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口裂けの魔女  作者: 昼行燈
袖口の火事
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序の口

 2年生秋学期。

すでに受験を考えなくてはならない時期になっていた。

進路、志望大学、偏差値、古文…。

みんなが口にする話題のはこんなところだ。

かくいう僕もその話題はいつも頭の片隅にあったのだが、今は別の事を考えている。

 『口裂け女』こと、空也聖くうやひじりさんの事が気になっている。

きっかけは、そう『来週』の月曜日の夜、この校庭での出来事だった。

それ以来、いやそれ以前から、よくわからないが彼女の事が気になってしまう。


 彼女は本当に口が裂けているわけではない。

この異名は彼女の姿からきている。

身長は約170センチ、黒の長髪、後ろから見ればモデル並みの容姿だと思う。

いつも感情を読むことができないジトっとした目をしているのが特徴的であり、さらに表情が読み取りにくくなるマスクである。

彼女がマスクをはずした姿を誰も見たことがない。

水泳の授業でさえもマスクをしているその姿には、もはや脱帽である。

彼女はいつもボソボソと小声で何か言っているが、それでも不思議なことに彼女の周りには人が集まってしまう。

 彼女の主なコミュニケーション方法は筆談であるが、普段は滅多に使わない。

彼女の周囲にいる人間は、あたかも彼女の思うままに動いているような気がする…。

その独特の言い知れぬ雰囲気のせいか、彼女は『姫』とも呼ばれている。


 しかしどういうことなのだろう。

確かに経験したことが実感としてあるがそれは未来の話で、経験だけが未来からきたような…。

いわゆる既視感デジャブは、その場面になってはじめて感じるものだから、僕の感じているものとは違う。


 この僕の確かな感覚は、過去に経験した未来の感覚なのだ…。



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