王子との関係、弟との関係 ②
アシェルとの距離が縮まったな、と感じた日から1週間が経ち、今日も今日とて我が国に訪問して東屋でお茶をしている俺とアシェル。
アシェルからのお土産であるスイーツと我が国の特産の紅茶を堪能しながら会話を弾ませていたが、俺は原作知識の中でとある事が気になったので、紅茶のカップを置いて話の中に入れて聞いてみた。
因みに、神様&ユイリアに関しては邪魔そうなので、【絶対王政】使ってこっちに干渉出来なくした。一時的に、
「そういえば、アッシュって吸血鬼族だけど兎の獣人でもあるよね?」
「ん?うん、そうだよ。母さんが兎の獣人だから、ユイのお兄さんと同じだね」
「うん、カイ兄様と同じ。でも、何で生えてないの?耳と尻尾」
「ぁ〜、確かに気になるよね。ユイも雪豹の獣人とエルフのハーフだから耳4つあるけど、俺は2つだから」
「まぁ、そう言う所もある」
俺の質問に最初はキョトンとしていたが、すぐに理解したアシェル。俺じゃなくてユイリアの家系はちょーっと特殊で、お父様は【百獣の王】って言う家系スキルを持っててそれが子供に遺伝、子供達は1人1つの動物の獣人として産まれてくるんだよ。だからカイ兄様は兎、俺は雪豹。
そして、アシェルは原作でもずっと兎の獣人の姿になる事がなかった。その理由さえファンブックに書かれてなかったから、気になっているのだ。ずっとね、
「うーん、なんで言えば良いんだろ。兎って弱いってイメージがあるのと、僕前に誘拐されかけた事があるんだ」
「、、ぁ、お父様から教えて貰った事がある。確かアッシュの弟の、フェリシアン殿下と一緒に」
「うん。そう、俺とフェフェの2人が兎の獣人だって事は公表かれてたから、多分弱いから狙ったんだと思う。まぁ、騎士達によって制圧されたけど。それで、僕がいつも持ってるこのネックレスに魔法をかけて、身に付けている間は耳と尻尾が見えなくなってるんだ」
アシェルの説明に俺は納得と理解がいった。ネックレスを外すと耳と尻尾が現れて、綺麗な黒い兎耳とふわふわな尻尾にちょっとだけモフりたい衝動が出たけど何とか抑えた。
アシェルのお父様は俺の方のお父様と同じぐらい過保護なのは原作で分かってる。だから、心配の果てに種族を吸血鬼だけにさせた、となったら何となく理解出来る。
ずっと気になっていた事が分かった事と念願のウサ耳尻尾姿を拝めた事でスッキリと癒しを感じながら、苺タルトを頬張るのであった。
因みに、フェリシアンもこのゲームの攻略対象者で、アシェルとは髪色と目の色以外は似てない気がする。二卵性らしいけど、似てる時はあるんだよね。
「ぁ、そう言えば、フェリシアン殿下、風邪引いたと聞いたけど大丈夫?」
「大丈夫だよ、ユイ。今日のも多分、いつもの奴だから。でもまぁ、心配なのは心配だけど」
「仲宜しいって聞いてるから、わたしとの時間作らずフェリシアン殿下との時間も作ったら如何ですか?」
「、、、、フェフェとの時間も確かに大事かもしれないけど、僕はそれ以上にユイと過ごす時間が大切で、一生に一度しか作れない思い出が沢山あるんだ。なら、その思い出を作る為に僕は幾らでも時間を作れるよ」
「!(瞬時に全身真っ赤に変化)、、、、アッシュって、ズルい」
「???何が?」
この前から、アシェルから無自覚イケメン攻撃を受け続けている俺は、単なる普通の言葉でも顔を赤らめてしまう様になってしまったし、こんな特大攻撃なんて耐えられる訳がない。
そう頭の中で、熱を冷ましながら紅茶を飲む。なんか、フェリシアンをダシに使ったみたいになっちゃった。ごめんね、フェリシアン。
「そろそろ、帰る時間だね。今日も本当に楽しかった。ありがとう、ユイ。暫く会えなくなるのは寂しいけど、手紙は書くからね」
「うん、わたしも楽しかったよ。わたしも、アッシュにお手紙沢山書くね!」
夕陽が落ちてき始めた時間、俺は城の入り口で馬車に乗るアシェルをお見送りする。実はアシェルは学校に復学する事が決まった。
聖ローズフンド王立学院と言う学院があって、我がウェルフンド皇国とローズウェル王国が設立した学院で、初等部、中等部、高等部まであり複数の様々な部門に特化した学科がある。
現在6月下旬、と言う事で進級する為に復学するとの事。因みに俺は9月に入学予定!
