教えてくれるというまで、離れるか!」

 あ~、面倒だ! ウザイ! どうしたらコイツ離れるかな? そっか、宿題を教えればいいのか……

 ソレすら面倒になってきた。

「あ~、わかったから! 取り合えず一回離れろ!」

 以外にも素直に翔太は従った。

 取り合えず、うざく(まと)わり着いてくる人間が離れてくれたので、精神が安定してくる。

「優希斗さん!」

 あ? 何が「さん」なのか分からんが翔太が続けてくる。

「俺に宿題を教えてください。お願いします!」

 うーん、まぁ当初の目的からは、ずれていないし先ほどまでの過程を水に流す。なんてことは勿論(むろん)できないので、何か罰ゲームでもさせるか。と内心で今後の方針をある程度固める。

「よし! いいだろう。教えてやるよ!」

 その言葉を聞くと、笑顔が全開になる翔太に条件を伝える。

「ただし! 姉貴もしくは俺か、誰かが買出しを頼んだら、嫌がらず二つ返事で引き受けること! この条件を飲むのであれば」

 俺が、最後まで台詞を言い終わらないうちに翔太は即答してきた。

「その条件飲んだ! ドンときやがれ!」

 男らしい翔太の発言を受け、翔太に宿題を教える事になったが実際問題として翔太はやれば出来る子なのだが、エンジンがかかるまでに時間がかかるタイプなのである。対して俺は、コツコツと真面目に積み上げていくタイプである。結構考え方なり感性が違うのだが、なんだかんだでウマが合うのである。


 良く、ニュースなので閑静(かんせい)な住宅地という言葉を聞くだろうけど、俺の家もそんな、閑静な住宅地と呼ばれる一角にある。この辺りは、約二十年前に宅地造成が行われたため、立ち並ぶ家の(おもむき)がどことなく似た雰囲気を(かも)し出している。

 我が家は、二階建ての家に庭と駐車場を完備した家である。カーポートに親父の車と母親の自転車が無いことから察するに両親共に不在であるらしい。

 問題は、姉貴だが……帰宅していない事を願うしかないだろうなぁ。

 翔太は俺の双子の姉貴が苦手らしいけど、こうして(うち)に遊びにはくる不思議なヤツなのである。

 まぁ、その原因となる人物が居なければ何も問題は無いのだが……果たして。

 玄関の錠を開けて、家の中に向かって帰宅を告げる。

「ただいま~」

「おじゃましまーす」

 俺の帰宅の言葉に続き、翔太が来訪の挨拶をするが誰も出てくる気配がない。靴を確認すると、姉貴以外にもう一人誰か居るようである。

「あぁ、先に俺の部屋言っててくれ。飲み物とお菓子もって行くから」

「おう! おかまいなく~」

 俺の言葉を受けて、階段のある場所まで二人で向かう。

 玄関から真っ直ぐ進み突き当たりがトイレで、右側に階段、左側に居間に続く扉がある。

 先に廊下を歩いていた俺の耳が、居間からの声を(とら)える。

 どうやら、姉貴は帰宅していて居間で友達と遊んでいるらしかった。以前、無言で扉を開けたらすごい剣幕(けんまく)で怒られて以来このようなシチュエーションになった場合は必ず、中に向かって声を掛けて了承(りょうしょう)されるまで扉の前で待つようにしているので、今回もちゃんと声を掛ける。

「姉貴! 中に入ってもいいか?」

 俺の呼びかけに返答が返る。

「あ~、優希斗か! いいよ~」

 外開きの扉を開けると、我目を疑う光景がソコにはあった。

 俺の動きが扉を開けたまま固まっているのに気付いた翔太が声を掛けてきた。

「はぁ!? お~い、優希斗! 何があったん……」

 翔太が俺に近づきながら声を掛けてきたが、俺が絶句している光景を翔太も見て言葉が途切れる。

 俺達の視線の先には、二人のサンタのコスプレをした女の子が二人も居たのである。


 挿絵(By みてみん)


