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死んだらやってみたい10のコト

死んだらやってみたい10のコト ②女子高に潜入する

作者: 黒やま

やっとこさ二つ目の願いに突入です。

さて犬猿の仲の二人は今回の願い事で

どこまで距離を縮められるのでしょうか。

おきて・・・・・・・おきて・・・・・・・・・・

誰かの呼ぶ声がする、誰だ、俺を呼ぶのは。

眠たいなか無理に目を開け僅かな視界に飛び込んできたのは

白い衣を纏い背中に羽根を生やした金髪碧眼の少女であった。

「起きなさい。」

「あれ、おかしいな。天使のお迎えか。俺もしかして死んだのかな。」

「もしかしなくとも死んでるわよ。」

「うぉ!てっ天使!!」

ガバッと飛び起きると外見とは裏腹な性格の天使が

真横で眉間にしわを寄せて腕を組んでいた。

「私のことは天使ちゃんとお呼びって言ったでしょーが。」

「て、天使・・・ちゃん。あれって、夢じゃなかったんだ。」

「残念ね夢オチだったらどんなによかったか。

 もしそうだったら私だってあんたみたいなアホのところ

 来ないでせいせいしたんだけど。」

そうだった、俺丸山(まるやま)圭祐(けいすけ)はある日突然事故に遭ってしまい

悲しいことに即死亡、そしたら天使だとかいう口の悪い少女に

天国に連れてかれてこのままTHE ENDかと思ったら

天使からの提案でやり残したこと10個叶えたら大人しく成仏するという条件で

しばらくこの現世に居残ることになったのだ。

で、現在は高層ビルの屋上を根城としている。

「天使のくせに言葉が乱暴すぎるだろ・・・。」

外見は天使、中身は性悪でもれっきとした天使から容赦なくゲンコツを喰らわされた。

「いてっ!!」

「だから天使ちゃん言ってるだろうが!」

「す、すいません。」  

死してもなお痛みを感じるのは不思議だと感じ同時にある疑問も生じた。

「で、はやいところ2つ目の願いを叶えちゃいましょう。

 私だって天界に早く帰りたいし。」

「お、おう。というか天使ちゃん俺寝てた?」

「何言ってんの。今さっきまで寝てたじゃない。」

「うん、だからさ死人も寝るんだなぁって思って。」

「まぁ寝るということは体を休めるってことだから

 普通ならあんたには必要ないんだけどここは天国じゃないからねぇ。」

「天国だと皆寝ないのか?」

「そうよ、そこで魂は今までの人生の苦痛や疲労を取り除き

 いつしか全ての汚れが拭えたら転生してまた現世に戻るって仕組み。」

「へぇ~。」

「で、その循環をよくするために私たち天使がいるの。

 現世に転生するの渋ったりあなたみたいに天国行くこと拒んだりする人が

 たまにいるのよね。それを説得させるのが仕事。

 普段は神の身の回りの世話したり天国と現世の人数調整したり

 いろいろあるんだけどね。メインはこっち。

 世の中上手くまわってるのは私たち天使のおかげってわけ。

 ね、よくできてるでしょう。」

「まぁ、確かに。」

「こっちの仕事はなかなか難易度高いから任せてもらえる機会なんて

 ほとんどないんだから。それが何が悲しくて二度目のビッグチャンスが

 あんたみたいなろくでもない奴の担当になったんだか。」

「なっ何だよ!俺だって性悪天使なんかに迎えに来てほしくなかった。」

「はぁ!?もういっぺん言ってみぃ!!」

「性悪って言ったんだよ。ついでに口も悪い。」

「ふん、そんなこと言ってたら願い叶えないわよ。」

「う・・・、くっそぉ。」

俺の悔しそうな顔を見て天使は勝利の笑みを浮かべた。

こいつは性悪天使ならぬ極悪天使だった。


「で、願いは決まってる?」

「おう。これもかなり前からやってみたかったことなんだ。」

「女子更衣室覗くとかじゃないでしょうね。」

「そんな不埒なこと俺が考えるわけないだろ。」

「女風呂覗いたやつがよくそんなこと言えるわね。」

出逢った当初から感じていたけれど俺と天使の相性は最悪である。

「で何なのよ、そのお願いは。」

「ふっふっふっ、聞いて驚くんじゃないぞ。それはっ!女子高に潜入する!!」

「しばくぞ、コラァ。」

笑顔で真逆のことを言う天使にビンタをくらわされて

