王子との関係、弟との関係 ④
ノゼルドを助けようと決意した次の日、俺は早速行動に移した。まず、過去のお金などの書類や決算などの書類、お金の行き来の書類などを保管している、税務部門に顔を出した。
優しく対応して、すぐに用意してくれた。1人じゃなくて数人が急いで用意している様に俺の低い背の目線からでも中の様子が分かった。少し申し訳ないな、と思ってしまった。
「よし、これで全部かな。用意してくれてありがとうね」
「いえ、これぐらいなんて事ありませんよ。それにしてもユイリア殿下、一体これをどうなさるのですか?」
「うーん、、、、ちょっとした、お助け、かな」
「?、そうなの、ですか」
用意して貰ったのは、離宮に支給している資金が記載されてる書類だ。こう言う時王族って便利だなって思えた。すぐに用意して貰ったし、俺はそれを全部魔法で収納して自分の部屋に戻る。
少しだけ、足取りが軽くなっている気がする。それは、助けられる、って言う事が出来る自己満足の現れだと感じる。でも、まだまだ序盤に過ぎない。
「、、、、うーん、真っ黒過ぎるなぁ」
〈?、、、、???、神様、分かります?〉
〈嘘でしょ、ユイリア。分かんないの?、、、、分かんないの???〉
〈嘘で言ってると思います???〉
〈嘘でしょ!!?!?〉
「そこうるさいですよ」
部屋に戻って俺はすぐに、書類を確認した。が、真っ黒過ぎた。事前にお父様から確認したノゼルドに渡すお金は月日本円で言うと100万円、だけど此処には経った10万円。
多い方なのかもしれないが、少な過ぎる。だって生活費と食費も10万円に含まれているのだ。多分残りの90万はメイド長が横領した、んだと思う。
今思えば、メーリンさんとメイルゥの2人、異様に痩せてた。自分達の食費を減るして、ノゼルドに食べさせてた。それでも、お金が足りないって事だよね。
一瞬、餓死したノゼルドが頭の中に浮かんで、悔しくて思わず書類を握りしめてしまった。慌てて、元通りにする。それを見て、神様が優しい声で同意してくれた。
〈優衣、、、、確かに許せない。ただ、これだけだったらメイド長がやったって証拠はないよね?〉
「うん、、ただ気になる事があるんだよなぁ、俺」
〈何が??私には他に気になる事なかったけど〉
「ここ、、、、定期的に、治療費って出てる。と言ってもポーションなんだけど、、、、おかしくない?」
月に多くて5回、少なくて2回ほど、ポーションを一気に買っている日がある。それも値段的にそれなりに高い効能のポーションだって分かる。
と言う事は、ノゼルドか、メーリンさん、メイルゥの誰かが重傷を負ったって事だ。でもそんな情報、知らないし王宮に届いてない。それも月に何回も購入する必要があるって事は怪我を何回もしてるって事だ。
それで導く答えはただ1つだ。
〈確かに何でだ?ノゼルドって俺から見たらそんなに走り回ったり怪我するタイプっぽくないけど〉
「うん。それはそうだし、他の2人もそんなキャラじゃない。だとしたら、1つしかない」
〈その1つって?〉
「誰かに傷つけられて、それを隠蔽してる奴がいる。まぁ、メイド長だと思うけど、ここまで行くと」
〈〈!!〉〉
〈何それ、意味分かんない。じゃあ、もしかしたらノゼルドも傷付けられてるって事?〉
「うん、ユイリア、俺はそう思ってる。それに、この世界の事を考えれば、そのルートの方が正常だよ。ね?神様」
〈、、、、うん、優衣の言う通りだ〉
俺の視線付きの言葉に、間を開けて悔しそうな表情を浮かべながら頷いて同意する神様。
そう、この【恋する乙女達(♂)のハッピーエンド】の舞台設定上、暴力って言うのは普通に出てる。その上で、メイド達からの扱いを考えれば、その答えに行き着く、って寸法だ。
考えたく無い、がそうなってしまう。部屋の空気が重くなるのが感じるし耳もイカ耳になる。猫科だな。
俺はそっと立ち上がって、資料を持って部屋を出る。
〈優衣、何処に行くの?〉
「ちょっとした、、、、ユイリアの大きな味方、の所かな」
〈〈???〉〉
そう言うと俺は広い廊下を歩いて、最初に向かった人物は、濃い茶髪に碧眼、そしてタレ目のツリ目で、マヨネーズ顔?で目元にホクロがあるイケメン!そう、ユイリアの兄である、
「アルビー兄様、お時間ありますか?」
「!、ユイリア!、僕に会いに来てくれたのかい?時間はあるよ、何かな?」
「はい、兄様にご用があって」
そう俺とユイリアの兄でありこの国、ウェルフンド皇国第3皇子王位継承権第2位アルビー・モナーキーである。
俺がアルビーの執務室に入って来て声をかけた瞬間、先ほどまで真剣そのものだったのに目の色を変えて、椅子から立ち上がって俺に近づき俺と同じ目の高さにしゃがみ込み、要件を聞く。
これをたった30秒以内に行った事に俺は心の中で驚きが隠せない。流石、作中トップとも呼ばれるぐらい仕事が早い男。