 ニヤニヤと悪戯ぽい笑みを浮かべる姉貴に対して、もう一人は照れくさそうにしてあんまりこちらに顔を見せようとしていないが、確か姉貴の友人で名前は……

 キザキ……木崎 志保(しほ)だったと名前を思い出す事でどうにか意識を覚醒するのに成功した俺がとった行動は、再び扉を閉めるというモノだった。

「あっ! ちょっと! 優希斗! 何そのリアクション! 開けなさいよ!! こんなに可愛い女子のサンタコスが堂々と見られるのに何、逃げの一手を選択しとるか!」

 などと、理不尽な台詞が扉越しに届いた。

 うーん、どうやら錯覚ではなかったようである。

 翔太の方を見やると、まだ(ほう)けている。

「翔太、起きろや!」

 両手は扉を閉めるのに塞がっているので、脚で翔太を軽く蹴ると我に返った翔太と目があった。

「なぁ、優希斗」

 真顔の翔太に呼ばれ、扉を挟んだ攻防にも注意しつつ会話をする。

「あぁ? なんだよ?」

「俺、夢でも見たのかな? 優佳理(ゆかり)さん以外にも、俺のよく知っている人物までもが、サンタコスプレしてたんだけど」

 翔太の疑問は、もっともである。あの志保さんがコスプレとかしてるワケがないのである。故に、コレは夢であると言えよう。と内心で思いながら返答を返す。

「俺も、姉貴ならやりかねないとは思ったけど、まさか志保さんまでコスプレしてるとか! ありえないよな」

 という、男同士の会話が扉の向こう側にも届く。

「うわっ! あんた達、ちょっと酷いんじゃない? 志保さんだっておしゃれしたっていいじゃない! それに、このコスプレにはちゃんと理由があるんだから……って、ソレ今朝、優希斗に教えたじゃない!」

 姉貴の思わぬ言葉による反撃で、確かに言い方が悪かったと思ったので、声を張り気味に返答を返す。

「いやいや、志保さん! 貴女のコスプレがあまりに可愛くて見蕩(みと)れていました。普段、絶対しないような格好をしていたので、気持ちがついてきませんでした! すいません。で、今朝の話しだと? 何か言われた様な気もするが、俺が低血圧なの知ってて朝一に重大なコトを言う姉貴もどうかしてると思うぞ!」

 我ながらよくもまぁ、とっさに言い訳がでるものである。いや、実際の志保さんは可愛いというよりカッコイイ系女子なのだが、サンタコスの魔力なのか殺人的に可愛いかったのは、事実であると(しる)しておこう! 正直……眼福でした。はい。と内心で思っていると姉貴の怒りの熱が更に燃え上がった。

「優希斗! アンタ、言うにことをかいてアタシの志保を『可愛い』ですって? ふふふ……お姉ちゃんとお話しようか?」

 あっ! やべぇ~!! 怒りが沸点付近になると姉貴は逆に冷静になり黒い微笑みを浮かべながら、とんでもないお仕置きをしてくるのである。内心は恐怖心でガクブルって感じでこのままいけば負けも時間の問題かと思われた時、俺達、姉弟(きょうだい)に置いてけぼりをくらわせていたそれぞれの友人から、同じ言葉で突っ込みが入ることで事態は収束したのである。