左頬に赤い手形がはっきりとついてしまった。

「だって約束したじゃないか。天使ちゃん。

 俺の願い叶えてくれるんだろう。」

「また好からぬことを考えているでしょ。」

「そんなことない、俺は純粋に女子だらけの花園に興味があるだけだよ。」

「純粋ならそもそもそんなことは考えない。

 それにこんな可愛らしい天使がエッチなお願い聞けるわけないの。」

「自分で可愛いって言うか・・・。」

「何よ、どう見てもこの穢れた地上に舞い降りた天使じゃない。」

「最後の天使ってとこだけ合ってるな。見た目だけだけど。」

「あんたなんて〇描いて点々つけたような顔してるくせに。」

俺を散々罵倒して暴力を働いて最終的には俺の邪な願いを聞き入れてくれた。

「それでだな、天使ちゃん。もう一回確認しときたいんだが。」

「何。」

「俺、天使ちゃん以外に視えてないんだよな。」

「だって死んでるんだし、他の天使か生きている人間でよほど霊力がある

 現世で言う霊媒師ぐらいにしか視えないわよ。で、それがどうしたの。」

「俺は女子高に行って可愛らしい女の子と戯れたいわけよ。

 それを実現するためには俺の姿が相手に視えるようにしてほしいんだ。」

「あんたはわがままねぇ。あんたみたいなのは若い女がキャピキャピしてるの

 近くで眺めさせるだけでも十分もったいないの。」

天使は頑として認めてくれない。

しかしここで引き下がったら男が廃る。

「なんだよ・・・。あ、もしかして出来ないわけ。」

「私は出来ないからしないって言ってるんじゃないの。」

「ふ~ん天使ちゃんはそんなことも出来ないんだ。

 なんだ、天使っていう割には案外大したことないんだな。」

「でっ出来るわよ!こんなのチャッチャッっと出来ちゃうんだから。

 だけど何でもかんでもあんたの言うこと聞いて力なんて使えるものですか。」

なかなか天使は手強い。

だから俺は涙を誘う作戦に出た。

「そうだよな、ごめん天使ちゃん。俺、天涯孤独で高校行ったことなくて・・・。

 だからどういうところかちょっと気になったんだ。

 同世代の子と生活するってどんな感じかするのかってね。」

「え・・・。」

「いいんだ、気にしないでくれ。無茶なお願いした俺が悪いんだから。」

「・・・分かった。じゃあここに立ちなさい。」

「いいの?」

「いいわよ!そんな話聞かされて何もしないなんて神の使者として恥ずかしい。」

俺は天使への勝利と女子高校生と触れ合えるという歓喜でいっぱいだ。

天使に言われた通り灰色のコンクリートの上に足の裏をしっかりつけその時を待つ。

すると天使は俺の額に自分の人差し指をチョンとタッチした。

「ほい、完了。」

「え?もう終わり?」

俺自身特に何か変わったところは見当たらなかったし感じなかった。

「これで人間と変わりなくなったの。何よその顔は。

 天使ちゃんの力が信じられないっていうの。」

「いやいや、天使ちゃんに間違いはないよな。」

また天使の怒りに触れるのは嫌なので屋上の隅まで歩いていって柵にそっと手を置いた。

柵の感触は普段なんとも思わず触れていた冷たい鉄の感触で

その手触りが今ではとても懐かしかった。

「触れる・・・。」

「でしょ。天使ちゃんの力を思い知ったか。」

「うん!すごく思い知った!ありがとう、天使ちゃん!!」

嬉しくて俺はギュッと天使の両手を握るとまた鼻を高くして

おおいばりするかと思いきや意外な反応を見せた。

「な、何よ。これくらいで喜ぶなんて。」

天使は真珠のような真っ白い頬を真っ赤なりんごのように染め焦っているようだった。

「だってすっげー嬉しいし。」

「いっいいから離しなさい!ほら学校行くんでしょ。」

「おう!」

そんなこんなで俺と天使は都内にあるとある女子高の門前に、

ではなく女子高の校庭の隅に生えている緑豊かな木々の中に

ひっそりと息を潜めて隠れていた。

「で、どうしてこうなってるの。」

「どうもこうもいきなり見知らぬ男が女子高に堂々と入ってみろ。

 不審者として通報されて楽しい女子高ライフをエンジョイする前に

 お縄を頂戴されちまうぜ。」

「ふ~ん、人間って大変ね。じゃあどうするの。」

「そこらへんはぬかりない。季節は初夏、ちょうど教育実習生が来る時期だ!

