今日の最高気温は50度です
今日の最高気温は50度です
続けて、
「外出には、防暑着を忘れずに」
そう、今は防寒着ならず、防暑着が必需品になっていた。
そして、
気象庁からは、
「酷暑Gメン」
が各地に出されていた。
「こら!こら!防暑着着て!」
外に出ていた子供たちに声を掛けていた。
ただそれ以外は死んだ街のようだった。
誰も歩いていない。
配送、建築土木はロボット、営業はオンライン・・・
スポーツも変わった。
屋外スポーツはすべて原則禁止。
高校野球も例外ではなかった。
ついに、甲子園がドームになったのだ。
犯罪も様変わり。
外の犯罪はほとんどなくなった。
そのため、防犯カメラの必要性が問われるほどになった。
「渋谷区○○町3丁目15-6、水上マンション205号室で、
変死体発見!」
渋谷警察署強行犯係は出動した。
この辺は昔と変わらないが、その後が変わった。
警視庁捜査一課ではなく、AI課が出動してきた。
「AI課瑞穂です。」
「同じく鈴木。」
すぐに、渋谷署に捜査本部が置かれた。
「え~、渋谷署の皆さんはAI課のサポートにまわってください。」
AI課皆川係長は言った。
ますます、昭和の現場百篇は遠くなっていた。
「わしら、AIの部下かいな!」
渋谷署の長老西田にとっては不満やるかたなしだった。
「長老!AIなんかに従ってられますか!
こっちはこっちで勝手にやりましょう!」
と若手清水。
「お~!お前!昭和の刑事のようやな」
と長老。
「なんすか?それ?」
もう昭和の時代は1世紀以上昔の時代なのだ。
次の日から清水は毎日のように現場に通った。
鑑識、AI課の調査の結果、
「他殺」
と認定された。
「いよいよ我々の出番ですね。」
と、清水。
「それはAI課も言ってるよ。」
と、西田。
直接の死因は、今や死因のトップとなった
「熱中症」
しかしそれがどうして他殺となるか?
エアコンがなぜか切られていたのだ。
「被害者が寝ている間に誰かが切った」
所轄もAI課もそう判断していた。
「最近多いっすよね、『熱中症殺人』」
と、清水。
「まあ、手ごろだからな。」
と、西田。
「殺人に『手ごろ』なんてあるんすか?」
「う~~~ん、言葉に気を付けなきゃいかんな」
西田は少し反省した。
「それにしてもAI課が有利だな。」
今はエアコンはリモコンではなく、
コンピューター管理されていた。
それを勝手に切ることは、
コンピューターの知識が必要だった。
そういう意味だった。
予想通り、AI課が容疑者を特定した。
吉田というシステムエンジニアだった。
しかしAI課による事情聴取は進展しなかった。
「黙秘権」が行使されたのだ。
AIには「黙秘」に対する対処はできなかったのだ。
「俺たちはAIじゃないぜ!人間だぜ!
俺たちの番じゃないか?!」
ついに西田に事情聴取が交代されたのだ。
「なあ吉田、俺は人間だぜ!AIと同じ対応はないよな」
「・・・」
「真田さん、暑かったろうなあ・・」
「・・・」
「俺たち人間だもんなあ・・AIと同じにはできないよなあ・・」
「そうでしょ・・」
初めて吉田が口を開いた。
その吉田によると、
亡くなった真田とは、その数日前まで面識がなかった。
数日前エアコンシステムの故障で初めて会ったのだ。
そこで言われたことを、吉田ははっきり覚えていた。
「おじさん、そんなこともわからなきゃ、
これからの時代生きていけないよ。
死ねば?」
これは将来必ず起こることなのです。
そしてこれは、
まさしく、
「気象との戦争」
なのです。