そう頭の中で考えていると、アシェルのメイドの1人がアシェルに耳打ちをして何かを渡している。
「アシェル殿下、例の物」
「!、ぁ、そうだった。忘れる所だった。ユイ、はいこれ」
「?、ありがとう。これは?」
アシェルから渡されたのは、少し大きな物が入っているであろう綺麗にラッピングされた物だった。俺には持てなくて、メイドの1人に持って貰う。
何なのか検討つかずにアシェルに問う。
「君の弟である、ノゼルドの誕生日プレゼントだよ。何をあげれば良いか分かんなかったから、クマのぬいぐるみにしてみたんだ」
「!、わざわざありがとう。絶対良いのだよね」
「僕が渡したくて渡してるだけだし、それに将来的には義弟になる子だからね」
「、、そっか。ありがとう、本当に」
「何回もお礼言わなくて良いよ。じゃ、またね、ユイ。愛してるよ」
「ぅ、うん、またね、アッシュ(頬を赤らめる)」
最後の最後でいつもの愛してる、って言うフレーズを言われて、慣れない俺は顔を赤くしてしまう。
そして部屋に戻って、メイドに置いて貰ったノゼルドの誕生日プレゼントを立ちながら見つめる俺を見て、不思議そうな顔をして見つめる神様とユイリア。
〈優衣〜、どうした〜?〉
「忘れ、てた」
〈?何が忘れてたのさ。俺の知ってる事?〉
「ノゼルドの存在!!!」
〈、、、、嘘でしょ。私でも忘れないのに〉
〈ユイリア、多分そう言う事じゃないと思う〉
「うっわっ、そうじゃん!すっかり忘れてた!!」
そう、俺はこのゲーム内にとっては必要不可欠でもある存在、ユイリアの弟・ノゼルド・モナーキーと言う存在を忘れていた。
第一弾開始時のノゼルドは8歳になる前に流行病で亡くなってしまう!!それは、不必要なキャラ、だと思われるが、否!必要不可欠なのだ!何故なら、第二弾の生存ルートでめっちゃ闇落ちするか、味方になって超強力化するかのどっちかだし。
ノゼルド・モナーキー、現在5歳。あともう少しで6歳、ユイリアの腹違いの弟。
〈お父様も一応は皇帝だから、妾?いや、側室も必要だったからね。そのウチの側室の子供なんだよね。庶子、言わば庶民の出って事で、ノゼルドが2歳の時に亡くなったんだよ〉
〈、、、、流石の俺でも重い話は無理〉
ユイリアの説明通り、ノゼルドは庶子の子供。そのせいで、今は王宮にある離宮にメイドと執事の2人と暮らしている。俺や兄様達は本殿の方で暮らしているんだけど。まぁ、簡単に言うと周りの扱いが酷かったんだよ。
と言っても、お父様達はノゼルドの事も大切にしているし愛してるからね!!ノゼルドを嫌ってるメイドが、情報を通さなかったり、状況を隠蔽したり、毎月のお金を横領したりして、ノゼルドは亡くなった。
それが判明したのは第一弾は亡くなった後、その後ノゼルドに酷い扱いをしていたメイド達は牢屋か死刑の2択を取られたんだよね。
俺もプレイ当時は、8歳で死ぬなんて可哀想、何とかしてやりたい、って思ってた。
「なのに、俺は自分の事ばかりで今でも苦しんでいるのにも関わらず、1ヶ月以上お茶してスイーツ食べて、キャキャウフフな事して、、、、クズか?俺は」
〈ハワワっ、優衣が闇落ちしそうになってるよ、ユイリア〉
〈これは困った状況。でも、考えてみなよ、優衣だってつい転生して色々慣れない状況下だったんだし、忘れてる事も普通にあるから〉
「それでも、、なんか兄として不甲斐ない。穴があったら入りたい」
〈〈堂々とパクってる、セリフを〉〉
俺はベッドに倒れ込んで、枕に顔を埋めて闇落ちしそうになる。
病死経験者である俺から言われせば、1人で死ぬ恐怖の苦しさと、だけど、その苦しさから解放される開放感なんて味わいたくないし、それを幼子に味合わせるなんて、俺には出来ない!!!!!!させたくない!!!!!!