「「姉弟喧嘩するんなら、他所でやれ!!」」


 冷静になった、俺達姉弟は居間に正座させられ、友人二人から質問攻めに合うことになる。

「で、今朝なんって優佳理(ゆかり)さんが言ってたかは、優希斗は覚えてないんだな?」

 翔太がどうやら、そこら辺りに問題があると判断したらしく、俺に質問というか確認をして来た。

「あぁ、そうだ。何か言われた様な気はするんだが……低血圧で丁度パソコン風に言えば起動シークエンス中だったから曖昧(あいまい)だけどだな!」

「優希斗、今はそんな例え話はどうでもいいだろ?」

 俺が折角(せっかく)、わかりやすく説明しようとしたことをばっさり切り捨てる、翔太。

 はい、すいません。と内心で謝罪する。だって口に出せば……「謝罪が聞きたいんじゃないだ」とか、真顔で言ってきそうなんだもん。

「じゃ、優佳理は何であたし達がコスプレする事になったのか、優希斗君に教える時なんでわざわ、朝を選んだのかな? 別に夕食の時でも良かったよね?」

 にこりっと笑顔な志保さんが、笑顔を微動だにさせずに姉貴に詰問(きつもん)する。うん、質問でも確認でもなく、詰問と呼ぶに相応しいくらいに怒りの感情を笑顔で(ふた)をしているのが分かるだけに、怖すぎる。志保さんって実は怖い人だったのか! と素直な感想を抱く。そういえば、翔太から聞いた志保さん像よりも三倍ましくらいに怖い。俺には優しい人だったのに……必要とあらば、いくらでも怖くなるぞ~。と翔太の証言が実証されている! 女子って怖ぇ~。

「夕食の時は~、今日志保さんとイチャイチャする事しか考えてなかったんだもん! 言い忘れてることあるなぁ~って思いながら寝て、優希斗の顔を見たら思い出したから、また忘れても困るし……その時に言っただけだもん」

 何か、すげーことをさらっと言ってるぞ。姉貴! まぁ、スルーしておこう! うん。深く(えぐ)ると色々面倒なことになりそうだ。

「あっ! ちなみに志保っち、そのコスプレって何でしてるの?」

 翔太が志保さんにコスプレの理由を聞くと、少し照れた顔をする志保さん。それよりも、『シホっち』だと?あんまり姉貴の前で志保さんに()()れしくしてると後が怖いぞ、翔太! と念を送るが勿論、届くはずも無い。

「あぁ、コレ? どうせ、(しょう)ちゃんは、似合わないとか思ってるんでしょ? アタシだって好きで着てるワケじゃないんだから! コレは、学校の課外授業の一環で親が居ない子供達の施設にサンタの格好をしてお菓子を配るっていうモノで、毎年ウチの学校から各クラス二名が選ばれるんだよ。服が可愛いから人気あるんだよ」

 あ~、なるほど。それで、今年は姉貴と志保さんが選ばれたと! 似合ってない? とんでもない! めっちゃ可愛いですってば! と内心で思いながら動向を見守る。

「いや、似合ってるよ。正直、可愛すぎて誰かわからなくなるくらい動揺したし、見蕩れた」

 はい、天然ジゴロ発言来ました! 翔太は普段、女性を褒めることをしない分、たまに褒めるからこそ、惚れられるのである。

「あ、ありがとう」

「「チッ!」」

 惚気(のろけ)を見せ付けられて、思わず舌打ちをすると()しくも姉貴と(かぶ)った。

「ほい! じゃ、誤解も解けたことだしこの辺でいいじゃね?」

 翔太が、志保さんに確認をとる。

「そうね。二人共、仲がいいのはいいけど、あんまり喧嘩しないでね?」

 にっこりと笑顔を浮かべながら言われる。今度の笑顔は黒いものがない天使の微笑みだった。

 どうでもいいけど、スグには動けそうにないな。二人して正座から足を崩したのだが、座りぱなしでいると、志保さんと翔太が疑問を口にする。

「二人ともどうしたの?」

「どうしたんだ? 早く勉強しようぜ!」

 いやいや、自分達が()いた種とはいえコレはちょっと……

「「足が(しび)れて、動けません」」

 また、しても姉弟で台詞が被る。

 外は薄暗くなり始めているので、動けない俺達に代わり志保さんと翔太が居間のカーテンを閉めてくれる。

「お! 雪だ」

「あぁ、本当だ」

 早く動きたくて、足をマッサージしながら窓を見やる。

 今年は、ホワイトクリスマスですか……なんともムードのあるクリスマスである。


「ただいま~、アラ? 志保ちゃんだけじゃなく翔太君も来たの! いっらしゃい」

 母親が帰ってきた。

「今日は、お母さん頑張るからね! 量が量だからみんな夕食の準備手伝ってね~」


「「「「はい!」」」」

 全員で、元気よく返事をして夕食の準備に取り掛かった。



メリークリスマス

ちゃんとクリスマス物になっているか、不安です。

お読み頂きありがとうございました。

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