 だから教育実習生になりすませば万事オッケーってことさ。」

「そんなに上手くいくのかしら。」

「成せば成る、成さねば成らぬ何事もって諺があるんだよ。」

「はいはい。もう面倒だから学校全体にあんたが教育実習生の丸山圭佑だっていう暗示をかける。

 これで普通に校門から入れるわよ。」

「さすが天使ちゃん、話分かる~。」

天使は溜息を吐きだすと人差し指を突出し宙で円を描くような仕草をした。

そして今度は俺の方に向け胸に指を押し付けた。

すると今まで死んだ時の服装のジャージのままだった俺の服が

たちまち新品のスーツへと様変わりした。

「はい、これでいけ。」

感心したのも束の間、俺はいきなり天使に強く押され

バランスを崩し頭から垂直に落っこちた。

「いってー!!ったく何するんだよ、あの暴力天使が・・・。」

ズキズキ後頭部が痛む頭を押さえ真上を向くと

先程までいたのに天使は姿を消していた。

「あのー、丸山先生?こんなところで何してらっしゃるんですか。」

「へ?先生??」

背後から声をかけられしかも先生なんて呼ばれたから

驚いて振り向くと女子高生二人組が心配そうに俺を覗き込んでいた。

「先生?頭でも打ったんですか。」

今この学校の中では俺は教育実習生ということなのだから

先生と呼ばれても不思議ではない。

「あ・・あぁ、そう。木から落ちて頭打っちゃって。」

「まぁ、大丈夫ですか。今すぐ医務室行きましょう。」

そういうと片方が俺の腕を掴みもう片方が俺の鞄――いつの間にか用意されてた――を

持ち言われるがままに医務室へ連れてかれた。

「丸山先生ったら何で木登りなんてことしてたんですか。」

「えっとぉ・・・小鳥が巣から落ちてて元に戻そうとしたらこんなことに。」

俺は至極漫画チックでありえなさそうなことを述べて訝しがられないか

心配であったが彼女たちは納得したようでそれを聞いて笑っていた。

「もう先生って案外おちゃめなんですね。」

「先生可愛い。」

くぅぅ~、これだ!俺は心の中でガッツポーズをとった。

うら若き乙女たちとの和やかな談笑、これこそ俺が夢見てきたことだ。

「いやぁ、先生困っているのは人であろうとなんだろうと

 見過ごせない性質なんだよ~。」

「またまた先生ったら。」

だが彼女たちとの楽しい会話も医務室に着いたと同時に終了し、

二人は教室へと行ってしまったので侘しくなった。

だがこれから可愛い女の子たちとのアバンチュールが待っていると思えば

今の時間なんて光の速さに感じられた。

「でも保健医の先生いないしな、寝てるか。」

俺は一番近くのベッドのカーテンを開け寝ようとベッドの淵に足をかけたところで

そこに誰か横たわっているのに気付いた。

ベッドの上には一人の女子生徒がこちらを見ている。

「うわぁ!!ごっごめん。」

女の子を寝込みを襲いに来たと勘違いされては困るので急いで謝ったが

彼女は何も言わずただ笑顔でこちらを見ている。

「あのー・・・。」

俺が困り顔に対し女子生徒はますます笑顔だ。

しばらくしても黙ったままで俺が困惑しているとやっと彼女が声を出した。

「いい気味。」

「え?」

「あんたのその慌てた顔に困った顔見れて大満足。」

開口一番にいい気味という意味不明な言葉をかけられ

あんた呼ばわりするその態度に俺はM気質ではないので腹が立った。

「何だ、いきなり。俺は教育実習生で君より年上だぞ。」

「へぇー実習生なんだぁ。本当なのかぁ。」

一瞬ドキリとしたが学校(ココ)は天使のかけた暗示で俺は教育実習生なのに間違いない。

「ほっ本当さ。」