まぁでも此処からは俺も本領発揮と行くけどね。
「えっとね。この前、ノゼルドに会ったんだ」
「ノゼルドに?それは良かったな、元気そうだったか?」
「、、、、」
「ユイリア?何かあったのか?」
「実は、、、、ノゼルド、痩せてたの。とっても」
「痩せてた?」
「うん、それにね、ノゼルド、、、、わたしに会った時謝ったの。わたし、何かしたのかなって不安になっちゃって(顔を俯かせる)」
「、、、、謝られたか。、、、、(察知して頭を撫でる)大丈夫だよ。ユイリアは何もしてない。でも、確かに気になるな、痩せてるのは」
「うん。だからね、わたしね、これ用意して貰ったんだ。税務部門のみんなに」
「これは、、、、」
俺は7歳の体には少し大きめの鞄に入れていたあの書類を頑張って取り出してアルビーに手渡す。アルビーは何の書類かすぐに気づいて真剣な表情で、中身を確認し始めた。
そして此処までの俺のセリフは全部演技です。言ってる事は本当だけど、まぁ簡単にいや、7歳児がペラペラ難しい言葉とか言ったら奇妙だろ、って話だ。
その様子を見ていたユイリアと神様は何故か俺を見る目がおかしい。引いてるって言うか恐ろしいものを見る目と言うか。
〈恐ろしい。私でもあんな演技は出来ない〉
〈ユイリアは嘘なんて付けないもんね。ただ、言い方が悪いだけ〉
〈優衣は恐ろしい子だよ。何を食べたらあんな事が出来るんだ〉
「(うるさい。これぐらい普通だから)」
だって、病気の治療で苦しいって言えないし、それ誤魔化すのに両親とか友達とか後輩に嘘ついてたら自然と演技が上達しただけだし。
確認をしているアルビーを横目に俺は心の中で言うと、何故か苦しみ始めたユイリアと神様は放っておいた。
そして、全部確認し終わったアルビーは顔色を悪くして、下唇を噛み少しイラつきを出し始めた。到底10代がして良い表情ではない。ため息をついて俺の方を見つめて出来るだけ優しい表情で問いかける。
「ユイリア、他に何かノゼルドの事で気になる事とかある??」
「、、、、あのね、信じれないと、思うんだけどね」
「何でも言って、俺はユイリアの言う事信じるから。教えて欲しい」
「うん、、、、ノゼルドにね、アッシュから渡されたノゼルドの誕生日プレゼント渡しに行った時にね、メイド長がノゼルドを叱ってたの」
「!(険しい顔つき)、、、、それは本当?」
「うん。だからね、もしかしたらメイド長が、お金を減らしてるのかな、って」
「、、、、可能性としてはあるかもしれないな。よし、作戦会議を立てようか」
「!うん!だからね、その、他の兄様達も呼んでも良い?」
「、、、、良いよ。ノーシュ兄ィはともかくユノルドは部屋から出てくるかなぁ」
「大丈夫!わたし、説得する!」
「そうか。分かった、俺も、、、、ちゃんと向き合わないとだし、この事実は」
〈かっ良いいよ!アルビー兄様!〉
〈ユイリアがいつになく興奮してる。可愛い〉
こうして、俺は現在王宮権力第4位であるアルビー兄様を仲間にする事が出来た。因みに1位はお父様、2位はお母様、3位は長男だぞ!
上2人は今日は遠征なのでそれ以外の兄弟を、アルビー兄様の執務室に呼んだ。カイとノーシュドの2人は普通に来てくれたけど、第4皇子でありノーシュドと同じでオタク気質な兄ことユノルドをどうやって連れて来たかと言うとだ。
まず、ユノルドのオタク部屋に向かう。相変わらず魔法武器が散乱している。それを気にせず、ユノルドにお願いするが、
「我、忙しい。そんな暇ない」
と、予想通りの返答。思わず苦笑いをしてしまう。白髪に近い銀髪に緑色の目。ボサボサしている髪は一つにまとめて、薄着の姿。一見王子とは思えない姿。だが、王子だ。
俺はそう思いながら、ユノルドに交渉まがいの事を持ちかける。
「、、、、ユノ兄様、知ってる?」
「何が?」
「離宮内に、幻の鉱石が存在するの」
「は?何言って、、、、はっ、待てあの噂は本当か?」
「さぁ?でもこのままだと、離宮は崩壊して確認は取れないよ。兄様、どうす 「勿論協力させて貰う。すぐにアルビー兄者の何処に行くぞ」は、はーい」
てな感じで説得。食い入るように承認されたの初めてだよ、俺。
極度の魔法武器と言うか鍛冶や武器作りが好きなユノルドに言えば、受け入れて貰えるのは容易いと踏んだけどチョロいな。
ぁ、因みに幻の鉱石の話は本当。第一弾のゲーム後に出たファンブックで、離宮内を取り壊した時に、粉々の状態で発見された。と書かれてた。
こうして、長男長女そして末っ子であるノゼルド以外が揃ったウェルフンド皇国皇子達による作戦会議が始まった。
〈私達も居るけどね!〉
〈その場合俺神様なんだけどなぁ〉
「(うるさくする場合回線は即刻切る)」
〈〈勘弁して下さい、優衣様〉〉