〈病死経験者って言葉、俺初めて聞いたかもしれない〉
〈私もだよ。神様、、、、多分言う事なんて、殆どないよ、人生の中で〉
〈そもそも、死んでるから言う事がないよね〉
「と言う事で(枕から顔を上げる)、ノゼルドを救出作戦を行います」
〈〈復活が早い〉〉
ノゼルドはずっと王宮でみんなと暮らしたいって願ってた。だけどそれを妨害していたのが、ノゼルド、と言うかノゼルドのお母様を嫌っていたメイド達。
お父様が好きで、なのに庶子が側室になってそれで子供まで作ったのが許せなくて、死んだ事を機にお父様に有る事無い事言って、離宮で暮らさせたんだよなぁ。
お父様、人を信用しちゃう性格だから、まぁそこが良いんだけど。
〈お父様、人からの好意とか鈍いから。それが招いた事なんだよね、これって〉
〈人から好かれやすい特徴、ちゃんとユイリアと優衣の2人に受け継いだって、事だ〉
〈いや、神様。私はともかく、優衣は前世からだと思うよ〉
〈ぁ〜、確かに〉
「ちょっと何言ってるのか分かんない」
そうと決まれば、俺は早速離宮に潜入調査をする。メイドの制服を保管&作成している服飾部門から、良いサイズをちょっと借りる。それを持って一旦部屋に戻ろうと中庭を歩いていると、中庭にある花壇に小さな人影が視界に入った。
「?、、、、(鑑定魔法で調べる)、、、、ぁ」
俺はその人影を背後から近づいてしゃがんで何やら、熱中しているその人物に話しかける。
「ねぇ、何してるの?、、、、ノゼルド」
そう、ノゼルドだった。俺と同じ白髪に紺色の目、少し幼いけど整って、お父様に似た顔立ち。そして雪豹の耳と尻尾。だけどそれ以上に俺が注目したのは、痩せ細った体だ。腕や脚が尋常じゃないほどに細い。5歳児とは思えないぐらい細くて、栄養をちゃんと摂ってないのがひと目で分かる。
夢中になって熱中してたのは分かんないけど、手には四葉のクローバーを持って居た。
「!!?!?(全身をビクッとさせる)、、ユイリア、様」
「久しぶりだね。それで何をしt 「勝手に王宮入ってごめんなさい!!!(頭を下げてから走って立ち去る)」ぁ、ちょっ」
ノゼルドはそう言って、俺の元から立ち去ってしまった。兄弟である俺に対して向けるような目じゃなかった。焦ってるって言うより怖がってる。
普通家族で、それも立派な王子であるノゼルドが王宮に入って謝るなんて、おかしい。それを植え付けている奴が居る。
それに、様呼びなのが段々、ジワジワきて呼ばせている奴に対して怒りが湧いてくる。
「ぁ〜、イラついてきた。ちょっと俺、ガチギレタイム入るわ」
〈私も入ろうかな。改めて見て、イライラしてきた〉
〈ユイリアまで参加しちゃったら、誰がツッコミ役するのさ!〉
「〈神様でしょ〉」
〈俺、ボケの方が好きなんだけど!〉
と、嘆いている神様は放っておいて、俺は部屋に戻って着替えを始める。だがその前に俺は変身魔法で14、5歳のありきたりの少女に変身をして、メイドの姿になって離宮に潜入する。ある物と一緒に、
〈透明魔法使って潜入する方が楽そうに見えるのに、意外と凝ってるよね、優衣って〉
〈神様、指摘しない方が良いよ。優衣はこう言うの好きなんだよ。私は分かる〉
「(勝手に分かった気にならないで。あとうるさくするなら、接続辞めるよ。さっきみたいに)」
〈〈冗談じゃん、優衣さーん〉〉