「本当に間抜けだなぁ。」

相も変わらず彼女は暴言を吐く。

「まだ気づかないの?」

そう楽しげに俺の顔を覗く女子生徒の暴言で俺はある人物が浮かんで・・・、

というかある人物しか瞬時に出てこなかった。

「天使ちゃん!?」

「ご名答。」

だが目の前の女子生徒はセミロングのストレートの髪に健康的な肌の色をしている。

「けど、黒髪だし目も黒いし。顔立ちだって全然違うじゃんか。」

ほかにもそこにいる少女は容姿だけでなく背丈さえ天使と異なっており

どこからどう見ても日本人そのものであった。

「あんたバカ?こんな平凡な学校に私みたいな金髪美少女が来てみなさい。

 大事件になるわよ。だから現世の本に載ってた女の子を模写したの。」

「ツッコみたいところもあるけど確かにこの姿の方がしっくりくるよな。・・・にしても。」

ベッドの上で胡坐をかく姿はどう見ても迷える魂を天界に導く者には見えない。

「でも天使ちゃんまで人間の姿になる必要ないんじゃないの。」

「あんた一人じゃ心細いだろうからそばで見守ってあげよう

 という天使ちゃんの慈悲深い心が分からないのかしら。」

上から目線で物を言うので全然有難みがなかった。

「あ~サンキュで~す・・・。」

「何よ、もう少し感謝してもらってもいいはずなのに。」

「とても有難く思っています、感謝してもしきれません。」

「なんか棒読みだけど・・・、まぁいいか。

 んでこんなところで何するの?」

「頭打ったって言ったら女の子たちがここに連れてきてくれたけど

 保健医の先生も誰もいないしとりあえず寝よっかなって思い

 今に至る・・・ってもうこんな時間!?やべっ、ホームルーム始まる!」

天使と会話しているうちに予鈴が鳴り慌てて医務室を出ると

廊下をダッシュする、が途中まで走ったところで俺はパタリと足を止めた。

「ぶっ!!ちょっといきなり止まらないでよ!」

急に立ち止まったせいで天使は俺の背中にモロぶつかり

鼻を手で押さえ少し涙目のままどついてきた。

「悪い、ところで俺は一体どこの教室へ行けばいいのかな。」

「んなもん、テキトーに入ればいいのよ。暗示はバッチシかかってるんだから

 みんな臨機応変にやってくれるって。」

「そ・・そんなものなのか。」

「つべこべ言わずにさっさと入る!」

「わぁ!!」

またしても俺は天使に背中を押されというか強打され

間近にあった教室へ飛び込むような形になってしまった。

痛いものを見るような数々の視線を全身で浴び

おそるおそる頭を上げ壇上から女子生徒の顔を眺める。

訝しげな表情をしている子がほとんどだが明らか嫌悪している子、

好奇の目で見つめている子それぞれ表情は十人十色であった。

「どっドアで躓いちゃって・・・」

何とかこの状況を脱会しようとまたもや苦し紛れの言い訳を述べる。

一瞬真が空きさすがに今回はキツいかと思ったら

いっせいに笑い声が教室いっぱいにひろがっていった。

「あはは・・・はは・・・。」

「はは、全く君は愉快だね。じゃあ出欠確認頼むよ。」

「あっ、はい!」

なんとかさっきのことは流せ、担任教師から出欠確認を促されたので名簿を開く。

これからドキドキ女だらけの園でモテモテプランを実行していくんだと

俺は意気揚々と笑顔でクラス全体を見渡した。

するとパチンとどこからともなくシャボン玉が弾けたような音がした。

それと同時に今まで笑顔だった女子生徒の顔がみるみる怪訝な表情に変わっていく。

「えっとぉ・・・じゃあ名前呼んだら返事してくださーい・・・・・」

尻つぼみになる俺の言葉を聞いて横にいた担任教師が俺に向かって

警察の事情聴取さながらの口調で聞いてきた。

「君、一体誰だね。」

「え・・俺はここの教育実習生で・・・。」

「何を言っているんだ。そんなのいないはずだ。」

「えっ!?」

いきなりの教師からの言葉に俺はパニック状態に陥ったところで

肩を突かれ振り返るとそこには見慣れた天使の姿があった。

「天使ちゃんどういうことだよ。」

「なんかね~暗示の範囲が広すぎたみたいで途中で解けちゃった。」

天使は悪びれることなくあっさりと言う。

「えっ!?じゃあ今・・・。」

「見知らぬ不審者が女子高の教壇に立っているってところだね。」

つまり最悪の状況というわけである。

「どうしてくれるんだよ!!」

「てへぺろ。」

「そんなので誤魔化されるかっ!!」

「君!天使ちゃんだのなんだの一体何なんだね。警察を呼ぶよ!」

皆には視えないため俺は一人で喚いているイカれた奴に映ったようだ。

「いっいえ決して怪しい者では御座いません!

 どうか、どうか警察だけはご勘弁を!!」

そう言うとますます怪しく見えるもので教師は携帯からすでに

警察へダイヤルしはじめている。

これではお先真っ暗どうしようか慌てふためいていると

天使がニヤニヤと笑っているのが目についた。

「おい、どうにかしてくれよ。」

「どうにかしてあげられないこともないけど。」

「もったいぶらないでお願いします、天使様!」

「どうしようかなー。」

俺が焦れば焦るほど天使は楽しげだ。

「じゃあこれから天使ちゃんに刃向かわないって誓える?」

「誓います!ぜってー守ります!!」

「ならよろしい。」

天使の人差し指が再び俺の額に触れると人々の表情は

一変し辺りを見回している。

それも当然のはずだ、何せ目の前にいた不審者が急に消えたのだから。

「はぁー危なかった。全く酷い目に遭うとこだった。」

長い廊下を進みながら安全確認しやっと落ち着いて息がつけた。

結局のところ俺は女子高へは潜入できたが女子との楽しい会話が

わずかにできたという収穫しかなかった。

「でも少しでも楽しめたなら2つ目の願い事も無事叶えられたということで

 よかったね。これもそれも全部天使ちゃんの偉大なるお力のおかげなんだから。」

「そうだな、これもそれもあれもどれも天使ちゃんのせいだな。」

「さっきの約束忘れたのかなぁ。」

「うぅ・・・これならあのお涙ちょうだい作戦も無駄になっちまった・・。」

「はっ!?ってことはあれ全部嘘なの!?天涯孤独やらなんやらって。」

「あっはは~。」

「ムキー!!私のあの時の同情返しなさいよ!」

「う~ん、でも高校行ってないってのは本当。」

「え・・・。」

「色々事情があってさ、まっ今日は楽しかった。ありがとうな。」

「・・・・・・。」

ずっと天使が黙っているのでせっかく願いを叶えたのに

俺は後味が悪いような気がしてさっき言ったことを少し後悔した。

「天使ちゃん黙らないでよ、そんな風にされたら俺可哀想な人じゃん。」

ちょっと笑い交じりに言うとやっと天使は口を開いた。

「うっさい、実際可哀想なんだから!もう早く帰るよ、圭佑。」

「あ・・・うん!」

憎まれ口を叩きながらも魅せる天使の優しさに俺はこの時気付いた。

むちゃくちゃ悪態をつけられたが憎めないこの羽を生やした少女に

初めて名前を呼ばれ俺はハイテンションで巣としているビルの屋上に帰った。

そんなこんなで俺が無事成仏するまで残り8コ。

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